DEADPOOL × 水星の魔女   作:田村任三郎

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第8話

「で、その母親の思いつきってのが、エアリアルに乗せてくれって奴か」

 

「はい…」

 

「断んねえの?」

 

「お母さんの頼みですから…」

 

地球寮の女子の居住スペースで、チュチュはスレッタと話していた。

 

「あーしは、あの赤タイツのオッサンの事、よく知らねーんだけど、アイツ操縦できんの?」

 

「その、編入当日に私のエアリアルに乗った事があります。私を縛って…」

 

「あー、そうだった。なんか変な動きさせてたんだったな。あの赤タイツのオッサン」

 

チュチュは前にグエルと決闘した際にピョンピョン跳ね回って倒れたエアリアルの姿を思い出す。

 

「それで、お前んとこの母親があのオッサンに操縦を教えろ、と」

 

「はい…それも決闘に勝てるように…」

 

「あのエラン・ケレスに」

 

「あのエランさんにです…」

 

「無理じゃね?」

 

「無理です…!」

 

チュチュとスレッタは同時にため息を吐いた。

一方、ウェイドは興奮した様子で格納庫にいた。

 

「よっしゃあ!ガシャ回さないでUR機体手に入れた気分!」

 

「アンタね…スレッタ、かなり嫌な顔してたわよ」

 

ミオリネが呆れた顔で話しかけてくる。

 

「心配すんなって、ミオリネちゃん。俺ちゃん、モビルスーツ自体はそんなに慣れてないけど、兵器は使い慣れてるんだよね」

 

「そうなの?」

 

「おまけに男だから股間にもでっかい兵器が備わってる」

 

「その兵器、今すぐ潰していいかしら?」

 

ミオリネがジト目でウェイドを見ていると、スレッタとチュチュがやってくる。

スレッタのパイロットスーツ姿を見てミオリネが語りかける。

 

「スレッタ、始める?」

 

「はい。ウェイドさん、これから決闘までの7日間、私がエアリアルの操縦を指導します!」

 

「私もサポートするからカリキュラム、全速で詰めるわよ」

 

スレッタとミオリネが互いに顔を見て頷く。

 

「よーっし!俺ちゃんガンダムいきまーす!」

 

「大丈夫かな…」

 

「宇宙空間用のブースターも付けないといけないから、そっち用の操縦も指導するわよ」

 

こうしてウェイドのモビルスーツの操縦訓練が行われた。

しかし、初日にして思わぬ事態が起こる。

 

「あの…ウェイドさん、軽く基本操作教えたら殆ど動かせるみたいです…」

 

「今の俺ちゃんならエアリアルで逆立ちもできる!」

 

「壊れるのでやめてください…」

 

基本的な操縦方法を教えたら、ウェイドはその操縦の殆どができていた。

流石にGUNDビットの操作は不馴れなものの、ビームライフルの射撃やビームサーベルの斬撃は難なく扱えている。

ただ癖なのか妙に体を回す動作が多い。

 

「特殊部隊で色んな兵器動かした経験がここで活きちゃうとはね」

 

格納庫でウェイドの得意気に放つ呟きを聞きながら、ミオリネはタブレットでカリキュラムを調整する。

 

「考えたらアンタ、ジャスティスはちゃんと動かしてたわね」

 

「持ってたアカウントは消したし、もうすぐPU終わるけどね。ストフリ欲しかったぜえええ!」

 

「でも、おかげで大幅に時間短縮できるわ。フライトユニットの調整もできる」

 

「よっしゃあ!これでエランくん倒したらトマトの賠償は無しだ!」

 

「そこは素直に払ってほしいんだけど…」

 

その時、地球寮に1人の人物が訪れる。

 

「こんにちは。前にお会いしましたわね。ミオリネ・レンブランさん」

 

ミオリネもその人物には覚えがあった。

エアリアルの処遇を巡った審問会で自分の父である対峙した女性。

ヘッドギアを被り、柔らかな口調で話しかけるその女性はプロスペラ。

スレッタの母であり、エアリアルを作ったシン・セー開発公社のCEOだ。

 

「貴女が…なぜここに?」

 

「エアリアルを他人に貸し出すんですもの。開発責任者の私が出向くのは当然ですわ」

 

プロスペラがウェイドに顔を向ける。

 

「初めまして。貴方がウェイド・ウィルソンさんですね」

 

「あー、うん。そうなんだけどさ、俺ちゃんが初対面なのに相手が名前覚えてるパターン多くない?エランくんだって、俺ちゃん初対面なのに名前言われたんだけど」

 

「アンタ問題行動起こしすぎなのよ」

 

ウェイドのボヤきにミオリネが突っ込むとプロスペラが軽く笑う。

 

「ごめんなさい。スレッタが貴方の話ばかりするものですから。赤いコスチュームが派手な人で驚いたって」

 

「これはオフレコにして欲しいんだけど血が出てもバレないようにするためだ。でも、この世界じゃ赤は特別な意味を持つからな。モビルスーツしかりパイロットしかり」

 

すると、ウェイドの後ろからスレッタの驚いた声が聞こえる。

 

「お母さん!?」

 

「スレッタ。頑張ってるみたいね」

 

プロスペラがスレッタの方に歩み寄りながら、ウェイドのすれ違いざまに小声で呟く。

 

「貴方は神になれる存在です。期待してますわ」

 

プロスペラがスレッタと共にエアリアルの方に向かう。

その時、ウェイドの身体は震えていた。

ミオリネが不思議そうに尋ねる。

 

「どうしたの?」

 

「来た…俺ちゃんの時代が…」

 

「は?」

 

「俺ちゃんの時代がきた!?マーベル・ユニバースの神ポジ!?トール越えちゃうの俺!?アベンジャーズのお偉いさん!?いや、MCUの社長!?」

 

「な、なに?急にどうしたの?」

 

プロスペラの呟きが聞こえなかったミオリネはウェイドにドン引きする他なかった。

だが、多分聞こえててもドン引きしていた。

 

一方、プロスペラはエアリアルの調整という名目で一人でコックピットに入っていた。

エアリアルのログを見ながらウェイドの記録を読み取る。

 

「あら、並のパイロットほどの素養はあるみたいね。でも、このままじゃ強化人士には勝てない…」

 

プロスペラの周りの計器が光る。

 

「そうね、エリクト。貴女に手を貸してほしいわ。でも、その時にやって欲しい事があるの」

 

再び光る計器の数々。

プロスペラはプログラムコードを入力した。

 

「頑張ってほしいわね。ウェイドさんには」

──物語、続く(かもしれない)




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