島の悪魔【本編完結】   作:死にかけの細菌

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第19話 約束

 

 ソイツがそばにいるだけで、心臓を直接触られているようだった。

 

 アニが連れてきた情報源は、穢れた民族の子供。名前を、ノエル・ジンジャーと言うらしい。俺たちにつけられたであろう傷を汚い包帯で隠して、不器用に笑ってみせたソイツが不気味で、恐ろしかった。ずっと想像して、あれだけ憎んだ悪魔は、考えていたよりずっとちっぽけな子供だったから。

 

 静寂に包まれた小屋で瞼を開ける。天井を支える太い丸太に月明かりが反射していた。できるだけ身じろぎせず、身を起こす。左に目をやると、ベルトルトが薄っぺらい毛布の中で寝息をたてている。問題は。

 

「…………は、」

 

 右に首を動かすと、すぐ真横で寝顔を晒している悪魔がいた。ソイツと並んでいた方向にだけ、生温い体温がうつっていて不快だ。眉間に皺が寄るのを感じて、再度誰も起きていないことを確かめる。

 壁内に潜入してから一週間が経ちかけている。アニが余計な悪魔を引き連れてきたばかりに、ここ数日間ずっとまともな睡眠をとれてない。

 

「……ごめん……ごめん」

 

 俺の睡眠時間を奪う癖して、コイツもよく寝れてないらしい。俺がいつ目を覚ましてもずっと変わらずにこんな調子だ。お前が謝っているのは壁の穴を開けた張本人だと言ったら、コイツはどんな反応をするだろうか。ここ一週間、ずっと申し訳なさそうな顔で着いてくる。コイツに、言ったら。

 

「……謝るなよ、もうわかったから」

 

 お前らの故郷をめちゃくちゃにしたのは俺たちで、謝るなら他に相手がいるだろ。どうして、どうして、俺たちに聴かせてくるんだ。なあ。本当に、頼むから。頼むから、もう、黙ってくれよ。

 

「ごめん……ごめん……ゆるして…」

「っ……」

 

 掠れたような贖罪の声が、嫌でも耳に入ってくる。ソイツの頬に一筋の涙がつたって落ちる。見たくない。それでも、顔を逸らせなかった。ぱた、ぱた、と布切れ音に紛れ、ソイツの毛布に染みをつくる。その光景が、目に焼きついて離れなかった。

 気色悪い。自分でも観測できない感情が波のように押し寄せては混ざり合い、吐き気がしそうだ。喉元から込み上がって来た感情を理解し、ぶわりと鳥肌がたった。

 

「ま、さか……違うだろ」

 

 そうだ。きっと違う。まだうわ言を言い続けるソイツの横で、手のひらを広げる。月明かりに照らされた手は真っ白で、汗ばんでいた。

 これが、戦士の手だ。島の悪魔を殺し、世界を救いに来た英雄の手だ。

 

「その俺が、悪魔に、可哀想だと思ったのか?」

 

 まさか、そんなはずはない。身寄りもない子供一人に施しを与えているのは俺たちだ。身内でも何でもないヤツに足を引っ張られ、睡眠すら妨害されている。可哀想なのは、俺たちだ。

 この一週間、周りの人間に溶け込むには役に立ったが、壁内にいる巨人、ましてや始祖の情報など一つも出なかった。最初から、わかっていたことだ。情報が聞き出せなければ、情報源としての価値はない。捨て置けばいいと言っているのに、アニは頑なに手放そうとしない。普段と違う様子を見せられて、ベルトルトは口を噤み、俺も強くは言えずにいる。

 

「……ご、め……」

 

 俺が決断しないお陰で、コイツはまだここにいられる。か細い呻き声が空気に溶けて消えるまで、俺はじっと悪魔を眺めていた。

 このまま、そばに置いておいたところで何が残る?手に入れられるのは、あってもなくてもいいような情報だけだ。それだけなら、どこにコイツを生かしておく価値がある?想いに身を任せ、指を伸ばした先で穢れた末裔の肌が触れる。そのまま、首を一周してやるのはあまりに簡単だった。

 

「……っは」

 

 生ぬるい体温が伝わってくる。どくり、心臓の鼓動も緩やかに流れ込んでくる。全身に鳥肌がたつ。手を離しかけ、歯を食いしばって耐えた。馬乗りになった自分の影が、明かりに照らされて真上に伸びる。

 

「はっ、はぁっ……!」

 

 コイツは俺にとって、不利益な情報ばかり教えてくる。悪魔が、どう呼吸するか。悪魔が、どう笑うか。悪魔が、どう泣くか。固く閉じている瞼の下、細い首は指を伸ばさなくても一周できた。これ見よがしに、涙の跡がくっきりとついている。

 

「きしょく、わりぃんだよ」

 

 どうしてそんなに笑顔でいられる。

 

「俺が……みんなを救う」

 

 マルセルの代わりに、俺が。代わりになると誓ったんだ。こんな悪魔ひとり、殺せなくてどうする。人類を救うためなら、この女は消さないといけない。冷たい雫が頬をつたう。月明かりに照らされて青白くなった肌に大粒の雫が容赦なく降りかかって、女の肌を濡らしている。気色が悪い静けさだ。手加減なしに喉を抑えているはずなのに、抵抗も呻きもない。

 

「だから、だから……死ね!」

「いいよ」

 

 なんで。あるはずのない返答に息が詰まる。さっきまで熱情に掻き立てられていた体が手元から冷え切って、凍りつく。首に添えていた手を離すと、不気味な色の瞳が俺を覗き込んでいた。

 

「おま……どうして……寝て」

「あたし、そこまで鈍感じゃないよ」

 

 涙の跡を頬に残したまま、女が平然と言った。何故だ。どうして。さっきまで意味のわからないうわ言を呟きながら寝ていたのに。魘されながら寝ていたはずの物体が今は体を起こして、俺と同じ視線を交わらせている。こめかみに嫌な汗がつたう感覚がわかった。女は暗闇と月明かりの境界線で俺を見つめたまま、口を開かない。首には俺の手形が残ってる。俺への当てつけのように痛々しい青紫色を浮かべていた。

 

「……ねえ、ライナー」

 

 永遠のようにも思えた沈黙のあと。先に声を出したのは女だった。星みたいに舞う誇りの中、その穢れた唇が俺の名前をたどたどしく紡いだ。

 

「やめないで。いいよ」

「は……?」

 

 なんなんだ、コイツは。同じ言語を喋っているはずなのに、何を言っているのか理解できない。島の悪魔、だからか。いや、そんなはず。得体の知れない女の体から後退ろうとして、手を掴まれた。女の、死人みたいな青白くて細い腕が、俺に絡みついてきた。

 

「あたしが、死んだら……あなたは、救われるの……?」

 

 丸い爪をのせた指先が俺の手を先導する。振り払おうとすら、考えなかった。この、目の前にいる生き物が。予測不能で、何をしても抗えるようには思えなかった。どこを見ているのかわからない、ギラギラした目が俺の返答を待っている。女の意思に誘導され、俺の手が再び女の首に添えられた。カサついた肌に指を這わせる。不自然な引っかかりが不愉快な感覚を伝えてきた。俺のつけた跡だ。

 

「なら、いいよ」

「ぅ、ァ。あ……」

 

 コイツは、何を言っているんだ。考える間もなく、俺の手のひらの上から、女の手が押し付けられる。微かに、心臓の鼓動が響いてくる。何をするのかと思えば、女は赦しを囁いた。どろどろに溶けた砂糖のような誘いが、甘く蕩けて脳内を溶かしていく。俺はなんの言葉にもならない音を口からこぼしながら、小刻みに震える手で衝動のまま力を込めた。

 

「あッ!!ふ……ア……!ぁ…」

 

 女の背中が地面にぶつかる。鶏の首でも締め上げるように、喉をつぶした。押し倒された女は喉元を俺に晒したまま、その平凡な顔を苦しそうに引き攣らせる。酸素を奪われた体が、俺の体の下で力無くばたつく。まただ。悪魔の癖に、穢れた民族のくせに。人間のような生温い体温が気持ち悪いくらい、指に絡みつく。コイツが。コイツが望んだんだ。これで、俺は。

 「ッアぁ!……」言い聞かせて、全身の体重を乗せるようにして力を強めた。か細い鳴き声をあげながら、女の手のひらが俺の手の上に添えられる。消えゆく体が必死に抵抗しようとしているのか、女の体が燃えるように熱くなった。それと反して、呻き声も消えそうなくらい小さくなり、だんだんと女の力が弱々しいものに変わっていく。

 もう少しだ。指先の鼓動が、壊れたみたいに音を刻んでいる。もう少しで。あと数秒、このままにしていれば、この女は死ぬ。首に醜い痕を残した物言えぬ屍になって、俺たちは面倒事から解放される。死体は放っても、誰も気にしやしない。この死が、俺を英雄にしてくれる。だから。

 

「あ……」

 

 笑っている。女の瞳が向けられるはずのない色で、俺をみていた。瞳の奥で、呆然と口を開けている俺が映ってる。女の体は、もうほとんど動かない。苦痛で表情を歪めながらも、焦点は変わらずに俺を捉えている。

 同じような目を、見たことがあった。戦場で、俺が巨人になって同胞を窮地から救った時だ。地上の仲間たちから向けられる救世主の、英雄を待ちわびた人間の、それ。

 

 喜びだ。

 

「ッはァー…はぁッ……」

「はーッ……はー……」

 

 解放されて横になりながら咳き込んでいる女を前にして、肩で呼吸を繰り返す。まだ感覚が残っている手で顔を押さえ、もう一度深く息を吸った。身じろぎする他の奴らの布擦れに混じって、途切れ途切れの呼吸音が響く。

 

「……も、やめるの」

 

 しばらく呼吸が続いたあと、掠れた声で女が言った。指の隙間から覗いた女は、喉に手を添えながら平然としている。続きを促すような言い方に、耳を塞ぎたくなって。悩んだ末にゆっくりと汗ばんだ額から手を離す。

 

「俺が、やめなかったら、お前。死んでたぞ」

「うん、そうみたい」

 

 声を出せるようになった女は、不気味なくらい平然と事実を受け入れる。死ぬ、ことがわかっていないかのように。淡々と、それも。笑顔のまま。俺が最後までやり遂げなかったから、そう言っているだけなのか。それとも。

 

「いいのかよ!それで」

「いいよ」

 

 そんな易々と、死を受け入れられるはずがない。普通の人間なら、そうだ。コイツが島の悪魔だからか。違う。コイツは、きっとただの悪魔じゃ、ない。

 

「ライナーなら、いいよ」

「なんで、」

 

 俺に望まれたから死を選ぶなんて。どうして。そんなことができる。どうして。出会って一週間そこらの人間の殺意を、あんな目で受け入れられる。目の前に現れた、異常が俺を捉えて離さない。

 

「あたしを救ってくれたから」

 

 女が、ぽつりとつぶやく。全く検討もつかない話に、黙り込むしかなかった。殺そうとはしたが、救おうとなんてしていないはずだ。女は祈るように手を組んで、自分の額にあてる。

 

「あたしを、仲間に入れてくれた。あたしを、あたしにさせてくれた。恩人だよ」

 

 腹の底から言葉を引き出すように言って、女は手をそっと下げる。縋るような視線で俺を見たかと思ったら、床に手をついて前屈みになった。小さな影と二つの眼球が後ろ手をついた俺に覆い被さってくる。

 

「ライナーも、そう」

「っぁ……」

 

 目眩がした。やっと理解できた女の思考は、到底信じ難いものだった。コイツは、俺たちに救われたと思っていて恩を感じているのだろう。だから、俺たちが。俺が望めば、死でさえも受け入れた。

 

「気持ち悪い」

「な」

「ふふ……なんで分かったかって?」

 

 脳内に浮かんだ言葉が女の声で聞こえた。反射的に声をこぼすと、女は小さく笑い声をあげてから口元に笑みをつくった。呆気に取られている俺がよほど可笑しいのか。小首を傾げてから、思い出すようにして答えを紡ぎ始めた。

 

「ずっとそんな顔してたもん」

「お前……知ってて」

「ライナーと仲良くしたい。それじゃ、だめ?」

 

 俺の言葉を遮るようにして、女が問いかけてくる。下がった眉からは、言葉以外の心意は見当たらない。行き場なく伸ばされた手と気持ち悪いくらい変色した首が目に焼きつく。

 さっきから、女の行動がわからない。俺になら殺されてもいいと死にかけ、今度は俺と仲良くしたいなんていい始める。本心を隠している様子もない。純粋に、それを望んでいる。

 

「……いや、駄目じゃ、ない」

 

 喉を焦がしながら出した言葉は、ちゃんとした答えにもなっていなかった。悪魔どもを騙すため、悪魔に取り入る。アニの主張は、別に間違ってなどいない。だが、コイツがいる限り。コイツがそばにいるだけ、俺はおかしくなる。どうすればいい、俺は。何をするのが正解なんだ。俺の心中も知らずに、女がきょとんとしたまま俺の言葉の続きを待っている。頭を悩ませようが、答えは返ってこない。

 

「……わからない」

「じゃあ、嫌じゃないんだ」

 

 俺の回答を女は都合のいいように解釈したようだった。だらりと垂れさせていた腕を握手するように俺の方へ差し出し、目尻を緩ませる。青ざめていた頬は、色づいているように思えた。

 

「あたしは、ノエル。ノエル・ジンジャー」

「……ライナー、ライナー・ブラウンだ」

 

 そういえば、そんな名前だったか。自分の名前を口にしながら、脳内で女の名前が反響する。取るに足らない平凡な名前だ。残念ながらもう二度と忘れることはないだろう。あのまま殺していれば、知らなくて済んだんだろうが。

 

「へえ、ブラウンって言うんだ」

「ライナーでいい」

 

 慣れない呼び方にむず痒くなって、すぐさま訂正する。その勢いに女は目を丸くしていた。その顔に微かな優越感が胸に滲む。ただ、それだけだ。他の感情なんてものはない。アニ、ベルトルトと続いて俺だけブラウンと呼ばれていたら不自然だ。だから、仕方なかった。

 

「よろしくね、ライナー」

 

 女の声に「ああ」と、取り留めのない返事をする。悪魔の手はやはり暖かかった。両手で手を包まれると、熱くて嫌になりそうだ。握手も早々に切り上げ、俺たちは何事もなかったように毛布を引っ張ってきて、横に並んだ。他の奴らの寝息が、やけに大きく響いていた。いまさら、自分たちの存在を主張して、焦燥感を煽ってくる。大丈夫だ。誰が起きていても、この女を庇うやつはいない。

 

「……このことは、二人だけの秘密だね」

 

 そばに並んでいる二つの山に視線をやりながら、女が言った。すっかり頭から抜け落ちていたが、ベルトルトとアニが起きてくる様子はない。二人分の呼吸音から、隠れるようにして女が小声のまま「いや?」と急かすように問いかけてくる。

 

「……わかった、秘密だ」

「本当?嬉しい」

 

 その目を見つめ返して提案を飲み込むと、女は歓喜の声をあげた。このままいけば、あざの説明が面倒だ。二人ならすぐに察するだろうが、この女が秘密と言えば何も聞いてこないだろう。俺の考えとは他所に、女はやけに満足げだった。

 

「何も嬉しくなることなんて、ないだろ」

「わからない?やっとあたしをみてくれた」

 

 女は天井に顔を向けたまま、弾むような声で言った。月明かりに照らされた表情が、心なしか輝いているように映る。首元のあざが妙に不釣り合いだった。

 

「だから、嬉しいの」

 

 女が。ノエルが、俺の方を向いた。死にかけていた時と同じ、いや。あれは本来歪んでいて、これが正しいのだろう。重量に従って落ちた髪の間から、不器用な笑みが覗いている。その瞳には喜びが滲んでいた。

 

 

 

 全身に纏わりついた生ぬるい汗の感覚で目が覚めた。春の訪れを知らせるような囀りが、どこかずっと遠くから鼓膜を揺らす。人肌のような暖かを持った布団を剥がし、朝の薄寒さへ足を下ろした。目覚めの早い同期たちに挨拶を返しながら、冷え切った床を進む。

 

「酷いな……」

 

 洗面台へ手をかけたまま、鏡に映る自分の顔へ声を漏らす。足早にここまで来て正解だった。詮索好きな奴に見つかっていたら、言い訳を作るのも一苦労だっただろう。蛇口から流れ出てきた透明な水に指を通す。何度か顔を洗ってやっと、昨晩見た夢の痕跡は消えた。部屋に戻るなり、ぐっしょりと濡れた服を着替える。調子のいい奴が「夢でも筋トレしてたのか?」と茶化してくるのに乗ってやってから、訓練兵のジャケットを着込む。冬がなりを潜めているからとはいえ、朝はまだ底冷えする。あいつなら、ジャケットをうっかり忘れて一人凍ていたりしそうだ。そうなったら、貸してやろう。いつものように突飛な寝相を披露しているベルトルトを横目にみながら、部屋の扉に手をかける。

 

「どっか行くのか?」

「少し、な」

 

 今日の寝相占いに参加していた仲間の声に返事をしてから歩き出す。廊下についた窓から見える女子寮は朝霧の中でぼんやりと光を灯している。アニは昨日王都に行っていたはずだ。今頃、ベルトルトと同じように眠っているのだろう。アニに聞かずとも、目当ての人物がいる場所は既に知っている。与えられた馬を溺愛しているアイツのことだ。今日も変わらず、そこにいるのだろう。

 アイツが毎朝欠かさずに通っている厩舎の近くまで来てみれば、姿が見えずともそこにいるとわかった。そいつからしか聞いたことのない曲と絶妙に合わさっていない独特の曲調が、厩舎の扉から響いてくるからだ。

 

「朝から随分楽しそうだな」

「わ。ライナー」

 

 俺の読み通り、ノエルはそこにいた。朝から厩舎に来る奴なんて、ノエルか。クリスタのような動物好きしかいない。こうやってたまに見に来てやっているのだが、ノエルはまだ驚きが抜けないようだ。一人で何をやってんのか、どんな反応を見せてくれんのか予想するのが密かな楽しみでもある。ノエルは水桶を持ったまま立ち尽くしている。水やりの途中だったか。予想との相違を惜しく感じながらも扉を押して中に入る。

 

「なんて曲だ?まだ頭が覚醒してないみてぇだ」

「あたしの音痴は関係ないからね。ライナーは知らない曲だもん」

 

 乾燥した干し草と独特の獣臭さに鼻を慣らしながら茶化してやると、ノエルは不貞腐れたようにそっぽを向いた。ノエルが動くのに合わせて水桶の水が危なっかしく揺れるので、そっと取り上げて馬の前の桶に移し替えてやる。「音痴だなんて言ってないだろ」言い過ぎたか。「遠回しに、言った!」補足しようが、ノエルは悲劇的に嘆くだけだった。他所を向いたまま、ノエルはこちらへ目も向けようとしない。

 

「被害妄想が過ぎるぞ」

「殴られてもいいの?この頭で」

「石頭で脅してくる女か、前代未聞だな」

 

 やっとノエルがこちらへ目を向けて、自分の頭に指を指したまま口角を上げたので俺も調子良く返してやる。「あー!ひどい」全くそう思っていなさそうな笑みでノエルがくすくすと口元に手をやった。その手の甲には、朝から馬の世話をしてついたであろう干し草の屑やら泥が跳ねている。ノエルが女だからか、不健康ではないはずなのに、手がやけに白くみえるのでそういう汚れが目立つ。

 

「ひどくはないだろ」

「あははっ。ごめんね」

 

 言いながら手をとってついている汚れやらをとってやると、ノエルは口端からこぼれる笑いを隠そうともせずに軽くあやまった。この顔全体を緩ませて思いっきりに蕩けたような顔が見られんのは、俺の特権だろう。大きく開かれた口から溢れる笑い声が、微かに残った悪夢の記憶を溶かしてくれるようだった。

 

「いったぁ」

「おい、平気か?」

 

 指の間に挟まった最後の干し草のかけらを取ろうとして、ノエルが前によろけた。ひとまわり小さな体が吹っ飛ばされるのを難なく受け止めてやる。何かが気に障ったらしく、馬がノエルの背中を小突いたのだ。ほんの僅かに柔らかいものがあたっているが、平常心を務める。昔よりもでかくなってる気がしなくも、ない。いや、気のせいか。俺の気も知らずに、腕の中で身じろぎしたノエルは「ありがとう」と呑気にくぐもった声を出した。

 

「そんなんでよく卒業演習をこなせたな」

「あー、また馬鹿にしてる」

 

 正直な感想を言う俺にノエルはブラッシングをしながら、非難の声を上げる。毛を梳かれているノエルの馬は、さっきの機嫌を直して気持ち良さげに目を細めていた。他の馬と比べるまでもなく、ノエルの馬は気性が荒い。さっきの癇癪でノエルがやられているのを何度も見てきた。俺が知らない場所では、もっと暴れているだろう。並の兵士なら変えていたっておかしくないだろうが、ノエルはこうして三年間向き合い切った。

 

「感心してんだ」

「言われなくても、自分が一番思ってるもん」

 

 頬を膨らませながらも、ノエルの頬には隠しきれない赤みが乗っている。この馬で卒業演習を乗り切った兵士は何人いるだろうか。ノエルはこの馬を乗りこなし、卒業演習で優秀な成績を残した。乗れたとしても、ここまでに飼い慣らした奴はそう多くないだろう。アニなんかはいつまでもノエルを子供扱いしていたいようだったが、俺たちの知らないとこでノエルは成長した。俺たちについてまわって、枯れた植物のように不安定で無力だった5年前と比べたら目覚ましい変化だ。

 

「なんでいけたのか。何が良かったのか、全然わかんないよ」

 

 当の本人は卑下が過ぎてさっぱり分かっていないようだ。ブラシについた毛をはらいながら、思い出すように宙を見つめている。手を止められた馬が注意するように鼻をならし、ノエルが慌ててブラッシングを開始する。必死こいて世話してるのを眺めてるだけでは悪いので、俺も自分の馬を世話してやることにした。

 

「この子とみんなに助けられたのは確実だけどさ」

「お前が演習を通過したから、俺もひとまず安心できる」

「ひとまず?」

 

 俺とノエルの馬は偶然にも対角線に位置している。散らばった干し草をかき集めてやりながら言えば、向こうから不満げな声が飛んでくる。ノエルの反応が良いので、ついこうして意地悪してやりたくなってしまう。やり過ぎるとさっきのように不貞腐れてしまうから注意が必要だ。大体の形を整えてやって美味そうに干し草を咀嚼する俺の馬を眺めながら、口笛でも吹くように返す。

 

「教官が採点ミスに気づくかもしれんだろ」

「ふーん、あたしばっかり気にしていいの?明後日、成績発表でしょ」

「ああ、その後に固定砲整備して終わりだったっけか」

 

 ノエルの言葉でノエルの言葉で忘れかけていた記憶が蘇る。昨日の訓練後に教官が予定を説明していたっけか。詳しい話は明日にするとのことだったが、旅立っていく俺たちに対して随分簡素な対応だ。死んだり、いなくなったりいる奴も少なくない中で三年間の訓練を耐え続けたのだからもっと盛大に祝ってくれてもいいはずだが。世の中が問題や課題まみれで、いち訓練兵の出立を構っていられないということだろう。

 

「うん。調査兵団の壁外調査とも被ってるらしいよ」

「言われてみりゃ、そんな時期だな。エレンが言ってたのか?」

 

 調査兵団の壁外調査は頻度が決まってこそいないが、一度の活動で相当な兵力と財源、物資が必要なため頻繁に行いはしない。その不定期な活動をいち早く仕入れるのは余程の調査兵団馬鹿くらいだ。駐屯兵団に知り合いもいるとか聞いたことがあるので、まあ当たりだろう。

 

「そうそう。エレンがはしゃいでたよ」

「だから、昨日ジャンと口論してたのか」

「そうかも」

 

 発端を知らずに眺めていたが、調査兵団関係か。あそこまで喧嘩が白熱するわけだ。ついにあの二人が和解する時は来なかった。元より水と油みたいに相反している二人だ。ミカサのことがなくたってこうなっていただろう。大人になってほしいもだが、今更あいつらが手を繋いで仲良くし出したら見ているこっちが気持ち悪くなりそうでもある。

 

「訓練兵でいられんのもあと少しだな」

「名残惜しいの?」

「いや、お前がちゃんと兵士としてやっていけんのか心配なだけだ」

 

 ノエルが干し草と水を変えてくれていたお陰で、すぐにすることがなくなってしまった。馬が散らかした草も一通りまとめ、綺麗になったので使っていたフォークを壁に戻す。ノエルもようやく馬が落ち着いたらしく、空になった水桶を足に挟んだまま座り込んでいた。

 

「いいよ。立派な兵士になって、スピード出世するから」

「一年後には上官か?」

「うん。そしたら、ライナーにいっぱいお肉食べさせてあげる」

「そりゃあ、ありがたいな」

 

 自信気に笑うノエルの隣に腰を下ろす。軋む扉の向こうから冷え切った朝の風が吹き込んでくるも、俺たちを退かすには至らない。ここに来るまでは冷えていた体が、馬の世話やら雑談をしているうちに温まっていたらしい。

 

「雪山訓練も、卒業演習も終わっちゃったなんて、まだ信じられないよ」

「ああ。2人で町に降りたのが何年も昔のことみてぇだ」

 

 雪山訓練やら卒業演習で躓くんじゃないかと危惧していたからノエルが何の問題も起こさずに訓練をこなしている姿には感動したものだ。代わりにクリスタとユミル、ダズが遭難してしまったりもあったな。

 しみじみと言うノエルに倣って、俺も記憶の蓋を開けてみる。二人で町に降りてあっちこっち巡ったのも、ノエルがつくったシチューの味も、すっかり色褪せてしまった。

 

「罰則のイモ剥きを手伝ったもらったりしたよね」

「当分芋は剥きたくないって、嘆いてたな」

「あの量は誰でも嫌になるよ。ライナーもちょっとは嫌そうだったじゃん」

「まあな……」

 

 手伝ってやると言い出したまではいい。いざ始めると、その恐ろしさを身をもって体感する羽目になった。あの時はいくら剥いこうが埋まる気配のない樽を睨みながら、三人で黙々と剥き続けたのだ。そのせいで、あの日の夜は三人全員芋の夢を観ることになっちまった。

 

「風邪の時は、ほら。ベルトルトの声で飛び起きたよね」

「あれは……やり過ぎた」

 

 病人と添い寝なんてやるべきではなかったな。俺が風邪をひくことはなかったが、あれは見舞いの域を超えている。ベルトルトなんて、聞いたこともないような声で驚き、ノエルの食事をひっくり返すところだった。

 

「ふぅん?あたしはまたしてもいいよ」

「……いや、駄目だろ」

 

 ノエルが含み笑いを浮かべて、流し目で瞳に俺を映す。いつも子供みたいにはしゃいでる癖して、こういう時だけやけに色っぽくなるのはなんなんだ。俺だからいいが、まさか他の奴にもやってるんじゃないだろうな。やけに妖艶な雰囲気を漂わせるノエルに、俺は生唾を飲み込んで首を振った。

 

「女子部屋にも入れないしな」

「うん。頑張って来てね」

「卒業できなくなったらどうすんだ」

 

 来ることを前提に話を進めるノエルに不満を漏らすも、大して気にしていないようだった。強請るように肩を寄せてきたノエルが俺に体重をかけながら、眉を下げて笑っている。

 

「そしたら、あたしも卒業しないよ」

「二人仲良く訓練兵のままじゃまずいだろ」

 

 それも、女子寮への不法侵入では格好がつかない。どこまで本気で言っているのか計り知れないが、呑気なコイツのことだ。そこまで深くは考えていないのだろう。

 

「ふふ、たまにはありじゃない?」

「雪山訓練もやり直しだぞ」

「う。それはやだ……」

 

 相当堪えただろう雪山訓練を引き合いに出せば、予想していた通り愉快そうにしていたノエルの表情が一気に歪んだ。雪山訓練の後は数日間筋肉痛で悩んでいたし、ノエルにとっては名前を聞くだけで生気をなくすほど衝撃的に刻まれているのだろう。ノエルは筋肉がつきにくい体質のようだから、体を酷使する雪山訓練とは相性が悪い。それで、こんな結果になったんだろうが。それにしたって、ノエルの反応は分かりやす過ぎる。気の毒だと同情しながらも、笑みが抑えられなかった。落ち込んでいるところを笑われ、半目になったノエルが対抗するように寄りかかってくる。「軽いな」と言えば、さらにかけられる力が増していく。かける体重も無くなったのに、力を入れようとしているからノエルが小刻みに震え出す。このまま続けたらどこまで反抗し続けるか。気になって放置していると、急にかけられていた力が霧散した。

 

「辛いことも、苦しい時も、いっぱいあったね。」

 

 だらりと腕を投げ出したまま、ノエルが天井を眺めている。俺たちがいる寂れた厩舎の天井には、建物を支える大きな梁と屋根の隙間から漏れ出た光くらいしかない。埃が光の中で優雅に舞い続ける、お世辞にも情緒的とはいえない光景が広がっているだけだ。きっと、ノエルと俺が見ている景色は違う。ノエルの瞳にはこの三年間の出来事が走馬灯のように映っているのだろう。

 

「だけど、ライナーたちとも一緒にいられて、仲間にも恵まれて。あたしには勿体無いくらい。楽しかったな」

 

 ノエルが記憶を瞳に呼び起こしたまま、遺言のようにつぶやく。こういうことを恥ずかしげもなく言うから、何だかんだでいろんな奴から好かれているんだろう。そのいろんな奴の中でも真っ先に名前を出されたら、悪い気はしない。ノエルにつられ、記憶を思い返そうとして。

 

「あ……」

 

 真っ先に思い浮かんだのは、夜空に浮かんだ丸い月だった。手を突き動かす使命感、正面に晒された白い首。今にも押し殺されてしまいそうな息遣い。今朝の夢、過去の記憶が。忘れかけていたあの感覚が、指先から生々しく蘇ってくる。

 

「ねえ、ライナーは?」

 

 前髪を揺らしてノエルが顔を向けてきた。細い首を晒して問いかけてくる。赤黒い跡が残っているようにみえ、目を擦る。丸い二つの目玉はじっと俺を捉えたまま、怪訝そうに瞼を動かした。「ライナー?」ノエルは、何も変わらない。最初からそうだった。はじめから、ずっと俺を。

 

「秘密にした夜のこと、覚えてるか」

「うん。覚えてるよ?」

 

 耳元で脈動し続ける音を遮るように言えば、ノエルは丸く目を開いてから頷いた。単なる思い出の話初めのように受け入れたノエルを前に、汗の滲んだ手を開く。白黒に点滅する視界の中で、胸に渦巻く衝動を吐露した。

 

「すまない、あの時の俺は……どうかしてたんだ」

「えぇっ?今更どうしたの」

 

 そうだ。俺はどうかしていた。全て分かった気でいるような、馬鹿なガキだったから。あんな愚かな選択をしたのだ。壁内に来たばかりだったし、精神も不安定だった。だから、ノエルの寝込みを襲って首に手をかけることができた。あの頃のお前は弱くて抵抗もできない、不満をぶつけるには最適な相手だった。

 

「もし、あのまま……お前を失っていたらと思うと……俺は」

 

 許してくれ。お前の命が消えかける最後の息遣いが、耳にこびりついて離れてくれない。

 

「ライナー」

 

 首に生きた冷たさをもった手が添えられ、導かれるままに顔をあげる。苦しげな皺もなく、柔らかに眉を下げたノエルと目を合わせた。

 

「ライナーは心配性だなぁ」

 

 ノエルが困ったように笑って、小刻みに震えている俺の腕へそっとふれた。ノエルの手のひらから体温がつたわって、俺の記憶を静かに抑え込んでいく。ノエルは睫毛を下に向けたまま、小さく口を開いた。

 

「あたし、ここにいるよ」

 

 ノエルの指が俺の手を導いて、首に触れさせた。指腹にすべやかな肌を押し付けて、ノエルの手は去っていく。思うままに、髪を掻き分けてまで、跡を探した。そこには、赤紫の手形も凹みもなかった。夢で確かにあった感覚は、もう何ひとつ残ってない。

 

「ノエル」

「なあに?」

「……今度は」

「うん」

「今度は、俺を救ってくれ」

 

 乾き切った唇で、欲を吐き出す。殺そうとしていたやつに、救いを求める。この姿がどれだけ滑稽で、笑われようが、関係なかった。

 

「俺の、俺たちの故郷に……ついてきて欲しい」

 

 一度欲に溺れると、次から次に腹の底からとめどなく溢れた。縋るようにノエルの手を握り、その温かさに酔いしれる。ノエルは逃げるでも、軽蔑するでもなく。ただ真っ直ぐに俺を映している。

 

「一緒に帰りたいんだ。お前と、一緒に……」

「行って、いいの?」

「ああ。お前がいるだけで……俺は救われるんだ」

 

 俺を、認めてくれたお前が。俺を、恩人だと言ってくれたお前が。お前がいれば、俺たちは。きっと。躊躇っていた左手をノエルに引かれた。心地のいい熱が指先からうつり、目元を緩めた。

 

「じゃあ。約束しよう」

 

 促されるまま、小指を伸ばしてノエルの指に絡める。小さくて細い指が俺の指に囲まれて埋もれる。柔らかい指の腹とすべやかさに動悸がした。俺が一人で目をくらませていると、ノエルはその様子を懐かしむように目尻を下げる。

 

「これ、昔……教えてもらったんだ。約束のおまじないなんだって」

「変なまじないだな」

 

 こんな風に小指を絡めてするまじないは故郷でも見たことがない。ノエルも珍妙さを理解しているのか、俺の言葉にそっと笑んで肩をすくめた。ほんのりと頬に現れた気恥ずかしさを隠さずに「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます」と呪文を続ける。聞けば聞くほど奇妙な呪文だ。さっぱり意味はわからんが、こういうのは一連の儀式を行ったことに意味を見出すのだろう。

 

「破ったら針を千本飲まされるのか?」

「飲んでもらいます」

「死んじまうぞ」

「それくらい、破るなってことだよ」

 

 ノエルは口に手をあてて笑い、絡めていた小指を解いた。そのまま、離さずに握り合っていた左手を自分の頬に持っていく。俺の手の甲に、ノエルが顔を近づけて頬を擦り寄せた。

 

「だから、絶対、絶対だよ?あたしのこと、連れて行ってね」

「ああ」

 

 夢見心地で信じられないのか、何度も確かめてくれるノエルに頷いてやった。これでやっと、俺たちは全員で故郷に帰れる。そう思うと、全身の力が脱力する。微かな気怠さを身に纏いながら、息を吐く。もう、あの夢を見ることもないだろう。

 

「アニとベルトルトにも言おうね」

「そうだな」

「二人なら、喜んでくれるよね?アニは、わかんないけど」

「きっと、驚くぞ」

 

 アニは不器用な奴だから、素直に喜べずに文句ばっか言いそうだ。故郷までの道のりは一苦労だから、ノエルがついてくれるか不安になるのはわかるが。ベルトルトの奴は、どっちでもいいんだろうな。最後までノエルに振り回させるだろう。

 

「ライナーの故郷って、田舎なんだよね」

「誰が言ってたんだ?そんなこと」

「アニに言ったら、はぐらかされちゃって」

 

 恨めしそうな目つきをしたノエルが、ぶつぶつと呟く。アイツ、そんな適当なことを教えてんのか。ノエルの成長が寂しいからって、故郷の知識くらいは教えてやってもいいだろうに。

 

「……お前の故郷はシガンシナ区だろ?」

「あ。う、うん!」

「おいおい、まだ寝ぼけてるのか」

 

 まさか、自分の生まれた場所を忘れたんじゃないだろうな。歯切れの悪い返事をしたノエルが心配になりつつ、脳裏に故郷の光景を描く。ノエルが来たら気になったもの全部を質問してくるから、説明が大変だろうな。それくらい、ノエルの故郷と俺の故郷は差がある。

 

「ま、だいたいそれと真逆だな」

「真逆?」

「行ってみりゃわかるだろ」

「ふぅん、わかった。行ってからの楽しみにしとく」

 

 ノエルは怪しむような目をやめて、水桶を持ったまま立ち上がる。続くように腰を上げると、急に立ったからか足元がふらつく。扉に手をついてやっと、よろけなくなった。ノエルの忍び笑いがそばから聞こえてくる。

 

「ライナー」

「なんだ?」

「これで、ずっと一緒にいれるね」

「……ああ。全員、一緒だ」

 

 力強くつぶやいた俺の言葉に、ノエルが照れくさそうに頬をかく。そのまま抱きしめてやりたくなるのを堪え、頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜる。「ぎゃー」とか悲鳴をあげつつも、逃げようとはしないノエルを見下ろして、口角をあげた。

 

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