映画ドラゴンクエストⅣ オモシロ場面集   作:地球の星

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オープニング 山奥の村

 ここは名前も知られていない、山奥にある村。

 この場所では天空人の血を引いている少女、ソフィアが住んでいた。

 彼女は一般人として育てられながら、少し年上で幼なじみの少女であるシンシアと一緒に過ごしていた。

 

 ある日。この村に男勇者のソロが道に迷った状態でやってきた。

 ここの住人は本来、外部からやってきた人を歓迎していなかったが、たまたまその場所を通りかかった宿屋の主人が疲れ切ったソロの姿を見て、一晩泊めることにした。

 翌日。すっかり元気になった彼は、自身を映画監督であることを明かし、この場所を映画撮影の舞台に使いたいことを打ち明けた。

 主人は自分一人で決めることが出来なかったため、村の住人を集めて相談をすることにした。

「えっ?その話は本当なんですか?ワナではないですよね?」

 話を聞いた村人の多くは話をにわかには信じられず、難色を示していた。

(やはりダメなんだろうか…。まあ、確かに映画の撮影とはいえ、魔物に襲われる舞台になることを喜んではくれないだろう…。)

 ソロはこれまで色々な場所を訪れては住人と交渉をしてきたが、その度に断られていたため、ガックリと肩を落とした。

 そんな中で、シンシアは目をキラキラと輝かせていた。

「いい話ね。ねえ、ソフィア。私はぜひ映画に出演してみたいわ。いいでしょ?」

「本当にいいのかしら。確かに私としてもやってみたい気持ちはあるけれど…。」

「それなら、ぜひ一緒にやってみましょう!私と一緒なら恐れることなんてないわ!」

「そ、そうね。」

 ソフィアははっきりと決断が出せずにいたが、シンシアにゴリ押しされる形で同意をした。

 すると、それまで難色を示していた住人達の気持ちも徐々に変化していった。

 そして、ソロの熱意と提示したギャラが決定打になって、ついにここが舞台になることが決まった。

 すると、シンシアが喜びながらモシャスを唱え、ソロに変身した。

「おおっ!君はその呪文が使えるんですか!?まさに僕とそっくりですね!」

「はい。どうでしたか?」

「それは使えそうです。ぜひ映画の中で役立ててください!よろしくお願いします!」

「分かりました。こちらこそお願いします。」

 シンシアは勢いよくお辞儀をするとモシャスを解除し、元の姿に戻った。

 それを見たソフィアや住人達も彼女に後押しされる形で気合いを入れた。

 

 後日。撮影はその村を舞台に、ソフィアとシンシアが地面に横になっているシーンからスタートすることになった。

「今日は本当にいい天気だし、こうして寝転がっていると、とてもいい気持ちね。」

「そうね。つらいことなんかは全て忘れて、本当に穏やかな気持ちになれるわね。」

「ねえ、シンシア。」

「何?ソフィア。」

「私達、大きくなっても、ずっとこのままでいられたらいいね。」

「本当にそうなってほしいわね。私達の友情は永遠でいたいね。」

 2人はお花畑の一角で、楽しく会話をしていた。

 すると、どこか遠くから誰かが大声を上げているのが聞こえてきた。

「あら、一体何かしら?」

「段々大きくなっているわね。」

 ソフィアとシンシアが起き上がってその声がする方見ていると、村人の一人が急ぎ足でやってきた。

「た、大変です!つ、ついにこの村が魔物達に見つかったんです!奴らはこの村のすぐそらまで、…あっ…。」

 彼は「すぐそば」と言おうとしたが、つい噛んでしまい、両手で口を押えながら苦笑いを浮かべた。

ソフィア「ちょっと!いい雰囲気だったのに!」

シンシア「NG出されたら調子狂うじゃないの。」

 彼女達は顔をしかめながらツッコミを入れた。

「すみません。今度は気をつけます。」

 男性は2人やソロに謝った後、再び村の外に向かっていった。

 そして撮影は彼女達が起き上がるシーンから再開になった。

 

 その後、2人は手をつなぎながら地下室の方へと大急ぎで逃げ込んでいった。

「ここは私に任せて、あなたは奥にある小部屋へ!」

「でも、私だけでは行けないわ!シンシアも一緒に。」

「いいえ。私はここで時間を稼ぐから、早く!」

「でも…。」

「これはあなたの人生が…、いや、世界の命運がかかっているのよ!さあ、早く!!」

 ソフィアは後ろ髪を引かれる思いだったが、シンシアの真剣な表情を見てようやく同意し、一人で逃げ込んでいった。

 それからまもなく、村人対魔物(※正体は特殊メイクを施された人間)との戦いが始まったが、これまで戦いと無縁だった村人達はほとんどなす術なく負けていった。

「さあ、ここに勇者の血を引きし少女がいるはずだ。その少女を生かしておけば、いずれ面倒なことになる。者ども、絶対に探し出せ!絶対に討ち取ってこい!絶対に失敗は許さんぞ!」

 ピサロは倒された(ふりをしている)大勢の人達を見ながら、憎しみに満ちた表情で部下達に声をかけた。

 

 その頃、ソフィアが地下室でブルブル震えていると、シンシアが息を切らしながら駆け足でやってきた。

 しかし、ここで彼女が足を滑らせて転んでしまった。

「ちょっと!ここ、すごく大事なシーンなのに。」

「ごめんなさい。わざとじゃないの。許して。」

 シンシアは両手を合わせて謝った後、地下室を一旦後にしていった。

 そして、次のテイクではうまく立ち止まった。

「ソフィア……。今まであなたと一緒に遊べて、とても楽しかったわ……。ソフィアはとてもかわいいし、本当の妹のように思っていたのよ。」

「……。」

 シンシアは次のセリフを言おうとしたが、とっさに思い出せず、思わず冷や汗をかいた。

「あれ?何だっけ?忘れちゃったわ。」

「確か『大丈夫。あなたを殺させはしないわ。』じゃないの?」

「あっ、そうだったわ…。」

 シンシアは右手を自分の額に当てながら悔しがった。

「ドンマイドンマイ!次は気をつけましょうね。」

「OK!」

 2人がハイタッチをかわすと、シンシアは部屋の外に出ていき、テイク3に備えることにした。

 

 次のテイクでは彼女が自分のセリフこそしっかりと言い切ったものの、そこでソフィアがくしゃみをしてしまい、NGになった。

「今度はあなたなの?」

「ごめんなさい。自分でも悔しいわ。」

 2人は当初、このシーンを一発で撮り終えるつもりで意気込んでいたが、その後もシンシアがセリフを噛んだり、ソフィアがこれまでのNGシーンを思い出して吹き出したりしたため、なかなか終わらなかった。

「ちょっと!早くOKを出してくださいよ。」

「長い間この格好でいるのはしんどいですから。」

 部屋の外では魔物に扮した人達(※以降は魔物と表記します。)が不満げに声をかけてきた。

「本当にごめんなさい。」

「何か思い出しちゃうのよ。」

 2人は深く頭を下げて謝った。

 

 その後、彼女達が気持ちを立て直すと、シンシアはセリフを言い終えてからモシャスを唱え、ソフィアと瓜2つの姿になった。

「元気でね…。」

「待って!置いていかないで!」

「ありがとう…。さよなら、ソフィア…。」

 シンシアは涙ぐみながら、同じく涙ぐんでいるソフィアを置いて地下室を出ていき、単身で魔物達の前に出ていった。

「やあやあ!我こそは勇者シンシアなり!」

「あの、ソフィアでしょ?」

「あっ、そうだったわ…。」

 彼女は名前を間違えてしまい、相手の魔物にツッコまれてしまった。

「ごめんなさい。せっかくカッコよく決めるつもりだったのに…。」

「シンシア!頑張って!」

「そうね。次は頑張るわ。」

 ソフィアの励ましを受けて、シンシアは再び気合を入れて撮影に臨むことにした。

 

 彼女はこれまでに鍛えた剣の腕前を限界まで駆使して戦ったが、複数の相手にかなうはずもなく、あっという間に追い詰められていった。

「さあ、覚悟しろ!」

「お前の命もあと10秒だ。」

「何か言い残したことは無いか?」

 相手がニヤニヤしながら問いかける中で、シンシアは捨て身を駆使し、玉砕覚悟で攻撃をした。

「ぐあああっ!」

 鎧越しとはいえ、大ダメージを受けた魔物はその場に倒れ込んでしまったが、その直後に別の魔物がとどめとばかりに一撃を加えた。

 しかし…。

「きゃあああっ!どこに攻撃を当ててんのよ!このドえっちいっ!」

 思わぬハプニングにブチ切れたシンシアは攻撃をしてきた相手に強烈なビンタを加えた。

「ワオッ!キョーレツ!」

 会心の(いや、それをも上回る?)一撃を受けた魔物は両手を顔に当てながらその場にうずくまった。

「まったくもう!どさくさにまぎれて何するのよ!」

「ごめんなさい…。事故なんです…。」

 彼はひたすら謝ったが、それでもシンシアの怒りはおさまらなかった。

 するとそこにソフィアがやってきて、「まあまあ」と言いながら懸命に彼女を落ち着かせた。

 

 シンシアは撮影の合間に薬草を使ってHPを回復させ、さらに乱れた呼吸を整えた上で再び戦闘に挑んでいった。

 そして打ち合いの末に魔物の槍でお腹の部分に一突きを受けてしまった。

(※なお、槍は刺さらないように加工がしてある上に、バネで引っ込むようになっています。)

「うっ、うぐっ…。」

(映画の上では)致命的なダメージを受けた彼女は口から血(※実際はトマトジュース)を吐き出しながら、両手を腹に当てた。

 魔物はそれを見ると、ニヤリとしながら槍を引っ込めた。

「む…、無念…だわ…。」

 シンシアは悔しそうに相手をにらみつけながらその場に倒れ込んだ。

 しかし、本来ならここでトマトジュースの入った袋を握りつぶして血が噴き出すシーンを演じるはずだったが、袋の口が開かなかったため、またしてもNGになってしまった。

「どうしたんですか?」

「ジュースが出てきませんね。」

「えっ?」

 魔物の忠告を受けてシンシアは起き上がり、袋を強く握ってみたが、それでも破れなかった。

「ちょっと!ソロさん!」

「ごめんなさい!口を強く縛り過ぎてしまったようです。」

「んもう!大事なシーンなんだから、しっかりしてくださいよ!」

「はい…、分かりました…。」

 ソロは申し訳なさそうに謝り、口を縛りなおした。

 

 しばらくすると、再び撮影の準備が整ったため、シンシアは再び戦闘に挑んでいったが、今度は映像で表現出来ないようなNGが発生したため、彼女は大声で叫びながらその相手に頭突きを食らわせた後、その場にうずくまってしまった。

 そのため、現場は大騒ぎになってしまい、やらかした魔物は土下座をしながら何度も謝る羽目になった。

 するとこの時点でシンシアのMPが尽き、元の姿に戻ってしまったため、彼女はこれ以上吹き替えを演じることが出来なくなってしまった。

 ソフィアからタオルを渡された彼女は、それを使って体を覆いながらようやく立ち上がった。

「これまでありがとう。後は私がやるから、心配しないで。」

 シンシアの熱演にすっかり魅了されていたソフィアは、これまで付きまとっていた不安をすっかり振り払い、残りの場面を演じ切ることにした。

 その様子をシンシアは心の中で応援しながら見つめていた。

 

 村での撮影終了後、ソフィアとシンシアはしばらく休暇を取りながら、ライアン、アリーナ、クリフト、ブライ、トルネコ、マーニャ、ミネアのエピソード部分を観察することにした。

 そしてソフィアは再び第5章の撮影でしっかりと役を演じきれるように練習を重ね、シンシアは誰かに何かあった時にモシャスを駆使してその人に変身し、吹き替えを担当することになった。

 




 この作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。
 第1話は第5章の冒頭部分ですが、この後、第1章~第4章を1話ずつ掲載していき、第6話から第5章になる予定です。
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