願いの物語シリーズ【ヒナちゃんねる2】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第1話『これからは色々な人をゲストに呼んだり、コラボしたりします!!』

ある日の撮影現場で、私は不意に掛かってきた陽菜さんの電話にまるで心臓が握りつぶされた様な衝撃を受けました。

 

『お願い……助けて、佳織ちゃん』

 

「ど、どどど、どうしたんですか!? 陽菜さん!?」

 

『うっ、くっ、苦しい……』

 

「陽菜さん!? 陽菜さん!? 大丈夫ですか!? 陽菜さん!?」

 

『い、今すぐ、東七本松ビルに来て……』

 

「ひ、東七本松ビルですか!? 分かりました! 何か必要な物はありますか!?」

 

『い、今やってるドラマとか、宣伝したい物があれば……それを』

 

「は、はい! すぐ準備して向かいます!!」

 

『う、うぅ……事故に遭わない様に、ゆっくり来てね……うっ、ガクリ』

 

「陽菜さーん!? で、電話が切れてしまいました。急いで準備しなくては!」

 

私は切れてしまった陽菜さんの電話に動揺しながら、先ほど話していた今撮影中のドラマの宣伝に使えそうな物は無いか監督さんに相談しに行きました。

 

そしてチラシをいただき、急いで撮影現場を飛び出そうとして、腕を誰かに掴まれてしまいます。

 

「きゃっ」

 

「そんなに慌ててどこに行くんだ? これから僕と食事に行く約束だろう?」

 

「あっ、そ、そうでした。あ、あわ、あわ、どうすれば、ど、どうすれば」

 

「何か事件か? 急用ならそっちを優先すれば良いと思うけど。僕に出来る事なら話は聞くよ? 親友だろ?」

 

「そ、颯真君……! ありがとうございます。それが、大変なんです。陽菜さんが!」

 

「夢咲が?」

 

「何か事件に巻き込まれたか、病気かもしれません!」

 

「ふぅん? 詳しく聞こうか?」

 

「は、はい。先ほどお電話が掛ってきたのですが、何やら焦った様子で、すぐに東七本松ビルに来て欲しいと言っていました。それと、今撮影しているドラマの宣伝出来るものも持ってきて欲しいと」

 

「……チッ。夢咲め。どこで話を聞いたか知らないが、また邪魔しに来たか。いや、待てよ? これは逆に使えるな」

 

「颯真君?」

 

「よし。佳織。事情は分かった。夢咲の危機だ。僕も一緒に行こうじゃないか。東七本松ビルにね」

 

「ありがとうございます! 颯真君! 颯真君が来てくれるなら百人力です!」

 

「まぁ当然だが? そんなに気にしなくても良いよ。ただ、そうだな。きっと夢咲も僕が急に行ったら驚くだろう。だから最初は佳織だけ先に行ってくれ。僕もすぐに向かうからさ」

 

「わ、分かりました。では先に行きます! 現地でお待ちしてますね!」

 

「あぁ。後でね」

 

私は颯真君と別れ、東七本松ビルまでマネージャーの福田さんに車をお願いして向かいました。

 

福田さんには事情を話し、なるべく急いでくれるとの事でした。

 

感謝で言葉もありません。

 

しかも一緒に陽菜さんが待っている部屋まで来てくれるとの事で、私は福田さんと共に陽菜さんの元へと向かうのでした。

 

 

 

そして、陽菜さんが待っているという部屋に入った私は、入った瞬間にメイクさんに捕まりテレビに出る時の様な準備を行いました。

 

陽菜さんが大変な時にこんな事をしていて良いのかと疑問ですが、陽菜さんからの依頼だと言われれば何も言い返す事は出来ません。

 

大人しくする事でなるべく早く準備を終えていただき、いよいよ陽菜さんの待っている部屋に向かいました。

 

部屋は撮影準備が進んでおり、中央にあるソファーには陽菜さんがゆったりと座っていました。

 

「あ。佳織ちゃーん。いらっしゃーい」

 

「陽菜さん! 体調は、どこか悪くないですか!?」

 

「うん。いつものパーフェクトヒナちゃんだよ」

 

「……はぁ、良かったぁ」

 

「そんなに心配してくれたの? ありがとう。佳織ちゃん。でも、大変なのはこれからだからさ。まずはジュースでも飲んでよ」

 

「は、はい。これから何か重大な事が起きるのですね」

 

「うん。ヒナちゃんねるの配信」

 

陽菜さんに言われた言葉を頭で繰り返しながら私は差し出されたジュースを口にしました。

 

ヒナちゃんねるの配信。

 

ヒナちゃんねる?

 

確か、陽菜さんが始めた配信サイトでの活動だったでしょうか。

 

しかし、それと陽菜さんの危機になんの関係が……?

 

「陽菜さん? 大変な事が起きたという話は」

 

「さ。佳織ちゃん。そろそろ配信が始まるよ。準備しようね」

 

「あ、そうですね。申し訳ございません。はい! 準備します」

 

私はジュースを目の前のテーブルに置き、撮影時と同じ様に小さく息を吐いて心の準備をします。

 

そしてスタッフさんの合図があり、ヒナちゃんねるが配信開始となりました。

 

「はいはーい。こんばんはー。おはよう。こんにちは! これだけ言えばどれか合ってるでしょ」

 

【適当過ぎて笑う】

 

【アンチ君が余計な事言うから陽菜ちゃんが挨拶適当になっちゃったじゃん】

 

【一応アンチの言葉を受け入れる陽菜ちゃんの優しさに涙】

 

【優しいか……?】

 

【餌くれるなら優しいやろ。ワシは餌をくれれば芸するぞ】

 

【オッサンの芸とか誰も喜ばんから】

 

【なんでや! アザラシに似てるなら愛せるやろ!】

 

【無理】

 

【失せろデブ】

 

【痩せろデブ】

 

【フルボッコで笑う】

 

「はいはい。あんまりオジサン虐めないの。ところでみんな!? 気付いているかな? 今日はすごーいゲストがいるんだよ!? はい。佳織ちゃん。挨拶して!」

 

「あ、はい! はじめまして、でしょうか。山瀬佳織と申します。よろしくお願いいたします」

 

【あらやだ礼儀正しい】

 

【どっかのチャンネル主さんに見習わせたいっスねェ】

 

【ここがヒナちゃんねるという事を忘れるな】

 

「オラオラ。どういう意味じゃーコラー! 私っていう美少女が居て何が不満なんじゃー!」

 

【そういう所では?】

 

【並べてよく分かる育ちの違い】

 

【陽菜ちゃんはなんていうか、山とか似合いそうだもんな】

 

【自然が似合う美少女って訳。まぁ山瀬佳織は深窓の令嬢って感じだけど】

 

【陽菜ちゃんにも良い所はあるって】

 

【何がとは言わんが、見た目も大分……大人と子供って感じ】

 

【陽菜ちゃんってもう二十歳手前だろ? マジ? まったく見えん】

 

【合法ロリって奴だな】

 

「うぇーん。佳織ちゃーん! 社会のゴミ共が私の事虐めてくるよぉー。私の事子供みたいだって!」

 

「あえ!? よしよし。私は陽菜さんの事お姉さんみたいに思ってますよ」

 

「ほら見ろ! お前ら!! 分かったか!? 私がお姉さんだ! 佳織ちゃんが妹なの! 分かる?」

 

【こ れ は 酷 い】

 

【完全にお姉さんとロリじゃん。始まったな】

 

【ふぅ】

 

【今夜はこれで良いか】

 

【よく見て? 佳織ちゃんは大人の対応してるだけよ。我儘言ってる陽菜ちゃんがより子供に見えたわ】

 

「ケッ! もう良いよ。ふーんだ。どうせお前らはそこで画面見てる事しか出来ないんだからさ。こうやって佳織ちゃんに触る事は出来ないんだ。あーカワイソ、カワイソー」

 

陽菜さんは画面に映ったコメントの方々……おそらくは視聴者の方と流暢に会話をしながら私の腕や足などを撫でて笑います。

 

そんな所が何だか子供っぽくて私は笑ってしまいました。

 

【煽るやん】

 

【でもまぁ、実際俺らが触ったら一瞬でポリスメンよ】

 

【俺も女の子に生まれたかったなぁ!】

 

【いや同性でも相手が嫌がってたら犯罪だからね? 逆に異性でも許してくれれば罪は無いぞ】

 

【ほーん】

 

【確かどっかの雑誌で佳織ちゃんは殆どNOと言わないと書いてあったな】

 

【なるほど閃いた】

 

【山瀬耕作「ミンチにするぞ」】

 

【ひぇ】

 

【本人が言いそうな事ヤメロ】

 

【実際に言った事もあるぞ】

 

【マジかよ! ヤバすぎ!】

 

【確か、どっかのアイドルが佳織ちゃんと共演した時にナンパして、ちょうど共演してた山瀬耕作がブチ切れて言ったとか何とか】

 

【まぁ大分過保護だしな。あの父親】

 

【いうてお前らかて佳織ちゃんみたいな娘が居たら過保護になるだろ】

 

【当たり前なんだよなぁ】

 

「ちなみに私もその話知ってるけど、ミンチにするぞじゃなくて、打ち首にしてやろうか。だからちょっと違うよ。ちょうど刀持ってたからね。迫力満点。ね。佳織ちゃん」

 

「そうですね。あの時のお父様は本当に真に迫った様な演技でした。私ももっと精進しなくてはと思い知らされました」

 

【演技? 本当に演技だったんですか?】

 

【まぁ一応演技も0.0001%くらい入ってたんじゃない?】

 

【ほぼほぼ演技じゃなくて笑う】

 

【山瀬耕作だし】

 

【てか、今更なんだけど、なんで佳織ちゃんがヒナちゃんねるに出てるんだ?】

 

私はその鋭いコメントにハッとなりました。

 

そう言えば陽菜さんに大変な事があり、ここに来ていたという事を思い出したからです。

 

ゴクリと唾を飲み込んで、重大発表をする為に立ち上がった陽菜さんを見つめます。

 

「ふっふっふ。遂にその疑問が出ましたか。ではお答えしましょう!」

 

「……ドキドキ」

 

【口に出してるのかわE】

 

【シッ。静かにしろ】

 

「ズバーリ! 佳織ちゃんを呼んだのは、ヒナちゃんねるに新鮮な空気を入れる為です!!」

 

「そ、そうだったんですね!」

 

【つまりチャンネル登録者数を増やす為……?】

 

【おっと、それ以上はいけない】

 

【勘のいいガキは嫌いだよ】

 

【言うてもう五十万人超えてるし。そこまで気にする程かね】

 

【全盛期の人気からすれば落ちとるしなぁ】

 

【テレビに出てた頃の人気ってよく分からんだろ。確かに国民的アイドルって言われてたけどさ】

 

【アンチも多かったしな】

 

【つまりアンチを黙らせる目的で山瀬佳織を呼んだって事ォ!?】

 

【別に山瀬佳織が来てもアンチは黙らんだろ】

 

「ヒナの事を好きじゃない人の事はとりあえず置いておいて良いよ。佳織ちゃんを呼んだのは、これからのヒナちゃんねるにとって今日が大事な日になるから呼んだの!」

 

【ほぅ】

 

「そう。これまではお兄ちゃんと二人でやってたこのチャンネルだけど! これからは色々な人をゲストに呼んだり、コラボしたりします!!」

 

【キター!】

 

【これは、ワンチャン大野とか佐々木が立花繋がりで呼ばれる可能性が!! ある!!】

 

【マジかよ。そらチャンネル登録者も爆増するわ】

 

「和樹君はー。もう話してるから、その内呼べるんじゃないかな。大野は知らない」

 

【和樹くん? 佐々木と、どういう関係?】

 

【お兄ちゃんの友達だろ】

 

【友達って言っても五つ上だぞ。そんな呼び方する?】

 

「あれ? 言ってなかったっけ。和樹君ってその内お姉ちゃんと結婚するから。お兄ちゃんみたいなモンだよ」

 

【はぁぁああああ!?】

 

【あれ? 佐々木の彼女さんって、大野の嫁さんの妹なんだろ。どっかの雑誌で読んだけど】

 

【つまり、大野とも兄妹の関係ってことに】

 

「ならないね」

 

【笑った】

 

【大野の扱い】

 

【頼む大野をゲストで呼んでくれ! 聞きたい事がいっぱいあるんや】

 

【アイツインタビューとかも「はい」か「いいえ」しか言わんからな】

 

【期待期待期待】

 

「大分反響があるねー。ま、楽しみにしててよ! たーだ。今日は佳織ちゃんがゲストなんだから、和樹君と、大野の話は無し。ね? じゃあ、始めるよ! 週末の夜長にー! ヒナちゃんねる!!」

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