DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第3話

戦術区域に1台のコンテナが投入される。

その中から1機のモビルスーツが現れた。

ディランザ。ジェターク社が作り上げた汎用モビルスーツ。

積極的に要素を付加させる設計方針で、重量級のスタイルを得ている。

更にグエルの専用機はグエル向けにチューニングがされており、性能強化に留まらず、マゼンタの機体色や、華美な装飾なども施されている。

 

「KP001、グエル・ジェターク。ディランザ、出る!」

 

ディランザに乗ったグエルがコンテナから戦術区域に降り立った。

 

「あの赤タイツの変態男を学園から追い出してやる!」

 

その時、戦術区域に別のモビルスーツが現れる。

白と青を基調としたモビルスーツ、後に知られる事になるエアリアルと呼ばれる機体。

 

「あの赤タイツの男も派手なモビルスーツを持ってるじゃねえか!」

 

モニター越しに戦場を見ていた、今回の決闘の立会人、シャディク・ゼネリが通信を行う。

 

『これより、双方合意の下、決闘を執り行う。勝敗は通常通り、相手のモビルスーツのブレードアンテナを折った方の勝利とする』

 

『両者、公顔』

 

互いの機体のカメラが相手の顔を映す。グエルのカメラに現れたのは…

 

『うおおおおおお!マジこれスゲー!!ボタンいっぱい!これがメカフェチの夢かあああ!』

 

『ンーー!!ンーーー!!!』

 

目の前のコクピットではしゃぐウェイドの姿と、後ろでロープに縛られて乗せられているスレッタの姿だった。

 

「……は?」

 

グエルの間の抜けた声が聞こえる。

戦術区域に沈黙が訪れた。

我に返ったグエルがウェイドに尋ねる。

 

「おい待て!後ろの女はなんだ!どうして乗っている!?」

 

『いやあ、決闘って言われたけど、俺ちゃんモビルスーツとか持ってなくてさあ、そしたら後ろにいるスレッタちゃんが快く貸してくれるっていうから…』

 

『ンーーー!!ンーーー!!!!』

 

後ろで縛られて猿轡をされたスレッタが思いっきり首を横に振る。

どうみても無理やり強奪したようにしか見えない。

白と青を基調としたモビルスーツ、後に知られる事になるエアリアルと呼ばれる機体。

スレッタの機体である。

再び戦術区域に訪れる静寂。

グエルが頭を抱えながら、シャディクに連絡をする。

 

「シャディク、この決闘は承認できるのか?」

 

『広義的に見れば、決闘に使うモビルスーツを彼が自分の力で調達したと解釈できる。決闘そのものには問題はない』

 

『ンーーー!!ンーーー!!!』

 

『…ただ、後ろのあの子に関しては不憫だったとしか言いようがない』

 

「哀れな…」

 

自分も大概やらかす方だが、目の前の男は自分以上にめちゃくちゃだとしかグエルには思えなかった。

 

『よーっし、それじゃあ、アレ言っちまうぞ!ガンダムのクロスオーバーなんだからコレ言わないと嘘だろ!オタ共、見てろ!』

 

そして、その目の前の男は1人ではしゃいでいた。

 

『ガンダム発進!デップー、行きまーす!』

 

行きますも何も既に目の前にいる。

エアリアルはいきなり目の前で飛び上がって、そのまま倒れた。

 

『ちくしょう!モビルトレースシステムくらい付けとけよ!ハイパーモードとかゴッドフィンガーとか撃ちたいだろうが!』

 

「………」

 

グエルは唖然としてコクピットの画面を見る。

後ろのスレッタが黙ってるが、あの様子だと多分泣いてるのだろう。

気を取り直して、シャディクからの通信がウェイドに入る。

 

『と、とにかく決闘の口上を述べよう。』

 

『え?口上?あー、そういう訳ね。分かった。"ガンダムファイト、レディ…”』

 

『いや、こう言ってほしい。"勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず”』

 

『なんだよ言わせろよイケズ!"勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず”!』

 

長かった。何故、決闘の口上を述べるまでにここまで時間がかかるのか。

シャディクの司会進行力に感謝しつつ、口上を述べるグエル。

 

「"操縦者の技のみで決まらず”」

 

『「"ただ、結果のみが真実”」』

 

『フィックス・リリース』

 

遂に始まった決闘。何故か開始前からかなり疲れた気がする。

気を取り直してディランザを駆るグエル。

しかし、コクピット画面のウェイドはと言うと…

 

『上上下下左右左右BA!え、違う!?1秒間に16連射すりゃいいのか!?』

 

操作を根本から間違えていた。エアリアルがめちゃくちゃな操作に併せてフルフルと震える。

 

『不屈はねえのか!クソッ!レベルが足りねえから熱血も使えねえ!』

 

「素人にモビルスーツが扱えるかよ!」

 

とっととブレードアンテナを折って終わらせようとディランザで攻撃を仕掛けるグエル。

しかし、偶然にもウェイドの肘がレバーに当たった瞬間、エアリアルの足が上がり、ディランザに当たって、攻撃をかわす。

 

「何!?」

 

『あ、このレバーで足の操縦できんのね』

 

まぐれとは言え、攻撃をかわされた事に驚くグエルだったが、その後に聞こえた声に更に驚く

 

『どいてください!!!』

 

『え、ちょっと待って、オタク、ちょっ、あぁっ!!』

 

ウェイドが横から伸びた腕に引っ張られ、画面から消える。

そして画面に映し出されたのは先程まで後ろで拘束されていたスレッタだった。

先ほど倒れたことで縄が解けたのだろうか。

 

『エアリアル、私のです!!!』

 

声だけでも怒りが伝わってくる。余程腹が立ったのだろう。

 

『こんな酷い動きをするのはエアリアルではありません!私が操縦します!!』

 

『えー、せっかく足の動かし方が分かった所だったのにー』

 

ウェイドが通信画面に映る。スレッタに縛られたらしく、体に縄が巻かれていた。

そこに決闘実行委員のシャディクからの通信が入る。

 

『えーっと、スレッタ・マーキュリー。流石に事情が事情だから、この決闘を後日に取り直すことが出来るけど…』

 

『構いません!このまま続けてください!私とエアリアルは負けません!』

 

「…何?」

 

先程までウェイドに縛られていた哀れな編入生。

その少女が最後に発した一言がグエルのプライドに刺さった。

 

「言うじゃねえか、さっきまでモビルスーツ奪われてた水星女が!」

 

『さっきから初対面の人にも憐れむ視線を向けられて、もう我慢できないんです!このまま貴方を倒します!』

 

『そこは後ろの彼に怒りを向けてほしいな。グエル、決闘相手の変更を了承するかい?』

 

スレッタの言葉にツッコミを入れながら、シャディクがグエルに通信を入れる。

グエルは先程までと違い、闘志に心が燃えていた。

 

「やっと面白くなってきたな。了承する!」

 

『了解した』

 

周囲の対戦カードの表示が変わり、スレッタとグエルの対戦に切り替わる。

 

『いくよ!みんな!』

 

エアリアルが光り、周囲に「GUNDビット」が展開される。

ビットから発射されるビームを掻い潜りながらディランザを駆るグエル。

先程までと全く違う動きに、戦慄する。

 

「何!? なんなんだ、この機体は…!」

 

『逃げたら一つ、進めば二つ…!』

 

『穴の数は7つある。この生き物、なーんだ?』

 

『黙って!』

 

『はい』

 

なんか通信から聞こえながらも、徐々に追い詰められていくグエル。

そして、グエルのブレードアンテナが折られた。

 

「なんなんだ…そのモビルスーツは…」

 

画面が現れ、スレッタの勝利を告げた。

 

 

スレッタはコクピットの中で呟く。

 

「か…か…勝った…」

 

「ヤッホーイ!勝ったぜスレッタちゃん!やっぱマグロ食ってるような奴は駄目だな!」

 

後ろでウェイドがはしゃいで縄に縛られたままハイタッチをしてくる。

 

「私、貴方に縛られた事、忘れてないんですけど…」

 

「まあまあ!こういうのは勢いが大事だよ!」

 

その時、センサーが反応し、ミオリネが近づいて来た事を知らせる。

コクピットハッチが開かれ、ミオリネが乗り出す。

そこには笑顔のスレッタと縄に縛られたウェイドがいた。

 

「スレッタ、大丈夫!?」

 

「はい、ミオリネさん」

 

「あれ、俺の心配はしてくれないの?」

 

「アンタがスレッタを拉致ってコックピットに乗せたんでしょうが!」

 

ミオリネがスレッタのコックピットから生徒手帳を取り、操作する。

 

「スレッタ・マーキュリー」

 

ミオリネが生徒手帳をスレッタにかざすと、スレッタの胸にマークが浮かび上がり、パイロットスーツが白色に変化した。

 

「え?あれっ?えっ?」

 

「その衣装はホルダーの証よ。そして私の婚約者の証でもあるわ」

 

「ええええええ!?」

 

「嘘!マジで!?衣装白くなるの!それじゃ俺、絶対なれないじゃん!赤いコスチュームがトレードマークなのに!」

 

自分がミオリネの婚約者になった事に驚くスレッタ。

それとついでにホルダーの衣装が白くなる事に驚くウェイド。

スレッタは驚きながらミオリネに尋ねる。

 

「あ、あの…で、でも私…女、ですけど」

 

ミオリネは髪をかきあげながら告げる。

 

「水星ってお堅いのね。こっちじゃ全然ありよ」

 

スレッタの後ろで、何故かウェイドも髪をかきあげる仕草をしながら告げる。

 

「ちなみに俺ちゃんの国でもそれ系は歓迎だよ。知り合いには姿を自在に変化させるバイ・セクシャルな青色美人もいる」

 

「えええええええええ!?」

 

「世界は広いのね…」

 

今度はスレッタとミオリネが同時に驚いた。

──物語、続く(かもしれない)




やっと原作一話分が終わりました。
次回も頑張ろうと思います。
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