〜翌朝〜
アラン「ん…む?まふぁふぁ。」(ん…あ?またか。)
今度は誰が…いや、この真っ白い服は…。
アラン「ひほは…。」(イオだ…。)
とりあえず足のシルさんとシエロさんを…。ん?右脚が軽い。シエロさんは先に起きているようだ。
アラン「むっ!むーっ!」クイクイッ
シル「ん…んっう…。あ?もう…朝…。」
アラン「ひふはん!ほっへ!」(シルさん!取って!)
シル「あ…また…もう…。」グイッ
ステータス的に負けてるのでイオに引っ付かれると取れない。シルさんがいなければ窒息死してるだろう。感謝である。
イオ「む…あ?あるじ…ダメ…。いかないで…。」ムニャムニャ
シル「む…。よし。よいしょ。」
アラン「胸に移動させただけ…。」
まあ顔よりはマシだ。我慢しよう。
アラン「ココ…は、もう少し寝かせておこう。昨日魘されてたしな。」
ココは昨日酷かった。夜中に起きて何度もトイレに駆け込んでいた。しばらく寝させてあげた方が良いだろう。
シル「でも、アラン動けなくなるよ?」
アラン「まあ…うん。そこは…元々冒険者稼業はココ達が回復してからだし…。」
今回の悪夢でウチの主力たちが全滅してしまったので、冒険者稼業はしばらくお休みだ。いや、シルさんが居ればぶっちゃけ何とかなるのだが…シルさん曰く、「私とアランだけレベルアップしても意味が無い。皆で修行はするべき。」との事だ。ま、そりゃそうだ。
アラン「……あ。そう言えば…フリエ大丈夫かな?」
シル「何で?」
アラン「アレの破壊力は壊滅的だから…ちょっと見てもらえません?」
シル「分かった…あ。フリエ…すっごいだらしない顔に…。」
フリエ「うぇへへへ…。」ヨダレダラー
アリシア「んぅ……zzzzz…。」
アラン「ん〜。たぶん…夜中起きて無いと思うから起こしても大丈夫…だと思う。」
シル「曖昧だね…まあ良いや。ほらアリシア。朝だよ。起きて〜。」ユサユサ
アリシアを先に起こす。俺の時はあっさり離してもらえたが、この場合ほぼフリエが埋まっているので、アリシアを先に起こさないと抜け出せない。
アリシア「ん…ぁ…?あ、朝…ですか…。」
シル「うん。よく眠れた?」
アリシア「はい…おかげさまで…やはり、人肌の温もりは…良いですね…。」ギュッ
どうやら良く眠れたらしい。元々アリシアにはハグ魔の兆候があった。……いや、本当にそれだけか?仮にも妖術が関係してるのではとされている悪夢だぞ…?
フリエ「うぇへ…へ!?むーっ!?むーっ!?」パンパン
アリシア「あ!?す、すみません!?」パッ
おっと、フリエが窒息しかけた。まあ…後で考えよう。
アラン「よ!おはよう2人とも。」
アリシア「あ、勇者様!おはようございます!」
フリエ「勇者様の顔見た瞬間すごく嬉しそうになったッスね…。あ、おはようございますッス。」
アラン「もうちょっとココとイオを寝かせてあげたいから…先に朝食すませちゃってよ。後で行くからさ。ほら。サラも起きて。」ユサユサ
サラ「ん…あ、マスター…おはようございます…。」
アラン「よく寝れた?」
サラ「はい…。やはり…マスターが近くに居ると…安心します。」ギュッ
アラン「嬉しい事言ってくれるね…、じゃ、朝ごはん食べてきな。」
サラ「はい…!行きましょう!フリエ!アリシア!」
フリエ「相変わらず食いしん坊ッスね…。ま、行きましょうか。」
アリシア「ふふっ…はい。行きましょう。」
アラン「さてとココは…おっ。」グイッ
ココ「ん…勇者…様ぁ…。」ギュゥゥゥッ
ココの抱きつきが強くなった。腕だけだったのが、足まで絡ませてきている。
イオ「んぁ…。」ギュゥゥゥッ
イオも強くなった。これがシンクロか…。
アラン「これは…しばらくかかりそうだな…。」ナデナデ
ココ「んへへ…。」
〜シエロ視点 執務室〜
ラズリ「こちらに印鑑を…。」スッ
シエロ「はい。」ポン
青竜院に帰ってきて初日。今日は溜まっている仕事を片付ける為に早めに起きた。……本当は、もう少し寝ていたかったが…仕方ない。
ラズリ「青竜様…ところで、御身体は大丈夫なのですか?悪魔族に支配魔法をかけられてしまったとの事ですが…。」
シエロ「問題はありません。あちらで、十分お休みをいただきました。今は、早く溜まっている書類を片付けなくては…。」
ラズリ「すみません…一応、私の方で処理できるものは処理したのですが…。やはり、龍王祭が近くなっている事が響いておりまして…通常業務も最近、雨が降っていない影響で、水不足気味で…その対応に追われております。」
シエロ「さすがに5ヶ月近く雨が降っていないのはおかしいですからね…。今は何とか貯水槽の水でしのいで居ますが…。」
ラズリ「このままでは何れ…いえ、そうならない為に青竜院が居るのですね。」
シエロ「その通りです。シアンは何かつかんでいないのですか?」
ラズリ「音沙汰なしとの事です。あいつは自分の仕事はきっちりしていますので…。」
シエロ「シアンが何もつかめて居ないとなると…。」
ラズリ「龍王院からも、対応を急ぐように通達が来ています。龍王祭の方も、回ってくる仕事の量が多い影響で参加する人材の選出が未だにできておらず…。」
シエロ「前途多難…ですね。」
ラズリ「はい…。」
やる事は多い。皆の疲労も溜まっている。私が…私が頑張らなくては…。
〜アラン視点 執務室の扉前〜
シエロ「前途多難…ですね。」
ラズリ「はい…。」
あれから、しばらく寝て少しは元気を取り戻せたココとイオと共に、遅めの朝食を食べた。そして今は…。ココとイオと一旦別れて、食後の運動で軽く散歩をしていて、偶然執務室の扉前を通りかかったところだ。
アラン「……なるほど。」
シエロさんが何か話しているのが聞こえたので、聞き耳を立てた所ここの事情を大方知ることができた。ふむ…龍王祭か…。
アラン「手伝いたい所だけど…。」
こちらも色々とやる事がある。ただですら動ける人材が少ないのに、下手に請け負ったらキャパオーバーだ。
アラン「あっちから言い出さない限りは…保留だな。」
ステラ「その方が良いでしょう。皆かなり消耗しています。」
とりあえず、保留する事にした。
〜医務室〜
あれから、悪夢を見ている5人と共に医務室に来た。何でも、ここに妖術の専門家が居るとか…。
アラン「失礼しまーす…。」ガラッ
???「ん…え…!?あ、そっか勇者様達が来るんだっけ…。」
アラン「えーっと…入ってもよろしい感じですかね…。」
???「あ…ど、どうぞ…。」
アラン「あ、はい。っと…。えーっと…付き添いで来たアランです…。」
???「あ…えっと…セレスです…。」
アラン「あ…ども…よろしくお願いします。」
セレス「よろしくお願いします…えーっと…それで…患者の方は…。」
アラン「あ、はい。後ろの5人です。皆同じ症状なので…お願いします。」
セレス「分かりました…。」
〜診察中〜
セレス「えーっと…終わりましたが…やはり…。」
アラン「やはり?」
セレス「えっと…僅かですが、体内に妖力が確認できました…。しかし、何をかけられたかについては…妖力の残滓がそもそも少なすぎて…。」
アラン「分からない…ですか…。」
セレス「はい…すみません…。」
アラン「あ、いえいえ。妖術と分かっただけでも…。」
セレス「ありがとうございます…。あ、そう言えば…都の方でも同じ症状…悪夢を立て続けに見たと言う方が増えていまして…。」
アラン「なるほど…。」
都の方でも同じ症状…じゃあ、俺の過去とこの悪夢は無関係…?
アラン「分かりました。ありがとうございます。」
セレス「はい…。一応こちらでも、症状と病源の特定を急いでおりますので…しばらくはこの都に滞在して、報告をお待ち下さい。」
アラン「分かりました。」
セレス「睡眠薬の方は処方されているとの事ですので…。どうしても辛い時は、こちらの丸薬をお飲み下さい。妖術の働きを抑える効果があります。」
アラン「こちらも了解しました。それでは…。」
セレス「はい…お大事に…。」
バタン。扉が閉められる。……結局妖術であると言う事以外は分からずじまいだったが、分かっただけでも前進できたと言う事だ。しばらくは…一緒のベッドだな。
フリエ「これ…いったい何なんスかね…。いい加減…キツイっす…。」
ステラ「妖術である事は確定しましたが…。」
サラ「……マスター。しばらくは…お願いします。」
アラン「分かってるよ。治るまで付き合うから。」
イオ「ぅう…あるじ…ありがと…。」ギュッ
アリシア「ココさん…大丈夫ですか…?」
ココ「うん…。」
ココの消耗が思ったよりも早い。…丸薬を使うか。
アラン「俺の過去も気になるが…暫くはお預けだな…。」
ステラ「そう…ですね。」
今俺の過去を見て、万が一の事があれば共倒れしてしまう可能性がある。ここはココ達の治療を優先しよう。
〜夜 寝室〜
シエロさんに今日の事を報告した所、暫くこの部屋を客室としてではなく、俺達の部屋として貸してくれる事になった。ああ…ありがてぇ…!
シル「シエロは?」
ステラ「仕事が溜まっているようで…もう少しやってから寝るとの事です。」
シル「昔と違って落ち着きがあるね…。」
ステラ「まあ…今や青竜院の長ですからね。」
シル「あのおてんば娘がね…。」
アラン「あの人が?信じられねぇ…。」
シル「まあ…ほぼイオだよ。ほんとに血の力って恐ろしいね。」
アラン「あー。じゃあイオも何れああなるのか…。……やっぱり想像できない。」
イオ「ムッ!あるじ!?どういうこと?」
アラン「いや…イオは今のイオが一番可愛いって事だよ。」
イオ「えへへ…。」テレテレ
フリエ「……うまく誤魔化したッスね。」
サラ「そうですね。」
フリエとサラからの視線が痛いが、無視する。イオが可愛いのは事実だ。
ココ「おまたせ〜!」
アラン「お。来たか。丸薬飲んだ?」
ココ「うん!これで…眠れると良いんだけど…。」
アラン「まあ…何とかなるさ。っ…ふあああぁ…眠くなってきた…。」
ステラ「じゃあ…寝ましょうか。」
フリエ「そうッスね…。」
ステラに明かりを消してもらい、ベッドに横になる。
アラン「……ゑ?ちょ…今日は…アリシアさんですか…?」
アリシア「ぇ…い、嫌でしたでしょうか…?」グスッ
アラン「いや…あの…アリシアと密着するとなるとイロイロと覚悟が…。」
アリシア「あ…良かった…。ふふっ…大丈夫ですよ…ほら…こちらへ…。」テヲヒロゲ
アリシアが横になり、手を広げて捕食体制に入った。うぉ…すげぇ包容力…。
アラン「うぇ!?ちょっと…え?何が大丈夫なんですかね…?」
アリシア「お互い…すぐ寝てしまうと思うので…。」グイッギュッ
アリシアに抱き寄せられて身体に沈められる。あ〜これは…。
アラン「あ〜。やべ…ダメになる…。」コクリコクリ
これは…確かに大丈夫かも…すぐ…眠くなる…。
ココ「ふふ〜。じゃ、私勇者様の背中!」ギュッ
イオ「イオは…頭!」ギュッ
フリエ「じゃ…アリシアの背中にさせて貰うッスかね…。」ギュッ
サラ「私は…フリエの背中で…。」ギュッ
シル「む…じゃ、後ろ失礼するね。ココ。」
ココ「どうぞ〜!」
今日は皆で丸まって寝た。……やはりアリシアの身体は危険だ。人をダメにする。