DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第14話

シャディクが自室で端末で通信を行う。

秘匿通信で連絡を取るのは一人の男性。

ナジ・ゲオル・ヒジャ。

地球で活動する反スペーシアン組織「フォルドの夜明け」のリーダー。

シャディクはとある人物を連絡の橋渡しとする事で、彼に接触していた。

 

「後の指示についてはまた連絡する」

 

シャディクが通信を切る。

その傍らには一人の女子生徒の姿があった。

ニカ・ナナウラ。

スレッタ達と共に地球寮で株式会社ガンダムの社員として活動するアーシアンの少女。

孤児だった彼女は学園に入学する際に、シャディクのペーパーカンパニーを後ろ盾にし入学した。

いわば、この時のために用意されたシャディクの駒だった。

 

「ご苦労。君はそのままミオリネ達とプラント・クエタに行くといい」

 

シャディクがニカに別れるように促す。

ニカはシャディクの計画の内容を知らない。

彼の狙いは「フォルドの夜明け」を使ったデリングの抹殺。

そして、その作戦の実行場所はプラント・クエタだった。

 

後日

ウェイド達と株式会社ガンダムの面々はミオリネが購入した社用艦に乗ってプラント・クエタへ向かっていた。

しかし、ここで予想外の乗客が現れる。

その予想外の乗客にスレッタが恐る恐る話しかける。

 

「な、なんでグエルさんが…?」

 

乗っていたのはグエル・ジェターク。

ウェイドとスレッタに負け、その後は大したトラブルも起こさなかった彼だが、スレッタとは告白して以来、敬遠されていた。

ちなみに隣にはラウダも乗っている。

 

「ウェイドを止めようとしたらここに連れてこられた」

 

「はい?ウェイドさんを?」

 

スレッタが思わぬ名前を聞き、目をパチクリさせる。

 

「お前、アイツがPV作ろうとしてるの知ってんのか?」

 

「はい。なんか2弾作りたいって張り切ってて…」

 

「その内容については?」

 

「えーっと…何も」

 

「だろうな」

 

グエルが頭を抱えて溜め息をつきはじめる。

そういえばどんな内容で作るつもりなのだろうか。

本人に聞くことにする。

 

「ウェイドさん、どんな内容を作るつもりなんですか?」

 

「まずスレッタちゃんとミオリネちゃんが抱き合うシーンから始まる」

 

「はい?」

 

「そのまま抱き合う相手がグエルとラウダの二人にチェンジ。そのまま俺ちゃんとウルヴァリンが抱き合うシーンにチェンジされて、最後に俺ちゃんとウルヴァリンが互いに画面を血まみれにするまで刺し殺しあって、最後に株式会社ガンダム、の文字でフェードアウトだ」

 

「いやいやいや!色々と無理です!!」

 

想像の100倍は酷い内容にスレッタが拒否する。

 

「そもそも株式会社ガンダムと何も関係ないじゃないですか!」

 

「おいおい、スレッタちゃん。最近のトレンドを確認しなきゃ。日本のア〇ムのCMでは全く関係ない侍のストーリーが始まるし、海外のソシャゲはゲームと全く内容が違う詐欺広告の山だよ?こんな多少内容が異なるCMなんて…」

 

「ともかく却下だ。俺もラウダも協力しないし、スレッタ達をそんなCMには出させられんと言ったら、だったら撮影スタッフとして協力しろと連れてこられた…」

 

グエルがウェイドの言葉から事の顛末を話すが、その時、スレッタがとある言葉に反応する。

 

「えっと…私達がCMに出ないように…?」

 

「なっ…!あ、あぁ、そうだよ!悪いか!」

 

グエルが少し顔を赤らめながら開き直るが、その姿をラウダは面白くなさそうに見る。

 

「ヤバい、やっぱりスレッタちゃん達がメインになると駄目だ。俺ちゃんの空気が薄くなっちゃう」

 

「アンタが空気になる事は無いから大丈夫よ。それと、もうすぐプラント・クエタに着くから準備して」

 

ウェイドの心配をよそにミオリネがウェイド達に下船の準備を促す。

ウェイドは用意してた撮影用の機材とセットを運び始める。

 

「いくぞグエル!俺ちゃんのセクシーシーンを撮る!俺ちゃんだって実写ローガンみたいに他人の彼女と寝るシーン何度も放映してやっからな!」

 

「お前の知り合いどうなってんだよ…!」

 

「いや、そんなシーン撮っても使わせないわよ。というかそのシーン、プラント・クエタで撮る必要あるの?」

 

「宇宙空間をバックに男と女が抱き合うシーンだぞ!アベンジャーズはともかくXmenの奴らはそこに到達してねえ!俺ちゃんがMCUの覇権をとってやる!」

 

グエルとミオリネの意見を一蹴し、意気揚々と更衣室に入るウェイド。

グエルは溜め息を吐きながらウェイドから預けられた撮影用機材を確認しようとした、その時だった。

 

辺りに警報が鳴り響く。

施設全体が赤く染まる。

 

『緊急事態警報B1発令。緊急事態警報B1発令。プラント・クエタ内にいる全職員は、直ちにシェルターに避難してください』

 

そのアナウンスの内容にグエルが驚愕する。

 

「B1!?敵性体から攻撃を受けてるのか!?」

 

その時、一機のモビルスーツの姿が通路の窓から見える。

グエルとラウダはそのモビルスーツに見覚えがあった。

 

「「デスルター!?」」

 

デスルター。

グエルが操るディランザの前世代機にあたる、ジェターク社製のモビルスーツ。

その機体がプラント・クエタを襲うテロリストのモビルスーツとして運用されていた。

 

「なんで僕たちの会社のモビルスーツが…!」

 

「ラウダ!格納庫に行くぞ!」

 

「兄さん!?」

 

ラウダが驚く中、グエルはモビルスーツを使おうと格納庫に向かう。

しかし、その姿を止める影が現れた。

 

「全員動くな!」

 

銃を持った覆面の男達がグエルの行く手を阻んだ。

 

スレッタとミオリネはエアリアルの受け取りのために格納庫へ向かう途中だった。

 

「ミ、ミオリネさん!これって…!」

 

「敵性体からの攻撃…!テロリストがプラント・クエタを襲ってきたの!?でも、なんで…まさか!」

 

ミオリネが端末を操作し、とある人物のスケジュールを確認する。

その人物はデリング・レンブラン。ミオリネの父にして、株式会社ガンダムの出資者の一人。

ミオリネがデリングから前もって貰っていたスケジュールのデータを確認すると、この時間にデリングがいる場所が示される。

その場所はプラント・クエタ。ミオリネ達がいるこの場所だった。

 

「狙いは…うちのクソ親父の暗殺…!」

 

ミオリネの顔が蒼白になる。

しかし、感情を抑え、スレッタの方を見る。

 

「スレッタ、今からエアリアルを受け取りに行って!私はクソ親父の方に行く!」

 

「ミオリネさん!?」

 

「スレッタ、エアリアルを使って!そして、テロリスト達をやっつけて!」

 

驚くスレッタを尻目にミオリネが告げる。

その言葉を受け取ったスレッタの顔も真剣になる。

 

「分かりました。ミオリネさんもお気をつけて!」

 

スレッタが頷くと同時に、スレッタとミオリネのいる通路に外部からモビルスーツの砲撃が襲った。

 

テロリスト達は銃を構えたまま、一つ一つの部屋を調べる。

目標であるデリング・レンブランを探すためだ。

やがて、一つの更衣室に突き当たる。

その更衣室はシャワーの音がしており、扉には『見ないでね』と最後にハートマークが書かれた絵札が掛けられていた。

 

「おい、中にいるお前。さっさと出てこい、3秒待つ。3…2…」

 

テロリストの男の一人がカウントダウンを告げる。

しかし、そのカウントが続く事はなかった。

更衣室の扉から突き出た刀が男の頭を貫通したからである。

 

「3秒も時間あげるなんて優しいね。それともエッチシーンが見れると思ってワクワクしてた?」

 

更衣室内から声が聞こえる。

それと同時に周りのテロリスト達がマシンガンで更衣室の扉を撃ちまくる。

あっという間に蜂の巣になる更衣室の扉。

 

「いいね、この感じ。超久しぶり。やっぱり俺ちゃんはこういったわかりやすいヴィランとの戦闘がメインだよね。ガンダムといえば戦争物なのに"水星の魔女”は異例すぎるよ」

 

更衣室の扉が崩れ落ち、黄色と黒で彩られたコスチュームに赤いマスクをしたウェイドが現れる。

 

「俺ちゃん、PV用にお色直しをしてたのに邪魔しやがって」

 

しかし、その黄色と黒のコスチュームは先程の銃弾を受けた傷からの出血で赤く染まる。

 

「ああっ!クソッタレ!だから赤いコスチュームじゃねえと駄目なんだよ!この日のために作ったのによ!」

 

再びテロリスト達が銃を構える。

 

「おいおい、待ちなよ。お宅ら大丈夫?ここはMCUじゃない、ガンダム作品だ。勿論富野だって、グロい作品は作るよ?でも"水星の魔女”でこの先の描写は危ない。規制が入ってファンが離れる可能性がある。もう原作ほぼ崩壊してファン離れてる感じするけど」

 

「意味がわからんことを喋るな!両手を頭の上で組んで膝をつけ!」

 

テロリスト達が銃口をウェイドに近づける。

 

「あっそ。でもアンタらコラボ先の事、もう少し調べた方がいいよ?俺ちゃんが何のコスチューム着てるか知らないだろ?」

 

突然、ウェイドの拳から隠し針が飛び出し、テロリストの一人の頭に突き刺さる。

そのままウェイドはそのテロリストの体を盾にして銃を撃ち始めたテロリスト達の集団の中に飛び込むと、体を回転させながら周りのテロリスト達を斬殺した。

先程よりも血に塗れたウェイドが立ち上がる。

 

「よーっし。こっからは俺ちゃんの無双タイムだ。ゴミ掃除と洒落こもう。デップー、いきまーす!」

──物語、続く(かもしれない)




評価が赤くなって以前より多数の方に読んで頂いて喜んでいます。
オリジナル展開の物語がゆっくり進んでいくと思いますが、これからもよろしくお願いします。
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