ワールドエネミーのユグドラシル暴食日記   作:リィン教官VSゴミカス蛆虫宮沢鬼龍

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いただきます

「そうだ、楽しかったんだ」

 

 ユグドラシルサービス最終日、鈴木悟はそうつぶやいた。

 

 後に世界を蹂躙する魔王となって、別に好きでもない虐殺と支配に手を染める魔導王アインズ・ウール・ゴウン

 

 その前身たる鈴木悟

 

  

 彼は無敵の軍団を率いた魔王になるより、死と暴虐を振りまくよりも、圧倒的な暴力で世界を蹂躙する事よりも、ずっとずっとずっとずっと、未知の世界を“友達”と探索するのが好きだった。

 

それが今失われる事に、絶望しながらも、ある種の諦観を持って鈴木悟はその時、ユグドラシルサービスの瞬間を待った。

 

「楽しかったなあ……」

 もう二度と戻らない黄金の日々を喉の奥から何かがこみ上げてくるのを感じながら、泣きながらそう、鈴木悟は呟いた。

 

 サービス終了までの3分まるで走馬灯のように、ユグドラシルの思い出が駆け回った。

 

 と言っても、ギルド【アインズウールゴウン】に加入するまでの記憶は鈴木悟の中には驚くほど少ない。

 

 異業種狩りに追われる中、【たっち・みー】に助けられるまでの記憶。そこから自分の人生が始まったのだと鈴木悟は感じている。

 

 彼はギルド、アインズウールゴウンの自身以外のプレイヤー、全40人のメンバーを愛していた。彼らのためなら自身の命など容易く捨てられるほどに。

 

  そうしてまた鈴木悟は思い返す。黄金時代を。

 

 どれ程の時が経っただろうか。

 

 鈴木悟の回想はごく最近まで進んでいた。

 

アインズ・ウールゴウンはPVPメインのギルドだが後半の主な活動は世界級(ワールト)アイテムを求めての世界級(ワールド)エネミー狩りだった。

 

 《ユグドラシル》内にて、公式から数多くのネームドモンスターや強敵などが比較にならないラスボスとして設定された強敵。

 

ワールドアイテム同様、《ユグドラシル》の世界観の根幹に関わってくる重要なボスであり

 

総数は32体(うち《ユグドラシル》の大幅アップデート『ヴァルキュリアの失墜』以降の追加が6体)

 

 公式がラスボスとして設定する超級の敵であるだけあって、その破格の強さはバランスブレイカーと評される程。

 

6人からなるチーム6つから成る軍団(レギオン)で挑戦したとしても勝利は厳しいとされる。即ち、カンストプレイヤー数十人でも勝算が低いという無慈悲さを持つ。

 

 ユグドラシルはPVPを除けば見た目のと複雑さとイメージに反してそこまで難易度自体は高く無い高難易度風ゲームに位置するゲームだが、ワールドエネミーは違う。人間のありとあらゆる悪意を込めて、クリア自体は可能という条件の中でどれ程不可能に近づけられか挑戦するようなめちゃくちゃな難易度だ。

 

 人修羅やダイヤモンドドレイクを正攻法で倒せる腕前を持った廃課金プレイヤーが適正のあるWIを持って集まって勝率が1%いくかどうかそのレベルの強敵がずらりと並ぶ。

 

 鈴木悟でも書けそうなクオリティのストーリーのラスボスの癖して、異様な戦闘能力と、いわゆる簡悔に寄った性能によって凄まじいインパクトをもたらした、蛾をベースに様々なモンスターの要素を掛け合わせて作り出したかのようなクリーチャー【九曜の世界喰い】

 

 最強種(ドラゴン)の中でも桁違いの実力者《真なる竜王》、そいつらが単なるトカゲに見えてくる程の戦闘能力を持ち、ワールドエネミーの中でも最強と呼ばれるドラゴン達。各自食欲、性欲、睡眠欲、庇護欲、名誉欲、承認欲、怠惰欲、歓楽欲に対応した【八竜】

 

 【八竜】が難しすぎるという意見を受けて作られた、八竜の遺伝子を得て強化された、憤怒、嫉妬、強欲、怠惰、色欲、暴食、傲慢に対応した7人の完全なる人格破綻者たる魔人達【七大罪の魔王】

 

 クソギミックとやりすぎるくらいの簡悔によって会社凸一歩手前までユーザーを苛つかせた上サービス終了の要因の1つとなった蛆虫を超えた蛆虫ゴミクソボス【セフィラーの十天使】

 

 ユグドラシルというゲームに陰りが見える中セフィラーとか言うクソゴミ共の反省を活かして作られた、BGMと演出に凝りまくった事で大人気ボスの一角となった【第六天天主】

 

 八竜に迫る戦闘能力ながら戦っていて楽しいと絶賛を受けた大日如来、阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来、不空成就如来からなる【五色如来】

 

 この中でもアインズ・ウール・ゴウンの戦ったボスは14体。討伐できたのは三体だ。

 

 

 

クソボスでありながら演出とデザインがバチバチに決まっていてワールドエネミーの中で唯一やられても一定時間で復活する《九耀の世界喰い》

 

 最上位の真なる龍王のドロップアイテムが旨く、かつ能力が初見殺しよりの為、軍団によって乱獲されていたため最強種(笑)と言われていたドラゴンの立場。それを当時最強のギルド含めた軍団をブレスの一発で消し飛ばした事で再び頂点まで上げた《怠惰欲の翡翠龍》

 

“優しく”“真面目で”“共感性が高く”“頭がキレる”“現実主義者”故に世界を滅ぼそうとした元医者の青年《ラスト》

 

世界級(ワールド)エネミー中最弱だが《消化吸収》によって食らった対象の力を我が物としユグトラシル内での天井無く成長する黒髪の少女《グラトニー》 

 

《グラトニー》の細胞の元の持ち主である、素で最強格の上に戦闘中食事によって食らった対象の戦闘能力、《特殊技術(スキル)》をそっくりそのまま永続で自身に上乗せしていく特性を持った黒龍 《食欲の黒曜龍》

 

 異常なまでの攻撃頻度、攻撃範囲、攻撃速度を持つがだいたいの攻撃でパリィが可能、覚えれば割と躱しやすい攻撃だらけ、体力を一定まで削れば《神器級アイテム》をドロップし、やられてもデスペナが発生しない良ボス《大日如来》

 

こちらの魔法と強スキルを縛る結界を張りながら行動阻害系のデバフをばら撒く上、煽りの様な大振りを伴う行動阻害特攻付きの文字通りの必殺技を持った、《ケセド》

 

 ここまで考えた時、針が00:00を刺す

 

そして鈴木悟は転移した。とある最悪の怪物と共に。

 ■■■

 ……どこよここ。

 

 私は確か36人の肉共に痛めつけられて死んだはずなのになんで生きてるのかしら……

 

 ぐうううううううううぅぅ

 

今はそんな事どうでも良いわね。早く何か食べないと……はぁ……お腹が空いて仕方ないったらありゃしない。

 

 さてさて……まずは《飛行(フライ)》かなんかで飛んでご飯を……あら?《飛行(フライ)》が発動しない

 

 いや、それだけじゃない。今まで得た《特殊技術(スキル)》も超位まで使えた魔法も無くなっている。

 

しかもレベルは1にまで!生前は150まであったのに!

 

 嘘でしょ、今まで食べ物様によって得た能力が……これじゃご飯もまともにとれないじゃない。

 

 最悪だわ。最悪の気分だわ。それ以上にお腹が空いたわ

 

その時私の元に迫る魔物(食べ物)が見えた。

 

 

 60センチ程のオオムカデ。やれやれ、ここきて最初の食事はあんまり旨そうじゃ無いわね。まあどっちにしろ全部食べるけど。

 

 ムカデが飛びかかってくるがこの程度なら素の力でもどうとでもなる。

 

 飛びかかって来たムカデをタイミングよく片手でキャッチする。

「ウフフ、まあまあ旨そうで嬉しいわ」

そう言って口に運ぶ。

 

 毒のありそうな牙を動かして牽制してくるがそんなの私には関係ない。

 

 「いっただっきまああす!」

 

 私はムカデの頭にかぶりついた。

 

 その一撃でムカデが絶命したのを良いことにバリバリと頭から食らっていく。ムカデの節がみるみるうちに減っていくが私のお腹は全く満たされない。

バリバリむしゃむしゃとかじるたびにパキパキと旨味を伴った甲殻が砕け鶏肉のような味の中身が私の口を満たす。

ひたすら咀嚼し嚥下してお腹に納めていく

 

 《ジャイアントセンチピート完食! exp53獲得!          【毒牙】習熟!》

 

「ご馳走様、全然足りなかったわ」

 

 食べたものの力を自らのものにする【消化吸収】によって際限無く成長してご飯を得やすくなるとは言え、お腹が酷く空くようになるのはこまりものだ。

 

 自身の三分の一程の体積を胃に収めても鳴りやまないお腹を擦っていると木陰から私を窺うコボルトが見えた 

うふふ、バレバレだわ

 

「いっただっきまあす!」 

 

 [コボルトLV1完食!exp27獲得]

 

「まあまあ美味しかったわよ。全然足りなかったけど」

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