記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

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vsブリトル

 

〜ダンジョン 闘技場〜

 

ダンジョンコア「GAAAAAAAAAAAAA!!」ビュン

 

勢い良く触手が飛んでくる。

 

アラン「うおっほい!」ヒュン

 

体を捻って回避する。まずは近づかなければ…。

 

ブリトル「させないよ!」ズバァン

 

アラン「だあっ!」ガキン

 

ブリトルが放った特大のかまいたちをステラで返す。

 

ブリトル「っと!へぇ…まさか弾くなんてね。」

 

アラン「風魔法は散々見てるからな…。」

 

ブリトル「そう言えばエルフの里から来たんだっけ?じゃ、当然か。」

 

ダンジョンコア「GAA!!」ビュンビュン

 

アラン「うぉっ。っが!?」ドゴォン

 

イオ「あるじっ…!ゲホッ。」

 

肩に被弾。鎧が無ければ貫通していた。

 

アラン「やっぱり早いな…。」

 

ブリトル「そうだろうね。シエロの魔力を吸って育った魔物だ。魔法だけじゃなくてステータスも一級品さ。」

 

アラン「まったく…こっちは人一人背負ってるんだぞ…ちょっとは手加減してくれても良いだろ…。」

 

背中にはシエロ…シエロさんが居る。ここまで来たのだ。傷つける訳にはいかない。

 

ブリトル「そんな絞りカス置いていけば良いのに。大丈夫。再び支配魔法で僕の妻にしてあげるよ。」

 

アラン「まあこんな美人だしな…気持ちは分からんでもないが…支配魔法で無理矢理やってもいつか限界が来るぞ。っと!」ガキン

 

ブリトル「君と違ってこちとら百年近く生きてるからね。そんな事分かってるよ。永遠には無理でも飽きたら殺して剥製にするから大丈夫さ。」

 

アラン「ヒュウ〜。さっすが悪の手先…言う事が違うねッ!」ビュン

 

シル「うっ…。」ガクッ

 

フェール「勇者君…逃げろ…。」ガクッ

 

…何か煙が濃くなってるような気がする。

 

ブリトル「させないよ。君達はそこで寝てるが良いさ。」

 

ダンジョンコア「GAAAAAAA!」モクモク

 

…マズい。とにかくダンジョンコアをここから離さないと…。いや、待てよ?逆だ。誰かをここから移動させれば…。

 

アラン「っ!」ダッ

 

フリエの方に走る。目指すは…腰にある縄だ。

 

ブリトル「おや?何をする気かな?」

 

ダンジョンコア「GAAAA!!」ビュン

 

触手が飛んでくるが走って回避。そして…。

 

アラン「よしっ!」パシッ

 

腰の縄を取った。そして…。

 

ブリトル「ふむ?縄?一体何を…。」

 

アラン「うおおお!!」ダダダッ!

 

走る。全力で走る。目指すは…。

 

アラン「イオっ!」

 

イオ「あ…あるじ…!」

 

イオだ。本音を言えばシルさんを連れていきたい所だが、シュタールも連れて行かなければならないので重量的に厳しい。身長も低く、体重も軽い。なおかつ戦闘力が十分にあるイオが最適解だ。

 

イオ「あるじ…。」グッタリ

 

アラン「イオ。まだ動けるな?一旦外に出るぞ。」グイッ

 

イオ「うん…。」

 

イオを前に抱えて縄で自分の身体にくくりつける。……前も後ろも感触的には天国だ。状況は地獄だが。

 

ブリトル「ウエイトトレーニングかい?そんな簡単にステータスは上がらないよ?」

 

アラン「それはどうかな?」

 

ブリトル「何?」

 

アラン「俺にはまだ切り札がある。そして…俺は一度たりとも勝負に負けた事がない…。」

 

ブリトル「まさか…スキルか?クッ…。」 

 

アラン「喰らえっ!これが俺の…。」

 

ブリトル「待っ…」

 

アラン「奥義だぁ!」ダダダダッ!!

 

走る。逃げているのではない。絶対に違う。違うと言ったら違う。

 

ブリトル「な…。……フフフ。この僕を騙すとはね…。おい、お前は此処に待機だ!」

 

ダンジョンコア「GA。」

 

ブリトル「逃さないぞ…。」ブワッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜闘技場の外〜

 

アラン「ゼェゼェ…さ、さすがにキツい…。」

 

イオはまだしもシエロさんは大人だ。さすがにキツい。

 

イオ「こほっ…。う…あ、あるじ、もう大丈夫。」

 

アラン「よし…下ろすぞ…。」

 

イオを下ろす。少し軽くなった。

 

アラン「ココの特訓が役にたったな…。」ゼェゼェ

 

イオ「あ、あるじ?だいじょうぶ?」

 

アラン「ちょっと待って……ふぅ。よし。息が整った。」

 

イオ「よかった…。これからどうするの?」

 

アラン「来るまで待つ。ただそれだけ。」

 

イオ「それだけなの?もっとこう…いっぱつぎゃくてーん!とか…。」

 

アラン「いや、これが一発逆転なんだよ。」

 

イオ「? どういう…こと?」

 

アラン「あっちはブリトルとダンジョンコアしか戦力が居ないだろ?で、今倒れてるウチの救助隊メンバーの中に、シルさんと言う見てなきゃヤバいであろう人が居る。だから、あっちは戦力を分割して追いかけなきゃいけない。」

 

イオ「でもそれって、わたしたちをむしすればいいだけなんじゃ…。」

 

アラン「シエロさんって言うほっといて復活させてしまったらヤバい超特級の戦力が居るのにか?」

 

イオ「あ。たしかに…。」

 

ドラゴン…竜種の魔物…いや、生物は強い。それはたとえ魔法が使えなくても。その大きな体躯で適当に走るだけで甚大な被害が出る。ランドワイバーンでそれは嫌と言うほどわかった。

 

アラン「アイツは最初煙の話でうまく誤魔化したけど…結局あっちが人手不足なのは変わらない。シエロさんを解放できた時点でこっちが半分勝ってたようなもんなんだ。」

 

イオ「わぁ…!すごいっ!」

 

アラン「追いかけて来るなら俺とイオが、追いかけて来ないならちょっと休憩して復活したシエロさんと3人であっちを襲撃すれば良い。ブリトルもそれは分かってるはずだ。なら、今アイツが取る行動は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリトル「その通りだね。」

 

アラン「ほら来た。勇者1人とドラゴン2人相手にするよりはまだ勇者1人とドラゴン1人相手にしたほうが良い。誰だってそうする。俺だってそうする。」

 

ブリトル「まったく…まさかここまで見透かされてるとは…。今回の導きの勇者も侮れないね。」

 

イオ「へっへーん!イオのあるじはすごいんだもん!」ドヤァ

 

ブリトル「ま、君達の言う通りだよ。それじゃあ、後ろの彼女が起きない内に…さっさと死んでもらおうか?

 

アラン「やってみろよ。」ジャキン

 

ドラゴンイオ「ガアァァァァァァァアア!!」ゴウゴウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜シル視点〜

 

身体が重い。息が苦しい。話には聞いていたが…まさかこれほどとは…。

 

シル「うっ…くっ…。」ゲホッ

 

フェール「シ…ル…。」ゲホッゲホッ

 

フェールは魔法と従魔が主戦力。もう立てないだろう。

 

シル「はぁ、はぁ…。うぐっ。」ゲホッ

 

ダンジョンコア「………。」

 

どうやらあの魔物はこちらを見張っているらしい。こっちに一切攻撃が来ない。

 

シル「アランは…。」

 

外だ。外に行った。しかし、逃げた訳ではない事は分かっている。

 

シル「まだ…まだやれ…ぁ…。」バタン

 

クソッ…最近は強敵との戦闘が少なかったから身体が鈍っている…。

 

シル「ゲホッ…ゲホゲホッ…。」

 

シュタールは…ダメだ。元々神器の中ではそんなに魔力は多く無い。さすがに復活したばかりのステラよりは多いが、この濃度の煙ではもう…。

 

シル「せめて…安全な所に…。」ズルズル

 

身体を引きずって逃げる。幸い、下はそんなに煙が濃くない。

 

ダンジョンコア「GA?GUAAA…GAAAAAAAAAA!」ビュン

 

シル「あぐっ!?」

 

ダメだ。気づかれた。触手が身体に突き刺さる。

 

シル「ゲホッゲホゲホッ…。」

 

息を整えようとして更に多くの煙を吸い込んでしまった。動けない。

 

シル「ぐぅ…。」

 

何とか意識を保つ事に成功するが、それで精一杯だ。

 

シル「アラン…早く…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜闘技場の外 アラン視点〜

 

アラン「よっ!」ガキン

 

ドラゴンイオ『がぉぉぉぉお…くっ…。』キィン

 

ブリトル「やはりイオちゃんはキツそうだね!大人しく寝てたらどうだい!」ビュン

 

ドラゴンイオ『やだっ!』ドゴォン

 

ブリトル「うおっ!?」

 

イオの動きがいつもより鈍い。早めに決着を着けないと厳しそうだ。

 

アラン「ステラは…まだダメか。」

 

今回は働かせっ放しだった。いつもより魔力の消費が大きいのだろう。

 

ドラゴンイオ『がおおおっ!!』ゴウゴウ

 

ブリトル「!?くっ…。」

 

吹雪が更に強くなり、飛んでいるブリトルの体制が崩れた。

 

アラン「今っ!」ダァン

 

ブリトル「遅いッ!」ザシュッ

 

アラン「っが!?」バリン

 

ドラゴンイオ『あるじっ!』

 

くっそ…ステータスが足りない。風の魔力を纏わせた手刀で反撃され、脇腹に攻撃が命中。鎧が砕けて中の腹が斬られた。

 

アラン「ゲホッ…ゴボッ…。」ビチャビチャ

 

イオ「あるじっ!あるじっ!しっかりっ!」ユサユサ

 

アラン「イオっ…すまん…傷口だけ凍らせてくれ…。」

 

イオ「っ!わかった!」パキパキ

 

竜人になったイオによって、氷の魔法で傷口が凍っていく。とりあえずこれで止血はできた。

 

ブリトル「そんなものかい?導きの勇者は!」ビュン

 

アラン「っおっ!」ガキン

 

手刀が迫る。咄嗟にステラで弾く。

 

ブリトル「はは…まったく。何で脇腹削られて動けるのかな。」

 

アラン「導きの勇者はどっかしら被弾してからが本番なんだよっ!」ズバァン

 

ブリトル「うおっ!」ヒュン

 

ドラゴンイオ『おりゃぁぁぁあ!』ダァン

 

ブリトル「しまっ…があっ!?」

 

イオのタックルが命中し、ブリトルが吹っ飛んで行く。脇腹を攻撃されたが、シエロさんは…。

 

アラン「……良し。傷なしだな。」

 

ドラゴンイオ『なにいってるの!じぶんのしんぱいしてっ!』キィン

 

アラン「すいません。」

 

イオに怒られる。いや、ぶっちゃけイオのお母さんなら風魔法一発当たったぐらいで死にはしないんだろうが…。それでもやっぱり傷は付けたくない。

 

ブリトル「っぐあっ!くっ…調子に…乗るなよっ!!」ビュン!

 

アラン「これは…くっそっ!」ダダッ

 

ブリトルが特大の竜巻を放ってきたので走って避ける。良く見たら中にはかまいたち。当たったらミンチになるだろう。

 

ドラゴンイオ『うっ…あるじっ。もうまりょくが…。』

 

アラン「くっそ。……分かった。俺が引きつけるから特別デカいのをくれてやれ!」

 

ドラゴンイオ『わかった!』ブワッ

 

ブリトル「!?マズいっ!」ダァン

 

アラン「させるかぁっ!」ダァン

 

イオが魔力を溜める。ブリトルが危険を感じ取って止めようと突撃してきた。

 

ブリトル「どけぇ!」ズバァン

 

アラン「断るっ!」ガキン

 

ブリトルが手刀で攻撃してくるが、ステラで受け止める。絶対に行かせない。

 

ブリトル「くっ…!オラァっ!」ビュンビュン

 

アラン「返すぜっ!」ガキンガキン

 

俺が直接攻撃してもステータス的に有効打にはならない。なら、相手の攻撃を利用するしかない。

 

ブリトル「なっ…。クソッ!」ヒュン

 

ブリトルが飛んで避ける。そこに…。

 

アラン「降りてこいよっ!」ブン

 

ブリトル「!?ぐあっ!」

 

足に縄を引っ掛けて思いっきり引っ張る。ブリトルが落ちてきた。

 

ブリトル「クソッ…オラっ!」ブンッ

 

アラン「待ってたぜっ!」ガシッ

 

ブリトル「な…離れろっ!」グイグイッ

 

アラン「やだねっ!」ガシッ

 

ブリトルが手刀で攻撃してきたので手を取って組み付く。……やはりだ。コイツ、力がそんなに強くない。どうりでフワフワ飛んで魔法ばかり放ってくるはずだ。

 

ブリトル「くっ…離れ…!?マズいっ!」

 

ドラゴンイオ『じゅんびかんりょー!あるじっ!』

 

アラン「このまま撃てっ!」

 

ブリトル「は!?正気かお前っ!」グイグイッ

 

ドラゴンイオ『え!?ダメだよっ!しんじゃうっ!』

 

アラン「良いからっ!」

 

ドラゴンイオ『ぅぁ……うわぁぁぁぁぁぁあっ!』キィン!

 

イオの口から青白く、目を潰すほどの強烈な光が放たれる。

 

ブリトル「クソっ!離せっ!クソ!うっ…うわぁぁぁぁぁあ!」

 

アラン「言ってなかったが…俺、お前にかなりキレてるんだぞ。よくもウチのイオを泣かせたな。」ガシッ

 

ブリトル「知るかっ!そもそも勝手に首突っ込んできたのはそっちだろ!?僕の芸術を邪魔しやがって…お前のせいで台無しだっ!」グイッ

 

アラン「人の母親あんなにしておいて反省の色ナシか…残念だよ。命乞いでもすれば離してもらえたかもなのにな。もう…もう殺すしかなくなっちゃったよ。」ガシガシッ

 

ブリトル「お前ホントに勇者か!?悪魔みたいなセリフ吐きやがって…クソっ!この…忌々しい…クソッタレの勇者めっ!」グイグイッ

 

アラン「なんとでも言え。どうせ負け犬の遠吠えだ。じゃあな。」

 

ブリトル「うっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

 

 

   

       目の前が真っ白になった!

 

 

 

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