DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第16話

「ガンダム・キャリバーン…それは宇宙議会連合がヴァナディース事変の際に押収し極秘裏に保管していた機体です。怪物、の意味を持つキャリバーンの名を冠したこの機体をウェイドさん用に調整と改修を行った機体がこのキャリバーンⅡなのです」

 

「キャリバーンⅡってやけに安直な名前だね。赤い機体なのも俺ちゃんに合わせたから?」

 

プロスペラの意見を聞きながら、ウェイドは赤い機体、キャリバーンⅡを見上げる。

 

「えぇ。ウェイドさんが赤は特別な意味を持つと仰ってたから」

 

「へ?ちょ、ちょっと待て…話を読み直すね。うわ、8話で言ってんじゃん!よく覚えてたなアンタ!」

 

ウェイドがスマホを操作して驚いてる間も、プラント・クエタ内部が衝撃で揺れる。

ウェイドがプロスペラに慌てて訊ねる。

 

「とりあえず俺ちゃんがコイツで出撃すればいいんだろ?装備はなに?」

 

「ビームサーベルを背中に2本、脚部分にビームライフルを2丁装備してます。」

 

「俺ちゃんとほぼ同じスタイルじゃん。マジで俺ちゃんに合わせた訳ね」

 

「それと、GUNDビットも6基ほど」

 

「あー…それエアリアルの時も使ったけど、俺ちゃん苦手なんだよね。斬ってる時に他のこと考えるの苦手でさ」

 

「ご心配なく。キャリバーンⅡに採用したGUNDビットはコンピュータによる自動制御によりウェイドさんの補助に回るもので、ウェイドさんには何の負担もかかりません。その代わり、性能は従来のものより落ちますけど」

 

「それなら問題なし。まともな方も使えないんだからちょっと役に立つくらいで丁度いいよ」

 

ウェイドが装備スペックを聞き終えて、キャリバーンⅡに乗り込む。

 

「怪物、の意味を持つキャリバーン?確かに俺ちゃんの方がスレッタちゃんよりお似合いみたいじゃん」

 

ウェイドはマスクを外し、コックピット内で崩れた顔を晒す。

 

「行こうぜ、兄弟。ガンダム・キャリバーンⅡ、デップー、いきまーす!…やっぱちょっと安直だな!あとで違う名称考えるか!」

 

軽口を叩きながらいつもの調子でキャリバーンⅡで出撃するウェイド。

その姿を見送るとスレッタはプロスペラに自分も出撃する意思を伝える。

 

「お母さん!私も…!」

 

「ねえ、スレッタ。ウェイドさんの事、どう思った?」

 

「え?お母さん…?」

 

同じ頃、グエルとラウダはスレッタ達とは別の格納庫に向かっていた。

自分達に銃を突きつけていたテロリスト達は(グエル達は知らないが)ウェイドが暴れだしたことにより、それぞれ持ち場を離れた事で、グエル達は自由に動く事ができていた。

しかし、グエルとラウダは格納庫に向かいながら、テロリストやスタッフ達の死体を目の当たりにする。

余りの凄惨さに思わずグエルも呟く。

 

「これが…本当の戦闘か…!」

 

「このテロ行為にジェターク社のモビルスーツが関わっているなんて事が知れたら…」

 

ラウダの呟きに歯噛みをしながらグエルは前を向く。

 

「急いで格納庫に向かうぞ!」

 

二人が急いで格納庫に向かう。

そこには二人が思いもよらない人物がいた。

 

「「父さん!?」」

 

「お、お前たち…!」

 

二人の視線の先にいたのはヴィム・ジェターク。

ジェターク社のCEOであり、グエルとラウダの父親である人物がそこにいた。

 

「父さん!何故ここに!?テロリストがデスルターを使ってる事と関係あるのか!?」

 

グエルがヴィムに詰め寄る。

グエルは知らない。目の前にいる男が、このプラント・クエタにいるデリング・レンブランの暗殺に加担していた事を。

そして、そのためにシャディクと共謀したものの、裏切られ、今、デリングと共に殺されようとしている事も。

 

「わ、私は何も知らん!それよりお前たちが何故ここに!?」

 

ヴィムは知らないふりを突き通そうとするが、その時、プラント・クエタが揺れる。

ラウダがグエルに叫ぶ。

 

「兄さん!そんな事よりデスルターを!」

 

「くっ…動けるモビルスーツはあるか!?」

 

グエルが出撃しようもモビルスーツを探し始める。

それを見てヴィムが反応する。

 

「待て!お前たち!どうするつもりだ!?」

 

「どうするも何も出撃するんだよ!俺たちの会社のモビルスーツがテロを行ってるんだぞ!」

 

「これは決闘のような遊びとは違う!本物の戦闘に子供が出しゃばるな!」

 

「俺はジェターク社のCEOの息子だ!責任を取る立場にある!」

 

ヴィムの剣幕に負けじと食ってかかるグエル。

その様子を見てヴィムは目を見開いた。

ヴィムの顔から険しさが消える。

 

「そうだな…お前の言う通りだ…」

 

目の前に立つ頼もしい息子を、ヴィムは部下を使って拘束する。

 

「父さん!?」

 

「責任を取る立場にいるのは俺だ」

 

ヴィムはディランザ・ソルに乗り込みながら、グエルとラウダに優しい目を向ける。

部下に拘束されたグエルとラウダが何かを叫んでいた。

自分は何も見ていなかった。

会社を回す事ばかり考え、目の前に立った息子があそこまで大きくなっていた事にも気づかなかったとは。

 

「後は頼んだ」

 

もう心配することは何もない。

後のことは全て息子たちに任せられる。

ヴィムは穏やかな気持ちで、ディランザ・ソルで出撃した。

 

「お、お母さん……さっきのウェイドさん、血まみれで…生首を蹴って笑ってて…すごく怖くて…!!」

 

つい先程までのウェイドの姿を思い出し、顔面蒼白になりながらスレッタが語る。

今までのふざけていたウェイドの姿がまるで違うもののように感じたスレッタの体の震えが止まらない。

プロスペラはそんなスレッタの姿を見ながら静かに語る。

 

「……当然よ、スレッタ。彼は”死を超越した者”だから。」

 

「──え?」

 

スレッタの顔に驚愕が浮かぶ。

しかし、プロスペラは構わず淡々と語る。

 

「ウェイド・ウィルソン。かつて地球のある別の世界で、恐ろしい実験により”再生能力”を得た男。彼はどれほど撃たれても、切られても、死なない。その精神も異常をきたし、最早常人の域を超えている。」

 

ウェイドの真実を告げられるスレッタ。

確かに思い返してみるとウェイドやエランが似たような事を言っていた気がする。

しかし、スレッタには分からない。

何故そんな彼をガンダムに乗せるのか。

何故今、このタイミングでそれを告げるのか。

 

「だからこそ必要なのよ。神になる器として。ガンダムが持つ苦痛と代償すら──彼ならば、笑いながら受け止める。」

 

プロスペラが宇宙空域に足を進めながら告げる。

 

「私の計画…エリクトを取り戻すための鍵。それが、彼。」

 

スレッタが目を見開きながら後ずさる。

 

「お、お母さん……それって……」

 

「“家族”のために。全ては愛よ、スレッタ。」

 

家族の為にウェイドを利用すると語るプロスペラ。

ヘッドギアの下で笑うプロスペラの顔がスレッタは知らない人の顔に見えた。

──物語、続く(かもしれない)




ちょっと遅くなりました。
完全に物語が外れてきたので、オリ展開連続で難儀しています。
完結目指して頑張りますが、その頃にはこの物語はどのような形になってるのかは私にも分かりません。
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