議会連合過激派『アサルト』の艦隊が、ベネリットグループ本部フロントに向い進軍する。
戦艦20隻、モビルスーツ100機超。
攻撃部隊には、期待の新型・量産型ルブリスⅡ、艦の護衛には、カラゴールが付いた。
「ベネリット、治安維持部隊、並びに今回援軍として参加してくれた各社の志願部隊に伝達する。
私達は今日まで、宇宙議会連合に対し、戦闘行為計画の取りやめ、協議によっての今回の決着を交渉・進言してきた。しかし!議会連合の一部は、その言葉を聞こうとせず、今日こうして艦隊を派遣されることになってしまった。
我々が目指すのは、もちろん地球並びにフロントの平和だが、かと言って、無抵抗に蹂躙されるのを黙認するわけにはいかない。グループの存続のためにも、皆一丸となり、本部フロントを守り抜け‼」
スレッタが演説する。
その言葉は力強い。しかし、その顔には、もの悲しさがあった。
隣には、治安維持部隊の最高司令官として、ケナンジが控えていた。
スレッタの言葉を受け、全艦が発進する。
中心には、艦隊旗艦・ジャッジメント。その左右には、治安維持部隊の艦隊が集結した。
そして、さらに右翼には、ジェターク社の旗艦・グリフォンを中心としたジェターク艦隊、左翼にも、有力企業の志願部隊の戦艦が展開した。
ジャッジメントの艦長、クラフ・デバースが全艦に通信を繋ぐ。
「総員に告ぐ。死んでも、敵モビルスーツを一機たりとも通すな!」
その言葉を句切りに、全艦からモビルスーツが発進する。
そして私、ミランダ・マーキュリーには、ジャッジメントの護衛任務を任された。
護衛は、私のアイリス一機である。
うっわ、マジで緊張する。
治安維持部隊のエース、マリア・ウェリントン大尉から通信が入る。
「ミランダお嬢、今回の作戦指揮は私が取ります。━━と言っても、私は攻撃部隊の方に行くので、戦闘中に指示等はできませんが・・・・・・
あなたは学生なので、攻撃部隊に加えることはできません。ですので、私達の旗艦の護衛、頼みましたよ。」
「了解です‼」
その通信の後、マリア大尉のジンクオ・シグマが発進した。彼女の機体色は特殊仕様で、赤塗装であった。その後ろに、数機の通常カラーのジンクオ・シグマが続く。
治安維持部隊でも、エリート部隊はジンクオを使用していたが、それ以外の一般部隊は、まだ配備が間に合ってないらしく、ダリルバルや、それ以前の量産型機体である、ディランザ・ソルを戦線に出した。
そして・・・・・・両陣営の攻撃が、開始された!
ジェターク社旗艦・グリフォン。
CEOのラウダも、専用のジンクオ・シグマに搭乗し、出撃する。すでにパイロットスーツに着替えており、コックピットで待機していた。
そして、戦闘の開始を感知すると、ため息を漏らした。
「・・・・・・結局は、戦いになるのか。」
「こればっかりはやむを得ねーぜ、ラウダ。いくらベネリット側(こっち)が交渉しようとしても、議会(あ)連合側(っち)が聞く耳持たずじゃ・・・・・・」
チュチュが冷めた声で応じる。
「分かっている。
こちらグリフォン、ジェターク隊、ラウダ・ニール、出るぞ!」
「ジェターク隊、チュアチュリ―・パンランチ、ジンクオ、行くぜ!」
ラウダのジンクオ・シグマと、チュチュのジンクオが発進した。
始まった!
私も戦って、ジャッジメントを、みんなを、護らなきゃ‼
私は作戦通り行動する。
「ガンビット、シールドモードで展開‼」
アイリスのガンビットを散開させ、艦に敵のビームが当たらぬようガードする。
これだけが、私がこの戦場でできること。
だからこそ!果たしきらなきゃ‼
ベネリットとアサルトの戦場一帯とは別方角のフロントにて。
そこに、かつてクワイエットゼロ事変終盤で議会連合が使用した、惑星間レーザー装置と同型の兵器が建造されていた。
戦闘が開始されたのを確認すると、そこの指揮官が合図を出した。
「よし、送電システム、チャージ開始‼」
その兵器の周辺には。
アサルトの最新型量産機・エアルが護衛していた。
エアルもまた、ガンドアーム搭載機であった。
ベネリット本部の管制室で部隊の指揮を取っていたスレッタとケナンジの元に報告が入る。
「戦闘区域範囲から離れた場所、本フロント南西方向に巨大な熱源反応!これは・・・ッ‼
太陽光送電システムを利用した、惑星間レーザー装置です‼」
「何⁉」
「―ッ‼」
ケナンジが驚愕で声を上げる。
スレッタも顔を顰め歯ぎしりする。
焦ったのも束の間、ケナンジがすぐに指示を出す。
「全艦及びモビルスーツ隊全機に回線繋げ!戦線から一時撤退‼最大凄速で、敵兵器の破壊任務に向わせ━━」
「治安維持部隊並びに企業軍は、前面の敵制圧を続行せよ。」
しかし、ケナンジの言葉をスレッタは遮った。
ケナンジは驚いてスレッタの方を見る。
「ですが・・・・・・━━ッ⁉」
だが、スレッタはケナンジを睨む。その気迫に圧倒され、思わず彼はたじろぐ。
スレッタはため息を付き、その後司令室を出ていった。
え⁉惑星間レーザー装置??
それって・・・・・・学園の授業で習った、議会連合がクワイエットゼロ事変終盤に使用したヤツじゃ⁉
照準はどこ⁉・・・・・・ベネリット本部フロント?
まずい‼
私は、自分の任務であるジャッジメントの護衛を放り出し、敵兵器の方角まで駆けだした。
「待て!ミランダお嬢、こちらの判断を━━ッ‼」
マリア大尉が通信で私に何か言っていた気がするが、耳に入らない。
このままじゃ、ママが!私を救って、育ててくれたママが‼
しかし、私は間に合わなかった。
敵兵器が・・・・・・発射された。
目を貫くような光を放ち、そのレーザーは私の目の前を通り過ぎた。
そのビームは、ベネリット本部のフロントに向かって━━ッ‼
しかし、直撃間近のところで、何かの物体に阻まれた。
ッ⁉
あれは!
・・・・・・ガンダム?
まさか・・・・・・ママのエアリアル⁉
エアリアルが、ガンビットを前面展開し、そのビームを受け止めていた。
「クッ━━‼」
でもそれじゃあ、ママが‼
しかし、そうはならなかった。
『スレッタは・・・・・・やらせない‼』
エアリアルが、全てを防御しきったのだ。
・・・・・・すごい。
あれが、伝説の・・・・・・
英雄と呼ばれし、ママの力・・・・・・
「惑星間レーザー装置、照射終了・・・・・・
━━ッ⁉ベネリット本部フロント、健在‼その前面にアンノウンモビルスーツ‼」
「何だと⁉」
予想外の結果を受け、レーザー装置内の管制室に動揺が走った。
そしてそこに、エアリアルからの通信が入る。
「ただ今より、本大量破壊兵器を消滅させる。無駄な抵抗は止め、直ちに退去せよ。」
その場に、スレッタの冷たい声が響く。
指揮官が現実を受け入れられず、発狂する。
「こんな、こんなことはありえない、あり得ないんだ‼」
「指令‼」
部下の一声で、指揮官は我に返る。
「総員、退避ィ━━‼」
そしてその場にいた者は全員、管制室から外に出た。
しばらく時間が経つと、エアリアルはビームライフルを構えた。
「時間だ。レーザー装置を破壊する。━━エリクト!」
スレッタはエリクトに合図を出した。
『了解。ガンビット、ビームライフルに連結。バスターランチャー、最大火力‼』
全てのガンビットがビームライフルと合体し、高出力のビームが発射された。
そのビームは敵兵器全体を飲み込み・・・・・・消滅させた。
レーザー装置の無力化を確認すると、スレッタはため息を付き、ベネリット側の全艦に通信を繋ぐ。
「ミッションコンプリート。総員帰投せよ。」
そんなスレッタとエアリアルの様子を、ミランダはただ憧れの眼差しで見つめていた。