偽りの触手死神、生徒になる   作:HIIRAGISHIYU

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 私が望む暗殺教室とブルーアーカイブが混じった話がないので自分で書いてみます。ぶっちゃけ、私は殺せんせーの黄色のタコの姿より、初代死神の頃の姿の方が好きでした。研究所を脱出するときの白い触手の姿が癖。

 ノリと勢いで執筆します。


001 誕生の時間

 

 

 空に浮かび広がる光の輪。周辺を見渡せば現代では考えられないほど高度な科学により発展した、近未来的な都市光景に見慣れないロボット、犬や猫が二足歩行をして当然のように街を歩いている。

 

 そして毎日の如く鳴り響く騒音の方へ目を向ければ年齢的に高校生だろうか。それぐらいの年齢の女子達が銃火器を当たり前のように握り、実弾をぶっ放している。

 

 この景色を見れば美少女の皮をかぶったGTAなどと言われるのにも納得がいくものだ。

 

 そして、そのある意味地獄のような光景を見つめる俺の名前は(おぼろ) 玄夜(げんや)

 

 このブルーアーカイブという世界に転生した元一般人の転生者である。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ブルーアーカイブ────Blue Archive。

 

 それはキヴォトスと言われる架空の超巨大学園都市。数千の学園がそれぞれに運営する自治区と、キヴォトス全体の行政を担う連邦生徒会が管理する地域「D.U.(District of Utnapishtim)」とで構成される連邦都市であり、日常と銃撃戦と神秘が混在している世界観で繰り広げられる学園RPGゲームの名前である。

 

 そんな世界に転生したと自覚した俺こと朧 玄夜が最初に目が覚めた場所は朽ちた天井にひび割れた蛍光灯、そして小さな蜘蛛の巣、廃墟然とした室内だった。

 

「どこだよ、ここ」

 

 辺りを見渡せば乱雑に倒された本棚と思しきものや脚が折れて使い物にならなくなった事務机、なにより特徴的なのはそれら全てが砂に埋もれていたことだろうか。

 

 唯一無事に砂に埋もれていたなかったのは俺が目を覚ました場所、つまりベッドだけであった。

 

「本当にどこだよ? こんなドッキリをうける程の有名人じゃねーぞ、俺は」

 

 砂を手に取り、手で遊ばせてサラサラと零れ落ちる砂を見ながら立ち上がり部屋を調べているとひび割れた鏡を発見した。

 

 その鏡の中にいたのはボロ布を纏った見知らぬ男であり、その頭上には天使の輪のようなものが浮かんでいた。

 

「誰だお前は?」

 

 そう鏡に問いかれば、同じように鏡の中の知らない誰かが俺と同じように動く。

 

「これが俺って、まじか。てか、この頭の上で光っているやつはなんなんだ」

 

 それに触れようとしても触れることはできず透過するだけであり、それ以上のことはできなかった。

 

「何、これが明晰夢ってやつ?」

 

 鏡に映る優男風のイケメンを観察していた俺は風で揺れる窓の方へと目を向けると砂しか見えなかった。

 

 窓の外に広がる景色は砂に埋もれた街の景色であり、まるで滅びた後の世界かと思えるような景色であり、空を見れば宙に浮かぶ謎の光る円。

 

 俺は自分の頬をつねる。

 

「……痛い」

 

 俺は理解し、頭を抱えた。

 

「ここブルアカじゃん」

 

 ブルーアーカイブはある一面を見たら見目麗しい美少女と先生と言われるプレイヤーが青春と絆を育む物語なのだが、その裏では一つでも選択肢をミスったらキヴォトス滅亡というバッドエンドが存在する綱渡りの世界なのだ。

 

 そんな世界に転生した俺を不幸と言わずしてなんというのか。

 

 もしかしたら推しに会えるかも? なんていう甘い考えを持てば即効に死ぬ。まずこの世界は生徒たちが当たり前のように銃火器をぶっ放し、戦車やヘリコプターが不法に流通してスケバンに渡り街で暴れている。

 

 ある部活に至っては気に入らないという理由だけで飲食店を爆破し、どんな場所であろうと温泉を開発するイカれた集団もいる。

 

 そんな世界に元一般人が転生してどうにかなると思ったら大間違い。

 

 まずここがどの時代かもわかっていないし、何より重要なのはこの世界に先生はいるのかとか、先生がいない世界線なのかということ。

 

 この世界に必要不可欠の存在がいるのかいないのかでだいぶ話は変わってくる。

 

「はぁー、とりあえず外に出よ」

 

 この砂景色から推測されるにこの場所はアビドス自治区なのは間違いなく、よくて遭難、悪くて干からびて死ぬと言ったクソみたいな場所だが、ここにいても何もなくて餓死する。

 

 行動するしか、俺の生きる道はないのである。

 

 

 そして数時間後。

 

 

 当然のように俺は────

 

「迷った」

 

 砂に埋もれた都市の中で遭難していた。

 

 太陽が地表を照らし、裸足であるからして足裏が焼けるように痛い……はずなのだが、そこまでの痛みはない。

 

 ヘイローを持っている影響か、俺の肉体はこの程度では疲労し、ダメージを受けることはないようだ。

 

 だが水も食料もないこの状況下で、生き抜けるのおそらく、よくて数日が限度と言ったところ。

 

 進むべき方向もわからず、ただ何もない都市を歩き回るだけ。

 

「これ、死んだな」

 

 どこか諦めの感情と共に彷徨っていたら、砂に埋もれた鉄道を発見した。アビドスとネフティスグループが過去に行った事業の名残みたいなものであろう。

 

 俺は道標が何もないよりはマシかと思い、この埋もれた鉄道を沿って歩くことを決めた。

 

 ずっと、ずっと、俺は歩き続けた。

 

 肉体はまだ歩けると脳に訴えている。だが肉体とは反対に意識は朦朧としてきて、時間感覚がおかしくなっている。分からないが二日は歩いたと思う。

 

 不思議と眠気はこなくて、疲労もそこまで感じなかったから歩き続けることはできた。

 

 それから何時間が経っただろうか。

 

 太陽が2回は登っては降りてを繰り返し、俺がこのキヴォトスに転生して三日目。今まで見てきたものより比較的に砂に埋もれていない校舎を発見した。

 

 俺は光を見つけた蛾のように、そこへおびき寄せられるように向かった。

 

 そしてたどり着くと、なぜかヘルメットを被った少女達がいたる所で倒れており、それをなしたであろう人物が二名。

 

 視界が少しボヤけている。

 

「ユメ先輩、また来ます」

 

「も〜、しつこいんだから」

 

 視界不良の中、なんとか確認できたのはピンク髪のオッドアイであり、身長も低くい少女とピンク髪の少女と対照的に高身長で胸が大きく、髪は膝ほどまであるロングヘアーで緑がかった薄い水色の少女がいたこと。

 

「あれは男?」

 

「えっ! ほんとう〜?」

 

 俺はその二人を見つけた瞬間、助けを求めようと声を出そうとしたが、三日近く水も食料も摂取できなかったせいだろうか、それとも声を久しぶりに上げようとしたせいか、声を上げることができず、その場で倒れてしまった。

 

「っ! 倒れました!」

 

「わっ! 助けないと!」

 

 この世界で初めて人に出会えただろうからか、肉体的に疲れてはいなくとも精神的には疲れていたらしい俺は人と会えた安堵で意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────ふと、甘い匂いがして目が覚めた。

 

 意図的にではなく、無意識的に視界が開かれる。窓から差し込む日光が眩しくて目を細めていると、隣に人の気配がした。

 

 寝ている身体を起こし、横に目を向ければ見覚えのある薄い水色髪の少女がいた。

 

「目が覚めた? 調子はどう?」

 

 俺は寝ぼけた脳を覚醒させて、辺りを見回し現状を把握した。

 

「助けていただき、ありがとうございます」

 

 そう言って俺は目の前にいる少女に頭を下げる。

 

「うんうん、どういたしまして。一日中寝ていたから心配したんだよ? その、ちょっと待っててね、もう一人呼んでくるから」

 

「……そうですか」

 

 俺は困惑しながら返事を言うと、その少女はすごい勢いでこの部屋から出ていった。俺は自分の掌を見つめて、拳を握ったり開いたりして身体が動くか確かめる。

 

 やはり俺の肉体は前世とはだいぶ違うらしいことがわかる。普通、三日四日も水と食料を摂取しなかったらかなり衰弱し、死ぬ可能性すらあるというのに動かすのに全く問題がない。

 

 少し身体の節々が痛むと言うのはあるが、その程度は誤差であろう。

 

「頑丈な肉体には感謝だな。それより……」

 

 俺は少女が飛び出ていった扉の方へ目を向ける。

 

「あれは梔子ユメだよな」

 

 記憶している彼女の容姿と先ほど見た少女の容姿に違いがないかを確認して、彼女こそが梔子ユメなのだと確信する。

 

「てことは彼女の隣にいたのは小鳥遊ホシノか」

 

 意識を手放す前に見たピンク髪の少女の容姿を思い出す。

 

「なるほどな。二年前ってところか」

 

 時代は本編開始の二年前と知ることができ、これから起こる覚えている限りの出来事を時系列順に頭の中で並べる。

 

 まず大前提として俺が知っているブルアカのメインストーリーの話は百花繚乱編1章前まで、さらにその合間にあったイベントストーリーに関しては殆ど見ていない。

 

 ただ、ネットで話題になっていたホシノテラーとか、シュポガキとか、ちょいちょいネットで話題になっていたものは知っている。あくまで俺がちゃんと見たのは百花繚乱編の一章前までってだけだ。

 

 実際に俺がブルアカをやっていた時はデカグラマトン編二章までは更新されていた。

 

 この話はここまでにして、目下の問題はそれこそさっき助けてれた少女、梔子ユメの死亡だろう。当然、助けてれた恩人であるから死んでほしくはないが、梔子ユメと小鳥遊ホシノが喧嘩する時期なんか知らんし、まず俺なんかが助けれるほどの力もない、と思う。

 

 ただ今はヘイローを持つ肉体であり、先ほど述べた通り、あの炎天下を歩き続けられる体力に身体機能があるから鍛錬次第ってところだろう。

 

「やっ! 起きてる?」

 

 そんなことを考えていると、つい今ほど話題になっていた梔子ユメが部屋に入ってきた。そして梔子ユメに続くように入ってくるピンク髪の少女。

 

 当然、俺は知っている。未来の彼女を。

 

「まず自己紹介から、私は梔子ユメ。このアビドス高等学校の生徒会長だよ!」

 

「……」

 

「ほら、ホシノちゃんも!」

 

「はぁ、小鳥遊ホシノ。これでいいですか、ユメ先輩?」

 

「もうっ! 雑すぎ!」

 

 そんな漫才を眺めている俺は少し呆気に取られた後、声を上げて笑ってしまった。この眩しい光景を見て、なぜか俺は心の底から笑えた。

 

 なぜ笑いが込み上げてきたのか理由は俺自身もわからなかった。

 

 ただ、そう。

 

 彼女たちの知らない会話、知らない表情、知らない声色。

 

 ここは学園青春RPG(ブルーアーカイブ)じゃなくて、現実(リアル)なのだと思えたことは確かだった。

 

「あっ! ホシノちゃんが適当すぎて笑われちゃったじゃん」

 

「いえ、これはまた別の理由ですよ、絶対」

 

 笑い終わった後、痛む横腹を抑えながら俺もと自己紹介をする。

 

「あらためて助けてれてありがとう。俺の名前は朧……弦…夜」

 

「? 玄夜くん?」

 

「ふん…」

 

「あぁ、朧ゲンヤだ」

 

 





 ぶっちゃけると、暗殺教室、殺せんせーの姿ではなく、その殺せんせーの人間時代の初代死神(触手持ち)の頃に一般男性が何故か憑依転生。そんな男が透き通る世界観で送るブルーアーカイブで暮らしていく話。

 オリジナル主人公の原作知識は暗殺教室はアニメ全話、ブルーアーカイブはカルバノグの兎2章までの知識(実装順)。

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