銀英伝で波動砲を撃ちたいTS科学者   作:ヤキブタアゴニスト

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ヴァンフリートでの出会い

帝国暦485年1月、メルゲントハイム伯爵領 首都惑星トワングステ side: リリーナ

 

 

「そうよ!軍艦というのは戦う為にあるのよ!!帝国軍に参加させてもらいましょう!!」

 

そう、リリーナは新造戦艦を戦闘で使うことを考えていた。いわば傭兵のように武力を以てして稼ごうというのだ。

 

そして、それにピッタリの制度がこの帝国にはあった。それは反乱軍との戦いに私設艦隊を供出することで、その負担に見合った褒賞を得ることが可能になるというものだ。あまりにも出来すぎで都合の良すぎるようなこの制度をリリーナも家臣たちも初めは疑った。しかし調べてみるとこの制度はダゴン星域会戦の後に遠征兵力の不足を補うべく貴族の私設艦隊を利用する為に作られたようだ。ただ、100年前のコルネリアス1世の時代に行われた大遠征以降は使用されることは無くなっていた。

 

この制度は艦隊と乗員を帝国側に提供し、将官以上は帝国軍側から迎える。すなわち指揮権は全て帝国軍に属することになる。直接武勲を上げたいと考える貴族たちにはこの点が不評であるようで、褒賞が出るのは多少無理に供出させた私設艦隊の借り上げについて貴族たちを宥める為の方策であった。しかして、貴族側からこの制度を利用することは無かったが、僅かでも稼いでくれたら嬉しいリリーナからすれば指揮などむしろ帝国軍に任せたいというのが本音だ。それよりも、お金を払うどころかくれる上に実戦のデータまで取れるとあればこれ以上はない。

 

しかし、そんな化石のような制度を復活させてくれと言っても当然一筋縄では行かない。使えるだけの伝手を使ってなんとかして制度を利用することに成功し、無事に前線部隊への配属を勝ち取るまでにはかなりの時間がかかっていた。幸いにも、以前売り払った伯爵領の艦艇が配属された艦隊に合流する形になるようなので、補給や通信はやりやすいだろう。

 

 

 

 

「ということで、しばらく私はメルゲントハイム領から出ることになるわ。それぞれのプロジェクトリーダーは私が通知したとおり、定期的に報告を上げるようにしなさい!!当座は帝国軍から準備金が入るはずだからそれを返済に充てること。いいわね!!」

 

出発準備を急ピッチで進める艦隊の整備状況を確認しながらリリーナは自身の乗艦の準備を始める。しかし、仮にも銀河帝国の伯爵がそう勝手に戦場に出てよいはずがない。

 

「姫様!!!お止めください。姫様にもしものことがあればこのメルゲントハイム伯爵家はどうなるのですか?御身を大事になさってください。それに、艦隊を率いる将官は帝国軍から派遣されるとのことになっております。勝手に姫様が指揮をとることは帝国軍の怒りを買うことになりかねませんぞ」

 

当然、家臣たちはリリーナを必死になだめようとする。

 

「私の心配はしなくていいわ。それにもし万が一があったとしても伯爵家は分家か何かが後を継いでくれるわよ。それから私はこの艦の機関長としての任に就くわ。これなら帝国軍が言ってきたようなことにはならないわ。それに、新型艦なんてそもそもイゼルローン回廊を抜けるまでに間違いなくどこかしらが故障する。それを直せる可能性が高いのは間違いなく私だわ!そういうわけで留守は頼んだわよ!!!」

 

しかし、そういって止まるなら最初から止められただろう。結局リリーナは周囲の止める声も聞かず、宇宙に飛び立つ。帝国軍と合流するべく新生された中性子衝撃砲艦隊を率いてイゼルローン回廊に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国暦485年3月、自由惑星同盟 ヴァンフリート星域 side:ラインハルト

 

「グリンメルスハウゼンの奴、褒めるだけ褒めて何の策も採用しようとしない。自身が無策なのであればせめて俺の策を採っておけば良いものを。無能を自覚しない無能ほど厄介なものはない」

 

ラインハルトは憤っていた。その怒りは本質的には帝国と同盟、双方の国家としての腐敗と実務における無能に対して向けられるものであったが、さしあたりは現在ヴァンフリート星域にて行われているあらゆる戦闘行為における無能さに対してその矛先を向けていた。

 

ヴァンフリート星域にて会敵した両軍は当初の小規模な撃ち合いから互いに援軍を呼び込んで規模を拡大、帝国軍三万三千隻、同盟軍二万九千隻の大艦隊が向かい合う一大決戦が行われようとしていた。その中にあって事実上戦力外扱いされている老将グリンメルスハウゼン率いる左翼艦隊のごく一部、三百隻ほどの分艦隊を率いるのが准将たる今のラインハルトの立ち位置であった。

 

そして、会戦が始まっても案の定グリンメルスハウゼンの動きは遅い。加えて味方の強襲揚陸艦が進路を塞ぎ、ラインハルトの分艦隊も攻撃を開始することなど出来なかった。おまけに両軍ともに艦隊全体の速度差から指揮と運用に致命的な混乱をもたらしていた。

 

そうこうしているうちに、ヴァンフリート星系特有の通信状況の悪さが戦場をより混沌なものへと変化させる。両軍が互いに回り込もうと一部の艦隊に迂回を命じ、それら同士も互いに互いを分断する。

 

帝国軍右翼と同盟軍左翼での混乱が大きくなる一方で、左翼に展開するラインハルトはようやく敵の前面に押し出していた。しかし、所詮は小規模な分艦隊であり、離れた敵へ有効な打撃を与える手段は無い。

 

 

「せめて中将にでもなれば、一万隻を超える艦隊も指揮できるようになるのだが。駆逐艦百三十隻に砲艦四十隻、それに加えてどこぞの貴族の玩具艦隊な百隻とあっては戦局に影響を与えることも難しい」

 

「ラインハルト様…」

 

 

 

指揮官席に腰掛けながら自身の権限の小ささを嘆くラインハルトの前に現れたのは、戦場には到底似つかわしくない1人の幼い少女だった。肩口で切りそろえたくすんだ銀髪からは落ち着きを感じるものの、好奇心旺盛な金眼からは闊達な少女であることが見て取れた。

 

「何者だ!?なぜ子供が入ってきている!!」

 

 

唐突に我が物顔で艦橋に足を踏み入れたその少女にラインハルトが警戒しつつ驚いていると、少女は戦場ではお目にかかれない上質なワンピースの裾をつまんで堂々と挨拶する。

 

 

「あらっ、これは失礼いたしましたわ。私はリリーナ・フォン・メルゲントハイム。メルゲントハイム伯爵にして貴方が玩具艦隊と呼んだ艦隊の持ち主よ。よろしくお願いいたします、ミューゼル准将閣下。それにしても話には聞いていたとおり、本当にお若いのね」

 

少女の告げた内容か、幼い見た目に反したしっかりした話し方か、或いは自分より幼い少女から若いと言われたせいなのか、一瞬ラインハルトは思考を止める。すかさず、隣に控えるキルヒアイスが先に答える。

 

「伯爵閣下、ここは戦場、今は戦いの最中にございます。子供がいていい場所ではありません。シャトルを手配いたしますのですぐに後方にお下がりください」

 

最大限丁寧に対応したキルヒアイスをしかし、少女は意に介さず言葉を続ける。

 

「戦いの最中なのは分かっているわ。だからこそ今なのよ。右翼と中央に混乱が広がり、左翼でも決定打を欠く今この瞬間を待っていたのよ」

 

その言葉にラインハルトの頬がピクリと動く。その情報はある程度戦い慣れているものなら当然把握しているべき事項であったが、幼い少女が口にするにはいささか出来すぎていた。

 

「ほうっ、続けてみよ」

 

「ラインハルト様っ」

 

そう促すと、これは得たりとばかりに少女は話を進める。

 

「現在、この艦隊は左翼の最前列にまで位置を押し上げているわ。しかし、他の艦隊が出てこない以上これより前に出ると孤立してしまう。だから、このままでは目の前を獲物が素通りするのを手をこまねいてしまう。違うかしら?」

 

それはまさしくラインハルトが先程まで嘆いていた原因の一つであった。グリンメルスハウゼン艦隊の動きの悪さによって、ラインハルトの分艦隊はまるで重しでもつけられたかのように動きを阻害されていた。

 

しかし、それを理解する相手は多くない。少しばかり驚きながら

 

「まさしくそうだ」

 

と同意する。

 

「だけど、もしあの艦隊にここから攻撃できたとしたら。こちらの左翼側面に回り込もうとしているあの艦隊をここで挫いて仕舞えば、敵右翼にもはや打てる手は無いわ」

 

「そんなことは分かっている。グリンメルスハウゼンが素早く左翼を前進させて敵右翼を叩けるのならばこの戦いはとうに決着がついている」

 

 

口では少々きつい言い方になってはいるが、ラインハルトはその戦局判断に完全に同意していた。だからこそ、何も出来ない現状への不満を再燃させていたのだ。

 

しかし、その言葉を引き出した少女は勝利を確信していたかのような満面の笑みでラインハルトを見つめていた。

 

 





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ラインハルト様が有能すぎて描きにくい.....
これが作者より賢いキャラクターは描けないということか....
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