〜冒険者ギルド 受付前〜
翌朝、支度を済ませた俺達はギルドの受付前に集まった。
アラン「あ、シルさん。おはようございます。」
シル「おはよ。…皆揃ったみたいだね。」
ココ「はい!」
イオ「ぜったい…たすける…。」メラメラ
シル「ふふふ。そうだね。あなたのおかあさんも、チームボルケイノも…ぜったい助けようね。」ナデナデ
イオ「うん…。」ナデラレ
フェール「お、来たねシル。それじゃあ…行こうか。」
アラン「あれ?フェールさん。その格好は…?」
フェール「今回は…私も出る事にしたよ。チームボルケイノには友達が居てね。個人的に…助けに行きたい。」
フリエ「フェールさんって…えーっと確か…従魔使いでしたっけ?」
従魔使い。サモナーとも呼ぶ。普通の冒険者は従魔は連れても一匹なのだが、それを何匹も連れて従魔をメインにした戦法で戦う冒険者を従魔使いと呼ぶ。
シル「フェールはこの世界でも有数の従魔使い…実力は私が保証する。」
フェール「ちなみに冒険者ランクはAの3だよ。」
フリエ「ヒェッ…。やっぱりクソ強いッスね…。」
Aランクはランク内での実力差が大きく、実力がランキング化されている。Aランクはこの、エル・ステラ神聖連邦では30人居て、その中で3位の実力があるのがフェールさんだ。
アラン「これだけ戦力が集まれば…分断されない限り大丈夫だろ。」
ステラ「そうですね。Aランク相当の戦力が5人にSランク相当が一人…トラップにさえ気をつければ戦闘面で問題はないでしょう。」
シュタール「ま、そのトラップが一番厄介何だけどね。」
ステラ「そうですねシュタール。落とし穴に火炎が噴き出す床…他のパーティーが調査したダンジョンでは、例の煙…魔力を吸い取る煙が噴き出してきたとの報告もあったようです。」
アラン「煙は…どうする?俺は問題ないけども…。」
フェール「シルとココは魔力主体の戦い方はしないから、煙を吸ってもある程度は戦闘できるが…我々はキツいな。」
フリエ「一応魔力補充のスクロールはあるッスけど…そんなに数はないッス。」
サラ「私はストレージも使えなくなりますから…。回復すらも怪しくなります。」
ココ「でも、特に対策もできないんでしょ?」
アラン「あ、イオは大丈夫なのか?」
ステラ「イオは元々の魔力量が多いので、長時間吸わなければ問題ないでしょう。それでも元が魔物ですので…動きづらくはなります。」
イオ「ふぇぇぇ…。やだなぁ…。」
アラン「うーん…お祈りするしかないかぁ…。」
シル「そうだね…。」
フェール「っと…そろそろ出発しようか。イオちゃん。ここまで皆を乗せていってくれないか?」
イオ「まかせて!」
その後、外に出て、ドラゴンイオの背中に乗ってポイント10まで行った。
〜???視点〜
???「グゥぁ…。」グッタリ
身体が重い。ここが何処かも分からない。イオ…あのドラゴン…私の娘はイオと名乗っていた。おそらく、信頼できる人を見つけたのだろう。
???「ガァ…ぁ…。」
身体を引きずりながらアイツの元へ向かう。
????「おお…何て美しいんだ我が妻…獄氷竜シエロ…。」
シエロ「グァ…ぁ…。」シュウ
竜の姿から竜人の姿になる。
シエロ「私は…貴方の妻ではありません…。私の夫は…導きの勇者…クレイだけです…。」
????「HAHAHAHAHA!!未亡人が!導きの勇者…クレイはもう死んだんだよ!!君もいい加減認めたらどうだい?過去の男なんて忘れてさ!」
シエロ「ぁぁ…うぁぁ…。」グスッ
そうだ。彼は…クレイは死んだ。私が…不甲斐なかったせいで…。
????「フンッ!泣くぐらいなら最初っから言うなよ。泣いたって帰ってこないんだよ!お前がしくじったからな!」ブン
シエロ「あぐっ!?ゲホッ…おぇぇぇ…。」
腹にアイツの蹴りが突き刺さる。もう…胃液すら出てこない。
????「まあ良いさ。もう少しで術式は完成する。そうすれば、完全にお前は邪神様のモノになる。」
シエロ「いや…いやぁ…。」グスグス
誰か…助けて…。
〜アラン視点〜
ポイント10…ダンジョンの扉前に着いた。
アラン「よし…ま、今回も…何とかするか…。」
ココ「うん。私達…やってきたもんね。今回も…できるよね。」
フリエ「もう…失敗しないっす。」グッ
サラ「……。」
イオ「ごー!」フンス
フェール「ふふっ。やはり良いチームだ。」
シル「うん。…行こっか。」
扉を押して開ける。開けたらそこには…迷路のような遺跡が広がっていた。
アラン「何の変哲もないダンジョンだなぁ…。」
フェール「まあ…ダンジョンなんてこんなものさ。地図がある。早歩きで行こう。」
ココ「了解。」
〜1時間後〜
アラン「………あの。これいくら何でも静かすぎなような…?」
ココ「うん。なんか…不気味。」
シル「ゴブリンも…スライムも出てこない。おかしい。」
アラン「サラ。探知に反応は?何でも良い。」
サラ「何もありません…魔物も…トラップも…。」
フェール「ふむ…。仕方ない。僕の従魔に先行させよう。『サモン』。」
フェールさんが魔法を使うと、床に魔法陣があらわれ、その中から燃えている鳥…フェニックスが現れた。
ココ「うわぁ…綺麗…。」
サラ「これが…フェニックスですか…。」
フェール「ふふ。ありがとう。これが僕の従魔の一人…フェニックスのフレイだ。」
フレイ「キィン…!」
アラン「炎なのに…熱くない…?どういう事?」
ステラ「フェニックスの炎は敵だけを焼き尽くし、味方には温もりと癒しを与えると言われています。恐らく、通常の炎では無いのでしょう。」
シル「フェニックス自体が希少種な上に、普段はかなり高いところを飛んでいるから、あんまり研究は進んでない。」
フェール「獣人化と呼ばれる現象があるが…獣人になったフェニックスは、神獣族と呼ばれる別の種族になってしまうからね。やはり、研究は進んでいない。」
アラン「へぇ…。ま、特別ってことか。よろしく頼むよ。フレイ。」ナデナデ
フレイ「キィッ…。」ナデラレ
フェール「フェニックスは警戒心が高くて気難しい所があるんだが…まさかここまで心を許すとは…。勇者君の魅了は女であれば誰でもかかってしまうのかな?」ニヤッ
アラン「女であればと言うか…そもそも周りに男があまり居ないと言うか…。って、フレイもメスなのか…。」ガクッ
イオ「ムーっ。あるじはイオのあるじなんだよっ!」ブワッ
フレイ「キィン!」ボウッ
アラン「おーやめてくれこんなダンジョンのど真ん中で…。じゃ、よろしく頼むよ。フレイ。」
フレイ「キィン!!」バサッ
そうして、フレイに先行してもらいながらしばらく進んだ。だが…。
フェール「ふむ…やはり何も出てこないな…。」
サラ「探知にも依然として反応無し…。」
ステラ「導きの力にも反応はありません。」
シル「トラップも出てこない…。」
フェール「っと…ここだ。通信が途絶した所は。」
そう言われて辺りを調べるが…何も無い。本当に何も無い。
ココ「手がかり一つ無いなんて…。一体何処に?」
フリエ「とりあえず、陣形を変えましょう。勇者様真ん中で、周りを私達で囲むッス。そんなに間隔は空けないで…よし。これで良いッス。」
アラン「……近くね?」
シル「でも、落下トラップがある可能性が高いから、しょうがない。」
ココ「そうだね…あんまり離れてると分断されちゃうからね…。」
サラ「しかし…これではマスターが剣を振れないのでは…。」
フェール「現状一番レベルが低いのは勇者君だからね…。」Lv405
サラ「それはそうですが…。」Lv95
ココ「もう落とされるのは嫌でしょ?勇者様も。」Lv98
フリエ「そうッス。もう…絶対失敗したくないっす。失敗したら…また勇者様がケガして…ぅぅ…。」Lv93
フリエはマグマスライムの時、自分が気絶したせいで俺の右腕に穴が開いたと思っているようだ。
アラン「あーわかったわかった。降参だ。ま、現状最低限のレベル…推奨レベルは超えてる訳だしな…。」Lv80
シル「それでも完全に安全ではない。なら、なるべく消耗は避ける為にも、勇者アランを真ん中にするべき。」Lv510
アラン「はい…。」
ステラ「現状魔物が出てこない以上、レベルアップもできませんしね…。わざわざリスクがある方を採用する理由も無いでしょう。」
アラン「そうッスね…。」
結局このまま進む事になった。
〜1時間後〜
アラン「うーん…。やっぱり出てこないなぁ…。」
サラ「ふむ…。反応は無し…。」
ステラ「…!この先に微弱ですが魔力反応です。これは…扉でしょうか…。」
アラン「扉か…確か、前のダンジョン調査も扉が出てきたから、引き返そうとして穴に落ちたんだよな…。」
シル「私は開けようとしたら穴に落ちた。」
フェール「扉に対して何らかのアクションを起こそうとすると作動するのか…?」
サラ「ならこのまま進むのはマズいのでは…。」
ココ「でも、ならどうやってトラップを解除するの?結局近づかないとだよ?」
フリエ「でも近づいたらたぶん作動しますよね…。」
アラン「ふむ…逆に考えるんだ…作動しちゃっても良いさってね。」
フリエ「は?何言ってるッスか?ふざけないで下さいッス。」
アラン「だが、どちらにしろ近づかなきゃなんだろ?なら、数人で作動させてわざと引っかかって、残りの数人が状況を確認する方法が良いだろ。」
ステラ「それは…そうですが…。」
フリエ「………分かったッス。私が行くッス。勇者様は此処に居てくださいッス。」
フェール「ちょっと待って、フリエ君は此処に残って欲しい。イオちゃんと共同して、音飛ばしで連絡を取りたい。」
サラ「私も残りましょう。周囲の警戒は続けるべきです。」
アラン「じゃあ…誰が落ちる?ま、言い出したから俺は行くとして…。」
シル「私が行く。経験者が行ったほうが安全。」
イオ「イオもおちる!おかあさんがいるかも!」
フェール「私は…残ろう。近接ができる人はいたほうが良い。」
ココ「えーっと…私は…うん。落ちるね。」
フリエ「えーっと…じゃあ…残るのが、私と…フェールさんと、サラっすね。そして落ちるのが…勇者様に、シルさん、イオちゃんにココさんッス。」
ステラ「ちょうど良いバランスでは無いでしょうか。これなら、何か起こっても問題ないでしょう。」
シュタール「問題は空間魔法で一人ずつ別の所に飛ばされた場合だけね。ま、警戒してもどうしようも無いからしないけど…。」
フリエ「勇者様…。」
アラン「ん?どうした?」
フリエ「あの、その…頑張って下さいッス…。」ギュッ
アラン「アッアッアッ……う、うん。頑張るよ。」ギュッ
フェール「若いねぇ…。」
ココ「むぅ…。」
サラ「……今は、我慢します。」
シル「………懐かしいな。」
シュタール「シル…。」
フェール「……よし。それじゃ…作戦開始と行こうか。」
イオ「おーっ!」