記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

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克服

 

〜ココ視点〜

 

あれから、隊長に怒られて部屋で寝た。……正直言ってあまり寝つきはよくなかった。だが、全く寝ないよりはマシだ。

 

ステラ「まずは第一部隊の詰所に行きましょう。戦況を把握しないと。」

 

ココ「うん。」

 

 

〜第一部隊 詰所〜

 

ココ「団長!戦況は!?」

 

ヴァネッサ「ココ!?寝ていなくて大丈夫か?」

 

ココ「大丈夫!あんまり寝れてないけど、それでも動けるから!それより!戦況は!?」

 

ヴァネッサ「……厳しい。里長様が遂に前線に出られた。魔法でゴブリン達を攻撃しては居るが、倒しても倒しても湧いてくるゴブリンを前にそろそろ魔力も尽きかけている。…里長様の魔力が尽きたら交代で私が前線に出ることなっている。だが、正直言って里長様が魔力を回復できるまで抑えられる気がしない。いかんせん…数が多すぎるんだ。」

 

ココ「そんな…。ゆ、勇者様から連絡は…?」

 

ヴァネッサ「無い。この魔道具…音拾いの石を、里の隅々まで、拾い損ねることが無いように配置しているが…。」

 

ココ「勇者様…。もしかしてもう…。」

 

ステラ「……ダメです。ココ。希望を捨ててはいけません。」

 

ヴァネッサ「アリシア殿が要請した首都アイギスからの援軍が来るまで、あと3日…。それまで何としてでも持たせなけれb…」

 

音拾いの石「ザーピーガガッアーアーマイテスマイテス…よし、繋がったな。」

 

ココ「!?この声って…!」

 

ヴァネッサ「勇者アラン…!生きていたか…!至急!逆探知とこちらの音飛ばしに接続を急げ!」

 

隊員「は、はい!」

 

アラン「あー聞こえるかー?聞こえてたら返事を頼む。」

 

ザザッ

 

ココ「こちらココ!ココだよ!勇者様!」

 

アラン「おー。ココか。最初に出たのがお前で良かった。通信はちゃんと聞こえているか?」

 

ココ「ッ…!うん!聞こえてるよ!勇者様!」

 

アラン「よし。……積もる話はあるが本題に入ろう。今はダンジョン内の魔力タンクに繋げて使用している状態だ。そう長くはもたない。」

 

ココ「ッ…。うん。」

 

アラン「そちらはどうだ?何か異常は?」

 

ココ「実は勇者様が攫われてすぐ、ゴブリン達が襲撃を仕掛けて来たの。皆頑張って抵抗してるけど…。正直言ってこのままじゃ持たない。」

 

アラン「……なるほど。キツいな。こちらも余裕がない。一応一緒に囚われていたエルフ…第一部隊のフリエと共に首謀者三人組の一人は倒すまでにいたったが…。俺も重傷を負った。フリエがポーションを拾って看病してくれなきゃ終わってた。」

 

ココ「え…?大丈夫…。何だよね?」

 

アラン「何とか全快できた。だが、ポーションはもう無い。文字通り後が無い状態だ。戦力は…首謀者が、非道な人体実験で攫ったエルフ達をダークエルフに変えた。今は俺がマスターになっているらしく、それを利用して進むつもりだ。」

 

ココ「私も、そっちに向かうから…。それまで待ってて。」

 

アラン「ダメだ。ここで時間を使う訳には行かない。そちらも余裕が無いのだろう?俺だけ助かっても、帰る場所がありませんではどちらにしろ詰みだ。」

 

ココ「うう…。じゃぁ、途中で合流だね…。死なないでね。」

 

アラン「もちろん…。と言いたいところだが、大真面目に話をすると、死ぬ確率の方が高い。」

 

ココ「ッ…!そんな事言わないでよッ!

 

アラン「まあ聞け。良いか、このダンジョンは一方通行だ。つまり、まっすぐ進めばそれで辿り着く。マッピングの必要はない。ココ。お前の脚ならもしくは…。」ザザッ

 

ココ「ッ!?勇者様!通信が!」

 

アラン「クソッ。もう時間か。とりあえずココ。ダンジョン内にはゴブリンもたくさんいる。どうするかはお前に任せる。頼んだぞ。」ザザッ

 

ココ「っ。うんっ!絶対…絶対助けに行くから!」

 

アラン「ありがとう。…もう限界だ。切るぞ。」ザザッザープツッ

 

ココ「勇者様!」

 

その後、通信を逆探知し、入り口を特定した。入り口は…現在、最も攻撃が激しくなっている、里長様が戦っている南の防衛線だ。

 

ココ「勇者様…。絶対。助けるからね。」

 

戦いが、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ダンジョンの中 ハチの研究室〜

 

アラン「ふぅ…。何とか助けを求められたな…。」

 

フリエ「でも、まさか里がそんな事になってるなんて…。」

 

アラン「……たぶん、俺が居なくなったからだ。エルフの里は今、ただですら食糧不足と事件続きで弱っている状態だ。俺もゴブリン関連で散々暴れた。そして、聖女様の護衛である程度名声も広がっていた…、はず。そこを利用された。俺が居なくなった動揺でできた隙を、見事に突かれた。」

 

フリエ(自分の名声に関しては明らかに自信がなさげだ…。私も勇者様も似た者同士なのかも…。)

 

フリエ「大丈夫ッスよ。勇者様のせいじゃないッス。」ギュッ

 

アラン「えっ!?ちょっ!?あすなろ抱っ!?あばばばばば…。」ガクガク

 

サラ「マスターの女性耐性無しを確認…。DTと判定…。女性耐性向上のため、全個体でハグを実行。」ギュッ

 

アラン「あっちょっ。皆さん!?流石にやばばばば…。あと、DTちゃうわ!?」

 

フリエ「え?違うンスか?……私は初めて捧げたのに…。」

 

アラン「へっへっへ…。んな訳ないじゃないすかぁ…。こちとら彼女どころか、女友達さえいませんでしたよ、記憶喪失っすけど、そんな気がするッス…。うっあああ。」

 

フリエ「あ、自分で言って自分でダメージ受けてる。」

 

ダークエルフ2「提案。そろそろ先に進むべき。時間がない。」

 

フリエ「そうッスねぇ…。って、喋れたんすか?」

 

ダークエルフ2「解答。必要が無かったから発言しなかっただけで、我々は全ての個体が喋れる。」

 

フリエ「へぇ…。じゃ名前が必要ッスね。うーん…。そうだ。

じゃあ、貴方は…ルナ。」

 

ルナ「ルナ…。…登録。今日から私は…ルナ。」

 

アラン「うん。いい名前だ。」

 

フリエ「あ、戻った。……そろそろ行きましょうか。」

 

アラン「ああ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ダンジョン ボス部屋〜

 

サソリ「…何?勇者が…。仕方あるまい。ダークエルフが反乱を起こした時の為の煙を用意しろ。魔力吸収と…脱力化だ。後はゴブリンどもに時間稼ぎをさせろ。全ての廊下にトラップとシャーマンを配置。」

 

クモ「分かったわ。ここまで来たんだもの。絶対に邪魔をさせない。」

 

サソリ「ああ。ハチがやられたのは痛いが…。まあ良い。我々も戦闘準備だ。」

 

クモ「ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ココ視点〜

 

あれから、準備を整え、ステラを背負って、私は南の防衛線に立っていた。

 

ココ「勇者様…。絶対助けるからね。」

 

ステラ「ええ。もう二度と…離れません。」

 

ココ「うん。帰ってきたら、たっぷり甘えるもん。」

 

騎士団隊員「ココ様!用意ができました。お願いします。」

 

ココ「わかった!」

 

ステラ「行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エテル視点〜

 

エテル「ぐっ…う。」フラッ

 

体が重い。煙のせいで、魔力がどんどん減っていく。

 

エテル「ッ…。グラン…ボルケイノ。」ズドォン

 

ゴブリン達「グギャァァァァ!!」

 

エテル「クッ…流石に…。」

 

休憩をところどころ挟んでいるが、所詮は子どもの体。体力が持たない。

 

エテル「ぐあっ…。クソッ…。」シュゥ

 

上級魔法はもう撃てない。威力が下がる。そうすると、攻撃をすり抜けるゴブリンが出てくる。

 

エテル「アーク…ファイアボール!」ドォン

 

シャーマン「グゲゲ…。グギャァッ!」ズドバァン!

 

エテル「!?グアっ!?」パリン

 

隊員「里長様!?ガッ!?」

 

二重属性…ここに来て…。結界が割れる。そこに…。

 

エテル「ぁ…。」

 

シャーマン「グゲガァ!」ズバァン

 

特大の…かまいたち。ここまでか。

 

エテル「クソッ…。」

 

勇者よ…また…会いたかったぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァネッサ「ぐっ…ううう…うぁぁ!!」ガキィン!

 

エテル「ヴァネッサ!?」

 

ヴァネッサがかまいたちを剣で受け止め、そのまま上方へ逸らす。

 

ヴァネッサ「里長様…。お下がりください…。交代です。」

 

エテル「何を言うておる!?まだ時間ではないわ!」

 

ヴァネッサ「しかし限界でしょう。それに…希望が見えました。」

 

エテル「何…? !?あれは!」

 

ココ「うわぁぁぁぁぁ!!どけどけどけぇ!」ズババババ

 

ステラ「ココ!あまり無駄に動かないでください!体力は温存するのです!」

 

ココとステラだ。ココは魔力があるため、ステラは使えないが、背負うだけなら問題無い。ココは未だに少し怖いのか、震えながらも突撃してククリナイフを振り回している。

 

エテル「っ…!若い者に負けておれんな!皆のもの!もう少しの辛抱だ!もう少しで…我らが勇者が帰ってくる!」

 

エルフ1「え…!勇者様が…。」エルフ2「それなら…!」

エルフ3「もう少しだけ…!」

 

エテル「ココを援護しろ!奴がダンジョンの入り口に入るまで…。絶対に止まらせるな!」

 

エルフ達「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ココ視点〜

 

ココ「うわぁぁぁぁぁ!?」ブンブン

 

怖い。怖い怖い怖い!でも…勇者様が居なくなるほうが何倍も怖い!だから走る。脚は止めない。

 

ドオン!

 

ココ「!?」

 

近くで爆発が起きた。何処から…。

 

エテル「ココー!!」

 

ココ「里長様!?」

 

エテル「援護する!走れ!止まるな!」

 

魔法の杖につかまりながら、里長様が必死に叫ぶ。もう煙のせいで立ってるのもつらいはず。

 

ココ「わかった!ありがと!」ダッダッダッ

 

斬る。斬る。走る。繰り返すにつれ、ゴブリンへの恐怖心は消えていった。

 

ステラ「ココ…!あなたトラウマを…!そうですか…。乗り越えたのですね!」

 

ココ「え?」

 

自分の体を見る。震え一つない。もう怖くない。

 

ココ「ホントだ…!もう、怖くない!」

 

ステラ「行きましょう!」

 

ココ「うん!」

 

ダンジョンの入り口についた。この先に勇者様がいる。

 

ココ「待っててね…!勇者様!」

 

そうして私は…ダンジョンへの階段を降りた。

 

 

 

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