ホシノの兄ゲマトリア概念   作:カブライニキ

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好評につき、連載じゃァァァァァ!!!

なおこのお話は私の幻覚が多く含まれるので苦手な人は脳に瞳を得よ!!


懐古:Ⅲ / 裏面性

 

 

「それでね!だんだんアビドスに移住したいかもって人が増えてるんだ!!」

 

「先輩、箸を人に向けないでください......」

 

 

「ごめんね!でもこれってすごいことじゃない?」

 

アビドス自治区外輪に位置するとある飲食店の一席、そこでいつもの三人がラーメンを食べながらこれからのアビドスの計画について議論していた。

 

議論と言っても、本来の目的は飲食のためだが

 

 

「もしかしたら、入学してくれる子とかもいるんじゃないかな?」

 

「借金と砂に塗れた学校に入学したいだなんて言う無知な人間なんて逆に願い下げです」

 

 

「そ、そんなこと言わないでさぁ......」

 

 

終始テンションが上がりっぱなしのユメの話をホシノはちゅるちゅると麺を啜りながらホシノは聞き流す。

話半分に聞いてはいるようだが

 

 

「しゅ、シュクくんはそんなことないよね?アビドスに一年生が入ってきてくれたら、嬉しいよね!?」

 

 

「むぐむぐ......うん。いいと思うよ」

 

シュクもまたホシノと同じように麺を啜る。

 

この妹にしてこの兄ありである。

 

 

「うぅ......シュウくんとホシノちゃんが冷たいよう......」

 

 

2人に構ってもらえないからかいつも通りメソメソと泣き言を吐き始めるユメ。

実際2人は食事に集中しているだけでユメのことをぞんざいに扱っているわけでも、話を無視しているわけでもない。

 

だが、その上で聞くべき情報とそうでない情報を分別して適当に流すかアドバイスを与えるかしているだけである。

 

 

「ズズッ......そもそも万が一、億が一にでもアビドスに人が来たとします」

 

ホシノはめそるユメにため息と麺を啜る音を奏でながら理想家のユメに苦言を呈する。

 

 

「きっと大半が汚い大人です。アビドスを捨て去ったのも大人、アビドスを見捨てたのも大人。結局は私たち子供が自治をしていますし、大半の企業の勢力や不良のグループは兄さんが潰してます」

 

 

午後からのパトロールに備えるために、ホシノはぐいっとラーメンのスープを一気に飲み干した。

 

 

「ぷはっ......だから、私たちだけで良いと言えば、私たちだけでも大丈夫な部分はあると思います」

 

 

言いたいことを言い切ったホシノをユメは目をパチパチと瞬かせながら見つめた。

 

 

「ホシノちゃん、ほっぺたにスープついてるよ」

 

「うへっ!?ちょ......!私が喋ってる時にでも言ってくださいよ!」

 

 

「熱弁してたから、邪魔したら悪いかなって......」

 

 

シュクはホシノのほっぺたについたラーメンのスープをウエットシートで優しく拭き取る。

 

その様子をニコニコしながら眺めるユメ。

 

 

「仲良しだねぇ......」

 

「......まぁ、それは否定しませんが」

 

 

「うへ、ありがとうね。ずっと仲良くしてくれて」

 

 

ホシノのたまに出てくる口癖をシュクもまた声に出しながらホシノの頭をいつものように撫でる。

 

 

「はははっ、やっぱりこの光景はいつ見ても変わらないね」

 

「あ、ご馳走様です大将」

 

 

「こっちこそいつも贔屓にしてくれて助かってるよ」

 

 

店の奥から餃子の入った皿を片手に、柴犬のような見た目にそのラーメン屋の名を刻んだ浴衣を身につけた店主が三人に話しかけた。

 

 

「はい、これ餃子」

 

「えっ、と.......すみません頼んでないんですが......」

 

 

「サービスだよ。やっぱり、食べ盛りのみんなはちゃんと食べないと」

 

 

「わぁい!ありがとうございます!」

 

「いただきます、大将」

 

 

『柴関ラーメン』

アビドス外輪に位置するラーメン屋。

 

アビドス自治区に入ってすぐに店を構えているため、アビドスの玄関口といっても過言ではない。

 

実際、その名を背負うほどの味とリピーターを持っている。

 

 

餃子を取り分ける三人の近くに、テーブル席から椅子を引っ張ってきた『柴大将』も座った。

 

 

「......お店、大丈夫ですか?」

 

 

「ん?ああ、最近はちょこっとずつだけど、客足が遠のいちゃってね......まぁでも、まだ通い詰めてくれるお客さんがいるおかげでやっていけてるよ。それこそ君たちみたいなね」

 

 

シュクはその答えにホッと胸を撫で下ろす。

 

 

「だから、これからも贔屓にしてくれると助かるよ」

 

「ここのラーメン美味しいから毎日通いたいくらいです!」

 

 

「ははっ!そりゃ嬉しいね」

 

 

和気藹々とした雰囲気の中、突然店の扉が開いた。

 

 

「うわっ、古臭え店......」

 

「んだよ口コミより全然古いじゃねぇか......」

 

 

黒いセーラー服を着た明らかに『不良』の格好の2人の少女が来店。

来店早々酷い言いようである

 

 

「いらっしゃい、何名様で?」

 

そんな客に対しても柴大将の対応は変わることなく、丁寧に前に出た。

 

 

「見たらわかるだろ2人だ!」

 

「おっ、テーブル空いてんじゃん」

 

 

どすっと勝手にテーブル席に座り、片方の少女はテーブルに足すら上げている。

 

 

「味噌二つ」

 

「海苔トッピングな」

 

 

「へい、少々お待ちを」

 

 

「ぷくくっ!『へい』だってさ!ギャハハッ!」

 

「店主が古臭かったらそりゃ店も古臭くなるか!ヒャハハハッ!」

 

 

嘲笑、つまり嘲り。

 

店内全体に響くような大声で柴大将を嘲られたのだ

 

 

「.........待っててください。今静かにさせてきます」

 

「ちょっとおいたがすぎてるかな?」

 

 

この2人が、怒らないはずもない

 

 

「大丈夫だよ。ああ言うのにも慣れてるから」

 

「......でも」

 

「大丈夫、ラーメン食べたらすぐ帰るよ」

 

 

柴大将は大人の余裕を見せつけ、厨房へ入っていった。

 

 

 

その間も、不良2人の声がやむことはなかった。

 

 

 

「え、なあなあ厨房見てみたくね?」

 

「おっ!いいじゃん入ってみようぜ」

 

 

逆にその勢いはヒートアップするばかり。

遂には席を立ち、柴大将が入っていった厨房にその愉悦の矛先を向けた

 

 

「だ、だめだよ!!」

 

「あん?なんだこいつ」

 

 

その蛮行を止めるため、ユメは両手を大きく広げて通せんぼするように不良2人の前に飛び出した。

 

 

「お店では大人しくして......ね?」

 

 

「はぁ?テメェには関係ねぇだろうが」

 

「でしゃばっちゃった感じですか〜?」

 

 

煽りを交えつつ、不良2人はそれぞれ持っていた銃をユメに向けた。

 

「ひゃっ!?」

 

ひけらかされた銃に怯えたユメを、2人はまた嘲った。

 

 

「痛い目見たくなかったらさっさと失せろよ」

 

 

「変な正義感見せてんじゃねぇよデカパ________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャララララッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「.........へ?」

 

 

 

 

 

瞬間、蛇腹剣のようなものを振るったシュクがユメと不良の間に割って入り、片方の不良の銃をバラバラに切り裂いた。

 

 

「失せるのは、そっちの方ですよ」

 

 

「うぎゃっ!?」

 

 

ホシノもまたショットガンで不良を物理的に黙らせ、残ったのは武器を失った方の少女だけであった。

 

 

「......今、ユメちゃんになんて言おうとした?」

 

「......えっ......?いやっ、その......」

 

 

ガンッ!!

 

 

「ひっ......!」

 

 

返答を聞く前に、シュクはその蛇腹の剣を杖のように勢いよく床に突き立てた。

 

そうすると剣は元の杖に戻り、いつもシュクが歩く時に使っている銀の杖に形状を変えた。

 

 

「なんと言おうとしたかと聞いているが?()()は言葉が聞こえないわけではないだろう」

 

 

いつもの穏やかな声から一変し、シュクは低く冷たい声で不良の胸ぐらを掴みながらその言葉を連ねる

 

 

「良い機会だ、貴様らのような下卑な輩がアビドスで無礼を働いた場合、どのような末路を辿るか......ここで見せしめに________________

 

 

 

シュクは手刀のように指先を揃え、その手を不良の心臓目掛けて________________

 

 

 

 

 

 

 

「シュクくん!!」

 

 

 

 

 

「......あ」

 

 

ユメの声が聞こえた時、シュクは不良の胸ぐらを離した。

すでにシュクの威圧感によって気絶した不良の少女は脱力してそのまま倒れ込んだ

 

 

「わ、私は大丈夫だから、もういいよ?」

 

「ぁ.......う、ん......ごめん、ユメちゃん......」

 

 

「......テーブルに戻りましょうか。あなたはそこで伸びてるやつを持って帰ってください」

 

 

「は、はいィッ!!」

 

 

ホシノの一喝によってホシノに撃たれた不良はシュクに気絶させられた不良とバランバランになった銃を回収して店を出ていった。

 

その間にシュク達は元いたテーブル席に戻り、少し冷たくなってしまった餃子に手をつける。

 

 

「......えっと、その、ごめんね......私が余計なことしなかったら......」

 

 

「ユメ先輩のせいじゃない、とは一概には言えませんが、悪さの比率で言えばあの不良に多く分配されてます。気にすることないです」

 

 

ホシノはいつも通り、ユメは少し申し訳なさそうに

 

 

「......兄さんも、気にしないでくださいね。少しやりすぎな気もしましたけど、紛れもなくユメ先輩を助けたんですから」

 

 

「う、うんうん!助けてくれてありがとう、シュクくん!」

 

 

「......うん、ごめんね変なとこ、見せちゃて」

 

 

 

そして、シュクは明らかに申し訳なさそうに声を小さくしていた。

 

いつものような穏やかさに戻ったと言うより、明らかにそれより萎縮しているように聞こえた。

 

 

 

「はいお待たせしました味噌ラーメン.........ってあれ?さっきの子達は?」

 

 

 

味噌ラーメンは、結局無駄になってしまったようだ

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

 

 

「......ねぇねぇ、ホシノちゃん」

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

13時43分

校舎に戻ったユメとホシノはいつもの生徒会室で事務作業を行なっていた。

 

ちなみにシュクはパトロール中である。

 

 

 

「......シュクくんって、頑張り屋さんだよね」

 

 

「......ですね」

 

 

ホシノは書類、ユメは自分の腕を枕にして窓の外の青空を見ていた。

 

故に、2人の視線が合うことはない

 

 

「............もしも、私がドジなせいでシュクくんに負担をかけてたら.........やだなぁ」

 

 

ユメは自分を情けなく思っていた。

 

シュクのように、ホシノのように前線に出て戦うことができない自分を、心底情けなく思っていた

 

だからこそ前線に出られるように盾を持ったと言うのに、盾を構えて銃弾を受けるのも怖くてできない

 

 

「兄さんは、そんなこと思ってませんよ」

 

 

「でも、今日もシュクくんに......多分無理させてただろうし」

 

 

ユメは翡翠色の長い髪を指先でいじり、その指先を見つめていた。

 

 

 

 

 

「......私が、守れたらいいのになぁ」

 

 

 

 

 

ホシノはそのつぶやきを、なぜか聞かぬふりをした

 

 

その心境はなぜか、謎のざわめきを抱いた

 

 

 




工房の仕掛け武器『仕込み杖』

マエストロが作り出した工房の「仕掛け武器」の一つ。
刃を仕込んだ硬質の杖は、そのままで十分に武器として機能するが、仕掛けにより刃は分かれ、まるで鞭のように振るうことができる。

小鳥遊シュクが用いる仕掛け武器の一つであり、さまざまな用途に使用できる使い勝手の良いこの武器はシュクの手のひらによく馴染んでいる。

武器を杖に模したことにより、シュク自身の凶暴性を抑え込むための意思でもある
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