〜1週間後 冒険者ギルド〜
アラン「ん…あぁぁぁぁ。」ノビーッ
ココ「ゆ、勇者様?大丈夫?やっぱりもう少し寝てたほうが…。」
フリエ「コラコラ。あんまり過保護になりすぎないって言い出したのココさんッスよ。」
ココ「だって心配でぇ…。」ソワソワ
アラン「ははは…。まあ、医者からオッケー貰ったんだから大丈夫でしょ。」
サラ「マスター。それでも、何処か違和感を感じたら言ってくださいね。」
アラン「分かってる。流石に命は惜しいよ。」
ステラ「それでは、どんな依頼を受けましょうか?ダンジョンの調査依頼もまだ残ってるようですが、正直、しばらくは受けて欲しくないです……。」
アラン「俺としてはダンジョンもオッケーなんだけど…。」チラッ
ココ「……ゴメン。ちょっとしばらくはダンジョンは…。」
フリエ「嫌っす。絶対嫌っす。断固拒否っす。」
サラ「ぁ…。嫌…。」カタカタ
アラン「あ〜ゴメンなサラ。よしよし…。ん〜。じゃ、適当な討伐依頼を……お、キングマグマスライムか…。」
ステラ「ぇ…。あ、主様?」
アラン「冗談ダヨ。じゃ、こっちのリザードマンの群れの討伐依頼を受けよう。」
ステラ「ホッ…。は、はい。それが良いでしょう。勇者様以外は初見の相手です。ここの環境に慣れると言う意味でも、この依頼がいいと思います。」
フリエ「……思えば私達チュートリアルすっ飛ばしていきなりダンジョン攻略しちゃったんすよね…。」
アラン「チュートリアルは大事。はっきり分かったんだね。それじゃ、受付さん。コレを…。」
受付「はい!………完了しました!いってらっしゃいませ!」
ココ「GO!」
〜ドワーフの街の近く 西〜
アラン「えー。はい。到着しましたね。それで目標は…。」キョロキョロ
ステラ「居ない…ようですね。もう少し奥まで行きましょうか。」
ココ「ん…。あ!あそこ!煙上がってる!」
フリエ「ほんとっすね。行ってみましょ。」
アラン「よし。行くか。サラ。探知頼むぞ。」
サラ「お任せを。」
〜ドワーフの街近く 西 溶岩川〜
アラン「えぇ…。ちょっ。なんか…デカいの居るんだけど…。」ヒソヒソ
ココ「あれって…!嘘…。ワイバーンだよ!土属性の…。」ヒソヒソ
サラ「魔石が足元に転がっているのを見ると…。どうやらターゲット達はやられてしまったようですね。」ヒソヒソ
アラン「ついてないな…。レベル的には…ギリギリ行けるか…?」ヒソヒソ
ココ「四人でかかって何とかってところかな…。できれば撤退したいけど…街の近くの奴を放置する訳にも行かないしなぁ…。」ヒソヒソ
フリエ「んっ…。ちょっとぉ…。息がかかってるッスよぉ…。」ヒソヒソ
ココ「我慢して!奇襲しないと…。」ヒソヒソ
フリエ「ちょっ…声でちゃ…きゃん!」ビクッ
ランドワイバーン「!!」ギロッ
アラン「アッ…。全員散開!」バッ
ココ「もうっ!」バッ
フリエ「すみませんッス…。」バッ
サラ「……後でおしおき。」バッ
ドォン!
全員がその場から離れた瞬間。地面から岩が盛り上がってきた!
アラン「うぉっ!あっぶな!」
ココ「とりあえず…。サラ!フリエ!魔法を!」
フリエ「ファイアボールガトリング!!」ドドドドド
サラ「ウォーターブラスト!!」ザバァ
ランドワイバーン「グアッ!?グッ…グガアアアアアア!!」バリバリ
フリエ「キャッ!?うっ…これ…は…。」ビクッ
ココ「威圧の…スキル…。」ズゥン
サラ「くっ…。」ズゥン
身体が重くなる。どうやら咆哮に威圧のスキルを載せて放ったようだ。
アラン「くっそ…スゥ…ハッ!」バリィ
気合で解除する。すると…。
ランドワイバーン「グガァ!」ガブッ
アラン「うおっ!」ヒュン
ランドワイバーンが噛み付いてきた。咄嗟に横跳びで避ける。
ランドワイバーン「グアッ!」ドン
アラン「よっ!と。」
今度はタックル。後ろに跳んで避ける。そして…。
アラン「これでも…喰らえっ!」ブン
ランドワイバーン「グガァッ!」ガァン
ランドワイバーンの鼻先にハンマーになったステラを叩きつけた。
ランドワイバーン「グア…グガァ!」ブワッ
アラン「!?やべっ!」
ココ「勇者様!」ズゥン
足元の土が隆起するのを感じた。すると…。
サラ「ウォーターブラスト!!」ザバァ
アラン「ナイス…!サラ。」ヒュン
ランドワイバーン「グガァ!?」ジャバッ
圧倒的な水圧でワイバーンが怯む。そこに…。
フリエ「ファイアボール…と、ウインドカッターガトリング!」ドドドドォン!!
ランドワイバーン「グアッ!?」ドォン
フリエのファイアボールとかまいたち…ウインドカッターの弾幕。これにはたまらずワイバーンも…。
ランドワイバーン「グァァァァア!」バチバチ
魔力の制御が疎かになり、魔力が暴走。自分がダメージを受けてしまう。ランドワイバーンは体力が多く、また耐久も凄いため、マトモにやり合っていたらまずこちらが根負けする。なら、内側から崩すしかない。
ランドワイバーン「グァァ…グガァ!!」ブワッ
それでも魔法で一気に片付けようとするワイバーン。しかし…。
ココ「ふっかーつ!」ズババババァン!
ランドワイバーン「グァッ!グガッ!?グアッ!グァァ…。」ヨロッ
一番防御が薄い足の関節部分を狙い、ココがククリナイフで連続で斬りつける。そして…。
アラン「ホラホラ!こっちだ!」ビュンビュン
ワイバーンの周りを挑発するような動きで走り回る。すると…。
ランドワイバーン「グァァ…グガァァァァァ!」バリィ
咆哮で威圧しようとする。そこに…。
サラ「させません!ウォーターボム!」ドバァン
ランドワイバーン「グアッ!?グァァァァア!」バチバチ
またもや魔力が暴走した。威圧スキルは、実は魔法の一種。当然発動には魔力がいる。
ランドワイバーン「グゥ…グァァァァア!!」ブワッ
ワイバーンはココの攻撃で足をやられているため、移動が出来ずタックルや噛みつきは使えない。ならば足を動かさずに攻撃できる魔法を使うしかない。
ランドワイバーン「グガ!?グァ!?グァッ!?」ドォンドォンドォン
フリエ「くっ…。早く倒れるッス!」ドドドドドド
ココ「っ…ハァハァ…。ハァァァァァァァアッ!!」ズババババババ
ランドワイバーン「グァァァァァァァァァ!」バチバチ
ランドワイバーンの魔力が暴走し、確実に体力を削って行っている。しかし、こちらも消耗がデカい。早めに決着をつけよう。
アラン「サラ!合わせろ!」ダァン
サラ「了解!」ブワッ
ランドワイバーンに急接近。ワイバーンはココとフリエの攻撃を止めさせる事に躍起になってこちらに気がついていない。
サラ「ウォーターボム…ガトリング!!」ドドドドドド
ランドワイバーン「グア!?グガァ…。」ヨロッ
ランドワイバーンの体制が崩れ、横に倒れる。今のうちに…。
アラン「ココ!離脱しろ!フリエはファイアボールだけにしてくれ!」
ココ「っ…ハァハァ。り、了解っ!」ダァン
フリエ「了解ッス!」シュウ
アラン「よし…。来いっ!」ドン!
サラ「マスター!?何を…。いえ、任せます!」ドドドドドド
フリエ「え!?」ドドドドド
ランドワイバーンの下に潜り込み、大剣にしたステラを構える。
そして…。
ココ「勇者様っ!今っ!」ハァハァ
アラン「っ!おお!らあっ!」ズバァン
思いきりステラを上に振り抜く!そして…。
ランドワイバーン「グァ…。」シュウ
胴体を真っ二つにされ、ランドワイバーンは魔石と外殻を落として消えた。
アラン「ハァハァ…。あー!終わったぁ!」
フリエ「ちょっ!何してるッスか!?肝が冷えたッスよ…。」ギュッ
アラン「いや〜。悪い。ステータス的に力任せじゃ斬れないと思ったから、ちょっと相手の重さを借りたんだよ。」ナデナデ
フリエ「ぅぅ…。まぁ…良いッス。正直魔力的にキツかったっすから…。」ナデラレ
ココ「コラーッ!自然な感じでイチャつかないで!私も頑張ったんだから!」
アラン「おーよしよし。ココがタイミング教えてくれたお陰で斬れたからなー。ココにもたくさんお礼しないとなー!」ナデナデ
ココ「えへへ…。」ナデラレ
サラ「………ギルドに素材回収の為の馬車を要請しました。マスター。私も…。」
アラン「ゴメンなサラ。腕二本しかなくて…。代わりに後でハグしてあげるからな。」
サラ「……分かりました。」
ココ「ハグ!?私だって寝る時ぐらいしかしてないのに…。」
フリエ「サラズルいっす!私なんてまだ片手で数えられるぐらいしかして無いのに!」
サラ「解答。日ごろの行いが悪い。」
アラン「ははは…。」
〜30分後〜
フェール「おーい!勇者くーん!」ブンブン
アラン「ウェ!?フェールサン!?何でここに…。」
フェール「職員から聞いてね。何やらリハビリがてらリザードマン狩りに行った勇者様がランドワイバーンを倒してしまったと。いやぁ…最初は何言ってんだコイツって思ってしまったけど…まさか本当だったとは…。」
アラン「リハビリにしては過剰過ぎたですね…。」
フェール「まあ、ランドワイバーンをリハビリにするのはシルぐらいだろうからね…。」
フリエ「えぇ…。あの人そんな事してるんすか…。もう同じ人間だとは思えないッス…。」
アラン「じゃあ同じ勇者な俺はバケモノなのか…。うぅ…サラぁ…!」ギュッ
サラ「よしよし…フリエ。マスターをイジメちゃダメですよ。」フッ
フリエ「あー!今これ見よがしに鼻で笑ったッス!おのれサラぁ!」
フェール「はは…。あ、帰りの馬車が来たようだ。君達は先に帰っていてくれたまえ。物が物だからね…買い取りするにしても素材にするにしても色々と時間がかかる。だから、今日はこれで終わりにすると良い。」
ココ「そうですねぇ…。もう疲れましたぁ…。」
フェール「ふふっ。しっかり休みたまえ。」
アラン「じゃ、これで…。お疲れ様でした。」
フェール「お疲れー!」
こうしてリハビリ…いや、チュートリア…違うか。回復明けの初依頼は幕を閉じた。もはやドタバタすぎた気もするが…。まあ今回は(今回も)予想外の出来事だったのでしょうがないだろう。
〜捕捉説明〜
威圧
主に竜系の魔物が持っているスキル。だいたいの竜は咆哮と一緒に使用して、こちらの敏捷と魔法に大幅な制限をかけてくる。よほどステータス的に離されていなければ気合で解除できる。が、一瞬ではあるが動きが鈍るのは変わりないのでこの間に魔法で集中砲火されたら終わり。地味に厄介。