DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第7話

スレッタが地球寮の生徒達と日常を過ごす中、突然電話がかかる。

画面に表示された相手の名前はエラン・ケレス。

独房に軟禁された時に優しく接してくれた男子生徒の名前だった。

 

「え、エランさん!?ど、どどどどうして!?」

 

かなりどもりながら電話に出たスレッタに、エランの激しい息遣いが聞こえる。

 

『スレッタ・マーキュリー…』

 

「…エランさん?」

 

スレッタはエランからただ事ではないような不安を感じ取る。

 

『頼みがある…』

 

 

「で、その頼みってのが、エアリアルに乗せてくれって奴か」

 

地球寮の格納庫に置かれたエアリアルに憎らしげな視線を向ける少女がいた。

彼女の名前はチュアチュリー・パンランチ。通称・チュチュ。地球寮パイロット科1年生であり、ピンク髪のお団子頭が特徴的な女子生徒だ。

スペーシアン(宇宙育ち)が嫌いな彼女としては、美形とはいえエランの要求は受け入れ難いものだった。

 

「なんでクソスペーシアンが地球寮に…」

 

「分かりません…でも、エランさん苦しんでるみたいでした…」

 

スレッタが心配そうに見守る様子を見て、チュチュは軽く舌打ちをする。

補習の時の出来事でチュチュはスレッタには若干心を許していた。

突然、スレッタ達の前でエアリアルが赤く光る。

しかし、それは一瞬で、その後、コックピットが空き、エランが降りてきた。

 

「エランさ…」

 

呼び止めようとしたスレッタの声を止めたのは、エランの鬼気迫るような表情だった。

チュチュも豹変したエランの様子に息を飲む

 

「なんだよ…誰が『マネキン王子』だよ…」

 

『マネキン王子』。終始無表情のエランに名付けられたあだ名だったが、今のエランにはとてもその様子は見られなかった。

 

「スレッタ・マーキュリー…君も違うのか…!」

 

エランから低い声が出る。

スレッタは思わず悲鳴を上げて後ずさった。

エランが何も言わずにそのまま立ち去る姿を見て、スレッタ達は見送ることしかできなかった。

 

一方、ウェイドは学園で屋台を引いていた。

屋台にはデッドプールが、ウルヴァリンにタコスを渡そうとするイラストが描かれていた。

 

「アンタ…何してんの?」

 

ミオリネが驚いた声で告げる。

 

「よう、ミオリネちゃん!俺ちゃん、ちょっと借金しちゃってさあ。このままじゃ、お金が足りないって事で屋台始めたんだよ。色々揃えたよ。チミチャンガにタコスにサンドイッチ!」

 

「へぇ…値段も手頃だし、ちょっと興味あるかも。サンドイッチちょうだい」

 

「あいよ!サンドイッチはいい食材使ってるから評判いいんだ。ぜひ食っていってくれ!」

 

「あら、本当に美味しそ…」

 

ミオリネがサンドイッチに挟まれたトマトを見て顔色を変える。

 

「アンタ…このトマトどこから取った…?」

 

「え、そりゃ勿論、向こうの菜園から…」

 

ウェイドが指さした方向を見てミオリネが吠える。

 

「これ私が育てた温室のトマトでしょうがあああ!!」

 

「うおおお!さすが生産者!一発で見抜きやがった!」

 

ウェイドが急いで逃げようと振り向いた先に一人の少年がいた。

エラン・ケレスだ。

 

「ウェイド・ウィルソン、君に決闘を申し込む」

 

「………おっと?」

 

数時間後、地球寮前でウェイドは奮起していた。

 

「クソッタレ!次の決闘、絶対負ける訳にはいかねー!」

 

「ウェイドさん、次の決闘に何を賭けたんですか?」

 

スレッタが不機嫌そうなミオリネに尋ねる。

 

「エランはウェイドと戦うこと自体が目的だったらしいから、私から報酬を提案させてもらったわ」

 

「それって?」

 

「温室から勝手に持ち去ったトマトの賠償金の支払い」

 

「それ…妥当な請求なんじゃ…」

 

「逆にウェイドが勝った場合、エランに自分のチームに入るように要求するそうよ」

 

「えっ!?」

 

スレッタと周りの地球寮の生徒が驚く。

 

「ウェイドさんのチーム?エランさんがそれに入るんですか?」

 

「チームって言うとスポッターとかメカニック?ペイル社を傘下に収めるつもりか?」

 

「でも、ペイル社が後ろ盾になれば確かにチームとしては強力になるかも…」

 

周りの人物が口々に呟く中、ミオリネはため息を吐く。

 

「いつの間にそんな事してたのかは知らないけど、停学中も色々やってるみたいね」

 

「あ、そういえば一つ気になる事があるんですけど…」

 

スレッタが小さく呟く。

 

「ウェイドさん、何のモビルスーツで出るつもりなんでしょうか?」

 

ミオリネもそれを聞いて顔を顰める。

 

「本人に聞いてみましょう。ちょっと、ウェイド。」

 

「なんだボス!俺から利息を請求するつもりか!?」

 

「本当に請求してもいいのよ?じゃなくて、アンタ次どんな機体で出るつもりなの?前に使ったジャスティスってやつ?」

 

「あぁ、あれなら他のガシャの内容がクソ過ぎてアカウント消したから持ってないよ」

 

「え?持ってないの?じゃあ、何で出るの?」

 

「これから探す」

 

『は???』

 

地球寮前のウェイド以外の全員の声が揃った。

 

『へぇ、面白い人ね。そのウェイドさんって』

 

夜。スレッタの自室に置かれたタブレットに一人の女性が映し出される。

プロスペラ。彼女はヘッドギアを外し、スレッタの日常を聞きながら笑っていた。

 

「うん、本当にびっくりだよ。しかも今度の決闘では宇宙空間の戦闘も行うみたいなのに、ウェイドさん、本当に何も準備してないの」

 

『あなたの学園生活が楽しそうでよかった』

 

プロスペラの優しい声に、スレッタも笑顔になりながらタブレットを見つめる。

すると、プロスペラが何かを思いついたように手を叩く。

 

『ところで、スレッタ。お母さんから提案があるのだけど』

 

「どうしたの?」

 

『そのウェイドさんにエアリアルを貸し出してみない?』

 

「………え?」

 

『あとよかったら操縦も教えてあげてくれない?エアリアルが負けたらスレッタも困るでしょ?』

 

「え??」

 

「……え??????」

 

スレッタの困惑する声がしばらく自室に響いた。

──物語、続く(かもしれない)




GW終わりましたね。
次回からは少し不定期な更新になると思います。
完結できるように頑張りたいです。
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