今回はこの世界のもろもろの食料事情です。覚えなくて良いです。
〜寝室〜
アラン「ん〜…困ったな…。」
ココ「どうしようこれ…。」
アリシア「あはは…。」
思わずアリシアも苦笑してしまうような状況になっている。どういう状況かと言うと…。
フリエ「zzz…。」スヤァガシッ
あの後、泣き疲れたのかフリエが俺の胸に抱きついたまま寝てしまい、離れない。
アラン「すげぇ熟睡してるから起こしたくないな…。」
ココ「でも、勇者様。そろそろ夕食の時間だよ?」
現在午後7時。そろそろ夕食に行かないと夕飯を食べ損ねてしまう。ちなみに、サラ達食いしん坊…いや、食べる事が好きな面々のおかげで、このパンデミックの最中でも食堂の機能は死守されている。
アラン「……仕方ない。今日は夕飯抜きだな…。」
アリシア「そんな!ダメですよちゃんと食べなくては!」
ココ「そうだよ!沢山動いてるからお腹空いてるでしょ?ちゃんと食べないと倒れちゃうよ!」
アラン「でもなぁ…フリエがこんなに熟睡してるのって久しぶりだから…。」
ココ「それは…そうだけど…。」
事実、フリエも夜中に度々起きており、あまり寝れていない。
アラン「それに動いたって言ってもゴブリン30匹だけだし…。」
アリシア「ゴブリン30匹は『だけ』ではありません!」
ココ「勇者様大量の魔物を相手にする事が多いからだんだんと感覚が麻痺してきてるよ…。」
アラン「と、ゴブリン300匹を相手に半分以上減らした隊長候補様が申しております。」
ココ「ヴッ…。」グサッ
ココもレベル50そこらでゴブリン300匹を200近く減らしているのだから大概である。
アリシア「えぇ…私もできますけど…。」ドンビキ
ココ「引かないでよアリシア…。」
邪神討伐を目標にしてる冒険者パーティーなんてこんなもんだろう。まあシルさんがレベルを押し上げているのもあるが。
アラン「まあ…そういう事だから先行ってきてよ。俺は…クッキーで済ませる。」
ココ「えぇ…あのパッサパサの…砂を固めたやつを齧ってるみたいな…?」
アリシア「そもそもあれは緊急時用です…。」
この国の食料事情は割と豊かだ。山岳の地形が多いので、穀物類が若干弱いが…それでも果物や野菜はエルフが、畜産は竜族が、魚介類は神獣族が担当している。…が、いわゆるレーション…騎士団や冒険者が戦場で食べるような物の開発はあまり進んでいない。理由は…まあ、単純に平和すぎて必要な場面が少ないのだ。1000年前の戦いも補給に関しては竜族と言うドラゴンになったら大量の物資を安全に速く運べる人達がいたので困らなかった。
アラン「ま、マリス帝国はそうじゃないみたいだけど。」
アリシア「あの国はそもそもが好戦的ですから…。」
マリス帝国は外の大陸にある国家に遠征をして、そこから大量の奴隷と物資を強奪して本国まで持ってくると言う手法で国を維持しているらしい。その為、軍事関連の技術の発達が凄まじい。
ココ「はあ…この国基本的に今必要じゃないものは開発しないスタイルだからなぁ…。」
アリシア「平和主義が裏目に出てますね…。」
まあ…平和ボケである。1000年前の戦いの生き残りが単純に少ないので記憶の伝承が上手くいっていない。
アラン「まあ…あんなんでも緊急時用の食料にはなってるし…大丈夫だよ。」
ココ「あんまり気は進まないけど…分かった。1食ぐらいクッキーでも良いよね。」
アリシア「それでも!調子に乗って毎食はダメですからね!」
アラン「さすがに毎食はしないよ。気がおかしくなる。」
さすがにそんな物好きでは無い。
フリエ「……んぅ。」ギュゥゥゥッ
アラン「おっとっと…よしよし。」ナデナデ
フリエの抱きつきが更に強くなった。これはもう朝まで起きそうに無い。
ココ「うぁ…可愛い…。」
アリシア「あれ…?フリエさんって…こんなに可愛かったでしたっけ…?」
アラン「失礼だな!?フリエは元から可愛いだろ!」ナデナデ
フリエ「zzz…。」
フリエは可愛い。普段何かと太い事をイジられているが…それでも美人には変わりない。と言うかこのパーティーの顔面偏差値が高すぎるのだ。
アラン「フリエはこう…イオと同じでギュッと抱きしめたくなる可愛さなんだよ。分かんないかなぁ…。」
ココ「それ女として見れてないんじゃ…。」
アラン「いや、この身体で女として見れないは無理がある。」
アリシア「え?今かなり密着してますけど…大丈夫なんですか?」
アラン「いや?余裕でヤバいが?」
ココ「えぇ…。」
女らしさと幼さが同居する魅惑の身体。これが俺を狂わせる。フリエも魔性の女である。
アリシア「はぁ…じゃあ、行ってきますね…。」
ココ「ごゆっくり〜。」
バタン。ドアが閉められた。
アラン「はあ…。」
フリエ「zzz…。」
何だかんだフリエが一番落ち着くというか…好きかもしれない。あのダンジョンで一緒に脱出した時から…悪友?的な存在だったが、こう…上手く言葉にできない安心感というか…ちょうど良さがある。
アラン「………。」ギュッ
フリエ「zzz…。」
最近こんな事ばかりだ。何にも身が入らない。まあ…ここのところここぞという時の前でいつもお預けを喰らってばかりで、不完全燃焼気味なのだ。
アラン「あ〜。」
フリエ「んぇ……zzz…。」
……眠くなってきた。抱きつかれてるので明かりも消せない。
フリエ「んぅ………んっ…。」ギュゥゥゥッ
アラン「…………。」
あ、やべぇ。魅惑のボデーが更に強く密着して…ダメだ考えるな。考えたら余計息子が元気になってしまう。心頭滅却だ。イオ先生のスパルタ特訓で女性への耐性は上がっているはず…。
フリエ「……。」フーッ
アラン「うわっひゃぃ!?ってあ…。」
フリエの呼吸が耳に当たって力が一瞬抜けてしまった。そしてその隙に…最近歯止めが利かなくなってる…。
アラン「はぁ…早く個人の部屋が欲しいなぁ…。」
フリエ「zzz…。」
いや、別にイオを除けば全員手を出して良い年齢なのだが、こちとら未だに女性への耐性がロクに無いヘタレ勇者である。自分から手を出したら最後、獣になる気がして怖い。
アラン「……寝よ。」
飯は…明日の朝食べれば良いだろう。
〜食堂 ココ視点〜
ココ「はぁ…。」カタン
アリシア「ココさん?どうされたんですか?」カタン
料理が少なめに盛られたトレーを持って席に着く。椅子に座ったところで…思わずため息が溢れた。
ココ「いや、勇者様って…フリエの事好きすぎじゃない?」
アリシア「確かに…フリエさんの時だけ明らかにテンションが上がってますものね…。」
顔を見れば分かる。勇者様はフリエと話している時だけ明らかに表情が明るい。
ココ「やっぱりちょっとグイグイ行き過ぎなのかな…。」
アリシア「しかし…前はもっと積極的だったのでしょう?ならかなり抑えてる方なのでは…。」
ココ「そうなんだけどね…。私の周りって明るい子しか居なかったから、勇者様みたいな奥手なタイプ初めてで…。」
シル「えぇ…?エルフの騎士団ってそんな閉鎖的な人間関係だっけ…?」カタン
アリシア「あ、シルさん…。」
ココ「エルフの騎士団って言うか…そもそもエルフ族自体が女しか居ないからグループが出来やすいって言うか…。」
アリシア「似たもの同士で固まりがちなんですよね…。」
シル「ドワーフは…皆職人気質でそもそも固まらないから…。あと、似たもの同士で固まるとどうしても作品が陳腐になっちゃうんだよね…。」
確かに…工房連合の作品はどれも独創的な形だった。皆我が道を行っているらしい。
シエロ「ふう…やっと終わりました…。」トボトボ
クモ「ちょっとうるさかったわ…。」
シエロ「し、仕方ないでしょう!?アレ結構気持ち…声でちゃうんだから!」
ステラ「それにしても敏感すぎる気もしますが…。」
サソリ「しかし、お陰で解析が終わりました。明日から作成に取り掛かります。」
ハチ「がんばってね〜。」
ココ「あ!終わったみたい。おーい!」
シエロ「あ、皆さん!食事中でしたか?」
シル「今食べ始めるところ。一緒にどう?」
シエロ「そうですね…。ご一緒させていただきます。」
〜準備中〜
シエロ「よし…っと。」カタン
ココ「それじゃ…いただきます!」
皆「「「いただきます!」」」
〜食後〜
アリシア「ごちそうさまでした…。」
ココ「美味し…かった…?」
シエロ「あまり味が分からなくなってきました…。」
シル「こういう時は…早く寝る。」
ステラ「そう言えば…主様は寝室ですか?結局来ませんでしたが…。」ソワソワ
ココ「ステラ様の心配性が酷くなってる…。」
アリシア「はい。フリエさんが諸事情により勇者様に抱きついたまま寝てしまいまして…今頃は一緒に夢の中かと。」
シル「羨ましい…。」
シエロ「あはは…私達は2日間たっぷり堪能させてもらいましたから…抑えましょう?」
シル「うん。」
サソリ「イオ様とサラ様は…。」
ココ「なんか…特訓?魔法がどうとか…。」
ステラ「夕食はどうするのでしょう?」
ココ「おにぎり持っていったから大丈夫。たぶんもうちょっとで切り上げて部屋に戻るんじゃないかな。」
ステラ「ふむ…では、我々も寝支度を済ませて戻りましょうか。」
シル「そうだね。」
この後、寝支度を済ませて部屋に戻った。途中でサラ達とも合流した。
本当に夕食食べなくて良かったのかなぁ…?