記憶喪失系勇者の旅路   作:一般通過社会人

82 / 96
聖女ブランカ

 

〜青竜院 門前〜

 

アラン「ふう…。」

 

あれから朝食を済ませ、都の西の方…白竜院に向かう事になった。と、言うのも、今回の悪夢は青竜院と、もう一つ…白竜院の共同で調査を行う事になったからだ。

…ところで。

 

アラン「ステラ?未だに良く分かってないんだけど…。」

 

ステラ「はい?」

 

アラン「この竜族の都っていったいどういう仕組みで統治されてるの?青竜院とか白竜院とか…。」

 

ステラ「ああ…そう言えば、言っていませんでしたね。この竜族の都の統治は五つの竜院と、その中央のまとめ役…龍王院によって統治されています。五つの竜院とは…。」

 

都の防衛と治安維持が主な仕事の赤竜院

 

行商や交通などを担当する黄竜院

 

他種族との交流…貿易などを担当する緑竜院

 

都のインフラや衛生などを担当する青竜院

 

などがあるらしい。そして…。

 

ステラ「白竜院だけは少し特殊でして、ステラ教関連の仕事を請け負っています。他種族で言う所の…教会ですね。」

 

アラン「じゃ、赤竜院は騎士団か…。」

 

ステラ「そうですね。そして、この五つの竜院のまとめ役として、竜族の都の全体を監視し、財政や竜族全体の方針などを決定しているのが…龍王院です。」

 

アラン「じゃ、今回教会…白竜院と共同なのは…。」

 

ステラ「闇魔法…悪魔族が関わって居るからでしょう。」

 

まあ、そうだよね。闇魔法は基本的に光魔法でしか打ち消せないし、ステラ教は光魔法の習得者を徹底的に取り込んでる。つまり、闇魔法を何とかするには教会に頼るしかない。

 

セレス「ゆ、勇者様ーっ!」バタバタ

 

アラン「あ、来た来た。」

 

今回の調査をするにあたって、青竜院からはセレスさんとその部下の人達…俺合わせて6人が出ることになった。ココ達は…まだ安静にしていたほうが良いとのことなので、お留守番だ。(死ぬほど反対されたが。)

 

セレス「お待たせしました…。」ハァハァ

 

アラン「いや、そんなに急がなくても…。」

 

セレス「いえ!今回は青竜院の代表として、そして勇者様の護衛として出るので!」フンス

 

走るとデカい胸が揺れまくるのでやめてほしい。

 

モブ1「よろしくお願いします!」ピシッ

 

モブ2「ご一緒できて光栄です!」ピシッ

 

モブ3「勇者様の護衛…精一杯やらせていただきます!」ピシッ

 

モブ4「え!?あ…私のセリフ…。よ、よろしくお願いします…。」ピシッ

 

……青竜院には美人しか居ないのか?

 

セレス「そんな…///」

 

モブ1「美人だなんて…///」

 

モブ2「照れます…///」

 

モブ3「えへへ…///」

 

モブ4「あ…また私のセリフ…。で、でも、あ、ありがとうございます…///」

 

ステラ「主様。心の声、漏れてます。」

 

アラン「ハッ!?」

 

迂闊だった。でも、顔が良すぎるのが悪い。俺は悪くない。

 

セレス「///」カオマッカ

 

ステラ「主様?」ゴゴゴ

 

アラン「おっと…じゃ、行こうか…。」

 

セレス、モブ達「「「「「はいっ!」」」」」

 

教会がある世界樹前に向かった。

 

 

 

 

 

 

〜世界樹前〜

 

竜族の都の教会は街の中に作られているらしく、周りは豪華な装飾の建物が並んでいた。

 

ステラ「エルフ族の教会は簡素でしたからね。これが普通です。」

 

アラン「それで…教会…白竜院はどれだ?」

 

セレス「あそこの、白い瓦の建物ですね。」

 

世界樹の真ん前に純白の建物がある。……掃除が大変そうだ。

 

モブ1「何時見ても…綺麗ですね…。」ウットリ

 

モブ2「そうだね…。」ウットリ

 

アラン「何か…眩しいな…。」

 

ココにサングラス借りてくれば良かった…。

 

ステラ「白は光を反射しますから…。早く中に入りましょう。」

 

大きな正面の扉を押すと…。音を立てて扉が開いた。

 

〜白竜院の中〜

 

建物の中は吹き抜けになっていて、装飾が渦巻き模様な所以外は一般的な教会と変わらない。ただ、ステンドグラスの模様が、大天使+玉を持った龍になっている。

 

セレス「居ました。聖女様です。」

 

祭壇の前にシスターの集団が立っている。…ウィンプルに小さな冠は聖女の共通衣装なのか?まあ、ウィンプルから突き抜けている角で竜族と分かるが…。祭壇の方へ向かう。

 

シスター1「聖女様。青竜院の皆様と…勇者アラン様が参りました。」

 

聖女?がこちらに振り向く。……目も真っ白だ。

 

聖女「お久しぶりですセレス様。そして…あなたが…。」

 

セレス「お久しぶりです。はい。このお方が…勇者アラン様です。」

 

アラン「アランです。導きの勇者をやってます。よろしくお願いします。」ペコッ

 

聖女「これはご丁寧に…。竜族の聖女を務めています。聖女のブランカと申します。よろしくお願い致します。」ペコッ

 

ブランカさんがシスター服のスカートを摘んで上品に挨拶をする。……白い。真っ白だ。角も目も鱗も髪も…。

 

ステラ「あなたが今代の…。」

 

ブランカ「お初にお目にかかります。ステラ様。」

 

ステラ「頭を上げなさい。今は…早く仕事をしましょう。」

 

ブランカ「分かりました。それでは…出発いたしましょう。」

 

ブランカさんと数人のシスターと共に白竜院を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜竜族の都 中央通り〜

 

アラン「ところで調査って…何をするんです?俺何も聞かされてないんですけど…。」

 

セレス「あ、すみません…伝えていませんでした。今回、白竜院との合同との事で…。ダンジョンの調査を行いたいと思います。」

 

ブランカ「まずは…冒険者ギルドでギルドマスターに挨拶ですね。」

 

アラン「分かりました。」

 

確かにシエロさんは症状の出ている者はダンジョンで悪魔族を見たと言っていると言っていた。なら、冒険者ギルドでダンジョンに潜る許可を貰うのだろう。

 

〜10分後〜

 

セレス「ここです。」

 

年季の入っている、黒い瓦の屋根が特徴的な建物が目に入った。

 

アラン「扉がデカいのは共通なのね…。」ギィィ

 

大きな扉を開けると、賑やかな、冒険者ギルドらしい室内が俺達を迎えた。奥のカウンターに進む。

 

冒険者1「あ!聖女様!」ブンブン

 

冒険者2「今日は怪我人はいないぜ!?ギャハハッ!」

 

ブランカ「今日は青竜院との合同の調査で来ました。」

 

冒険者1「へー。頑張ってね!」

 

冒険者2「ピンチになったら呼べよ?アンタには世話になってるからな!」

 

ブランカ「ふふっ…ありがとうございます。」

 

……民度が良い。ドワーフの街とは大違いだ。

 

アラン「普通って…良いなぁ…。」グスッ

 

セレス「勇者様…?」

 

ステラ「今までクセの強い所や人としか関わっていなかったので…ここの民度の良さに感動しているのです。」

 

セレス「あぁ…ドワーフの街って治安悪いですし、エルフの里って女の人しか居ませんもんね…。」

 

アラン「ウチのパーティーメンバーもクセが強いし…。染みるぜ…。」

 

ここの民度の良さとクセの無さに感動してる間に、カウンターに着いた。

 

受付嬢「ようこそ冒険者ギルドへ…あ、聖女様!それに…セレス様も!」

 

セレス「今日は例のダンジョンの事で来たのですが…。」

 

受付嬢「はい!ギルドマスターは奥に居ますので…。」

 

奥に通される。ここが…ギルドマスターの部屋か。

 

受付嬢「ギルドマスター!聖女様達が到着されました!」

 

???「入れ。」

 

受付嬢「了解しました!それでは皆様。どうぞ中へ…。」

 

ドアを開ける。そして…中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜冒険者ギルド ギルドマスターの部屋〜

 

中に入ると、無精髭を生やして黒いスーツを来た男性が立っていた。

 

ブランカ「お久しぶりです。バートさん。」

 

バート「お久しぶりです聖女様…ふぅ。ま、とりあえず座って下さい。勇者様も。」

 

アラン「あ、はい。失礼します。」

 

来客用であろうソファーにブランカさんとセレスさんと一緒に座る。

 

バート「それで…ダンジョンの調査と言う事でしたね。まあ…ウチも何時までも閉鎖したままにする訳にもいかないので…早めにお願いしますよ。」

 

ブランカ「承知しております。その為の…勇者様です。」

 

バート「確か…エルフの里のゴブリン襲撃事件の首謀者を捕縛し、ヴァルカン火山に巣食う新種の魔物と悪魔族を討伐したんでしたか…。確かに、話題性は確かでしょうね。」

 

ステラ「…はい?話題性『は』? …喧嘩なら買いますよ?」ゴゴゴ

 

……おいおいやめてくれよステラ。ギルドマスターに喧嘩売るなんて…。

 

バート「いえいえステラ様。私程度が勇者様に歯向かうなど恐れ多い…。」

 

ステラ「ならば、今の発言を取り消しなさい。我が主は話題性以外も確かです。」ゴゴゴ

 

バート「いえいえステラ様…私は事実を申し上げたばかりでして…。事実、彼は…別に、単独で成し遂げられた訳では無いのでしょう?先代のように。」ニヤッ

 

ステラ「……その先代に全て単独でやらせた結果があの惨劇です。我々は…もう、繰り返さない為に…。」

 

バート「ステラ様。はっきり言わせていただきます。この先…彼の身には暗く苛烈な災いが降りかかるでしょう。皆で乗り越える…確かに結構ですが、少しは彼個人の実力面も底上げしてもらった方がよろしいかと。でないと……いえ。ここから先は申し上げる必要は無いでしょう。ダンジョンの調査でしたね?もう許可は出してありますので、聖女様のロザリオを見張りに見せていただければ。」

 

ステラ「待て。まだ話は終わっていないぞ。貴様…青二才が。調子に乗るなよ。」ゴゴゴ

 

アラン「やめろよステラ。実力不足は事実だ。」

 

バート「話はこれで終わりです。調査の件…よろしくお願いします。」

 

ステラ「主様!まだ話は…。」

 

アラン「行くぞ。…すいません聖女様、セレスさん…行きましょう。ギルドマスター。失礼します。」

 

ブランカ「は、はい…。」

 

セレス「了解しました…。そ、それではギルドマスター。失礼します。」ペコッ

 

……部屋を出たあと、とりあえず、今日は一旦解散して青竜院に帰ることになった。調査は明日からだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜青竜院 寝室〜

 

シエロ「……バートめ。今すぐここに連れて来て下さい。八つ裂きにします。

 

シル「そうだね。仮に事実だとしても…言い過ぎだね。

 

あれから、帰って夕食と寝支度を済ませて、あとは寝るだけになった。なったのだが………ステラが今日の事をあろうことか皆の前でぶちまけた。

 

アリシア「……私の、持てる全ての権限をもってその者に神罰を下します。大天使様…その者に神罰を…。

 

ココ「話題性だけ?そんな訳無いでしょ。話題性だけならここまで来れてない。…生ゴミが。

 

ココさん!?キャラ変わってますよ!

 

フリエ「すいません勇者様。ちょっと今日は…イライラで眠れないかもッス。

 

サラ「排除。」ジャキン

 

サラさん!そんな物騒な物出すんじゃありません!めっ!

 

イオ「あるじ…そのひと…56していい?

 

アラン「ダメだよ!?ギルドマスターだからね?」

 

イオ「でも…あるじ…。」

 

アラン「でもじゃありません。皆も。そもそも、俺が実力不足なのは事実…」

 

皆「「「「「「「あ?」」」」」」」

 

アラン「ヒイッ!?ま、まあそれは置いといて…実力不足って言われたなら、冒険者ならやっぱり、実績で反論しないと。そっちのほうが良いでしょ?ね?」アセアセ

 

皆「「「「「「「はい…。」」」」」」」

 

アラン「えっと…うん。もう…寝ようか。明日は…俺早いし。」

 

ステラ「…主様。私は……あの者を許せません。」

 

アラン「ステラも、俺の為に怒ってくれてありがとうね。けど、手を出したら負けだから。我慢しよ?」

 

ステラ「……はい。」

 

どのみちこの先、力は必要なのだ。ならば…実績を積み重ねる為にも、もっともっと強くなるしかない。

 

フリエ「……あーっ!やっぱり収まらないッス!勇者様!背中失礼しますッス!」ガシッ

 

アリシア「勇者様。私も…今日もお願いします。」

 

アラン「うん…まあ、良いけど…。」

 

アリシア「ありがとう…ございます…。」ギュゥゥゥゥゥッ

 

…いつもより抱きしめる力が強い。意外とアリシアは感情が動作に出やすいタイプだ。

 

イオ「あるじ…っ!」ガシッ

 

イオは頭。ココは…。

 

ココ「……。」グイッガシッ

 

フリエ「え…ちょ…。」

 

フリエの間に割り込んできた。……あれ?まだキレてる。

 

サラ「アリシア…失礼します…!」グイッ

 

アリシア「キャッ…。え?サラ…?」

 

サラもだ。アリシアの背中に抱きついた。

 

シエロ「クソッ…。」ボスッ

 

シル「ふうぅっ…。」ボスン

 

シエロさん!?そんな言葉使うんだ…。二人とも恐らくヤケクソでベッドに身を投げた。

 

ステラ「消します。」ドンッ

 

ステラが明かりのスイッチを鞘に仕舞われた刀身で叩いた。…これはしばらく皆機嫌が悪いだろう。

 

アラン「…おやすみ。」

 

皆「「「「「「「「「おやすみ。」」」」」」」」」

 

目を瞑った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。