機動戦士ガンダム 水星の魔女ダークネス   作:零月隼人

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第4章 対決! ミランダVSエリ

ベネリットグループ役員会。

総会と違い、役員会は参加人数が少なく、場所も小規模の一室で行われる。

参加するのは御三家のみだ。役員会にはスレッタは参加せず、上座にはミオリネ、右座にはラウダとチュチュのジェターク社陣営の二人、左座にはセセリアとロウジのブリオン社陣営の二人が座り、計5名で進められた。

メンバー的に、全員学園時代からの仲であるため、端から見れば同窓会であるが、話されている内容は、グループの重要議題だ。

今回の議題は、先日のテロリストによるラウダ襲撃についてであった。

まずラウダが、事件のあらましを説明する。

「捜査の結果、ストライキを起こした労働者と、そのテログループは繋がっていたことが判明した。テログループの名前は、シャドーアイ。所属ならびに指揮官の名前は不明だそうだ。より正確に言うと、先述の労働者達は、シャドーアイの指揮官に唆されて、今回の計画を立てたと供述している。」

セセリアが茶々を入れる。

「ラウダ・ニールCEO~?ストライキで自社のMSが盗まれるとは、危機管理が足りないんじゃないですかぁ~?」

ラウダはセセリアを一睨みし、あしらう。

「セセリア、今はテログループの件が先決だ。」

セセリアは、面白くなさそうに舌打ちする。

ミオリネが渋い顔をしながら発言する。

「労働者を煽り、クーデターを起こさせてラウダを誘い込む、そして鎮圧させた所でガンダムを持ち出し、ラウダを捕獲しようとしたわけね・・・」

チュチュが補足する。

「連中、決して素人じゃなかったぜ。背後に巨大な組織があるのは確実だろ。」

「間違いなく、議会連合よね・・・」

ミオリネがそれに追随した。

決断したようにミオリネが立つ。

「議会連合に探りを入れるわ。私が本部まで赴く!」

ラウダとセセリアは驚いたように目を見開く。

チュチュは必死に止めようとする。

「やめとけって‼今行ったら、確実に拘束されるぞ⁉」

「議会連合が表だって動いてはいない、ということは相手も謀略を悟られたくないはずよ。そんなやすやすと、副総裁である私を捕まえようとはしてこないはず・・・ッ!」

「けどよ・・・」

チュチュは、なんとかミオリネに思いとどまらせようと、頭を悩ませる。

 

 

ベネリットの本部フロントに数日泊った後、なんとか学園も生活できる状態へ整備されたということで、私とエリは学園フロントまで戻ってきた。

そしてそのまま、ガンダム寮へ足を運ぶ。

『お帰りなさいませ、ミランダお嬢‼』

・・・はあ、テロがあったというのに、元気だなあこの人達は。

私の後ろにはエリもいるんだけど、そっちは見えてないかのような様子だった。

「ご無事で何よりでした。」

「聞けば、ガンダムで私達を守ってくださったとか・・・・・・!」

「まさしく、英雄様のお跡継ぎですなあ。」

私を散々褒め称えてくれるけど、正直鬱陶しい。

私だって、あの時とっさに、できることをやっただけだよ、何も賞賛されることではない。

世界を救った、ママや、お母さんのようには・・・・・・なれないよ・・・・・・

 

ガンダム寮のみんなといると騒々しいので、私は寮長室に籠もった。

校舎などはかなりの被害があったけど、ガンダム寮の建物には被害が軽微であったみたいなので、幸いだった。

寮長室には、エリだけを中に入れる。

「まったく英雄の娘というのも、大変なのね。」

「ほんとだよ、ママやお母さんが両親というのは、たしかに誇らしいことだけど・・・・・・こういうのは正直勘弁かな。」

私はため息をついた後、小さくエリと笑い合った。

しばらくして、エリが口を開いた。

「一つ、お願いがあるのだけど。」

?突然改まって、どうしたんだろう。

「何かな?」

「私と・・・・・・決闘してほしい。」

・・・・・・え?

 

いわく、ザイリとの決闘やテロリスト達との戦闘を見ていて、ガンダムについて非常に興味を持ったとのこと。

「ガンダムだけじゃない、あなたにもよ、ミランダ。」

///

コホン。

とまあそんな感じで、実際に戦ってみたら、もっと深く知れるんじゃないか、とのことだった。

また、医療機関であるヴァナディース社として、同分野のガンダム社から技術提供を受けたいとして、エリはそれを決闘の条件に掲げた。

一方の私は、エリの出身企業であるヴァナディースについてより深く知りたかったため、その情報を、決闘条件とした。

お互い利害が一致したため、決闘は成立だ。まあ、私に関しては、そもそもホルダーの決闘義務ってのがあるんだけどね。

で、決闘を行うためには宣誓を行う必要がある。そのため私達は、決闘委員会のラウンジまで足を運んでいた。

ラウンジには、ジェターク寮寮長のザイリ、ブリオン寮寮長のコルネリウス、その他の寮代表者が集結していた。ちなみに委員長は私だ。

とはいえ、今回も私は決闘当事者なので、立会人はザイリがしてくれる。

「・・・・・・」

ザイリが、私のことをジト目で睨んでくる。

まあ、この前私に負けたので、思うところがあるのだろう。

ともかく、決闘の宣誓だ。

ラウンジの大きな窓にスモークがかかり、大型スクリーンになった。画面には、学園の紋章と共に「Asticassia School of Technology」の文字がうかびあがる。

スクリーンの前で、私とエリがむかいあって立つ。双方のあいだにザイリが立ち、宣誓の進行をつとめる。

「双方、魂の代償を天秤(リーブラ)に。決闘者はエリ・ナボとミランダ・マーキュリー。場所は戦術試験区域7番。一対一の個人戦を採用。異論はないか。」

「ええ。」エリが短く答える。

「異論はないわ。」私もそれに同調する。

「ミランダ・マーキュリー。君はこの決闘に何を懸ける?」

「エリの出身母体、ヴァナディース機関についての情報を。」

「・・・・・・エリ・ナボ。君はこの決闘に何を懸ける?」

「株式会社ガンダムのGUND医療技術を。」

「・・・・・・ッ!」

どちらの条件も企業情勢を揺るがすような重大情報であったため、ザイリは思わず目を見開く。とはいえ、双方が合意している以上、立会人は決闘を承認しなくてはならない。

ザイリは両手のてのひらを天に向け、ぱんと胸の前で組んだ。

「アーレヤ・ヤクタ・エスト(賽は投げられた)。決闘を承認する」

これで儀礼は完了、ふたたび展望窓の表示が切り替わって遮光が解除されると、学園を一望できるようになった。

って、ザイリがすぐさま、私に歩み寄ってきた。

「おい、同じ寮同士での決闘とは、どういう了見だ?」

私は思わず後退る。

「それは・・・・・・エリが・・・・・・」

するとエリが、口を挟んできた。

「ザイリ・ニール、文句があるなら、あなたとも決闘しましょうか?」

ザイリはエリを睨み、しばらくして舌打ちする。

ザイリだって分かっているのだ。こないだの戦闘を見て、エリが自分よりも実力があるということが。

エリは、そのまま何ごともなかったかのように、私に背を向け、手をひらひらと振って立ち去ろうとした。

その直前、私にポツリと呟く。

「それじゃあ決闘、よろしくね。」

 

ミランダと分かれたエリ・ナボは、通信端末で誰かと連絡を取る。

「ええ、私よ。計画通り、彼女との決闘は取り付けたわ。モビルスーツの整備、予定通り頼むわね。」

それだけ言うと、エリは端末を切った。

 

 

「パーメットリンク、よし。各兵装、よし。」

学園フロントの宇宙港ハンガーでは決闘の準備が着々と進んでいた。アイリスが射出レーンに運ばれ、気密エリアへの扉が開く。そのコックピットの中で、私はアイリスの最終調整を行っていた。いつも通り、パイロットスーツをすでに着ている。

「お嬢、機体の準備バッチリです!」

「ご健闘をお祈りしています‼」

やれやれ、いつも通りガンダム寮は騒がしい。だいたい決闘相手のエリも、ガンダム寮だっての。

私は適当に、手を振っておく。

 

決闘委員会ラウンジにはメンバーがそろっていた。その中央にいるザイリが口をひらく。

「これより、双方の合意のもと、決闘をとりおこなう。勝敗は通常どおり、相手モビルスーツのブレードアンテナを折った者の勝利とする。立会人はジェターク寮寮長、ザイリ・ニールがつとめる」

決闘場ではコンテナがひらき、私のアイリスが姿を現わす。

ガンダム寮のチーフメカニックから通信が入る。

「お嬢、MSをコンテナから出します。」

「了解、GP001、ミランダ・マーキュリー。━━アイリス、出ます。」

アイリスが発進する。

 

対面には、エリのモビルスーツも発進した。機種は前回と同じ、グレー色のジンクオ・シグマ。とはいえ、装備はちゃんと、決闘用に直されていた。

「GP087、エリ・ナボ。━━ジンクオ、発進する。」

そしていよいよ、決闘の口上が始まる。

――両者、向顔。

アイリスのコックピットの画面に、エリの顔が映し出される。

まずは私からだ。

「勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず。」

エリがその言葉を引き継ぐ。

「操縦者の技量のみで決まらず。」

そして両者声をそろえて、

「ただ結果のみが真実!」

「決心(フィックス)、解放(リリース)!」

ザイリの宣言と共に、決闘が開始した。

 

まずはお互い距離を詰めつつ、ビームライフルの撃ち合いから始まった。

エリのジンクオのビームライフルもちゃんと、コックピッドを狙えない設定になっていた。

先に仕掛けてきたのはエリの方だった。

背面のミサイルポッドからミサイルを全弾発射、もちろんそれも決闘用のものだが、それをアイリスの周囲に着弾させようとする。

私は即座に察知して、ガンビットでミサイルを迎撃する。

ミサイルは全弾破壊に成功したが、そのミサイルの中には煙幕が入っていた。

しまった!

私はエリのジンクオの姿を見失う。

しかし、一方のエリは、アイリスの姿を見逃していなかったようで、煙の中でアイリスへ急速接近し、サーベルを抜いて切りつけた!私は何とかビームサーベルでそれをガードするも、防戦に切り替わる。

このままではまずい、私はジンクオの背後にガンビットを回す。

「チッ」

エリはそのまま攻め続けるとガンビットのビームで蜂の巣になるため、一旦下がる。もちろんガンビットからビームが発射されるが、エリは全てかわした。

さすが。今の攻防を見るだけでも、エリの実力はザイリと同じかそれ以上であるように感じられる。

しかしエリは、ここからが本番というように、サーベルを構え直した。

「それじゃあ、そろそろ始めようかしら。」

エリのジンクオの間接部分が、赤く光った‼

「パーメットスコア、3。」

その言葉とともに、エリのジンクオの周囲には、6対のビット兵器が出現し回っている!

って、これってまさか・・・ガンビット⁉

でも、ガンダムでない機体が、なぜ⁉

 

決闘委員会のラウンジでも、これには動揺が隠せない。

特にザイリは、自社製の新型が勝手に使われていた挙げ句、これだから、溜まったものではない。

「おい、どうなっているんだ!」

ブリオン寮寮長のコルネリウスも同様だ。MS産業グループ内No2の企業として、この事態は見逃せない。

他の寮長達も、各々騒ぎ立てる。

決闘委員会は喧噪と化していた。

 

そしてこの決闘は、ベネリットグループ本部フロントにて、スレッタとミオリネも映像を観ていた。

想定外の事に、ミオリネは声を上げる。

「どういうことよ?なぜガンダムでもない機体がビット兵器を⁉」

一方スレッタは、手を組んで冷静に思考する。

(たしかエリ・ナボの出身はヴァナディース機関と言っていた。つまりこれは・・・GUND-技術⁉)

 

コックピッドに映し出されたエリの顔に、赤い紋様が浮かび上がる。

これって・・・・・・ママが前に言ってた、データストームってやつじゃ⁉

私のアイリスも、スコアを上げれば同じことが起こるだろう。しかしそれは、事前設定の段階でロックが掛かっているため、できないようになっている。

でもエリのジンクオには・・・・・・そのストッパーがないのか!

「エリ!今すぐスコアを戻して‼その状態で戦ったら、エリの命が・・・!」

しかしエリは、私の言葉に耳を傾ける様子はない。

「どうして?ガンダムに勝つには、こうするしか。」

「これはただの決闘だよ!?どうしてそこまで・・・・・・」

「言ったでしょ、ガンダムについてよく知りたいって。」

そう言っている間にも、ジンクオのガンビットのビームが、アイリスに向かって降り注ぐ。

私はなんとか避けるも、決して余裕はない。

一方のエリも、データストームの影響で、息が荒くなっている。

このままでは、本当にエリが危ない・・・・・・

私は早急に決闘を終わらせるよう決意した。

 

射撃戦では、決着に時間がかかる。ならば、一気に接近戦に持ち込む‼

私は、ビームサーベル片手に、ジンクオへ急速接近する。

「―ッ⁉ 猪口才な!」

敵ガンビットのビームが、アイリスの突進を止めようと、動力部を狙ってくる。

しかし!

その攻撃は、ガンビットによって防ぐ。

同時にジンクオに向って、体当たりを仕掛ける。

「「うぅッ⁉」」

互いに衝撃がすごい。思わずのけぞりそうになるが、私は何とか耐える。

一方、ジンクオの体勢は一瞬崩れる。

その瞬間を逃さず、私は両手に持ったビームサーベルを、敵機の両肩関節に突き刺す!

当然、敵ガンビットの攻撃は続いている。可能な限り回避しているが、完全に避けきることはできない。数発被弾し、機体はボロボロだ。

しかし、致命傷は避けている。

そして今は、そんなことよりエリの命の方が優先だ!

「うおおおおおおぉぉぉぉぉ――――――――」

私は、トドメとしてバルムンクを抜き、ジンクオのブレードアンテナを切り裂いた。

「ッ‼」

しかし、エリも負けてはいない。サーベルをアイリスの中央部目がけて振りかぶり━━━━━━━そこで、安全装置が働き、アイリスのコックピットギリギリの所で止まった。

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ガンダム寮からは、かなり大きな歓声が上がったようだ。

しかし、私にとってそれは重要ではない。

そんなことよりも・・・・・・

「エリ‼」

私はなり振り構わず、ジンクオの方に駆け寄り、無理やり開ける。

そして、私がそこで見た光景は・・・・・・

エリが意識を失っており・・・・・・その額には、赤い紋様が刻々と刻まれていた・・・・・・

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