記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

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下層

 

〜ダンジョン 扉前〜

 

アラン「よし。それじゃ…開けるぞ。」

 

シル「ん。一気にやっちゃって。」

 

アラン「ステラ。変形。」

 

ステラ「了解。」ガシャン

 

ステラをハンマーにする。そして…。

 

アラン「あらよっと!」ズドォン

 

扉を思いっきり叩いた。すると…。

 

ココ「勇者様!早く手を!」

 

後ろが壁で塞がれた。急いで皆で手をつなぐ。

 

パカッ

 

アラン「分かってたが…やっぱりこうなるのね…。」ヒュウウウウウウウ

 

イオ「たかーい!」キャッキャッ

 

シル「下に何かあると良いけど…。」ヒュウウウウウウウウウウ

 

ステラ「………あ。一番下は石畳です。」ヒュウウウウウウウウウウ

 

ココ「ええ!?どうするの!?死んじゃうよ!」ヒュウウウウウウウウウウ

 

シル「任せて。シュタール。」ヒュウウウウウウウウウウ

 

シュタール「了解。反射準備。」

 

シルさんが盾を下に突き出す。そして…。

 

シル「皆。私に捕まって。」ヒュウウウウウウウウウウ

 

アラン「了解っ。」ガシッ

 

ココ「む…。勇者様。ヘンな気起こしちゃダメだからね。」ガシッ

 

アラン「さすがにこの状況でヘンな気起こせるほど豪胆じゃないよ!?」ガシッ

 

イオ「わーっ!楽しー!」ガシッ

 

徐々に地面が迫ってくる。そして…。

 

シル「今ッ!」

 

シュタール「反射ッ!」バチィン!!

 

ドゴォォオォン!

 

地面とシュタールが接触した瞬間。衝撃が周りに分散し、壁に亀裂が入った。そして…無事俺達は着地できた。

 

イオ「とーちゃーく!」

 

アラン「すっげ…これが鋼の神器か…。」

 

ココ「落下の衝撃が…全く無くなってた…。」

 

ステラ「鋼の神器…シュタールの力は反射。物理、魔法攻撃を反射する特殊なバリアを展開する事ができます。但し、一度にあまりに大きい衝撃を受けると突破されてしまいますし、攻撃を受ける瞬間に、タイミングよく発動しなければならないのです。あと、煙などの気体を利用した攻撃にも無力です。」

 

シュタール「ま、私のバリアを突破できる攻撃を撃てる奴なんて普通に生きてれば数千年に一度会うかどうかだし、タイミングも勘でわかるわ。煙は…そもそも他の奴も防げないわね。」

 

ステラ「そうですね…シュタールに防げないなら私も無理です。」

 

アラン「へぇ…。……よし。」ニヤッ

 

シル「それじゃ…とりあえず地上と連絡しようか。私特製の音飛ばしも持ってきたし…。」ガサゴソ

 

シルさんがマジックバック(サラのストレージの廉価版。バックなので入れれる物の大きさに制限がある。)から、音飛ばしを取り出した。長距離用の音飛ばしよりも更に遠くまで届くらしい。

 

シル「こちらシル。こちらシル。下に着いた。全員無事だよ。応答を。」

 

フェール『こちらフェール。良かった。そちらの状況は?』

 

シル「敵影無し。周囲の環境も変化無し。」

 

フェール『了解。こちらも異常なし。トラップだが、どうやら扉に触れた者を無差別に下に落とすようだ。床は開きっぱなし。』

 

シル「なるほど…こちらは下は石畳だったから、何らかの着地手段を用意したほうが良いね。」

 

フェール『了解。増援は…必要なさそうだね。そろそろ切るよ。』

 

シル「了解。それではまた。異常を発見次第連絡する。」

 

フェール『了解。』ブツッ

 

シル「よし…それじゃ、行こっか。」

 

イオ「わーっ!カッコいい…!」キラキラ

 

アラン「イオよ…分かるぞその気持ち。スマートな通信ってカッコいいよな。」ウンウン

 

ココ「……?ちょっと…分かんないかも…?」

 

イオ「えーっ!?ロマンだよココお姉ちゃん!」

 

アラン「ココぉ…。ロマンは良いぞぉ…。」

 

シュタール「バカやってないで行くわよ。」

 

ステラ「そうですよ。早く助けなければ…。」

 

シル「……行くよ。」スタスタ

 

 

 

 

 

 

 

 

〜フリエ視点〜

 

フェール「了解。」ブツッ

 

通信が終わった。異常は無いようだ。

 

フリエ「ふぅ…良かったッス…。」

 

サラ「前回は連絡手段も無かったですから…。」

 

フェール「……思えば、君達ちょっと酷い目に遭いすぎてる気がするんだが。」

 

フリエ「まあ…はい。正直…今回の話が出た時も、不安で仕方なかったッス。」

 

サラ「そうですね…。私達、ダンジョンはこれで3回目ですが…正直、未だに怖いです。」

 

フェール「……しかし、君達はこの仕事を受けてくれた。やはり、勇者君の存在が大きいのかな?」

 

フリエ「はい。何というか…私、勇者ってもっと強くて、常に余裕のある…文字通り、レベルが違うって感じかと思ってました。けど、あの人は…何というか…支えてあげたくなる感じで…。」

 

サラ「私も…最初は、マスターに助けられて…。この人に付いて行けば安心だって、そう思いました。けど、日常を過ごしていく内に、何処か危なっかしいと言いますか…。母性?をくすぐられると言いますか…とにかく、支えてあげたいって、そう思ったんです。」

 

フェール「そうか…。二人とも。千年前…我々は失敗したんだ。いや、最悪の結果にはならなかったが…。とにかく、しくじった。そして、その原因は、勇者達に…全てを背負わせてしまった事だと思っている。」

 

フリエ「アラン様の先代…確か…。」

 

サラ「勇者…クレイ。」

 

フェール「そうだ。彼はまさしく完璧だった。故に我々は安心した。いや、してしまった。彼に任せておけば大丈夫だと。だが、我々は彼の内にある闇に気づかなかった。勇者だって…同じ一人の人間だったのだ。その事をステラ様も…シルも、他の勇者たちも、気づかなかった。だから…君達には…もう、同じ事を、繰り返さないでほしい。そして、この世界を…この、悲劇の連鎖を…止めてほしい。」

 

サラ「絶対に…一人にはさせません。あの人は…私達を救ってくれた。なら、次は私達が…。」

 

フリエ「まあ、今はちょっと技量不足な所が多いですけど…。それでも、頑張ります。」

 

フェール「……? 彼は…。……いや、やめておこう。これは本人の口から言ったほうが良い。」

 

フリエ「え!?何ですか?教えてくださいよぉ…。」

 

サラ「肯定。気になります。」

 

フェール「フフッ。秘密だ。」

 

フリエ「えーっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜アラン視点 1時間後〜

 

アラン「……暇だ。」スタスタ

 

ココ「うん。」スタスタ

 

ステラ「一応導きの力で探知はしていますが…簡単なトラップばかりですね…。」

 

シュタール「不気味ね…。」

 

シル「トラップばっかりで魔物が出てこない…こんなダンジョン初めて。」

 

イオ「なんか…こわい…。」ギュッ

 

アラン「ん…今回ばかりは同意だな…。」ナデナデ

 

ココ「何か…誘われてる?いや…もしくは…魔物が…出せない?」

 

シル「誘われてるにしてはやり方が中途半端。トラップだけ出したらどんなバカでも絶対警戒する。」

 

アラン「じゃ、魔物が出せない…か。でもどうして?」

 

ステラ「ダンジョンの魔物は全てダンジョンコアから生み出されます。そして、ダンジョンコアの魔力は無限。つまり、魔物はいくらでも生み出せます。………ある一つの可能性を除いては。」

 

ココ「それっていったい…?」

 

シュタール「奥に控えてるボスに全ての魔力を持ってかれてる可能性ね。そして、魔物は当然魔力を注ぎ込めば込むほどに強く、強大になる。」

 

アラン「おいおいだとしたらマズいぞ。人選ミスだ。実力的に俺じゃなくてフェールさんを連れて来るべきだった。」

 

イオ「やだ!あるじがいないとやだ!」プンプン

 

ココ「そうだよ!私達は勇者様だから付いていってるの!」

 

アラン「いやそういう問題ではなくてだな…。」

 

シル「……私も、貴方は必要な存在だと思う。」

 

アラン「シルさんまで?」

 

シル「何となくだけど…貴方が居ないとダメ。そう思う。」

 

アラン「……?ま、まあうん。そこまで言うなら…。ってそんな事話してる場合じゃない。急いで地上のフリエ達を呼ぼう。未知の脅威がいる以上、戦力は多いほうが良い。」

 

ステラ「……そうですね。戦力は多いに越した事はありません。煙のトラップも今のところ確認できませんし…。呼んでおきましょう。」

 

シル「了解。じゃあ…こちらシル。こちらシル。応答を…」

 

 

〜1時間後〜

 

 

フェール「あ、いたいた。おーい!」ブンブン

 

シル「ん。フェール。こっちだよ。」

 

フリエ「勇者様っ!」ガバッ

 

サラ「マスター…!」ギュッ

 

アラン「うおっと…おいおい…1時間しか離れてないんだが…?」ギュッ

 

フリエ「それでも…心配だったッス…。」ギュッ

 

サラ「ケガは…無いようですね。良かった。」

 

アラン「ふむ…最近なんか可愛くなってきたな…。」

 

サラ「そう…でしょうか…///」

 

フリエ「え…///」

 

ココ「前から思ってたけど…。勇者様って…。」

 

ステラ「ええ。重い女が好きなようですね。」

 

イオ「?」

 

シル「女の趣味まで似てる…。」

 

シュタール「もうこれ偶然だとしたら怖いわよ…。」カタッ

 

フェール「ふむ…?」

 

アラン「っと…良し。全員揃ったし進むか。大丈夫ですよね?」

 

フェール「あ、ああ。良し。進むとしよう。」

 

 

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