何やらキナ臭くなってきましたねぇ…(対岸の火事)
目が覚めた。
ココ「あ、勇者様。おはよー!」
アラン「ふあぁああ…。おはよう…。ってあれ、そうか。気絶しちゃったんだっけ。」
ココ「……勇者様。一緒に…強くなろうね。」
アラン「?ああ。」
何やらココがしっとりしている気がするが…。とりあえずココが作ってくれた朝食をいただく事にする。
アラン「いただきます。」
ココ「いただきます!」
その後、身支度をして冒険者ギルドに向かった。
〜冒険者ギルド〜
何やら騒がしい。嫌な予感がする。
ダレカ!ハヤククスリヲ! クスリガタリナイ! ホウタイモアリッタケ!!
人ごみの中をかき分けると…。そこには凄惨な光景が広がっていた。
ギルドの大広間に布が敷かれ、そこには8人程の冒険者が横たわっている。皆、防具の下の服が血で赤く染まっていた。
ココ「酷い…。」
アラン「何があった…?」
フィオラ「あ、勇者様!ちょうど良かった。貴方をお呼びしようと思っていたんです。」
ひとまず人ごみの中からでると、専属受付嬢であるフィオラに声をかけられた。
アラン「何があったんだ?」
フィオラ「それに関してはギルドマスターと一緒に…。」
俺たちは奥の部屋に通された。
ブレイド「良く来てくれました…。勇者様。」
アラン「ギルドマスター。あれはいったい何が…?」
ブレイド「分からないんです。冒険者ギルドも24時間営業と言う訳でもありません。鍵はフィオラと私が持っています。今日はフィオラが先だったのですが…。」
フィオラ「私が来た時には8人全員が扉に寄りかかるように倒れていて…。その後別の職員が来たので、広間に布を引いて備え付けの救急キットと回復ポーションで治そうとしたのですが…。」
フィオラ「その…ポーションが効かないんです。こんな事初めてで…。今は別の職員に任せて、教会の…聖女様に診てもらおうと、至急伝令を出しているのです。」
ココ「……ポーションが効かない以上は聖女様に診て貰うしかないもんね。どう考えても自然に治るものでもないだろうし。」
ステラ『聖女とは、エル・ステラ神聖連邦全土で信仰されている宗教…ステラ教で、大天使に力を与えられて、他とは違う特殊な魔法…神聖魔法を使う事に特化した女性の事です。』
ステラ『各種族に一人。何らかの理由で神聖魔法を行使できなくなった場合は、教会のする儀式で選別された子供たちの中から選ばれます。』
アラン「とにかく、今は聖女様の到着待ちか。」
フィオラ「そう…ですね。念の為、勇者様たちスピードクロウには里の近くの依頼を受けてもらいます。」
アラン「そうしよう。何か原因が分かるかもしれない。」
ココ「任せて!」
フィオラ「何か掴めたらこの魔道具。音飛ばしで連絡をお願いします。使い方は…ココ様が知っているはずです。」
ココ「知ってる!」
アラン「じゃあココ、君が持っていてくれ。」
ココ「分かった!」
〜エルフの里近く 南〜
結局、あの後緊急として出された薬草採集の依頼を受けた。とは言え、今だにゴブリンの群れ事件の影響があり、薬草はほとんど無い。
ココ「無いなぁ…。」
アラン「うーん。やはり取り尽くされているのか…?」
ココ「もう少し奥に行きたいけど…。あまり離れられないしなぁ…。」
アラン「仕方ない。じゃあ一旦帰るかな…。ッ!」
その時、突然緑の影が飛び出してきた!
ゴブリン「ゲギャギャ!」
ココ「ヒッ!あ、あああ。」
アラン「ココ。落ち着いて後ろに。」
ココ「ふぅ…ふぅ…大丈夫…。大丈夫…。う、うん分かった…。」
ゴブリン「ゲギャァ!」
例にもよって棍棒が振り回される。が、遅い。ガラ空きの胴に蹴りを入れた。
ゴブリン「グエァ…。」
アラン「よし…ココ、もう大丈夫…。!?」
その時、火の玉が飛んできた。おかしい。詠唱など何も聞こえなかった。ステラによると火の玉…ファイアボールの射程はそれほど長くなく、有視界程度にまで接近しないと効果は無いそうだ。今日は風も強くない、動物もいない。うるさくて聞き逃した事も無いだろう。
アラン「何故だ…?何処に…。」
ビュン!
アラン「ッ!」
まただ。また何も無い所から…。……いや待て、本当に何も無いか…?
アラン「ステラ。俺の瞳に魔力の反応が映る様にしてくれ。」
ステラ「……!なるほど。了解しました。」
キィン
瞳に魔力反応が映る。と、案の定…。
アラン「そこ。」
ゴブリンシャーマン?「グェア!?」
アラン「やはり魔法だったか…。しかし…。」
シャーマンは倒したが、魔石の色が記憶しているものと違う。所々黒ずんでいる。それに…ステラから以前に聞いたが…。
アラン『ステラ。無詠唱魔法は限られた者にしか出来ない高等技術じゃなかったか?』
ステラ『ええ…。その筈です。いくらゴブリンシャーマンが魔法に特化した魔物だとは言え…流石に…。』
アラン「異常か…。やはり早く帰ったほうが良さそうだ。」
ココ「うう…。勇者様…。」
アラン「っと…。ほら、よしよし。今日はもう引き返そう。今の事をギルドに報告しなくちゃ…。」
ココ「うん…。分かった。」
〜冒険者ギルド〜
フィオラ「消えるゴブリンシャーマンですか…。情報提供ありがとうございます。この魔石もこちらで調べてみますね。」
アラン「よろしく頼む。」
フィオラ「薬草はありませんでしたが…。情報提供をしていただいたので、報酬は払いましょう。銅貨30枚です。」
ちなみに銅貨を10枚で銀貨一枚に、銀貨10枚で金貨に、そして金貨100枚で星金貨になる。……まあ星金貨は国と国との取引で使われるような額なので、庶民には見る機会はないだろう。
アラン「分かった。ありがとう。……他にする事はあるか?」
フィオラ「後は他の冒険者達の仕事もありますので。勇者様は何時でも動けるように今日はもうお休みになって下さい。あ、でも連絡手段として音飛ばしは持っていて下さいね。」
アラン「分かった。それじゃ…。」
フィオラ「お疲れ様でした。」
〜自室〜
…あの後、食材の買い物を済ませて自室に戻ってシャワーを交代で浴びて一息ついた。
アラン「……結局何だったんだ?アレ。」
ステラ「…分かりません。ですが、非常に嫌な予感がします。」
アラン「とは言え…情報が無さすぎてどうともできん。…ちょっと早いけど…寝るか。」
ココ「勇者様…。一緒に寝よ…?ちょっと怖くて…。」
アラン「ヴェッ。」
ココ「駄目…?」
アラン「……まぁ良いか。何とかなるだろう。」
ステラ「……。少し彼女近くありませんか?もう少し離れて…。」
ココ「ステラ様も傍にいて…?」
ステラ「ングッ…。ふっ。や、やりますね。まさか私でさえも狼狽えさせるとは…。」
……ステラを傍に置いて寝た。やけに静かな、嫌な夜だった。
ココちゃんカワイイね。