記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

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大型新人

 

〜宿屋 アランの部屋〜

 

アラン「………ぅああ。……ん?」

 

目が覚めた。ここは…自分の部屋だ。だが…。

 

アラン「……????何で点滴?」

 

何か点滴されてる。え?もしかして…またやらかしました?

 

アラン「………?ステラは…?」

 

ステラが居ない。いつもはベッドの横の武器スタンドが定位置なのに。

 

アラン「……ふぅ。」ゴソッ

 

考えても分からない。とにかくベッドに再度潜り、誰か来るのを待つ事にした。

 

アラン「そう言えば…。」

 

足の感覚がある。どうやら何とかなった様だ。

 

アラン「………え?」

 

やっぱり何で点滴?普通に神聖魔法かけて終わりなんじゃ…。

 

 

パリン

 

 

アラン「?」

 

何かが割れる音がしたので、ドアがある方に目線を向ける。

 

アリシア「……ぇ?ゆ、勇者様?っ…ああ、ぁぁぁあああ…。お目覚めに…お目覚めになられたのですね…。」ドタドタギュッ

 

アラン「……!?何で?え?何でアリシア?」

 

え?ここドワーフの街の宿屋だよね?明らかにそうだよね?だって窓の外思いっきりスチームパンクだよ?

 

アリシア「勇者様が…勇者様が魔物との戦闘で大怪我を負ったと聞いて…急いでこちらまで…よかったぁ…よがっだぁ…。」グスッ

 

アラン「……あ、うん。し、心配かけてごめんね?」ナデナデ

 

アリシア「んぅ…。」ナデラレ

 

〜3分後〜

 

アラン「……で?何で…何で点滴?え?欠損部位って神聖魔法とポーションで治るんじゃ…。」

 

アリシア「それは…勇者様が、重度の栄養失調だからです。」

 

アラン「は?」

 

栄養失調?マジで?そんな腹減って無かったと思うんだけど…。何なら出発前にも食ったし…。

 

アリシア「原因は分かりませんが…ステラ様曰く、例の…最後の砦と言うスキルのせいではないかと…。」

 

アラン「あー。そうかそう言うスキルか…。」

 

どうやら、最後の砦は時間制限などがある訳では無いが、長く使えば使うほど身体が消耗するスキルらしい。

 

アリシア「お身体は大丈夫ですか?何処か痛い所は…。」

 

アラン「特に無いかな…。…あ、ちなみに…。」

 

アリシア「?」

 

アラン「俺が寝てからどのぐらい経ってる?」

 

アリシア「えーっと…勇者様が寝た時から…作戦終了の時刻ですので…おおよそ、1週間ではないかと…。」

 

アラン「oh…。」

 

何で1週間も…寝すぎだぞ俺…。

 

アリシア「……もしかして、寝すぎだぞ俺とか思ってますか?」

 

アラン「え?何で分かった?」

 

アリシア「顔にだいたい出てますよ。まったく…そう言えば勇者様は神聖魔法の原理を知りませんよね。

神聖魔法と言うのは、なにも無から欠損部位を創り出している訳ではありません。魔力で欠損部位の周辺の生命力を活性化、そして再生を促すものです。つまり…生命力の前借りですね。なので、残念ながらもう亡くなってしまった方には効果がありません。そして、無理矢理魔力で生命力を活性化させるので、当然…身体への負担も大きいです。」

 

アラン「そうだったのか…。」

 

どうやら無条件にバカスカ使えるものでは無いらしい。

 

アリシア「勇者様の場合、膝から下の両足に加えて脇腹もですので…かなりの負担が身体にかかっています。しばらくは絶対安静ですね。」

 

アラン「そうスか…。よっ…。」グイッ

 

アリシア「っ!だからっ!絶対安静ですっ!まだ寝てて下さいっ!」ガシッ

 

どうやら身体を起こすのもアウトらしい。

 

アラン「えー。起こすのも…ダメ?」ウルッ

 

アリシア「………ぅう。そんなに可愛く言っても…ダメですっ。」

 

アラン「え?こんな野郎の上目遣いが可愛いって…大丈夫?神聖魔法自分に使った?」

 

アリシア「大丈夫ですっ!もう…。」ニコッ

 

アラン「はうっ…。」ムネオサエ

 

アリシアの美しい聖母のような笑みで胸が苦しくなった。くっ…顔が…いや、全てが良すぎる…。

 

アリシア「勇者様っ!?大丈夫ですかっ!しっかりっ!」

 

アラン「ふ〜。うぅ…アリシアさんマジ天使…苦しい…。」

 

アリシア「え…、えへへ…///」テレテレ

 

 

ドタドタドタドタ

 

 

シスター「聖女様!?大きな音がしましたが…。え!?勇者様!お目覚めに…!ココ様!イオ様っ!勇者様がっ!あ、いえ、まずは割れた花瓶の処理を…。」

 

あ、そう言えば花瓶割れてたんだ。忘れてた。

 

ココ「勇者様っ!」

 

イオ「あるじっ!」

 

アラン「あ…二人とも…。」

 

二人の顔を見て少し安心する。アッこれは…。

 

ココ「勇者様ーっ!」ガバッ

 

イオ「あるじーっ!」ガバッ

 

アラン「あっちょ…。」

 

アリシア「え…。」

 

二人が飛びかかってくる。これは…。

 

アラン「うおっ!?」

 

アリシア「キャッ!?」

 

アリシアがベッドに倒れてくる。あーっ…。

 

アラン「幸せ…。」

 

アリシア「え…///あ…フフッ…。」ギュッ

 

ココ「んふふ〜!」ギュッ

 

イオ「よかったぁ…あるじぃ…!」グスッギュッ

 

アリシアもろとも抱き締められる。色々と幸せだ。

 

〜2分後〜

 

アラン「幸せ……幸せなんだけど…。その…そろそろ離れて…。」

 

イオ「ヤダっ!」ギュゥゥゥッ

 

ココ「ダーメっ!」ギュッ

 

アリシア「………!」ギュゥゥゥッ

 

イオとアリシアというとんでもなくデカいアレを持ってる二人に抱きつかれてるので…イロイロと辛い…。

 

イオ「えへへ…あるじの…あるじ…のあしだぁ…。」ギュゥゥゥッ

 

ココ「足があるって…良いねぇ…。」ギュゥゥゥッ

 

アリシア「っ!………!」ギュッギュゥゥゥッ

 

アラン「アッちょっ…イオさん膝から上は関係ないでしょ!コラッ!離れ…アッやべっ!タっちゃう!タっちゃうから!俺健全な年頃の男だから!マジで離して…ああああああああ!」

 

イオ「だいじょうぶっ!こんどこそイオにおまかせっ!」

 

ココ「え!?今度こそって!ムーッ…!勇者様っ!」

 

アリシア「はわわ…こんな小さい子どもに…ハレンチですっ!」

 

アラン「いや!誤解だっ!直前で耐えたわっ!いやっ…おいっ!マジで離して…二人もっ!」

 

ココ「むーっ!」ギュゥゥゥッ

 

アリシア「大天使様…ふしだらな私をお許し下さい…。」ギュゥゥッ

 

アラン「むぶっ!?むーっ!」

 

アリシアさん!?デカいのが顔に…。

 

アリシア「んふふ…。」スーッ

 

アラン「むむむ〜!」

 

くっそ…吸われてる…。離れ…って、ウソだろ!この聖女…前にステータス見せてもらった時よりも…。

 

アラン「むふふむっふふ!?」(強くなってる!?)

 

アリシア「んっ…。」

 

アラン「むぅー!」グイッグイッ

 

変な声出すなっ!と言うか聖女って普段何してるんだ!?いつも教会に籠ってお祈りじゃないの!?何でステータス上がってるんだよ!?

 

イオ「あ!ちょっとアリシアさん!どいてよっ!イオのあるじなのっ!」

 

イオは俺のアソコから離れたけど…今度はアリシアが俺に覆い被さってる。ぐおおおお!耐えろっ!耐えろ俺の理性っ!

 

アラン「むむむっ!むーっ!」グイッグイッ

 

アリシア「もっと…!」スゥーッハァーッスゥーッハァーッ

 

やべえこの聖女欲望に忠実すぎる!ホントに聖女か!?

 

ココ「コラーッ!聖女様っ!」グイッ

 

イオ「イオのあるじなのっ!」グイッ

 

アリシア「………。」ガシッギュゥゥゥッ

 

アラン「むぅぅ…。」

 

シスター「はわわ…何とか…何とかしなくては…あ!貴方は!」

 

ヤバい息が…嫌だぁ…イオので窒息しかけたばかりなのに…。

 

シル「はいはい。離れる。」グイッ

 

アリシア「あっ…。」

 

シル「まったく…目が覚めたって聞いて飛んできたら…何してるの。」

 

アラン「ハーッ…ハーッ…。い、いや…急に…何か…アリシアが…。」

 

アリシア「すみません…///教会ではイロイロと溜まるのです…///」

 

アラン「……やべえ、気持ち分かりすぎるから何とも言えん。」

 

シル「はぁ…。勇者と聖女が揃いも揃って…。」

 

シュタール「あら、そう言う貴方もアランと会ってからオモチャ遊び激しいじゃない。」

 

シル「シュタールっ!」カオマッカ

 

アラン「俺は何も聞いてない…。」ミミオサエ

 

かなり話が生々しくなってしまったが、これで一安心だ。

 

ステラ「主様…大丈夫ですか?」

 

アラン「あ、ステラ…どこ行ってたんだよ…。」グッタリ

 

ステラ「シルの所でメンテナンスを…。」

 

神器にもメンテナンスとかあるのか…。

 

ステラ「……すみません。メンテナンスと言うよりは…調整に近いですね。今まで、未来予知は両目分の魔力を片目に流していたので、魔力の消耗が早かったのですが…。今回の調整で、片目分にしました。これで、多少は消耗が遅くなるはずです。」

 

アラン「やったぜ。あ…でも、ダンジョンコア結局吸収せずに終わったな。」

 

ステラ「そう…ですね。調整で消耗は抑えられますが…そもそもの根本的な魔力が少ないので…。」

 

アラン「って言ってもそもそもの消して良いダンジョンが少ないからなぁ…。」

 

今まで俺が攻略してきたダンジョンはどれもケースが特殊な物ばかり。ダークエルフがラスボスだったり…(サソリ達のダンジョン)、ダンジョンコア自体がラスボスだったり…(今回)。

 

シル「ダンジョン自体、その地域の冒険者達の大事な収入源にもなってる。ギルドもそう簡単にダンジョンコアの破壊許可を出す訳には行かない。」

 

フェール「そうだね。」

 

アラン「あ、フェールさん。」

 

フェール「おはよう。まったく…本当に君は肝を冷やさせる…。」ナデナデ

 

アラン「あはは…すみません。」ナデラレ

 

フェール「無事で良かったよ。今回は…説教は無しにするよ。私も、あまりお役に立てなかったしね。」

 

アラン「……いや?別にそんな事無かったような…。」

 

実際、フェールさんの従魔達が引き付けてくれなければシエロさんが解放できずに詰んでた。

 

フェール「……分かった。それは置いておこう。長くなりそうだしね。ま、それはそれとして…私も煙の対策を考えるよ。また遭遇しないとも限らないしね。」

 

アラン「あ…そうだ。煙も何か対策しないと…。」

 

ココ「うん…今回、全然動けなかった…すごく、悔しい。」グッ

 

ココが拳を握りしめる。顔には悔しさが滲んでいる。 

 

アラン「今回シルさんが居てくれたから良かったけど、普段の俺らだけであの煙を使ってくる奴に遭遇したらヤバいんだよな…。せめてココだけでも動けるようにしたい。」

 

実際、ウチのチームは半分が魔法使いなので、あの煙はヤバい。せめてココだけでも動けるようにならなければ、俺が早々に過労で死ぬ事になる。

 

アリシア「……その煙についてですが。」

 

アラン「何かあるのか?アリシア。」

 

アリシア「はい。性質的に闇魔法の物だと思います。もしかしたら…光魔法で打ち消せるかもしれません。」

 

アラン「あ…。そっか。そうだな。」

 

シエロさんの支配魔法のように、闇魔法は光魔法で打ち消せる。ただ…。

 

アラン「ウチのパーティーに光魔法を扱える奴が、現状ステラしか居ないんだよな。」

 

ステラ「そこなんですよね…。魔法の新しい属性の習得は、どんな天才でも数年はかかります。フリエやサラに習得を頼むのは…時間がかかりすぎる。」

 

邪神の詳しい復活時期が分からない以上、悠長にやってたら間に合わない。かと言ってこのまま進むのは危険。どうしたものか…。

 

アリシア「そう言うと思いまして。」

 

アラン「?」

 

アリシアが何か言いたそうだ。

 

アリシア「私が…チームスピードクロウに加入させていただきます。」

 

アラン「へーそれは良かっ……は?」

 

ステラ「……アリシア。貴方聖女ですよね…?冒険者ギルドの所属でもありませんし…。教会は何と?」

 

アリシア「別に教会自体は、そもそもがボランティア組織みたいな所がありますので、他の組織との二重所属は大丈夫ですよ?冒険者ギルドにも許可は取ってありますし…。もう冒険者としてのライセンスもあります。ほら、カードです。」スッ

 

本当だ。本物の冒険者カードだ。

 

ステラ「……ちなみに、所属を決意した理由は?」

 

アリシア「はっきり言わせてもらいますが…勇者様が、かなり心配でして…。このままだといつか…その、死んでしまうのではと…。」

 

アラン「ヴッ。」グサッ

 

うう…。まあ、アリシアには色々とお世話になったのであまり強くは言えないが…。

 

ステラ「……仕方ないですね。ヒーラーが居るのは良いことです。」

 

ココ「やった!聖女様が一緒だっ!」

 

イオ「やったー!おねえちゃんがふえたーっ!」ピョンピョン

 

アリシア「お、お姉ちゃん…フフッ。良い響きですね…。」

 

イオ「よろしくねっ!アリシアおねえちゃん!」ニパーッ

 

アリシア「うっ…ま、眩しい…尊い…。」ガクッ

 

ココ「聖女様もオトすなんて…イオちゃん恐るべし。」

 

さすがイオだ。やっぱりウチの子が最強だな。

 

シル「あ、私もチームスピードクロウに入るよ。」

 

アラン「それは良かっ……ウェ!?」

 

シルさんまで!?クソッ…大型新人が入りすぎだ…。俺の存在意義がガガガ…。

 

ステラ「ああ…やはり入るのですね。」

 

アラン「ステラ何かシルさんに対しては反応薄くない?」

 

ステラ「まあ…基本的に神器の担い手は同じパーティーに入るのはテンプレートと言いますか…。その方がいざと言う時の連携が取りやすいのです。むしろこの1000年近くが異常な事態ですね。」

 

アラン「あーね。」

 

まあ、指揮系統は複雑であればあるほど初動が遅れる。なるべくシンプルな方が良い。そう言うことだろう。

 

イオ「またおねえちゃんがふえたーっ!」キャッキャッ

 

シル「よろしくね。」ナデナデ

 

イオ「うん!シルおねえちゃん!」ギュッ

 

シル「はうっ…。」ガクッ

 

シュタール「そんな…シルが防げない攻撃なんて…この子、できるっ!」

 

イオ「シュタールおねえちゃんも!」スリスリ

 

シュタール「あっ…ダメ…そこは…弱いのぉ…。」カタカタ

 

フェール「神器までオトすのか…。これが獄氷竜の娘…。」

 

アラン「イオが最強なのは変わらないな。」

 

ステラ「そうですね。やはりウチの子が最強です。」フンス

 

恐らく、今後他の勇者が入る事になっても、イオの魅力には敵わないだろう。恐るべしイオ。

 

 

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