記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

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短めです。


前進

 

〜ココ視点〜

 

あれからギルドに戻り、栄養補給を済ませてギルド直営の宿屋で仮眠を取った。……仮眠を取ったといっても、2、3時間ぐらいしか寝れてないが。

 

フェール「…大丈夫。彼女なら絶対連れ帰ってくれるさ。実力的にもこのヴァルカン火山に彼女の敵は居ない。」

 

ココ「そう…ですよね。」

 

フリエとサラは未だに部屋から出てきていない。……無理もない。私も、サソリ達によって勇者様が攫われた時はそうだった。

…今回はステラが居てくれるから、前回のような生命の危機に瀕することは無いと、思いたい、が…。

 

ココ「ぅあ…あ…。」グスッ

 

フェール「…どうしたんだい?」

 

ココ「これで…2回目なんです。勇者様が…目の前から居なくなるの。悔しくて…情けなくて…心配で…。」グスッ

 

フェール「……それは、本人もそうなんじゃないかな。たぶん…君達が思ってる以上に、彼自身も自分の弱さを…情けなさも、全部許せないから、無茶をする。そう思うよ。

…依頼を出した私が言うのも何だが、今回の依頼、断られると思っていた。推奨レベル的にも…。だが、彼は引き受けてくれた。彼は勇者であるが、その前に一人の人間でもある。死への恐怖心は必ずある。シルだって…鋼の勇者だってそうだ。だから、会って目を見てみて…確信したよ。彼は焦ってる。周りの期待に応えられてないと思ってるから。」

 

ココ「そんな事ない!勇者様は…勇者様は…?」

 

そこで気づいた。彼は言っていた。私が、ゴブリンに殺されそうになった時…怒りで思わず飛び出してしまったと。そして、今度そうなっても良いように冒険者ギルドに入って己を鍛えていると。つまり…彼はただ、強いヒーローになりたいだけなのではと。

 

フェール「彼には邪神を倒すと言う使命がある。だが、それ以上に人助けもしたいと思ってる。…使命も、やりたい事もやるには強さが…力が必要で、彼は足りていない。なら、ちょっと無茶をしても魔物を倒してレベルを上げるしかない。……まあ、その ちょっと が他の人とはかけ離れているんだが。」

 

ココ「私達は…彼を心配するばかりで何も分かってなかった。ただ、彼に傷ついて欲しくなかったから。でも…それじゃダメなんだ。」

 

フェール「なら…どうする。君達は勇者アランの友達として…女として彼を危険から遠ざけるのか…それとも、戦友として一緒に切り抜けるのか…。」

 

ココ「私は…彼と…勇者様と一緒に戦いたい!」

 

フェール「なら心配するだけじゃない。共に戦うんだ。それができれば…もう、今回の様な事は起きないはずだ。」

 

ココ「はい!」

 

ただ危険から遠ざけるだけじゃ、今回みたいに肝心な時に近くにいれないから、分断されちゃう。だから…一緒に強くならなきゃ。忘れてた。私は…もう、勇者様の護衛じゃない。エルフ騎士団第三部隊のココじゃない。チームスピードクロウの、ココだ。

 

ココ「よし。フリエとサラを起こさないと…これからの事、話さないと。」

 

フェール「言ってきたほうが良いね。反省は必要だ。」

 

ココ「ありがとうございます!ギルドマスター!」

 

フェール「勇者君が帰ってきたら呼ぶよ。たっぷり話しておいで。」

 

ココ「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜シル視点〜

 

シル「……。」

 

まもなく、ダンジョンが消える。元々このダンジョンは危険として封鎖するつもりだったので丁度いい。

 

シュタール「シル…。彼は、あの人ではありません。」

 

シル「分かってる。そっくりなだけの、別人。私のせいだから、彼が死んだのは…私が臆病だったせいだから。」

 

ステラ「……私も、いえ、私達も…。何もかもが、甘かったせいです。今まで、あまりにもこの世界が平和だったから…戦う事を忘れてしまっていた。それを、あの子にも押し付けた。だから…邪神が、生まれた。」

 

シュタール「…過ぎた事はしょうがない。けど…後悔は止まらない。なら繰り返さない様にするだけ。そうでしょ?」

 

ステラ「ええ。やはり…彼には強くなってもらわないと…。」

 

シル「時間は稼ぐ。でも、急がないと。」

 

ステラ「ええ。…あ。そろそろ…ですね。」

 

目の前が明るくなってきた。もう少しで消滅するのだろう。

 

シル「地上に出たら真っ先にギルドだね…。」

 

ステラ「よろしくお願いします。」

 

目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

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