CODE ~コードが交わるこの世界で~   作:熊手 久万

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衝撃

嫌な予感はいい予感よりも当たりやすい。

そんなジンクスなんて普段の私は信じません。

けれど、信じてしまうような内容が現実に起きてしまっているのでした。

目の前のメール画面にはたった一文。

 

『異動先  ロスト・ユニオン』

 

私が訓練から帰ってくるとローズさんからメールで移動先について届いていおり、このメールを見た瞬間私は、膝から崩れ落ちてしまいました。

メールには、追伸があり、

 

「ごめん~、くじで引いちゃった!がんばってね!」

 

と書かれていました。

尊敬している人とは言え、さすがにイラっとしましたね。

 

 

 

軍の中でも最もクセが強く、多くの問題があるアラン・ロスト率いるロスト・ユニオン。

通称ヴァイオレンス・ユニオン。

ここは、悪い意味でとても有名です。

上層部からの指令はよく無視をするうえに、任務の二次被害がひどかったり、護衛対象とのいざこざであったり、良いうわさを聞いたことがないくらいには問題があると、話題になっています。。

隊長であるアラン・ロストは戦闘車両のスペシャリストであり、国内でもその技術だけは、認められていますが、その粗暴の悪さやヤンキーたちと交流、迷惑行為を繰り返しているとの噂もあり、それによって新人からのユニオン志望度が毎年ワースト一位となっているのでした。

 そんなところに異動になった事実に私は、頭が痛くなりました。

 

 

翌日、私はアラン・ロストが隊長を務めるユニオンの隊舎の前にきていました。

ここに来るまでに、ふと思ったことがあり、

 

「なぜかほかの部屋から凄い遠かったですね・・・・。ここ。」

 

そう、基地の一番端に位置し、他の隊舎から大きく離れ、ぽつんと置かれていたのでした。

こんなところでも、その不人気さが表れているのを目の当たりにして、私は、最初の一歩を踏み出す勇気が出ませんでした。

しかし―—――、どんな人がいて、どんな目に合うのか今考えても仕方がない。

いくら噂がひどくても所詮うわさはうわさでしかない。

私はこれでも、二つ名持ち。こんなとこでビビッていられません!

そう考え、腹をくくった私は、その扉に手をかけると―—――

 

 

ドガガガアアアァァァァン!!!!!

 

 

気が付くと私は、扉と一緒に私は吹っ飛ばされました。

あまりのことで受け身をとるのが困難だった私は、壁に激突しました。くらくらと頭を回しながら、入り口に目を向けると、砂埃の中から二つの人影が見え、

 

「ゴホゴホ、だから、いつもいつもいうとるやないか!、室内でぶっぱなすのはやめろて!」

「ひゃはははは、そんなこと言ってたら気持ちよくなれねえじゃねえか、この快音はいつでも聞きたくなるんだよぉ!」

「とほほ、また予算をじじいからぶんどってこんといけんのかぁ、あぁ?」

 

そんな声を聞きながら、私の意識は薄れていくのでした。薄れゆく意識の中で、一つの疑問が解消されていたのですが

 

―—――ああ、確かにこれが頻発するなら他の人たちは近くにおけないなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと、そこには、不安そうな顔をしている茶髪の女性の顔が正面にあり、その人は小さい声で「大丈夫かなぁ」とつぶやいているのです。

「あの・・・・」と私が声をかけようとすると、それに気づいた彼女はほっと息をなでおろし、ふりかえりながら、

 

「お嬢さんが目を覚ましたぞぉぉ!」

 

と今までの様子からは考えられないような声で叫んでいた。

その変貌ぶりに呆気に取られていると、奥からダークブロンドの髪色をした男の人が耳を抑えながら顔を出してながら、

「そんな叫ばんでも聞こえとるわ!けが人の前で大きな声を出すな、ボケェ!」

と、怒鳴り返す声が聞こえてくる。

その人は彼女をシッシッと、遠ざけ、その入れ替わりで、私の前に来ると椅子に座りました。

 

「すまんなぁ、騒がしくしてもうて。もう意識ははっきりしとるか?」

 

と陽気に声をかけてきてくれました。

男性からは明るい雰囲気の中にもどこか野性味を感じる。男性の胸の階級章を確認すると、三本線の上に月桂樹の紋章。これは隊長に与えられるもの。

ということはつまり、この人が、

 

「先に自己紹介しておくわ、俺がこの隊の隊長をしとるアラン・ロストや。よろしゅうな。

・・・やっぱり。

目の前にいる彼があの問題ばかり起こすこのユニットの隊長アラン・ロストなのだ。

私は慌てて、立ち上がり、敬礼をしながら自己紹介を始めた。

 

「本日より、お世話になります。ローズユニットより参りました。パトラ・フランメージュ大尉です。よろしくお願いいたします。」

「ああ、ええてええて。そんな堅苦しくせんでも話は聞いとるから。ローズんとこの秘蔵っ子やろ?

真面目で、優秀だけど、ちょっと固くなりやすいから~っていっとたわ。」

 

そんな話を聞かされると少し恥ずかしくなってしまう。頬を赤くしている私を見ると笑いながらアラン隊長はからかうような口調で話しかけてきた。

「そんなに固くならんでもええのに。見ての通り、ここには規律や規則なんてものがないんやから。」

「えっ?」

「さっきの爆発が日常茶飯事なんよ。ここでは、常にトラブルが起きるんや。個性が強すぎるメンバーのせいでな。ここには周りとあわない、あわせるのが苦手な尖ったメンバーしかおらん。」

「そ、そうなんですか。」

「ああ、さっきの奴はナル・クライス、爆発を至高として、最高火力を求めるボンバーウーマンや。戦場ではその広範囲の火力が頼もしいが、日常生活でも発揮してくるからな。」

 

なんだそのトラブルメイカーは。

内心で思わずツッコんでしまうぐらいにはインパクトが強かった。

もしかすると、他のメンバーもこれほどまでにインパクトがあるのだろうか。

他のメンバーとの邂逅に戦々恐々としていると、それに気づいたアラン隊長が苦笑しながら、

 

「あんしんせえ。いまメンバーの大半は遠征のサポートに出ているから、会うのはもうちょい先やな。今いるのはナルともう一人のアタッカー、サポーターとオペレーターが一人ずつ残っているかんじや。」

 

ホッと私は息をついた。ここにきてから何度息をついているのだろうか。

確かにあのレベルの人たちと一斉に交流を図ったらすごい胃もたれをしそうだ。

 

 

 

アラン隊長とこれからのことについて話をしていると、焦げ跡のついた隊舎の扉が開き、そこから一人の人が入ってきた。その姿を見たアラン隊長は私に声をかけてきた。

 

「やっと帰ってきよったな、お疲れさん。パトラ嬢、紹介するわ。こいつはうちの中では結構新入りなんやけどなーーーーー。」

 

途中から話は聞こえていなかった。

だってそこにいたのは、あの日私を救ってくれた恩人の姿だったから。

 

「名前はルイス・ヴァ―チルっていうてな、こんな見た目やけど、二つ名持ちなんやで。

その名も―――」

 

私も知っている。いつかお礼を言いたくて調べた特徴的な黒と白のツートンカラーの髪色。その冷徹な目。

そして戦場では、その速すぎる弾速と正確な狙撃の腕からつけられたこの人の二つ名は

 

 

 

 

 

       「「風鳴《かざなり》」」

 

 

 

 

 

 

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