研究室が爆発するのは伝統だから…。
〜翌朝〜
アラン「……ぁ。」
自然と目が覚めた。……何か身体が重い。
アラン「いったい何が…は?」
シュタール「あ、起きたわね。おーいステラ〜?」
フリエは隣にいる。シュタールは…いつも通り壁に立てかけてある。だが…何でココが俺の上に…?
アラン「おーいココ?ココさんや。」
両腕も重くて動かせない。声で起こす。
ココ「zzz……。」
アラン「熟睡していらっしゃる…。」
シュタール「おーいっ!……反応無し。」
目の前に顔がある様な至近距離で話してるのに起きる素振りも見せない。ステラもシュタールが呼びかけているが…。
アラン「しゃーない…サラさーん…?」
左腕のサラに話しかける。だが…。
サラ「zzz……。」
アラン「ふむ…まいったな…。」
なんか…皆熟睡していらっしゃる。イオは何処に…?
アラン「ステラ〜?お〜い!!」
ステラ「ん……あ?す、すみません。寝ていました…。」
シュタール「ちょっと…しっかりしなさいよね。」
ステラ「すみません…。」
アラン「…珍しいな。調子でも悪いのか?いや、そもそも神器は寝ないんじゃなかったか?」
ステラ「はい…その筈なのですが…何故か…意識が…引っ張られるような…。」
アラン「…魔法か?」
ステラ「いえ、周りに反応はありません。妖術も同様です。」
シュタール「……?」
アラン「……まあ良い。続くようだったら言ってくれ。」
ステラ「分かりました。ところで…何か用でしょうか?」
アラン「イオって何処にいる?ココ達に包囲されてるから見えない。」
ステラ「主様から見て右の脚にしがみついて居ますね。シエロも一緒です。」
アラン「あ、じゃあ二人とも起こしてくんね?で、ココ達起こすの手伝ってほしい。」
ステラ「了解しました。それでは。」ガシャン
シュタール「相変わらず起こし方が脳筋よね…。」
ステラが大きめのピコピコハンマーに…ふむ。これは…。
ステラ「よっ。」ピコンピコン
シエロ「キャっ!?」
イオ「zzz……。」
アラン「あれ?シエロさんしか起きなかったな…。ステラ。もう1回。」
シエロ「んぅ……酷いです…主様…。」
シエロさんが抗議するがとにかくココ達にどいてもらわないと俺が困る。
ステラ「それでは…ふっ!」ピコンピコン
イオ「zzz……。」
アラン「……ん?起きないな…?」
シュタール「?イオちゃ〜ん?」
ステラ「おかしいですね…。イオ〜?」
シエロ「私が。イオ〜?朝ですよ〜?」ユサユサ
イオ「zzz……。」
直接揺さぶっているのに全く反応しない。
アラン「……流石におかしいぞ。ステラ。解析頼む。」
シュタール「そうね。よろしく。」
ステラ「了解。」フワッ
シエロ「え…?え…?」
〜3分後〜
アラン「どうだ…?」
ステラ「…これは、ウイルスが…。」
シュタール「ウイルスが?」
シエロ「ス、ステラ様…?娘は…イオは大丈夫何ですよね…?し、死んでしまったりしませんよね…?」グスッ
アラン「縁起でもない…で?ウイルスがどうしたんだ…?」
ステラ「ウイルスが…居なくなっています。が…これは…毒素…?麻酔薬のような…眠らせ続けるものです。死にはしないでしょうが…何故…?」
シエロ「ぁ…良かった…。」ホッ
アラン「毒素だと…?ウイルスの最後っ屁か?」
ステラ「恐らくは。それに、この量だと2日間は眠ったままかと…。」
シエロ「そうですか…。」
アラン「2日間…俺が寝てた時間と同じだな。」
シュタール「そうね…。」
ステラ「そう言えば…。あの時は夕食の頃起きたシルが異変に気づいて解析しました。しかし、ウイルスが見つかったと大騒ぎでそれ以降の解析は…。」
アラン「…なるほど。俺の時はたまたまタイミングが合わなかったから毒素が見つからなかっただけか。」
ステラ「そうですね。」
その後、ココ達も解析したが同様の毒素が体内にあった。恐らく2日近くはこのままだろう。
シエロ「皆さんご無事で良かった…。」
シル「本当にね…アリシアも寝ちゃってたけど…。」←起きた
アラン「ま、皆寝不足だったし…良い事だ。シエロさん達は…たぶん発症が遅かったからもうちょっとかかるんでしょう。」
シル「はぁ…早く寝れるようになりたいよ…。」
シエロ「しかし、もうちょっと我慢すれば…やっと終わります…。」グスッ
シル「シエロ…泣かないで…泣かないでよぉ…。」グスッ
シュタール「シル…。」
もらい泣きしてしまったようだ。無理もないが。
アラン「おーよしよし…。ま、もうちょっとなのは事実なので…頑張りましょうね。」ナデナデ
シル「うん…。」ナデラレ
シエロ「はい…。」ナデラレ
シルさん達が泣き止んだところで…食堂に向かった。
〜食堂〜
アラン「ふう…ごちそうさまでした。」
シル「ごちそうさまでした。」
シエロ「ごちそうさまさまでした…。」
朝食を済ませた。サソリ達は既に済ませて研究室に籠っているようだった。
アラン「そう言えば…このメンツで朝食は初めてだな…。」
ステラ「そう…ですね。」
シュタール「まあ、神器は食べないけどね。」
シル「まあ…そもそもシエロとアランは会って一ヶ月も経ってないし…。私はドワーフの街だとそもそも別に寝る所があったし…。」
シエロ「そうですね…しかし主様?」
アラン「はい?」
シエロ「そろそろ…敬語を外してくださってもよろしいのでは?」
アラン「あ〜。いや、それはもうちょっと…。」
シル「え…?そんなに私達と親しくなりたくないの…?」グスッ
シエロ「そんな…主様…。」グスグス
ステラ「あ〜!主様が人妻と鋼の勇者泣かせた〜!いっけないんだ〜!」
シュタール「ヘタレ…。」ボソッ
アラン「うるっさいよ!?悪かったねヘタレで!」
シル「ふぇぇぇ…アランが…私達なんて嫌いだって…やだよぉ…。」グスッチラッ
シエロ「主様…嫌いにならないでぇ…。」グスッチラッ
アラン「……ハァ。分かったよ…。シル、シエロ。」
シル「……っ♡」
シエロ「ぉっ…♡」
二人とも演技派だな…。嘘泣きだったらしい。一瞬で泣き止んだ。
ステラ「うわぁ…二人とも顔が…。」ドンビキ
シュタール「シル…貴方…。」ドンビキ
アラン「うわ。変態か…。」ドンビキ
名前呼び捨てにしただけでコレとは…。
シル「ぁ…ちょっ…本当に引かないで…?」
シエロ「すみませんちょっと久しぶりすぎて…。」
アラン「いや…うん…なるべく努力します。」
シル「むっ。敬語。」
アラン「あ。なるべく努力する…。」
シエロ「努力だけですか…。」ショボン
だって名前呼び捨てにしただけでアレは流石にヤバいよ…。
アラン「さて…サソリ達の所に言ってみようか。」
シル「煙の進捗だね。3人居るからそんなに時間はかからないだろうって言ってたけど…。」
ステラ「3人とも研究者としても優秀ですからね。とりあえず…行ってみましょう。」
〜研究室〜
アラン「失礼しま…。」
ドォォォオン!
アラン「ゲホッ…。おま…何だぁ!?」
サソリ「主様!?大丈夫ですか!?」
ステラ「主様!!怪我は…軽い火傷だけ…良かった。」
シル「アランっ!……説明して!」
サソリ「すみませんっ!少々手こずっておりまして…。」
クモ「勇者君っ!ごめんなさい…構造式は出来たんだけど…。」
ハチ「悪魔族の耐性を貫通するために混ぜた素材がね…。」
シエロ「その素材は…?」
サソリ「セイントドラゴンの鱗…つまりは、聖女ブランカ様の鱗です。」
アラン「へー…もちろん許可は…。」
サソリ「貰っています。というか本人がどうぞお役立てくださいと…。」
アラン「さすが聖女様だなぁ…初対面の相手にタックルかます奴とは大違いだ。」
ステラ「ははは…。」
決してアリシアの事を言っているのではない。違うったら違う。
クモ「そんな事より!大丈夫勇者君!?火傷してるけど…。」
アラン「まあ…唾つけとけば大丈夫でしょ。」
シエロ「そんな訳ないでしょう!?冷やすからこっちに来てください!」
シル「バカ言わないでっ!!治せる怪我はさっさと治すの!シエロも!ポーションのほうが早いから!」
シエロ「はっ!?そ、そうですね…。主様こっちに!」
アラン「はい…。」
〜手当中〜
アラン「終わった…?」
シエロ「……はい。これで大丈夫です。」
シル「もう…。アラン?治せる怪我なら放置しちゃダメだよ?」
アラン「すみません…。」
ステラ「…それで、煙の事ですが。」
シュタール「悪魔族の耐性を貫通するために鱗を使うのは分かるけど…何で爆発する程不安定なの?」
サソリ「煙は特定の薬品の他に、闇属性の魔力が大量に含まれておりまして…。」
アラン「あ〜。それと反発しちゃう的な…?でも、打ち消し合うんじゃ無かったっけ?」
ステラ「打ち消し合うと言っても、魔力そのものが無くなる訳では無いのです。ただ、無属性の魔力に戻るだけ…。」
無属性の魔力。この世にはさまざまな属性の魔力があるが、それの素になるのが無属性の魔力だ。この無属性の魔力は一部の例外を除き全ての生物に宿っていて、生物はこの無属性の魔力を詠唱によって各属性の魔力に変換、使用している。シルさんの誘導のスキルなど、そのまま使うのもあるが。
アラン「無属性の魔力に戻るだけ?なら何で…?」
クモ「うーん…勇者君。もし、この世に水を外側から内側にしか送れない栓があって、その栓をつないで水風船を膨らませたらどうなると思う?」
アラン「破裂する。」
クモ「正解。それと同じ事が煙でも起こってるの。」
アラン「なるへそ。」
どうやら無属性の魔力が一点に溜まりすぎる事で爆発してしまうらしい。
ステラ「もっとも…煙の場合は空気中に逃げるところがありますので、そんな一瞬で限界点に達するようなことがなければ爆発はしない筈なのですが…。」
サソリ「使っている素材が素材なので…。」
シル「じゃあ、素材のグレードを下げてみるのは…?ホーリードラゴンの素材とか…。」
ハチ「そうすると耐性を貫通させる事ができないんだよね〜。」
アラン「うーん……あ。」
サソリ「主様?」
クモ「お、何か思いついたわね?」
アラン「別にしてみるのは?煙と鱗を。ようするに、最初に悪魔族の耐性を破壊して、その後で煙を流すの。別に耐性さえ何とかできるなら一緒にする事に拘らなくても良いでしょ。」
ハチ「…なるほど。その手があったか。」
サソリ「それなら…。」
クモ「やっぱり研究室に籠ってるとダメね…思考が固まっちゃう。」
ステラ「さすがです主様…!」
シル「さすがアラン。それなら耐性を破壊したら暫く待って煙を流せば爆発もしない。」
シエロ「残った無属性の魔力を吸収させてしまうので、悪魔族の魔力量が一時的に上がってしまいますが…。元より魔力を吸収する煙を流すので問題無いでしょう。」
サソリ「ふむ…それじゃ、私は耐性を破壊する装置を作るから、クモとハチは煙を頼む。できるだけ無属性の魔力を発生させないような細工をしてくれ。」
クモ「了解。」
ハチ「オッケー。」
アラン「じゃ…俺達は邪魔みたいだし、出るか。」
ステラ「そうですね…。」
シル「頑張って。……次アランの顔に傷を付けたら、許さないからね。」
シエロ「研究室は好きにしていただいて構いませんので。」
サソリ「はっ!」ピシッ
クモ「あの、勇者君?本当にごめんなさいね?何処か痛い所があったら言ってね?」ソワソワ
アラン「いや、本当に大丈夫だから…。というか、クモ達が怪我しないようにね?結局、研究室の中でやってるクモ達が一番危ないんだから…それに、クモ達が怪我したら俺が嫌だし。」
クモ「っ…♡もう、勇者君ったら…!」ギュッ
サソリ「ぅ…勿体無き御言葉…。」グスッ
ハチ「……///」プイッ
…クモ達って褒められたり、心配される事に慣れてないな。まあ、今まで蔑まれてばかりだったからしょうがないんだろうが。
ステラ『そこも…これから沢山していきましょう。』
アラン『そうだな。今は恥ずかしくて言えないけど…クモも、サソリも、ハチだって…皆、俺の大切な人だ。』
ステラ『……ヘタレ。』
アラン『ぅ…面目ねぇ。』
だって恥ずかしいじゃん。ハチもツンツンだし…。
ステラ『ツンツン…?いえ、ツンデレだと思いますが…?』
え?割と嫌われてると思ってたけど…。
ステラ『はぁ…。』
何か呆れられてしまったが、とりあえず…。
アラン「……あの、クモさん?そろそろ離してもらわないとイロイロと…。」モジモジ
クモ「ん〜。もうちょっと…。」ギュッ
シル「……こらっ。さっさと始める!」グイッ
クモ「あんっ…♡」
アラン「ふう…致命傷だったぜ…。」
シエロ「主様…?」ニッコリ
アラン「ヴェッマリモ!」
……その後、鍛錬場でトレーニングをする事になり、シルさんの監督の元で励んだ。内容?そりゃあ…死ぬ程キツい筋トレだよ。
まだまだ続くぜ竜族の都。