機動戦士ガンダム 水星の魔女ダークネス   作:零月隼人

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第12章 永遠の別れ

あとを任されたケナンジが、陣頭指揮を取る。

「これより、ジャッジメント一隻で、アサルト旗艦・アルデウスを討ち取る!その他の艦隻は、全て敵母艦へ‼」

クラフもそれに続く。

「本艦、右60度回頭、主砲及びミサイル、照準・正面敵艦右翼。

━━撃てェ‼」

ジャッジメントのミサイルが、アルデウスや、その周辺のモビルスーツに着弾する。

「回避、取り舵20!」

アルデウスのザット艦長も負けてはいない。懸命に応戦する。

そこへ、スレッタのエアリアルが迫る。

「一番隊、三番隊、敵モビルスーツに対処。私に続け!」

エアリアルの後ろについたジンクオ・シグマや、ブリオン社のデミ・ガンドゥが、数機のカラゴール、及びガーゴイルを破壊する。

しかし、ガーゴイルのクローで、ジンクオ・シグマが一機撃墜する。

するとスレッタはガンビットで味方機体を守りつつ、ビームライフルでガーゴイルを撃ち落とした。

「左から周りこむ!」

スレッタが意気込むが、しかし。

「ここは通さないぜ‼」

ウノのルブリス・アダムがエアリアルに迫る。

「邪魔だ‼」

エアリアルはビームサーベルを抜く。

そして、直ちにアダムの四肢を切断した。

「な!?」

さすがに格が違う。ウノでは相手にならなかった。

ルブリス・アダム、戦闘不能。

そのままエアリアルは、アルデウスの方へ向って行った。

 

メメのルブリス・イブを撃墜した後、アイリスは、敵母艦へ駆け出していた。

・・・・・・初めて人を殺した・・・・・・かもしれない。

今更ながら、罪悪感に苛まれる。

それでも、立ち止まるわけにはいかない。

議会連合の宇宙空母・デスペラードは、なおも前進してきているのだ。

あれだ!あれを墜とせば、全て終わる‼

改めて、ママの言葉を思い出す。

逃げたら一つ、進めば二つ━━

私は、迷わず、敵艦に突進した。

「⁉待て、ミランダお嬢‼」

通信で、ケナンジさんが何か言っていた気がする。だが、聞こえない。

こうして私は、デスペラードの右に展開していた、護衛艦の一隻を、バルムンクで斬りつけた。

 

『総裁、ご息女が‼』

ミランダの動向について、すぐにケナンジから報告が入る。

「何だと⁉」

スレッタは、苦々しい顔をした。

ミランダがこれ以上手を汚さないためには、自身が代わりに手を汚し、戦闘を早期決着させるしかない。そのためには、まず目の前の戦艦を墜とすしかない。

スレッタは、改めて敵艦アルデウスへ向き直る。

覚悟を決め、ビームライフルにガンビットを連結させようとする。

━━その時!

「やっときたか、スレッタ・マーキュリー‼」

「⁉」

エアリアルの元に、ビームがかすめる。

スレッタが顔を向けた先には、ディス・マジェスティック大佐のエアル、その左右には通常の量産型エアルがついていた。

「くそッ、こんな時に!」

スレッタが歯軋りする。

ディス大佐は、最初から全力だ。

「パーメットスコア、6!」

周囲にデータストーム空間を出現させる。

そして、自軍のMS以外を全て、オーバーライドさせた。

二機のエアルがエアリアルに迫る。

『同じ手を二度も‼』

エリクトが、すぐさまパーメットスコア8を機動。自由に動けるようになったエアリアルが、すぐさま二機のエアルを切り刻む。

こうして、早くもエアリアルと黒エアルの一騎打ちとなった。しかし今回のディスは、一歩も引く様子はない。

ガンビットのオールレンジ攻撃が、黒エアルに迫る。

「この程度!」

ディスは全て避ける。

しかし、ビームライフルのビームが、黒エアルの頭部を掠める。

頭部表膜が剥がれ落ち、中身が露わになった。

それを見たスレッタは、驚愕する。

「・・・・・・ザウォート、だと⁉」

そう、ディスの機体は、エアルではなく、ザウォートであったのだ。

ザウォートに、ガンドアームを強引に接続、その外側に、エアルのアウターフレイムをして、敵味方全ての目を欺いていたのだ。

スレッタは呆気に取られる。

その瞬間が油断となった。

『スレッタ‼』

ザウォートがエアリアルに向い、急速特攻した。

スレッタは反射的にビームサーベルで、ザウォートの腰部を切断する。

しかし、ザイリはそれでも加速を止めない。

エアリアルに組みついたのだ。

「英雄の命、このディス・マジェスティックがもらい受ける!

これは、死ではない、ザウォートが再び栄光を取り戻すための‼」

こう言い、ディスはザウォートを自爆させた。

「うわぁ~━━‼」

スレッタは思わず、悲鳴を上げる。

戦場に、大きな花火が打ち上がった。

 

『スレッタ、大丈夫?』

「・・・・・・はあ。」

スレッタはため息をついた。

エアリアルは、なんとか生き延びた。

しかし、損傷は甚大、もはや戦線に復帰できる状態ではなかった。

『ごめんね、ボクがもっと防御できていれば・・・・・・』

エリクトの言葉をスレッタは否定する。

「ううん。私が不覚を取った。

ジャッジメントに一度帰投する・・・・・・デスペラードは、もはやミランダに任せるしかないか。」

スレッタが、苦痛で顔を歪ませる。

 

「大佐のエアル、信号消失‼」

アルデウス内では、ディスの戦死が報告されていた。

ザットはすぐさま決断する。

「戦線を離脱する!残存部隊へ帰艦信号‼」

こうしてアサルトは、全艦撤退した。

そして残るは、議会連合本隊のみとなった。

 

私は、片っ端から議会連合の戦艦をたたき斬っていた。

・・・・・・私の手が、血に染まっていくのを感じる。

それでも、やらなきゃ!私がやらなきゃ、戦争が長引き、より犠牲者が増える。

何よりも、味方にも犠牲が出る!

それだけは、何としても避けなくちゃならないんだ‼

デスペラードのブリッジでも、動揺が走っているのだろう、議会連合の搭乗員が慌ただしく動き回っているのが見えた。

「議長、あなた様はすみやかに脱出艇へ。チヤミ、議長閣下をご案内しろ。

本艦はこれより、敵主力艦・ジャッジメントに向けて、特攻作戦を敢行する。敵艦にぶつけたのち、自爆する。

基幹全速、衝突準備‼」

「し、しかし!」

「議長、これがあなたの導いた結末です。ベネリットへの憎しみはますます募り、いずれどちらかが滅ぶまで、大戦が激化することになりましょう。」

「・・・・・・私、は・・・・・・」

「議長、お早く。」

指揮系統に何かあったのだろうか。

一時戦場が乱れたように感じる。

そして、突然、母艦が進行スピードを加速させた。

・・・・・・まずい!

前方には、ジャッジメント、つまりこれは、特攻か!

させるか‼

アイリスは、デスペラードのブリッジの前に降り立つ。

━━これで、全てが終わる‼

私は迷いなく、バルムンクでブリッジを叩き斬った。

・・・・・・指揮官の、敬礼した姿が、そこには見えた・・・・・・

 

 

戦闘が終結し、議会連合側の残存艦隊は撤退していく。

ベネリット側は、それを追撃しない。

私はそれを見て、小さく息を吐く。

全て、終わったのだ。

さあ、私達も学園に帰ろう。

そう思い、エリのジンクオ・シグマの方を向いた。

━━エリからの通信で、呟くような声が聞こえた。

「・・・・・・ごめんね。」

突如として、アイリスのように、網状の物が現れる。

え⁉何これ!!?

アイリスは捕獲されていた。

周囲に、黒色のモビルスーツが現れ、アイリスの両脇を抱えた。

私は抵抗しようと藻掻く。

通信が入る。

「動かないで。貴女とアイリスは、ここで連れて行く。」

見ると、エリのジンクオが、アイリスに向けてビームライフルを構えていた。

そんな、どうして⁉

私の抵抗むなしく、アイリスはそのまま、光学迷彩を張った謎の戦艦まで連れ去られた。

 

「⁉」

真っ先に異変に気がついたのは、スレッタである。

『スレッタ、ミランダちゃんが‼』

続いて、エリクトも状況を把握する。

「ミランダ‼」

しかし、アイリスは、所属不明の戦艦・メドゥークに収容された後だった。

スレッタは、エアリアルを最大加速させ、同時にビームライフルを構える。

エアリアルは満身創痍状態で、全身に電撃・損壊が走るが、構いやしない。

メドゥークのエンジンを撃ち抜き、強引にでも艦を停止させる気だ。

ビームライフルに、全ガンビットを連結させ、最大火力を放つ。

 

「遅くなったわね。」

メドゥークのブリッジに、エリが入る。

「お待ちしておりました、姫様。」

艦長席に座る、リクローが応対する。

しかしそこに、CICから報告が入る。

「後方に巨大な熱源!本艦に接近します‼」

それを聞き、心当たりがあったエリはすぐに指示を出す。

「回避!面舵一杯、右舷スラスター全開‼」

メドゥークが緊急制動をかける。

直後、艦の右方に、エアリアルのビームが過ぎる。

「クソッ!」

スレッタは、ビームを外したことに憤り、そのままビームライフルとガンビットを連射する。

そのうちの一つが、メドゥークに当たる。

しかし、艦の動きを止めるには至らない。

「主砲及びミサイルで牽制しつつ、煙幕弾発射!

煙幕で姿が隠れた後、光学迷彩再展開、最大凄速で戦線を離脱する‼」

その策が填まり、メドゥークは再び姿を隠してしまった。

スレッタは、思わず絶叫する。

「うわああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

戦場に、スレッタの声と、やみくもに撃たれるエアリアルのビームの音だけが、鳴り響いた。

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