二人で一人の悪魔族。
〜地下水路入り口〜
アラン「やって来ました地下水路入口!」
クモ「うふふ…この時が来たわね…。」ニヤァ
アラン「へっへっへ…いやぁ…興奮しますなぁ…。」グヘヘ
クモ「お主も悪よのう…。」オホホ
アラン「いえいえクモ様ほどでは。」ニチャア
ちなみに耐性を破壊する装置と煙を発生させる装置はもうセットして起動してある。無属性の魔力も、あの後クモ達の試行錯誤により従来の半分にまで抑える事に成功した。まあ、それでも完全に同じタイミングで起動すると爆発するので、少しズラしてある。
シグネ「勇者がしてはいけない顔をしている…。」
ルイユ「あの…沢山褒めておいて何ですけど貴方の主様本当に勇者なんですか…?」
サソリ「失礼な!あんなんでも主様は勇者です!」
ハチ「あんなんでもって…フォローになってないよ…。」
ホン「何か…汚職貴族みたい…。」
ステラ「しかし主様…?今は昼頃です。本当に昼食を抜かして良かったのですか…?」
クモ「そういえば…勇者君昨日の夜も食べてないのでしょう?やっぱり今からでも…。」
アラン「まあ…大丈夫でしょ。朝たんまり食べたし。」
シグネ「………。」プイッ
ルイユ「隊長…。」ジトッ
ホン「またダイエットだね…。」
何やら思わぬ所に飛び火したが、他の感染者の為にもさっさと解決しなければならないので今回は急ぎ足だ。1食抜かしたぐらいでは死にはしないだろう。
サソリ「ふむ…そろそろですね。」
アラン「お、じゃあ…突撃するか。アレの用意は?」
サソリ「ここに。」スッ
サソリが取り出したのは口だけ覆うタイプのストールだ。頑丈な糸で作られた布に、特殊な技術で教会のシスター達…ホーリードラゴンの鱗が編み込まれている。布なので燃えやすいが…そもそも地下水路には火属性を扱う魔物は少ないので問題無い。
クモ「ハイスパイダーの糸で作られたストールにホーリードラゴンの鱗を仕込んだだけの物だけど…効果はあるはず。」
アラン「えぇ…?ハイスパイダーの糸って割と高いんじゃ…。」
シグネ「竜族のする物だからな…ある程度強度が無いとダメなのだ。ふとした動作で破れかねん。」
ホン「食器も耐久の問題で金属製だしね〜。」
なるほど。金属製の食器が多かったのはその為か。ステータスは高ければ高い程良いと思っていたが…そうでもないらしい。
アラン「大変だなぁ…。」
クモ「勇者君も今後は他人事じゃ無くなるわよ…。」
確かに。このままレベルアップすれば俺もそうなるのか…。
ステラ「そこは少しずつ慣らしていけば大丈夫です。シルだって最初の頃はフォークをうっかり握り潰してましたから。」
アラン「ヒエッ…。」
サソリ「……あの。そろそろ言ったほうが。」
アラン「そうでした。それじゃ…突撃ぃ!」
皆「おーっ!!」
〜地下水路 第2階層〜
アラン「うん…まあ分かってたけど…。」
サソリ「死屍累々ですね…。」
ゴブリン達がそこら中にぶっ倒れている。所々に落ちている魔石は…たぶんシャーマンだ。魔法主体の戦いをするので、この煙には耐えられないのだろう。
クモ「早く悪魔族を倒さないと私達もああなるわよ。」
シグネ「そうだぞ。先を急ごう。」
アラン「りょーかい…ステラよろしく。」
ステラ「探知開始。」ブワッ
ちなみにステラはストールではなく、鍔の部分についている結晶…コアを覆うように専用のカバーを付けている。
ステラ「ふむ…魔力反応は悪魔族の物だけ…その悪魔族の魔力反応も以前と比べて弱々しいですね。」
アラン「確実に効いてるな。」
サソリ「まさか悪魔族も勇者が毒ガス攻めに出るとは予想外なのでしょうね…。」
アラン「今まで散々やられて来たからな。少しはお返しが必要だろう?」
ステラ「まあ、それもそうですが…。」
ハチ「それでも勇者として暴挙なのは間違いないだろ。」
何やらボロカスに言われているが、勝った方が正義だ!
ステラ「はぁ…それでは、行きましょうか。」
〜ニューモ視点〜
ニューモ「ゲホッ…ゴホッ…。」
アズマ「おい…大丈夫か…ゴホッ。」
ニューモ「な訳無いでしょっ…ゴホッ。」
アズマ「クソッ…完全に想定外だったな…まさか煙を使われるとは…。」
ニューモ「そう言えば…プレイグが言ってたね。ダークエルフが3人寝返ったって…。」
……うっ。魔力がどんどん減っていく。最初、光属性の魔力が迫ってきた時は何事かと思って回避ができなかった。恐らく…アレが私達の耐性を破壊する物だったのだろう。
アズマ「ゲホッ…ゴホッ…ゴホッゴホッ。」ゼエゼエ
ニューモ「アズマっ!大丈夫!?」
アズマ「くそ…キツい…ゲホッ…。」ゼエゼエ
アズマは肺が弱い。この煙が充満した地下水路ではかなりキツい筈だ。
アズマ「魔力量は多いから暫くは問題ねぇが…ゲホッ!!」
ニューモ「アズマっ!喋っちゃダメ!」
アズマ「心配すんな…迎撃準備しろ。トラップも全部起動だ。」
ニューモ「うん…死なないでね…。」
アズマは、アズマだけは死なせない。例え私の命を捧げても…守る。
ニューモ「っ…トラップ…起動っ!」
ゴーレムやゴブリンを呼び出す為の大量の魔石も…今ではただの石ころだ。とにかく使える物は全部使うしかない。
〜アラン視点〜
アラン「っ!うぉっ!やっ…べ!」ヒュン
ステラ「こんな大量のトラップが…。」
ただいま悪魔族の所に向かっている最中なのだが…予想よりもトラップが多い。矢が飛び出してきたり…。
クモ「っ…!ふっ!」ゴオッ
サソリ「っ…ハァっ!」ガキィン
シグネ「フッ!」ヒュン
炎で焼かれそうになったり、槍で串刺しになりかけたり…さまざまなトラップが襲ってくる。
ハチ「フッ!ハッ!っ…!くっ…!」ヒュンヒュン
ホン「ハァハァ…っ!」ヒュン
ルイユ「くっ…邪魔ですっ!」ヒュン
武器が小さく低耐久で、飛び道具が来ても弾くこともできないハチとホンさん…実質避けるしか選択肢がないスピード組は更にキツそうだ。ストールが呼吸を邪魔して息も苦しいだろう。
ホン「ハァ…っ!キャッ!」ドタッ
ルイユ「ホンっ!」
ハチ「っ!」
ヤベッ!ホンさんがコケた。よりにもよって串刺しトラップの上で…!
アラン「ステラ!」
ステラ「了解ですっ!」ビュン
ワイヤーをホンさんに巻き付けて、思いっ切り引っ張る。
アラン「あらよっと!!」グイッ
ホン「キャッ!?」ビュン
ジャキン!
トラップが発動する前に何とかこちらに寄せる事ができた…。
アラン「大丈夫ですか?」
ホン「はい…。」ハァハァ
クモ「いきなり転んだけど…。」
ホン「それは…アレです…。」ユビサシ
ホンさんが指を差した方を凝視すると…ワイヤーが張ってあった。どうやらこれのせいらしい。
シグネ「ホンっ!!良かった…。」ホッ
ルイユ「心配させないでよ…。」ギュッ
ホン「ごめん…。」ギュッ
アラン「百合百合してるなぁ…。」ホッコリ
ハチ「こんなトラップだらけの水路で和むなよ…。」
ステラ「そうですよ主様。戦地だと言う事を忘れないように。」
アラン「さーせん。」
怒られてしまった。
クモ「こーらっ。助けたのは勇者様なんだから、これぐらいは許してあげる。周りは私が警戒してるから…。」
クモは探知スキル持ちである。
シグネ「助かったよ勇者様…ありがとう。」
アラン「いえいえ…流石に笑えませんから。お互い様ですよ。」
ホン「ありがとう…。」
ルイユ「ありがとうございます。」
アラン「しかし…こうもトラップだらけだとキツいなぁ…。」
クモ「勇者君は絶対壊れない神器だから良いけど…私達の武器は壊れるからね…。」
ハチ「私達は避けるしかないから体力も消耗しちゃうしね。」
ステラ「迂回路にもトラップはあるようなので…結局最短距離を行くしかないですね…。」
その後、最短距離の道を突き進んだ。
〜地下水路 管理室前〜
ステラ「この先の管理室に居ます。」
サソリ「いよいよですか…。」
管理室前に来た。地下水路の下水路からは少し離れている。
シグネ「管理室か…本来なら青竜院指揮下の部隊が警護しているんだが…。」
ハチ「青竜院は無事ダメになったからなぁ…。」
アラン「攫われたライバさんも居ると良いけど…。」
クモ「ま、煙吸っちゃってる筈だから…早く助けましょう。」
アラン「よし…じゃ、開けるぞ。」
ステラをハンマーに変形させる。そして…。
アラン「オラァ!」ブンッ
ドゴォン!!
〜管理室〜
扉が吹っ飛び、中から煙が溢れてくる。基本的にこの煙は魔力に反応して流れてくるので、強大な魔力を持つ存在が近くに居れば流れる煙の量も増える。そして…煙の中から、悪魔族が出てきた!
アラン「オラァ!勇者じゃ!」ジャキン
ニューモ「くっ…もうここまで…!アズマっ!」
アズマ「ゲホッ…おうっ!」
二人の悪魔族が魔法を撃とうと手のひらに魔力を集める。
アラン「ステラ!」
ステラ「はいっ!」ガシャン
ニューモ「ダーク…ファイアボール!」ドォン
アズマ「カース…フレイム!」ゴウッ
アラン「シルさん直伝!防御術ぅ!」ガキン
ステラを盾に変形し、ファイアボールを弾く。カースフレイムは
範囲的に受けきれないので…。
アラン「サソリっ!」
サソリ「はっ!バイオレンス…ウェーブっ!」ドォン
サソリの水+闇魔法で防ぐ。サソリは毒を扱う事もあって、液体を操る水魔法は得意だ。
アズマ「ぐおっ…!うぉぉおおお!」ゴォォォッ
ニューモ「アズマっ!このっ…!」ダァン!!
アラン「うぉっ…!」
ステラ「主様っ!」
シグネ「させん!」ガキン!
腕を竜装化したシグネさんが防いでくれた!後ろに跳んで下がる。
ルイユ「ホン!ハチさん!行きますよ!」ダッ!
ホン「オッケー!」ビュン
ハチ「分かってるっ!」ビュン
クモ「まずは女の方ね…!カースフレイムっ!」ゴウッ
ニューモ「くっ…!」
アズマ「ニューモっ!俺の事は構うな!集中しろっ!」
ニューモ「ぅ…分かったっ!」
二人の悪魔族…ニューモとアズマは親しげだ…というかデキてるな。連携させたら厄介だろう。押し切るしかない。
アラン「サソリ!シグネさん!男の方頼みます!」
サソリ「かしこまりましたっ!」ズバッ
シグネ「了解っ!」ダァン!
ニューモ「私達を分断して撃破…手慣れてるねっ!」ドドドォン
アラン「今までそうやってきたもんでねっ!」ガキン
ファイアボールの弾幕が襲ってくるが、後ろにクモがいるのでステラで防ぐ。ハチ達は高速で避けている。
クモ「カースフレイム…キャノンっ!」ダァン!!
圧縮されたカースフレイムがニューモめがけて飛ぶ。
ニューモ「返すよ…フレイムミラーっ!」
クモ「!?」
アラン「何だと…っ!」ガァン
カースフレイムが跳ね返ってきた。ギリギリ弾く。
ハチ「オラァっ!」ビュン!
ホン「ハァっ!」ダァン!
ルイユ「ハッ!」ヒュンッ!
ニューモ「フッ!ハッ!オラァっ!」ガキン
ニューモがサーベルを抜刀。3人の連続攻撃を弾いている。
クモ「なら…ダーク…アースっ!」
クモが土+闇魔法を放つ。炎がダメなら土だ。
ニューモ「オラァっ!ざーんねんっ!リフレクトっ!」ガキン
ハチ、ルイユ、ホン「「「キャッ!?」」」
クモ「嘘っ!?」
ハチ達をサーベルの一閃で吹き飛ばして、反射の魔法を使ってきた!
アラン「よっ!」ガキン!
ニューモ「待ってたよっ!!」ビュン
クモ「勇者君っ!」
アラン「!?」
弾く時の硬直を利用して距離を詰めてきた!?
ステラ「ハァっ!」ガキィン!!
ニューモ「うおっ!?」
ステラが咄嗟に動いて弾いてくれた。危ねぇ…。
ニューモ「っ…全く…情けないと思わないの…?勇者ともあろうものが…守られてばっかりでさ…!」ハァハァ
ステラ「あ?」
アラン「お前が乗るなよステラ。いやぁ…ホントそうだよなぁ…!自分でも笑っちまうぜ…けどさ、そんなあからさまな挑発…煙が効いてますって言ってるようなもんだぜ?」
ニューモ「は、はぁ〜?効いてませんけど〜?」
ハチ「嘘つけぇ!?」
クモ「悪魔族がこの程度の戦闘で息を切らすわけ無いでしょっ!」
ニューモ「っ!うるっさいなあっ!ダークファイアボール…ガトリング!」ドドドドドド!!
アラン「さすがにこれは…!クモっ!すまん避けてくれ!」
クモ「了解っ!」ビュン
一度に大量に放ってきた。さすがに防ぎきれないので避ける。
アラン「っ!とっ!おっ!」ヒュンヒュン
クモ「フッ!ハァっ!」ヒュンヒュン
ニューモ「うおおおおおっ!」ドドドドド
よし…良いぞ。もっと魔法を撃たせるんだ。
アズマ「っ!?おいっ!バカかニューモ!乗せられてるんじゃねえっ!っとぉ!!」
サソリ&シグネ「オオオオオオッ!」ガガガガガガガ
あちらは優勢のようだ。まあ、サソリというアリシアやイオと同等の実力者が居るのだ。そうなるだろう。
ニューモ「うるっさい!ダークファイア…ストームっ!」
クモ「アースウォールっ!」ドォン
クモが岩の壁で防ぐ。その隙に…!
アラン「今だっ!」
ハチ、ホン、ルイユ「「「ハアァァァァァアッ!」」」
ニューモ「っ!うおぉぉぉぉぉぉおっ!!」ガガガガガガガ
ハチ達で攻撃して魔法を中断させる。
アラン「ハァっ!」ダァン!
床を思いっ切り蹴って加速。ステラをハンマーに。
アラン「ドラァッ!!」ブンッ!!
ニューモ「っ!?があっ!?」ドォン
ニューモに直撃した。壁までふっ飛ばされる。そこに…。
クモ「準備オッケーっ!カース…ボルケイノぉっ!」ズッドォン!!
ニューモ「っ…ここまで…か…。」
アラン「……。」
さらばニューモ。強敵だった。
〜ニューモ視点〜
ニューモ「っ…ここまで…か…。」
ごめん…アズマ…。迫りくる炎を前に…目をつぶった。
ドォォォォォオンッ!!!
………?痛みがこない…?何故…?
何でだろうねぇ…?