喫煙描写あり。なお、主人公の年齢に関してはそもそも誕生日が不明なので、未成年喫煙かもしれませんし、未成年喫煙では無いかもしれません。
〜宿屋 アランの部屋〜
翌朝。目が覚めた。……まだ辺りは薄暗い。少し早く起きすぎたようだ。
アラン「ん…ふあぁぁぁぁぁ…。あんまり…寝れなかったな…。」ゴシゴシ
目を擦りながら身体を起こす。イオは……しっかり寝ている。ココ達と昨晩話し合ったのだが…約束の事もあるので、しばらくは一緒に寝る事になった。
アラン「っ…。ふぅーっ…。」
マズい。まだイライラしている。ステラのあの言い方…おそらく、イオのお母さんを操っている者がいる。ゴブリンキングの時と同じだ。……同じなのは操っていると言う事もあるが、自分の気持ちもだ。ゴブリンキングが、ココを殺そうと腕を掴んで持ち上げた時に湧いてきたあの感情…怒り。それが、今腹の中に渦巻いている。
ステラ「………。」
ステラは…まだ寝ているようだ。本来、神器はあくまでも武器なので寝ないそうだが…ステラの場合、魔力を消費すると、時間経過か、一度寝ないと回復しないそうだ。
アラン「っ…。ちょっと吸うか…。」
部屋のベランダに出る。ちなみにこの部屋、一泊銀貨50枚飛んでいく高級な部屋なので、他の部屋には無いベランダが付いている。
アラン「灰皿…お、付いてる。」
懐からマッチと…裏路地で買った紙タバコを取り出す。そしてタバコをくわえ…マッチを擦り、タバコに火を付けた。
アラン「スーッ…フゥーッ。」モワァ
紫煙が口から溢れる。何故か…これを吸っていると、懐かしい気持ちになれる。
アラン「何でなんだ…前の世界の記憶なのか…?」
ココ達に見つかったらしばらく一緒の部屋になる。ただですらイロイロ溜まってるのにそれはゴメンだ。だから、あまり吸えないが…。
アラン「フゥーッ……。あー。やっぱり…落ち着くな…。」
イライラしたらこれが一番だ。……いや、普通に未成年喫煙だし、そもそもニコチンが切れたらまたイライラするだけなのだが…。
アラン「それでも…どうしようもなくイライラする事が多いからな…この世界。」
この世界に来て…もうちょっとで1年近くになる。この世界は…色々と胸糞悪い事が多い。ゴブリン達に攫われては無残な姿で見つかるエルフ達…邪神の勢力がする人体実験…そして、憧れであり、大好きな存在であろう母親が洗脳され、そしてその母親に攻撃されて泣く子供…。
アラン「っ…スーッ…フゥーッ。」モクモク
これを吸っていないと…自分の中で何かが制御できなくなって、そして、変わってしまうような気がするのだ。
アラン「あのスキル…ステラはあの謎のスキルが関係していると言ってたな…。」
……そろそろタバコも終わる。証拠隠滅して戻ろう。
〜イオ視点〜
イオ「うぅ…ッは!?」
寒さに思わず目が覚める。……あるじが、あるじがいない。
イオ「どこっ!あるじっ!どこっ!うぐっ!?」ドン
思わずベッドから転げ落ちる。あるじはどこ?どこに行ったの?やだ。さむい。さむいさむいさむい!!
アラン「イオっ!?」ガラッ
イオ「ぁ…ああ。あるじぃ…。どこにもいかないでよぉ…。」ギュッ
アラン「あ…ゴメンな。ちょっと…トイレ行ってたんだ。」ナデナデ
イオ「うぅ…よかったぁ…。……?あるじ。けむりのニオイがするよ?」ギュッ
アラン「あぁ…まぁ、ここは街の中とはいえ火山だからな。煙のニオイぐらいするだろ。」
イオ「あ…そ、そうだよね。」ギュッ
アラン「……どうする?まだ寝るか?」
イオ「うん…。まだねむい…。」ギュッ
アラン「そうか…じゃぁ…よし。おいで。」
イオ「うん…。」ゴロン
あるじといっしょにベッドにねころがる。……あたたかい。やっぱり…あるじがいないとねれない。
イオ「はなれないでね…。」ギュゥゥゥッ
アラン「おっふ…うん。今度は大丈夫だよ。……おやすみ。」ナデナデ
イオ「うん…。」ギュッ
あるじをだきしめてめをとじる。……すぐにねてしまった。
イオ「んふぅ…。」
〜宿屋 ミーティングスペース〜
あれから1時間ほど寝て、目が覚めたのでイオと一緒に支度をしてミーティングスペースに出た。
ココ「あ!おはよっ!」フリフリ
フリエ「二人ともおはようッス。……勇者様。傷とか開いてませんよね?」ペタペタ
アラン「ああ、大丈夫。フリエも体調は万全か?」
フリエ「はい。大丈夫ッス。……やっぱりイオちゃんのニオイが濃いッスね…。」スリスリ
アラン「……何か、フリエって最近かなりしっとりしてきたような…。」
ココ「んふふー!勇者様っ!」トテトテ
アラン「? 何?」
ココ「……私も、表に出してないだけ何だからね。」ハイライトオフ
アラン「ヒェッ…。肝に命じておきます…。」
ココ「よろしいっ!」ギュッ
イオ「むーっ…。」ギュッ
アラン「あ、イオさん!?あたってますよ…。」
イオ「あててるの…。」ギュゥゥゥッ
アラン「イオちゃん…恐ろしい娘っ!」ガタガタ
サラ「ふぁぁぁあ…。おはようございます…。」ゴシゴシ
サラが目を擦りながら起きてきた。……サラはいつも起きてくるのが遅い。
サラ「んぁ…あ、あれ?ま、マスター。その状態は…?」ハイライトオフ
アラン「あっるぇー。サラまで…。」
サラ「ふふふ…。マスター。ちょっと…失礼しますね…。」ギュゥゥゥッ
アラン「あばばばばばば…。」ガクガク
ココ「…………ふぅ。よし、勇者様成分も補給したし、食堂に行こっか。」パッ
フリエ「そうっすね。ほら。行きますよ。勇者様。」グイッ
アラン「あばばばばばば…。」ガクガク
そうして俺はフリエ達に引きずられながらギルドの食堂に向かった。……最近俺の扱いが雑になっている気がする。
〜冒険者ギルド 受付〜
アラン「依頼を頼む。」
受付「はいっ!……と、言いたいところなのですが、ギルドマスターから呼び出しが入っております。勇者様の従魔…イオちゃんの事で聞きたいことがあると。」
イオ「」ビクッ
アラン「おーよしよし。大丈夫だぞイオ。とりあえず昨日のことを伝えるだけだからな…。」ナデナデ
イオ「………。」ギュゥゥゥッ
イオは昨日の一件以来、明らかに口数が減っている。まだショックは拭いきれていないようだ。
受付「とりあえず…奥の部屋にお願いします。」
アラン「了解っ。ほら、行くぞ。イオ。」
イオ「だっこ…。」
アラン「はいはい。」グイッ
〜冒険者ギルド ギルドマスターの部屋〜
フェール「良く来てくれたね。……積もる話はあるが、本題に入ろう。」
アラン「はい。イオのお母さんの事ですが…。」
フェール「イオちゃんのお母さん…イオちゃんと同じアイスドラゴンで間違いないね?」
イオ「…うん。イオとおなじ…あおいうろこにぎんいろのかみ…オーラもぎんいろだよ。」
フェール「やはりか…実は、前々から冒険者や行商人の間で噂になっていたんだ。……ヴァルカン火山に、本来いるはずのないアイスドラゴンが居るってね。」
アラン「やっぱり…イオにも聞きましたけど、本来火山にアイスドラゴンて居ないんですよね。」
フェール「ああ、と言ってもドラゴン自体強い種族だからね。他の魔物と違って、別に火山だろうが草原だろうが余裕で生きていける。」
そう。ドラゴン自体は強い種族なので、別に環境が変わっても問題ない。ドラゴンは活動する為のエネルギーを空気中の魔力から補給できるそうなので、餓死するなんて事もめったに無い。
アラン「そう、でも、本来いるはずのない魔物なのは確かですよね。」
フェール「そこなんだよ。だから我々も注目して、目撃情報をかき集めていた。そして、目撃情報を収集して、目撃された地点を地図に書き記して行くうちに、その書き記した地点はとある一つのダンジョンの周りに集中している事が分かった。」
アラン「………そのダンジョンとは?」
フェール「新しくできたダンジョンの一つ…ポイント10だ。」
ココ「ポイント10…。」
ポイント10。確か、そこはここドワーフの冒険者ギルドでも選りすぐりの精鋭達…チームボルケイノが調査に行っていたはずだ。
アラン「そこはチームボルケイノの担当だったはずでは?何か報告は上がっていないのですか?」
フェール「その事なんだが…昨夜までは順調に報告が上がっていた筈だったんだが、今朝…連絡が途絶した。」
フリエ「!!」
嘘だろ?俺はまだここに来て日が浅いので、詳しくは知らないが…チームボルケイノは平均レベル100近い精鋭集団だった筈…それがやられたのか?
フェール「しかし、救難信号は途絶する直前に送られていて、マップ情報と出現する魔物のデータもある。我々はこれから救援チームを結成して、助けに行くつもりだ。そのチームの中には、鋼の勇者…シルも居る。」
アラン「……そのチームの中に俺達も?」
フェール「是非ともお願いしたい。君が行ったダンジョンのように、もしかしたらトラップがあって更に下層へと落とされたのかもしれない。だから、その経験がある冒険者の一人として、向かって欲しい。」
ココ「……勇者様。」
フリエ「……どうします?」
サラ「…。」ブルッ
イオ「……。」
ステラ「ぅぁ…。」カタッ
皆、顔は暗い。ま、当然だ。ダンジョンでは酷い目にあった。
アラン「まあ…行くしかないだろうな。」
サラ「……行くの、ですか?」
アラン「ああ。ま、好き好んで行く訳でもないが…それでも、イオのお母さんを何とかするにはやはり…多少危険な所にも行かなければならないだろう。」
ステラ「……分かり、ました。」
イオ「あるじぃ…。ありがとぉ…。」ギュッ
アラン「気にするな。これも運命ってやつだろ。」ナデナデ
イオ「ぅぁぁぁ…。」グスグス
フェール「ありがとう。…出発は2日後の早朝だ。それまでゆっくりしてくれ。」
アラン「ありがとうございます。……失礼します。」
……出発は2日後。それまでに色々済ませておこう。防具も…マグマスライムをかなり倒したのでステータスが上がっている。
実はイオが加入してすぐ、とある人物にランドワイバーンの素材で防具を作ってもらっていた。本来なら3週間はかかる作業をたった2日でやってくれると言うのだから、技術の高さが伺える。よし。明日、取りに行くとしよう。