ウォーハンマー短編   作:From

1 / 1
 人の小説をみて自分も書いて見たくなりました。コデックスの小説風短編です。


第1話

 調停分隊員シュワルツコフは慣れ親しんだボルトライフルを再度点検した。銃口、銃身、作動機構と先端から順に確認していく。最後に引き金と握把まで点検し終えるとシュワルツコフは正面の通りに視線を移した。

 

 

 瓦礫とひび割れた路面、放棄された車両が連なる酷く視界が悪い戦場だった。

 この場所はシュワルツコフの年齢よりも長い軍歴を誇る大ベテラン。───中隊長が選定した絶好の奇襲地点だった。

 

 

 惑星に展開された部隊の内、第一調停分隊のみがこの場所に配置され本隊の仲間達はここから離れた平野部に布陣している。

そこは敵の異星人──ネクロンの占領する地域であった。

 

 

 シュワルツコフはネクロンの性質を振り返る。やつらは生物というよりは機械生命体というべき存在だ。金属の体に魂を持ち複数の王朝によって統治される。その起源は数千万年前まで遡るという。

 

 

 彼らにとって人類は銀河に知らぬ間に増えた害虫のような存在らしい。

 

 スザーレカン王朝の尖兵を名乗った彼らは太古の昔、この惑星は我が領土であったのだから惑星総督に明け渡しを求めた。総督が拒絶すると一方的に攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

 

 その時シュワルツコフの超人的聴力が100キロ以上離れた本隊の方向から放たれた砲声を捉えた。高速攻撃を基本とするスペースマリーンらしからぬ大火力の集中であった。

 

 

 ──それでも足りない

 そうシュワルツコフは思った。奴らを真に恐るべき存在足らしめる能力。それは異次元のレベルに達した自己再生力であった。手足が切断された程度なら直ぐに繋ぎ直せる。首を落とそうが粉砕されようが時間さえあれば復活する。

 

 

 そしてその再生をも上回る程の損傷を与えてもテレポートビームによって拠点に転送され修復を待つのだ。シュワルツコフ達が投入されるまでの戦いにも関わらず、ネクロンの残骸が一つもないのはそういう理由からであった。

 

 

 だが人間の死体が一つもないのはどういうことか?初めてネクロンと交戦するシュワルツコフの疑問には中隊長が答えた。

 曰く、奴らの標準装備する武装──ガウスウェポンは命中した対象を破壊するのではなく原子レベルで分解するのだと。

 

 

 だから惑星の戦場跡にはネクロンも、それに抵抗した在地防衛軍の遺体も発見されないのだ。仮に遺体が散乱していた所で機械の体を持つネクロンは腐敗等気にも止めないだろう。病などかからぬのだから。

 

 

 だが、シュワルツコフにはこの場所で我らの到着まで戦った者達の名誉までが消し去られているように感じていた。

ネクロンは人間を対等な敵手と認めていない。我らもまたそうだ。だが堂々と戦い敗れ、倒れた戦士の最後がこれでは浮かばれぬではないか。

 

 

 実際1ヶ月前に始まった侵攻に対処した帝国防衛軍の連隊は、ネクロンに対して寸土も譲らず奮戦したが玉砕していた。

シュワルツコフ達も数十の巨大な歩行兵器を破壊し12機の航空機を撃墜した。1週間前には数えきれぬ程の歩兵を破壊したがそれらが修復されたのか本当に破壊されたのか実際にはわからない。

 

 

 ──ここに至っては忌々しいネクロンを徹底的に叩くのみ

無限に復活するなら至短時間に纏めて破壊すれば良いのだ。

復活を待つ奴らの拠点にそのまま突入してくれる。

シュワルツコフは決意を固め闘争心に身を委ねた。

 

 

「本隊から通信が入った、間もなく擬装撤退を開始。」

 

 

 中隊長サクリフィアスが面白くもなさそうに言った。ここまでは予定通りだからだ。アウスペクスの画面に敵の接近をしらせるマークが表示された瞬間正面の通りに行進の足音が聞こえた。

 

 

「総員構え!タマを落とすなよ!」

 

 

副官アギスが声を張り上げ、後方ではグレネードランチャーを構えた同胞が見えた。

 

 

「忌々しい鉄屑共は退却する仲間の退路を絶つため迫っている。だがそれは失敗に終わる!何故なら我らがいるからだ!」

サクリフィアス中隊長の激にアギス副官も続く。

 

 

「貴様らが得意なことはなんだ!」

 

 

「皇帝陛下の敵を滅する事だ!」

 

 

10人の調停分隊員全員が答えた。士気が上がりシュワルツコフの決意は漲った。

 

 

「間もなく射程内だ、奴らの指揮官を一撃で打ち倒す」

 

 

 戦闘中は不気味な沈黙の中で戦うのがシュワルツコフ達の流儀である。士気の高さに反して部隊は押し黙った。

 

 

 敵歩兵──ネクロンウォリアーは自由意思を持たず自発的には行動しない。この為奴らは王朝内で君主の家臣である【テクノマンサー】や軍事指揮官である【ロイヤルウォーデン】にウォリアーを率いさせる。情報ではこの群れたウォリアーはウォーデンとテクノマンサーに率いられている。

 

 

 「ウォーデンを捕捉」

 

 

 「まだ撃つな、もっと引き付ける」

 

 

グレネードランチャーを構えた同胞にサクリフィアス中隊長が答えた。後200メートル程前進させれば理想的な十字砲火をおこなえる。シュワルツコフは射撃したい衝動を抑えた。

 

 

 後100メートル、もう少し踏み込んでくれば一方的に撃ち殺せる。

 

 

「攻撃開始、撃て」

 

 

──くたばりやがれ

殺意と共にボルトライフル弾、グレネードが飛び交う。

 

 

最初の一撃でロイヤルウォーデンは粉砕され軍事指揮官は消滅した。よってネクロン達は奇襲に対処する能力を失っている。

 

 

シュワルツコフはネクロンが密集陣形をとり、遠巻きに打ち返す以外の行動をしていない事を認めた。

 

 

「テクノマンサーだけではたいした行動は取れん、このまま一方的に撃ち続けろ。本隊のお陰で奴らに増援はない。」

 

 

サクリフィアス中隊長がまたつまらなさそうに言った。これも中隊長にとっては予定通りだからだろうとシュワルツコフは思った。

 

 

 ヘルメット内に映るネクロンに引き金を引くと頭が弾ける。倒れ込み機体修復が始まるが、さらにグレネードがさく裂していく。密集したためこちらはただ攻撃するだけだ。

 

 

 シュワルツコフのボルトライフルは次々命中弾を送り込みネクロンウォリアーを破壊していく。スコープ内で目があったウォリアーに発砲すると、頭部を粉砕したボルト弾が突き抜けて2体目の胸部も穿った。

 

 

 その瞬間スイッチでも入れられたかの如くウォリアーの群れが一気に後退に動いた。

 

 

 「奴ら、逃げる気だ。このまま追撃しろ!」

 

 

 この戦闘中初めて声を張り上げたサクリフィアス中隊長がいの一番に駆け出していった。

 

 

 追撃程良いものはない。狼のように執念深く後ろから削りとってくれよう。シュワルツコフも続いてかけだした。

 

 

 あえて歓声あげる事で威圧を狙い、分隊は前進を開始する。

 

 

 

「天祐我らが手中にあり!総員突撃せよ!」

 

 

「皇帝陛下万歳!」  「万歳!」  「万歳!」

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな感じですがどうでしょうか?

用語解説

スペースマリーン
ウォーハンマー40kにおける主人公勢力、圧倒的な身体能力の超人。装着したパワーアーマー無しでも宇宙空間に放り出れようが生存できる。また素手でも装甲車をひっくり返す腕力をもつ。


帝国
通称人類の帝国、天の川銀河を統一した人類唯一の国家。基本的に異星人の存在は認めず絶滅させる事を国是とする。





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。