〜馬車の中〜
シル「おーい。ついたよ。起きて。」
アラン「んぁ…あ、着いたか…って、あ。抱きつかれてたの忘れてた…。」
アリシア「……んぅ…zzzzz…。」
アラン「おーい。アリシア。起きろー。」ユサユサ
アリシア「あ…ん…あ、勇者様…。」
アラン「到着だってよ。」
アリシア「分かり…ました…。ありがとうございます。だいぶ…寝れました…。」
アラン「それは良かった。皆は…。」
シル「もう外に出てるよ。あとは私達だけ。」
アラン「了解…。あの?アリシアさん?離して…?」
アリシア「あ…はい。」パッ
アラン「よし…。」グイッ
幌馬車の出入り口の布をめくって外に出る。日光の眩しさに思わず目を瞑った。
〜馬車の外〜
ココ「あ、勇者様…やっときたー!」
イオ「おそいよ…!あるじーっ!」
フリエ「聖女様…アリシアのクッションは気持ちよかったッスか?良いご身分ッスね!」プンプン
サラ「フリエ…さっきからそればかりですね…。」
皆、精一杯元気そうに振る舞っているが…クマと疲労感が隠せていない。
フリエ「当たり前ッスよ!あんな…あんなに気持ちよさそうな顔で寝て…。」
アラン「あー。ごめんなフリエ。まあでも、あれは…しょうがないと思うぞ…うん。たぶんフリエなら3秒あれば寝れる。」
フリエ「そんな訳無いでしょ!?いくら何でも…。」
シエロ「あの…そこまでで…。」アワアワ
シル「でも、アランが銭湯のオヤジみたいな声出してたから…間違い無いでしょ。」
ステラ「ええ…あれは…んふっwケッサクでした…ふふっw」
アリシア「すみません…少し太り気味でして…。」カオマッカ
アラン「あー別にそう言う事じゃ無くてだな…。」
シエロ「……もうっ!皆さん!とりあえず馬車の運転手さんに挨拶を!」
チームスピードクロウ「お世話になりました!」
運転手「ふふっ…ええ。こちらこそ…またのご利用をお待ちしております。それでは…ハッ!」ガラガラ…
アラン「……さて。これから…どうする?」
シエロ「とりあえずは青竜院に…。宿もこちらで用意しておりますので。」
アラン「じゃあ…行くか。」
ココ「うん。」
〜青竜院 門前〜
アラン「でっっっ…か…。」
ココ「すごい…。」
青竜院に着いた。着いたのだが…。デカい。派手な装飾は無いものの、壁にライン状に並べられた…渦巻き模様と、僅かに青が混じった…ネイビーと呼ばれるような色の瓦と、左右の焦げ茶色の木の柱…年季を感じさせるとんでもない威容だ。
フリエ「これ…入っていいんすか…?」
サラ「少し…いえ…だいぶ圧倒されますね…。」
シエロ「どうぞ皆様…そんなに緊張なさらずに。」
シル「わかる。私も最初はその反応だった。」
ステラ「懐かしいですね…。」
シエロ「それでは入りましょうか。」
門の前まで進む。門番らしき人が2人立っているが、シエロさんの姿を見た瞬間…跪いた。早っ…目で追えなかった…。
アラン「と言うか青竜院って男子禁制なんじゃ…。」
シエロ「禁制…と言う訳ではありません。扱っている物の性質状、結果的に女性が多くなっただけで…。ですので、男性の方が入っていただいても構わないのです。……まあ、配属になった男性の方は…やはり肩身が狭いのか、長続きはしないのですが…。」
アラン「あーね…。」
エルフの里で散々味わったので分かる。……待てよ?これから暫くはまたその思いをしなきゃなのか…。
アラン「またあの肩身が狭い生活に逆戻りか…。」ガクッ
フリエ「ドンマイっす…。」ポンポン
フリエに慰められながら庭を抜ける。……凄い立派な庭だ。あまりこういう事は分からないが…それでも、この光景は価値がある事だけは分かる。
シエロ「着きました。ここが…正面の扉です。」
シエロさんが扉の前に立つと、ゆっくりと扉が開く。そして…。
ラズリ「お帰りなさいませ!青竜様!」
アラン「うお…。」
シエロ「ラズリ。少し声が大きいですよ?」
ラズリ「あ…すみません。」
シエロ「まったくもう…。しかし、よく頑張ってくれました。私が居ない間…。」ナデナデ
ラズリ「っ…ふっ…ああ。はい…。」グスッ
さすがシエロさん。部下に対しても素晴らしい器量だ。ここへ来るまでの道にも、落ち葉一つ無かった。掃除がきちんとされており、教育が行き届いている証拠だ。
ラズリ「グスッ…し、失礼しました。それで…そちらの方々が…。」
シエロ「ええ。私のお客様…勇者アラン御一行様です。」
ラズリ「了解しました。」サササッ
アラン「早っ…。」
ラズリ「はじめまして皆様!私…この青竜院で青竜様…シエロ様の補佐を務めさせていただいております。ラズリと申します!」ピシッ
アラン「あ、これはどうもご丁寧に…。導きの勇者をやらせてもらってます。アランです。」ペコッ
ココ「ココです!よろしくっ!」
フリエ「フリエです。よろしくお願いします。」ペコッ
サラ「サラと申します。お見知り置きを。」
アリシア「アリシアです。よろしくお願い致します。」ペコッ
ラズリ「シル様とイオ様…ステラ様とシュタール様も…お久しぶりでございます!」ピシッ
ステラ「久しぶりですね。ラズリ。」
シュタール「ちょっと大きくなった?」
シル「ん。久しぶり。」
イオ「わーっ!ラズリちゃーん!」ガシッ
ラズリ「おっとっと…イオ様…話には聞いていましたが…ついに竜人化を…。おめでとうございます。」グスッ
イオ「うんっ!どう?綺麗?」
ラズリ「はい…!それはもう…。お母様にそっくりで…。」
イオ「やったー!」ピョンピョン
ラズリ「ふふっ…やはり、イオ様は姿が変わってもイオ様ですね…。」ギュッ
イオ「あ…ふふっ…。」ギュッ
ラズリとイオは深い関係の様だ。
シエロ「ラズリは…イオの教育係を任せておりまして…。」
アラン「あーね…。そりゃあ…感動もするか…。」ウンウン
微笑ましいので暫く眺めてたい。百合の花が咲いている…。
ラズリ「……はっ!?し、失礼しました!それでは、とりあえずお部屋に案内を…。」
アラン「あ、いえ。むしろご馳走様でした。」
ラズリ「え?」
アラン「あ、いえ、何でも無いです。」
ラズリ「はぁ…?そ、それではお部屋に案内させていただきます。」
長い廊下を通って奥の階段を登る。2階には…大きなお座敷の部屋があった。恐らく宴会用だ。
ラズリ「……ここがトイレでございます。ご自由にお使い下さいませ。」
アラン「うわ…すげ…この床の石…。」
フリエ「これ絶対高いやつッスよね…。」
掃除も行き届いている。凄い…。また、暫く進む。
ラズリ「そして…ここがお部屋でございます。一番お布団が広い部屋との事でしたので…天蓋付きの…この青竜院で一番良い部屋の一つです。」
アラン「……あれ?シエロさん?」
シエロ「ふふっ…。」ニコニコ
ニッコニコやんけコイツ。確信犯やんけ。
アリシア「ゆ、勇者様…私は…私達はこの方が…。」
アラン「あー。そうか…。」
まだアリシア達の悪夢の件が解決してない。それを考えると、部屋は一つの方が良い。
シエロ「ふふふっ…。」ニコニコニコッ
アラン「……やっぱり。」
コイツただ自分が一緒に寝たかっただけだ。ちゃっかりしてやがる。イオにもこの図太さが継承されてしまったようだ。
アラン「はぁ…あ、ありがとうございます。」
ラズリ「それでは私はこれにて…今日はごゆっくりお休み下さい。」ペコッ
〜夜〜
アラン「ふう…あとは…寝るだけか…。」
夕食も済ませてベッドに座る。ちなみに夕食は回転テーブルのやつだった。凄く美味しかった。
ココ「勇者様ぁ…。」クイクイッ
アラン「あ…うん。」ゴロン
ココ「ごめんね…ごめんね…まだ…収まらなくて…。」ギュッ
アラン「大丈夫だよ。収まるまで何度でも付き合うよ。」ポンポン
ココ「ぅあ…ありがと…ありがとぉ…。」グスグス
やはり精神的にかなり参っているようだ。涙脆くなっている。
イオ「あるじ…。」ギュッ
アラン「よしよし…。」ナデナデ
サラ「マスター…左…失礼しますね…。」ギュッ
右はココに占領されているので、左腕に抱きついてくる。上はイオのものだ。
アラン「あれ?アリシアとフリエは?」
イオ「あ、それなら…アリシアおねえちゃんが、フリエおねえちゃんとハグしながらねるって…。」
ココ「私の後ろだよ?」
アラン「え?おぅ…フリエ…お前もアリシアの餌食に…。」
ココの後ろを見ると、アリシアがフリエを抱え込むようにして寝ている。……体格差が酷すぎてもはやアリシアがフリエを捕食しているようだ。
シル「なんて残酷な…。と、言う事で、左脚失礼するね。」ガシッ
シエロ「それでは私は右を…。」ガシッ
どういう事かは分からないが、皆各々の体制になったようなので、電気をステラに消してもらう。
アラン「おやすみ…。」
皆「「「「「「「おやすみなさい…。」」」」」」」