突然ビックリ♀蜥蜴人ちゃん生活!?   作:4645 (ケモ系大量生産クリーチャー)

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尸解
目覚め


 

 

 

 

 

 迷宮の最深部、だだっ広い大広間の真ん中。

 

 円形の文様の中心に倒れ伏していた蜥蜴人の女は、しなやかな手を床に付き、ふらつく頭をさすりながら体を起こした。

 

 

 …気絶していたようだ。

 

 つい先程まで大勢の仲間達と死闘を繰り広げていたはずだが。

 

 

 戦いの気配が無い事を訝しみ、辺りを見回してみると、自身の傍らには男物の兜と、大ぶりな戦棍が1つ、散らばるように落ちていた。

 

 「あれはまさしく自分の得物ではないか」と、(彼女)は急いで腕を伸ばす。

 

 しかし、はたと自身に重大な問題が発生していることに気がつく。

 

 伸ばした手は、黒と緑の交じったような、沼地の様な色の鱗に包まれていたのだ。

 

 突然の変化に体を硬直させた(彼女)は、思わず後ずさった。

 

 すると、ガラン、ガランと大きな音を立てて、二の腕から抜けた鎧の一部が床に散乱する。

 

 (彼女)は更に驚愕し、慄いた。

 

 

 急にサイズが合わなくなったとでも言うのか。

 

 鎧は普通特注である。そんなことはありえない。

 

 ということは、つまり、自分の方が変化したのだ。

 

 

 恐る恐る、変化した手でもう片方の二の腕を掴む。

 

 それは、以前の二の腕よりも断然柔く、細く、頼りなく、ひんやりとしていて、やはり鱗に覆われていた。

 

 この時点で、彼女()は半狂乱に陥った。

 

 彼女()は溺れるようにして随分大きな皮の鎧を脱ぎ捨てると、半泣きでギャンべゾン(鎧の下に着るパッド入りジャケット)トグルボタン(古風なボタン)を外し始める。

 

 ボタンを外す手がもつれ、じれったい時間が永遠のように感じられた。

 

 鱗に包まれているとはいえ、明らかに女性と分かる自身の指は、彼女の精神を逆撫でする。

 

 ようやく全てのボタンを外し終え、覚悟しながら前をガバッと開くと、そこには明らかな乳房があった。

 

 手足と違い、鱗に覆われてはいないが、その黄緑色の滑らかな柔肌は、明らかに蜥蜴人のものであった。

 

 

 彼女は絶望し、悲痛に喘いだ。

 

 やたらめったらに高かった大事な軽鎧(無用の長物)を、あらわになった蜥蜴人の胸に掻き抱き、己の運命を呪う。

 

 おそらくは、仲間に変性術を誤射されたのだろう。

 

 本来なら命中させたクリーチャーを小さなトカゲやヒツジ等に変えてしまう凶悪な呪いのはずが、未熟な技量により、俺に当たってしまったのだ。

 

 魔法抵抗力が多少あったおかげで、トカゲではなく蜥蜴人になれたようだが、とはいえ人外であることに変わりはない。

 

 本の中の物語のように、時間が経てば不思議な煙と一緒に元通りになれるような生優しいものではなく、永続かつ不可逆のものだから、彼女は金輪際永遠に人間には戻れなくなってしまったのだ。

 

 しかも、世間一般に蜥蜴人といえば、南方のマングローブや湿地に生息している言葉の通じない蛮族であり、要するに敵で討伐対象である。

 

 おおよそ幸せに過ごせるとは思えない。

 

 彼女は迷宮の石材の床に膝から崩れ落ちたまま、しばらく鎧を抱きしめ続け、現実から逃避していた。

 

 大事に磨かれた男物の人間用兜には、涙を流す若い♀の蜥蜴人の顔が張り付いていた。

 

 

 

 

 








健全な連載作品の練習です。
今までエロばかりだったので気分転換。
基本的にテンプレ展開に沿う予定。

(遅筆是正の意味も込めて、今作は一話が短くなってもすぐ投稿するようにします。ゆるしてヒヤシンス)
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