ルーシアを仲間にしたアリーナ、クリフト、ライアンがあちこちを回っている一方、ソフィア達5人は天空の剣を本来の姿にするために、あちこちの鍛冶屋をまわった。
その結果、サリイという女性が名乗り出てくれて、彼女は数日間をかけて鍛え続けてくれた。
しかし、まだ完全な形にはならなかったため、ソフィア達はその状態で天空への塔に行くことを決意した。
(※その頃にはトルネコの体もすっかり治り、普通に攻撃が出来るようになりました。)
9人が塔に入ると、彼らが最初に遭遇したのはメタルキング2匹だった。
「おおっ!そのボディはまさにメタル系の証!」
「これはぜひ経験値を獲得してみたいわね!」
「ここで私の2度攻撃と会心が役立ちそうね。」
「では、ここで聖水をって、どこに入れたのかしら?」
ライアン、マーニャ、アリーナ、ミネアは途端に目を輝かせたが、当のメタルキングはベギラマをぶっ放した上で2匹とも逃げ出してしまったため、ストレスだけがたまる結果になってしまった。
一方、ルーシア以外の4人はエスターク戦の前座で一度登場したライノスキングをはじめ、トーテムキラー、フェアリードラゴンと勝負をしていた。
「ここでこのドラゴンキラーが火を噴きそうね。」
「はっけよい、残った!プッシュ!プッシュねえっ!」
ソフィアとトルネコはそれぞれフェアリードラゴンとライノスキングを攻撃し、前者を一発で追い返した。
(※その際、390ゴールドの入った袋を落としていき、ルーシアがそれを拾いました。)
一方のライノスキングもトルネコのツッパリで一方的にダメージを受けたあげく、腰砕けで倒れ込んでしまったため、いいところ無く負けてしまった。
「トルーネコー。」
ルーシアが袋を差し出すと、トルネコは手刀を切って受け取った。
そうしているうちにトーテムキラーは次々と仲間を呼び、一気に数が増えたが、クリフトのバギマ(てんばつのつえを使用)とブライのマヒャドで一網打尽にされてしまった。
「経験値はメタルキング1匹の約8分の1でしたね。」
「まあ、それだけ稼げたのであれば、ヨシとするぞい。」
クリフトとブライは少し不満げな表情をしながらも、ひとまず戦闘に勝てたことで肩をなでおろした。
その後、9人は度々道に迷ったり、デスピサロの指示を受けた魔物達と戦闘をしたりする中で徐々に上の階にあがっていった。
「あっ、あそこです。あそこに立てば天空城に行けます。」
ルーシアはうれしそうにその場所を指さして叫んだ。
「それじゃみんな、行くわよ!」
ソフィアは自ら先頭に立ち、その場所に行こうとしたが、次の瞬間、何やら黒い生き物の群れが横切ってきた。
「ん?一体何かしらねえ。」
「魔物とは違うようだけど…。」
マーニャとミネアがそれに注目していると、トルネコが「それは英語でcock○○○○○、通称『G』または『あれ』ですな。」と言い出した。
「イヤーッ!私の嫌いなあれよ!あれ!」
「あたしこんなの相手にしたくなーーい!」
「ちょっと!早く何とかしてーーっ!」
ミネア、マーニャ、アリーナは名前を聞いた途端に顔が真っ青になり、悲鳴を上げた。
さらにソフィアはその場で立ったまま気絶してしまい、現場は大混乱になってしまった。
「はあ…。人間の女性の方はこの生き物をここまで毛嫌いするんですね…。」
こんな中でもルーシアは冷静そのもので、マーニャとミネアが逃げ出す姿を見つめていた。
一方で、男性陣3人はクリフトの置かれた状況に注目をしていた。
(ひっ、姫!その鍛え上げられた両腕でHold me tightだなんて!正直、ちょっと息苦しいですが、私は幸せです!恐らくこれを読んだ多くの読者の人達が交代を申し出ていることでしょう。ですが、断ります!これは私の特権にさせていただきます!)
彼は体中の力が抜けた状態で顔を真っ赤にしながらも、ものすごく幸せそうな表情をしていた。
しかし、このままでは物語が進まないため、ライアン、ブライ、トルネコ、ルーシアはみんなを置いてひとまず天空城に向かうことにした。
しかし、城の入り口で止められてしまい、中に入れなかったため、彼らは気絶したままのソフィアを連れてもう一度向かっていった。
「みなさん、色々トラブりましたが、私をここまで連れてきていただき、どうもありがとうございました。無事に帰ったことをみんなに知らせなくては!」
ルーシアは男性陣3人にお礼を言った後、彼らと別行動をとることにした。
その後。ようやく意識を取り戻したソフィアは一旦来た道を引き返してアリーナ、クリフト、マーニャ、ミネアと合流し、もう一度城へと向かっていった。
なお、この時点になってもアリーナとクリフトの顔は真っ赤なままだった。
城内で8人がそろうと、ソフィアは単独でマスタードラゴンに会いに行くことにした。
そしてアリーナとクリフトはルーシアに会いにいくことにし、残りの5人は城内を探索することにした。
「私はこの城を治めるマスタードラゴン。竜の神と呼ばれているものだ。」
ソフィアと対面したマスタードラゴンは自己紹介に続いて、世界の現状や人間の底力に感心したことなどを話してくれた。
会話が済むとソフィアに経験値を追加し、さらに天空の剣を強化してくれた。
「どうもありがとうございます。これで強力な武器を手に入れることが出来ました。」
「では、この城の真下が闇の世界への入り口のはず。行くが良い。」
「えっ?あ、あの…、すみません…。」
「何かね?」
「つまり、飛び降りていくってことなんでしょうか?」
「そのとおり。まあ、心配はいらん。1ダメージも受けずに行けるはずだからな。」
「メ、メタいことを言うんですね…。多分、4ぬと思いますが…。」
ソフィアは冷や汗が止まらなくなり、その場に立ち尽くしてしまった。
その後。マスタードラゴンと別れた彼女は城内でレックとバーバラに会ったため、何かいい方法がないか相談を持ち掛けた。
「それならちょうどいいです。僕達は魔法のじゅうたんを持っていますので、それをお貸ししましょうか?」
「えっ?そんな大事なものを使っていいんでしょうか?」
「はい。役に立つのであれば、喜んで使ってください。」
「それならうれしいです!本当にありがとうございます!」
「じゃあ、バーバラ。それを渡してあげて。」
「うんっ!はい、これ。大事に使ってね!」
バーバラは両手で抱えていたじゅうたんを差し出した。
するとソフィアはそれを受け取り、深々とお辞儀をした。
その頃、別の部屋ではアリーナとクリフトがルーシアと色々と会話をしていた。
その中で、2人は壁に貼ってある紙に書かれたメッセージが気になったため、ルーシアに聞いてみることにした。
「あれは以前、この天空城を解放し、さらには大魔王を討伐し、世界に平和をもたらした勇者が残したものです。」
彼女はそう言いだすと紙を外し、それを両手に持ってこちらにやってきた。
2人は大魔王討伐の達成感を表現した内容を期待したが、そこに書かれていたものは、意外にも次のようなものだった。
君にまた会うため 僕は生きる
いつでも いつまでも 君を想うよ
さよならを言われて 笑顔 消えた
他の誰がいても 戻らなかった
彼女の 代わりは どこにも いないよ
夢をかなえるため 僕は行くよ
約束するからね そばにいること
その顔 その声 忘れは しないよ
彼女がいることが 僕の全て
他の誰がいても 代わり無きもの
君にまた会うため 僕は生きる
いつでも いつまでも 君を想うよ
笑顔も 涙も 全てが 愛しい
君にまた会うこと 僕の願い
富も 名誉さえも 無くていいから
君にまた会うため 僕は生きる
いつでも いつまでも 君を想うよ
忘れる ことなど 僕には 出来ない
全てを引き換えに 会いに行くよ
今度会えた時は 2度と離さない
クリフト「これ、何だか悲しいメッセージですね。」
アリーナ「この詞にタイトルはあるんでしょうか?」
「こちらに書いてあります。」
ルーシアはそう言うと、紙を裏返した。
すると、そこには有名な曲名をまねたのか、「バーバラのために」という一文が添えられており、これをタイトルと解釈していることを打ち明けた。
さらに、最終決戦の後に『さようなら、レック。みんなにもよろしくね。あたしはみんなのこと、絶対に忘れないよって…。』と言い残して勇者の前から姿を消した少女に関するエピソードを話してくれた。
「そんな…。せっかく世界が平和になったのに、こんなことになるなんて…。」
「その2人にとって、一体どれだけ悲しい別れだったんでしょうね…。」
アリーナとクリフトは以前、王家の墓で幸せそうに手をつないでいる2人を見ていたからこそ、この内容が余計に衝撃的だった。
「ええ。本当に悲しい別れだったそうですよ。その後、レックは何一つ不自由のない暮らしを送りましたが、彼はそれを1日として幸せと思ったことはなかったそうです。」
ルーシアはその後も話を続け、ミレーユが水晶玉でバーバラの姿を見せた時、レックが彼女に会いに行く決意を固めたことや、苦難の旅の末にカルベローナが襲われたあの日にタイムスリップし、心と体が分離する一瞬のチャンスにかけて、命がけで突撃していったこと。
元の世界に戻ってきた後、グランマーズや自分を含めて天空城の人達が協力して道を開き、それを知ったレックは石像を抱えながら現地に向かってきて、バーバラと次の会話を交わしたことを話した。
『バーバラ、やっと会えたね。あれから、1日として君を忘れた日はなかったよ。』
『ああ、レック……。あたしの大好きな人……。あなたをずっと待っていたわ。』
『バーバラ、そばにいてあげられなくて、ごめん……。でも、もう君を離さない!!』
『レックーーーッ!!』
「すごいエピソードね。思わず涙が出てきてしまいそうだわ。」
「彼のあきらめない気持ちがこういう奇跡を起こしたんですね。」
2人はまるで映画になりそうな内容に、すっかり感動をしていた。
そして彼らが城内でレックとバーバラが手をつなぎながら幸せそうに歩いている姿を見た後、いつの間にか自分達も手をつなぎ、お互いの顔を見ながら微笑んでいた。
一方、城内を歩いている他の5人のうち、男性3人は過去に地上の世界におりていったことのある天空人の女性に会って、その話を聞いた。
「この人、もしかしたらですな。確かに似ていますし…。」
ライアンはその女性にすっかり興味津々だった。
しかし、そこで他の人から「シーッ!」と言われてしまったため、彼は「おっと、いけないいけない。」と言って、以降は黙ることにした。
「どうやらソフィアをここに連れてくるわけにはいきませんね。」
「うむ。本人がショックを受けてしまいそうじゃからのう。」
部屋を出た後、トルネコとブライは小声で口約束をした。
その頃、マーニャとミネアはミニデーモンから世界樹のしずくを受け取り、その効果を教えてもらった。
「あ~ら、これ、すごい効き目なのね。気に入ったわ。あと10個ちょうだい。」
「姉さん、だめよ。爆買いみたいなことをして、まわりを敵にまわしたらどうするの!」
「あのう、お姉さん達、欲ばっちゃだめだよ。無くなったら、またあげるからさ。」
「あっ、はい。分かりました。では、使ったらまた来ます。姉さん、それでいいでしょ?」
「わ、分かったわ。じゃあ、あたしはルーラが使えるから必要になったらまた来るわね。」
という感じでミニデーモンの忠告を受けた2人は素直に従うことにした。
その後、8人が魔法のじゅうたんで次の目的地に向かっていった後、天空城にはソロと事前にソフィアの後ろ姿を見ながら彼女に変身したシンシアが、ある天空人の女性のいる部屋の前にやってきた。
「いいですか?彼女が過去に関するエピソードを話した後、このセリフを言ってください。」
「ええっ?ちょっと!うそでしょ?こんなことを言っていいんですか?」
「私としてもどうしようか迷ったが、映画をヒットさせるために、お願いします。」
「…分かりました…。」
シンシアはいまだに戸惑いながらもソロの提案に同意をし、部屋に入っていった。
そして、女性が自分の過去を話し、娘のことを今でも思い続けていることを打ち明けた後、いよいよそのセリフを言うことになった。
「I am your daughter.」
「Noーーーー!」
シンシアからあまりにも衝撃的な言葉を聞いた女性は、思わず大声で叫んでしまった。
するとシンシアはその場にいづらくなったのか、「Mom, I love you.」とだけ言い残してそそくさと部屋を後にしていった。
このシーンはソフィア達が知らないまま厳重に保管され、映画の編集段階でソロの手によって密かに本編に加えられたため、ソロ、シンシア、天空人の女性以外の人達は、完成試写会の時に初めてこのシーンを知ることになった。