ヒート!メタル!
〜アラン視点〜
アラン「うぉっ!」ズパァン
あれから走り続けている。回避に失敗して数回の被弾はあったが、どれもかすり傷か胴鎧に当たってノーダメージで済んでいる。
ステラ「主様!もう少しです。頑張ってください!」
アラン「よし…。っと!」ズパァン
だんだん巨大な魔力反応に近づいている。………!アレだ!
アラン「おいおい…デカすぎだろ…。」
ステラ「あの大きさは…くっ。コアまで刃が届くかどうか…。」
デカい。通常のキングスライムよりも数倍デカい。アレは流石にココでも体を連続で斬り落とすのは無理ではなかろうか…。
アラン「くっそ…。っ!とりあえずあそこに…!」
溶岩でできたであろう巨大な柱の影に隠れた。
アラン「っ…。ハァハァハァ…。」
ステラ「…長期戦は難しいですね。」
ここまで休憩を挟んでいるとは言え、走ってきているのだ、体力も心許ない。
アラン「くっそ…何か…何か無いか…?」
疲れた脳みそを必死に回転させる。………そうだ!
アラン「ステラ!いい事思いついた!」
ステラ「……!なるほど、これなら一気にコアまで行けますね!……ですが、これでは主様の身が…。」
アラン「四肢欠損ならアリシアに土下座して治して貰うさ。今はそれより…キングだ。」
ステラ「ぅぅ…。またそうやって…分かりました…。」
アラン「…ごめん。…よし。行くぞ。………今!」ダァン
柱の影から勢い良く飛び出す。そして…。
アラン「ステラ!」
ステラ「了解です!」ガシャァン
二本の巨大な柱にグラップルワイヤーを巻き付け、そのまま脚力だよりに後ろへ下がる。
アラン「ぐっぅ…。」グググッ
キツい。元々ワイヤー自体かなり弾性があるように作ってあるが…それでも反作用で油断してたら吹き飛ばされそうになる。
ステラ「っ…。主様…!脚が…。」
掠ったところから負荷のかけすぎで血が噴き出す。あまり時間はかけていられないようだ。
アラン「ぐっあ…。もう…少しっ!ぐっ!?」ズパァン
ステラ「主様!」
胴鎧に被弾。貫通することは無かったが、衝撃が体を突き抜ける。
アラン「がっ!?あっ!?うぐっ!?」ズパパパァン
ステラ「主様…!もう…もうやめましょう…!」
アラン「まだだ…。」グググッ
被弾したおかげでかなり後ろに下がれた。嬉しい誤算だ。
アラン「よし…。行くぞ!」
俺自身を弾にしたカタパルト。あとは発射するだけ。
アラン「……発射!ぐぅッ!」バチィン!
ステラ「主様!」
アラン「ぐぉぉぉお!!」ビュン
強烈なGと風圧がかかる。体を丸めて、少しでも空気抵抗を少なくする。
アラン「ス…テラ!」ビュンビュン
ステラ「っ!ハイッ!」ガシャァン
ステラを馬上槍に変形させて前に突き出す。あとはこのままコアを貫くだけだ。
アラン「ぐっぁ…。」ズパァン
ステラ「主様!しっかり!」
アラン「っは!くっ…。」
途中被弾する。が、気にしない。このまま突撃だ。
アラン「届けぇ!」ビュン
ズドォォォォオン!
ステラ「……!やりました!貫通です!」
キングマグマスライム「ギァァァァァァァア!ギッ…!」バァン
コアを貫かれたキングマグマスライムは爆散した。だが…。
アラン「ぐっ!があっ!」ガァン!
ステラ「主様!そんな…!」
着地に失敗。左脚が完全に紫色に変色し、逆の方向に曲がってしまった。
アラン「がぁぁ…。」
ステラ「主様!くっ…。ポーションは…もう無い…。」
道中の被弾で既にポーションは使い切った。こうなったら這いずってダンジョンコアを破壊するしかない。
アラン「ぐぅぁぁ…。」ズルズル
必死に右手と右脚だけで這いずってコアに近づく。そして…。
アラン「良し…。これでっ!」ブンッ
ステラを支えにして立ち上がり、ハンマーにして振り下ろす。足で踏ん張れないため、何時もよりは威力は無いだろうが…ダンジョンコアを破壊するには十分だ。
ズバァン!!
アラン「!?」
その時。ダンジョンコアから無数の黒い触手が伸びてきた。回避など出来るはずもない。咄嗟にステラを盾にして防御。
アラン「ぐっぁ…。がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
しかし、一つだけの小さな盾で全てを防御出来る訳もない。複数被弾し…地面に転がった。
ステラ「主様!そんな…ダンジョンコアに寄生する…モンスター!?くっ…とりあえず距離を!」
アラン「くっそ…。」
が…左脚が折れている。そんな急に走れるはずもなく…。
ステラ「主様!嫌っ!逃げてぇぇぇぇぇぇ!!」
アラン「ここまでか…。」
無数の黒い触手が来ている。速度的にも回避は不可能。最後の砦が発動しても…脚が折れている状態では突破は無理。ここまでだ。
アラン「終わりか…。」ガクッ
ステラ「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガァン!!
アラン「……?」チラッ
おかしい。何時まで立っても衝撃がこない。何故…?
シル「……間に合った。」
アラン「アンタは…その鋼の盾は…。そうか、助かった…んだな。」
シル「その出血…もう限界でしょ。休んでて。」
アラン「あぁ…。た…の…む…。」ガクッ
シル「うん。任せて。ステラも。」
ステラ「あぁ…。ありがとう。シル。」
シル「うん。久しぶりに声を聞けて嬉しい。それじゃ…。」
ステラ「よろ…し…く…お願いします…。」カタン
シル「さて、さっさとかかってきて。貴方の相手は…私。」
コア「GAAAAAAAAAAAAA!!」
モンスターの咆哮を聞いて俺は…気を失った。
〜シル視点〜
コア「GAAAAAAAAAAAAA!!」
シル「うるさい。」ガァン!
コア「GA!?」
うるさかったので素手で触手を殴って黙らせる。うるさいのは嫌い。
シル「触手は…強度はそこまでじゃない。私の時とは…スピードが大きく上回っている。」ガァンガァンガァン
コア「GAAAAAAAAAAAAA!…a?」バババババッ
が、防げない速度でも無い。大盾で受け流しながら前進する。
シル「……ふーん。そこから動けないんだね。」
さっきから小石を投げて攻撃しているのに、触手で迎撃するばかりで目の前に迫って来ていても回避行動を取る素振りすらみせない。つまりは…そう言う事だ。
コア「GAAAAAA!!」ズバァン
触手の先端を尖らせて突き刺すように繰り出してくる。が、こちらも神器使いだ。正面から受け止める。
コア「GA!?」グシャッ
あちらの触手のほうが脆かったようだ。当たった瞬間から砕けて青い血が飛び散った。
シル「……汚い。」フキフキ
シュタールに付いてしまった血を拭きながら、確実に距離を詰める。
コア「GAA…。GAAAAAAAAAAAAAA!!」ズバババババババ!!
シュタール「効きませんよ。……ハッ!」バチィン!
コア「GAA!!」グシャッ
シュタールの力で鞭のように振るわれた触手を弾いて潰し、ついに懐に潜り込んだ。
コア「GA…」
シル「終わり。」ブンッ
グシャッ。コアに正拳突きが炸裂し、動かなくなった。コアは潰れると思ったのだが…。
シュタール「寄生魔物の影響でしょうね。……ステラを起こしてくれませんか?」
シル「…え?もう少し寝かせて置いたほうが…。」
シュタール「彼女なら最悪魔力が無くても喋る事ぐらいはできます。それに…このコアを解析して可能なようだったら彼女に吸収させましょう。そのほうが今後の為にも合理的です。」
シル「ハァ…。相変わらず合理主義なんだから…。まあ良いよ。ほら。ステラ。起きて。」ペシペシ
ステラ「ん…んぅ…。…あ?シル?もう終わったのですか?」
シュタール「ええ。このコアの解析をお願いします。害が無いようなら吸収して下さい。」
ステラ「シュタール…。久しぶりですね。はい。任せてください。」ブワッ
シュタール「貴方達には早く強くなって貰わないと…。」
シル「…そんな事本人達が一番分かってるでしょ。だから私の依頼を受けたんだよ。早くレベルを上げるために。」
ステラ「叶いませんね…。はい、その通りです。主様も…若干焦っているようでした。」パチパチ
シル「勝手に連れてきて巻き込んだのは私達なのにね…やっぱり彼も勇者の器だね。」
ステラ「本当にそうですね…。はい。終わりました。害は無いようなので…吸収させていただきますね。」
シュタール「早くしてね。彼の手当てもあるんだから。」
ステラ「はい。それでは失礼して…。ふッ…くッ…あぁ…。」ブワッ
シル「……毎回思うんだけど、その声何とか出来ないの?私は女だから良いけど…勇者アランは男だよ?」
ステラ「そんな事言われ…あっ…ましても…くっ…刺激が…強すぎて…。」キュイィィン
シュタール「全く…ちょっとは抑えなさいよ…。」
シル「そう言うシュタールが一番声大きい。」
シュタール「そんな事ないっ!」カァッ
シル「………まあ良いか。あ、終わったみたい。」
ステラ「ふぅふぅ…。失礼しました。もう大丈夫です。」
シル「それじゃ彼を回収して………ぇ?」
今まで顔が下を向いていたから気が付かなかったが…これはあまりにも…。
シュタール「どうしたの主?彼の顔に何か…。……ッ。これは…。」
ステラ「……えぇ。彼は何故か…。」
先代に…よく似ているのです。
アラン
まさかの先代のそっくりさんだと言うことが判明した勇者。ステラが彼に何かある度に叫んでいたのは彼女自身の責任感と母性もあるが、一番の理由は彼を見て先代の死の瞬間がフラッシュバックしていたから。偶然なのだろうか?(すっとぼけ)