これでしばらくは余裕を持てると思います。
プラント・クエタ宙域に2機のモビルスーツが舞う。
一体は緑色のGUND-ARM、ガンダム・ルブリス・ウル。
近〜中距離戦仕様の機体で、パイロットはソフィ・プロネ。
もう一体はカーキ色のGUND-ARM、ガンダム・ルブリス・ソーン。
ガンダム・ルブリス・ウルと対になる射撃性能を高めた味方機の援護に秀でた機体で、そのパイロットはノレア・デュノク。
二人とも日本を拠点とする反スペーシアン組織『フォルドの夜明け』に協力しているとみられる少女達だった。
そのうちの一人、ソフィが昂る感情を吐露する。
「会いに来たよ!スレッタ・マーキュリー!それにエアリアル!」
ソフィは株式会社ガンダムのPVを視聴しており、宇宙で道楽に興じ、ありもしない理想を掲げている彼らと、そのPVに映っていたエアリアルとスレッタに興味があった。
それ故にその全てを破壊しようと、先程スレッタとミオリネがいた通路を独断で強襲した。
「ソフィ…作戦をちゃんと遂行して」
そんなソフィを窘めるノレア。
作戦通りに指定されたポイントを制圧しようとするノレアだが、前衛を務める相方のソフィがエアリアルに夢中なため、中々捗らないでいた。
「出てきてよ!スレッタ・マーキュリー!エアリアル!かくれんぼしてるのかな!?」
エアリアルを探しながら宙域を彷徨うソフィのレーダーにモビルスーツの反応が現れる。
「エアリアル!?見つけた!」
「ソフィ!?何してんの!?」
レーダーに現れたポイントに急旋回して向かうソフィとルブリス・ソーン。
驚きながらもその後を追いかけるノレアとルブリス・ウル。
その先にいたのはエアリアルの青と白の彩色とは真逆の赤と若干の黒が混じった彩色の機体だった。
一方、ガンダム・キャリバーンⅡに乗って出撃したデッドプールことウェイド・ウィルソンは重大な事実に直面していた。
「やっべー…俺ちゃん用の戦闘用BGMとか用意してねーよ…毎回ByeByeByeに頼るのもアレだしなぁ…」
手持ちのCDを漁りながら考える。
初の専用機の出撃回なのにBGMが存在しないのは如何なものか。
しかも今後乗り換える可能性も考えると印象に残る曲を選びたい。
そんな事を考えてる間に敵機が接近するアラートが鳴る。
「しゃあないな。俺ちゃん、せっかく赤い機体乗ってるし、これでいこう」
ウェイドが一枚のCDを選ぶとコックピットに挿入した。
シャア!シャア!
今はいいのさ すべてを忘れて一人残った
傷ついた俺がこの戦場で あとに戻れば地獄におちる
シャア! シャア!
「フゥー!いいねー!テンション上がるじゃん!赤いガンダムも大興奮!俺ちゃんのビームサーベルもバッキバキ…あ」
そこでウェイドが気付いた時には遅かった。
アクセル全開で格納庫から飛び出したウェイド。
フルスロットルで飛び出した機体はウェイドがBGM選びに夢中になってる間も最大加速で突き進み、さらにコンピューター制御でオートで展開されるGUNDビットがウェイドの意思に関係なく、上手い具合にソフィを迎撃していた結果、キャリバーンⅡは全速力でルブリス・ソーンに体当たりをぶちかましていた。
「うおおお!やっべー!!前方不注意やっちまったー!!」
とりあえずなるようになれの精神でそのまま背面からビームサーベルを展開して斬りつけるウェイド。
超近距離から展開されるビームサーベルに慌てて距離を取りながら対応するルブリス・ウルと支援するルブリス・ソーン。
そのまま挟み撃ちの構図でキャリバーンⅡを前後から襲いかかる二機だったが、キャリバーンⅡは自身の身体を回転させ、回転斬りの要領で二体に対応する。
さらにコンピューター制御のGUNDビットが荒い狙いでありながら両機を迎撃していたため、キャリバーンⅡはそのまま挟み撃ちの状態から抜け出した。
「いーねー!俺ちゃんの考えた通りに動いてくれんじゃん!GUNDビットもコンピューター制御な割には便利だし!」
流した血飛沫 後で後で拭け
狙い定める俺がターゲット〜♪
「シャア!シャア!シャア!」
ウェイドはコックピットから流れる「シャアがくる」を歌いながらノリノリで対応する。
そのウェイドのコックピットの画面には「パーメットスコア:4」の文字が表示されていた。
「ソフィ!応答して!大丈夫なの!?」
ノレアは慌ててソフィに通信で呼びかける。
視界に現れた赤いガンダムがフルスロットルでソフィに突っ込んできたと思ったらいきなり斬りつけてきた挙句、めちゃくちゃな動きでこちらを翻弄してきた。
それ以降、ソフィから何の応答もない。
先程、迎撃体制に入っていたから意識はあると思うのだが。
そう思っていると、通信機から声が漏れ始める。
『き、効いた…』
「ソフィ!?」
ようやく応えだしたソフィの声。ひとまず安心するノレアだったが…
『感じた…赤いガンダム…ハートに衝撃が…』
相方の様子がなんかおかしな事になっていた。
「ソフィ…?」
『最高の衝撃だった…濡れたわ…赤いガンダム…』
「ちょっと!?」
なんか相方の艶っぽい声が通信機から流れ、さらに下ネタ発言まで出し始める。
『エアリアルに続けて赤いガンダムも…潰すわ!全部!』
ソフィの声から殺気が表れ、ルブリス・ウルのツインアイが光るが、その時、ソフィとノレアに通信が入る。
自分達の組織、「フォルドの夜明け」のリーダーのナジからだった。
『そこまでだ。二人とも撤退しろ』
『は!?なんで!ここからが本番じゃん!』
「ソフィ、作戦を忘れないで。私たちの役目はここまでよ」
『まだエアリアルも見てないのに!』
「作戦を台無しにする気?とっとと帰るわよ」
ナジの司令に愚痴るソフィを窘める。
こういった役回りは自分の役目だ。
ソフィの歯噛みする声を聞きながら撤退の準備を始めるノレア。
そこで赤いガンダムの攻撃がこない事に気づく。
「奴は…!?」
ノレアがレーダーを見ながら周囲を見回す。
そこには赤いガンダムがいたが、その機体は青い光に包まれていた。
「パーメットスコア…6!?」