DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第18話

周りが虹色の空間の中にウェイドは立っていた。

 

「嘘!これってキラキラ!?俺ちゃんジークアクスの世界に迷い込んじゃったの!?」

 

「違うよ、ここは…データストームの領域」

 

「実はデータストームって単語、遊戯王が先に使ってんだよね。それも結構前に。で、俺ちゃんに語りかけてきたのはだあれ?」

 

ウェイドが声をした方に振り向くと、そこにはスレッタの面影のある赤い髪をした少女の姿があった。

ウェイドがその人物の名を語る。

 

「あれ?プロローグやOPでやたら話に出ないのに序盤から存在感ヤバかったエリクトちゃん?」

 

「私の事、知ってるんだ」

 

エリクト・サマヤ。プロスペラの本名であるエルノラ・サマヤと、オックス・アース社のガンダム・ルブリス開発マネージャーであるナディム・サマヤとの間に生まれた一人娘。

しかし、四歳児の彼女は宇宙環境に耐えられず衰弱していった。

そこで、エルノラはエリクトの生体コードをルブリスの中に転移させた。

 

その後、ルブリスはエリクトの新たな身体・エアリアルへと改修され、新たなパイロットを見守るようになる。

 

「そのエリクトちゃんがどうして俺ちゃんの前に?俺ちゃんのキャリバーンに乗ってんの?」

 

「違うよ。貴方が私に会いにきたの」

 

「へ?それってどういう事?」

 

ウェイドがエリクトの思わぬ発言に尋ねる。

エリクトは笑顔で続ける。

 

「ガンダム・キャリバーン…『怪物』の異名を持つモビルスーツ。その名前の由来はデータストームのフィードバックを軽減するフィルター機能を搭載していないから」

 

「データストームの影響をもろに受けるって事だろ?それがあったところでパーメットスコアを上げなきゃ…」

 

「そしてガンダム・キャリバーンⅡ。お母さんがそのモビルスーツに施した機能。それはパイロットの意思に関係なく、パイロットの能力に応じて自動的にパーメットスコアを上げ続ける自動上昇機能」

 

「は?なんだって?」

 

プロスペラから聞いてない思わぬ隠し機能に驚くウェイド。

 

「貴方はパーメットスコアが6以上に到達した事で、データストームの領域に到達し、私とアクセスしてる。キャリバーンにフィルターが存在しないから、この領域にたどり着いたんだ」

 

「ちょ、ちょっと待て!あの女版鉄仮面が何をしたかは分かったけど、なんで俺ちゃんにこんな事する訳?」

 

困惑しながらも話を整理しようとするウェイド。

プロスペラがやった事はともかく、その狙いが分からない。

ここでエリクトに会ったからといって、何をさせるつもりなのか。

 

「貴方の肉体は大量のパーメットの流入を受け続けて高い親和性を持つ」

 

「へ?そうなの?」

 

「加えて、貴方の肉体はパーメットに対する高い耐性を獲得している。つまり、パーメットの流入を受け続けても肉体が崩壊するまでの耐久力が通常の人間より高い」

 

「まあ、自動回復もあるしね。確かに高い耐久性を持ってるんだろうけど」

 

「お母さんは私の依代になる肉体として貴方の肉体を選んだ」

 

「ちょっと待てーーー!?!?」

 

エリクトの思わぬカミングアウトにウェイドが突っ込む。

 

「え!?つまりなんだ!?あの女版シャア、俺ちゃんの肉体をエリクトちゃんに渡すって!?エリクトプールでも作れってか!?クロスオーバーSSだけど、そこまでやるの!?原作崩壊ってレベルじゃねーぞ!」

 

「だから、お母さんはあなたの事をこう言ってたよ。私たちに幸福を与えるために選ばれた理想の生け贄、『神様』だって」

 

「そんな皮肉めいた意味かよ!あの女版ゼクス、匂わせ発言して、やる事はロキ以上にゲスじゃねーか!」

 

そこまで騒いだ後でウェイドが気づく。

 

「待って。その秘密を今、俺ちゃんにバラすって事は…」

 

「うん。貴方の肉体、貰おうかなって」

 

エリクトが笑顔で告げる。

 

「待て待て待て!!早まるな!落ち着こう!筋肉マッチョで顔ドロドロの幼女キャラはレベルが高いって!」

 

慌てて止めるウェイド。

 

「でも、今なら私は自由になれる。エアリアルの体から抜け出して世界を自由に歩き回れる肉体を持てる」

 

「…ん?」

 

エリクトの独白を受けてウェイドの動きが止まる。

 

「もう1回確認いいか?世界を歩き回れる肉体が欲しいんだな?」

 

「そう。私がデータストームの世界から抜け出して自由に動き回れる存在になる。それが私とお母さんの願い」

 

「あー……なるほどね。それさ、ひょっとしたら叶えられるかも」

 

「え?」

 

ウェイドからの発言に、今度はエリクトが驚きの声をあげる。

 

「そのために会わなきゃいけない奴ができたな。まさか、こんな展開になるとは」

 

「本当に叶えられるの?」

 

「その為にも俺ちゃん、現実世界に戻るね。一応まだ戦闘中だし」

 

ウェイドの意識がコックピットに戻る。

 

「よーいしょっとお!やっと戻ってこれたぜ…ってあれ?なんで周りに誰もいないの?」

 

ウェイドはレーダーの反応を探ったものの、先程のガンダム達の反応は無くなっていた。

撤退命令が出た事でテロリスト達は退避した後だった。

 

「なんやかんやでキャリバーンⅡはあまり活躍できなかったね。とりあえず、ミオリネちゃんを探すとしますか」

 

ウェイドが近くの出入口でキャリバーンⅡから降りて、プラント・クエタを歩く。

 

ミオリネは担架を押しながら通路を走っていた。

担架の上に寝ているのはデリング・レンブラン。

避難中に、テロリストたちが起こした爆発からミオリネを庇って負傷した彼を、ミオリネは担架に乗せて、避難船に向けて運んでいた。

 

「絶対に助けてやる…!病院のベッドで一晩中罵倒してやるんだから!」

 

プラント内を彷徨っていたミオリネに、取り残されたテロリストの一人が現れる。

 

「見つけた!デリング・レンブラン!地球に戻れなくても、お前とはここで…」

 

銃を構えようとしたテロリストの頭が横から撃ち抜かれる。

 

「話が長すぎるよ。俺ちゃん、つい撃っちゃった」

 

「その声…ウェイド!?」

 

ミオリネが目を見開いて驚く。

 

「そ、俺ちゃんだけど。ミオリネちゃん、なんかお久って感じだね」

 

いつもの調子で挨拶するウェイドだが、ミオリネは目を見開いて驚いている。

不思議に思った辺りでウェイドは気づく。

マスクは外してコックピットに置き忘れていた。

 

「あ、やっべー…マスクの下の素顔見られちゃったか…そりゃ驚くよなぁ。こんなアボカド顔だもんよ」

 

「い、いや…確かにその顔も驚いたけど、アンタ、今、その人を…」

 

『ミオリネさん!!』

 

突然、スピーカーの音と共にエアリアルが現れる。

 

「ス、スレッタ!?」

 

「お、スレッタちゃんも駆けつけてきたみたいだね。俺ちゃんの方が早かったけど」

 

しかし、スレッタの目線にはミオリネと担架で運ばれるデリング、そして異形な顔をした血まみれの男が映っており、さらにミオリネがその男に恐怖しているようにしか見えなかった。

 

『やめなさい!!』

 

「へ?」

 

グシャッ

実際はそんな音はしなかったのだが、そんな音が聞こえるかのように、ウェイドは頭上から振り下ろされたエアリアルの手で押し潰された。

 

「うわあああ!?!?ウェイドおおおおお!!??」

 

目の前でウェイドが潰れる様を見てしまったミオリネ。

スレッタがコックピットから降りてミオリネの元までたどり着く。

途中でこけてしまい、血まみれになった手を差し伸べる。

 

「助けに来たよ!ミオリネさん!」

 

しかし、ミオリネはそれどころじゃない。

 

「違う!ウェイド!」

 

「へ?」

 

「アンタが今、潰したの、ウェイドよ!!」

 

スレッタの顔がサーッと青くなる。

 

「ウェイドさん!?なんで!?」

 

「こっちが聞きたいわよ!なんで潰したの!」

 

「だ、だってミオリネさん恐がってたし…」

 

言い訳するスレッタの足元にコロコロと何かが転がり、スレッタの足に当たる。

その感触に恐る恐る足元を見るスレッタ。

釣られてミオリネもスレッタの足元に転がった丸い物体を見る。

そこには恐怖の表情を浮かべたウェイドの生首があった。

その目がギョロリと動き、スレッタを見ながら告げる。

 

「これ、母さんです!」

 

「「うわあああああああああああ!?」」

 

二人の絶叫が響き渡った。

──物語、続く(かもしれない)




遅くなって申し訳ないです。
プロスペラの計画とか色々明かしました。
オリジナル要素多すぎますが、見ていてくださると幸いです。
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