ポケモン廃人は大人げない   作:MALUM

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 今回ちょぉっとだけグロ表現があります。苦手な方は頑張ってください。
 文句言われたらR15タグつけます。


生きるために

「ヴウゥゥゥ…ヴァンッッッ!!!」

 

 ヘルガーの“ヘドロばくだん”!!

 

 汚いヘドロの塊がウルガモス目掛けて飛んでくる。

 

「ピィィィィィィッッッッップ!!」

 

 ウルガモスの“こおりのまい”!!

 

 美しく舞うウルガモスの周囲に形成された氷の刃がヘルガー目掛けて飛んでいく。

 ヘドロの塊と氷の刃が空中でぶつかり合い、爆ぜる。

 

「うおぁっ!」

「プシィッ!?」

 

 衝撃波によって俺とコフキムシは吹き飛ばされる。しかし、それを意に返さず二匹は弾幕合戦を始める。

 

 ヘルガーの“あくのはどう”!!

 ウルガモスの“エアスラッシュ”!!

 

 ヘルガーが洞窟中を駆け回りながら“あくのはどう”を放ち、それをウルガモスが“エアスラッシュ”で撃ち落としていく。

 ウルガモスは、後ろに隠れている俺や虫ポケモンたちを守るように立ち塞がっているのに対し、ヘルガーは自由に動き回ってウルガモスの首を狙っている。この時点で自由に動けないウルガモスと、自由に動けるヘルガーでは、戦闘でのハンデが生じてしまっている。

 それを理解しているのか、ヘルガーの攻撃は俺や虫ポケモンたちを狙うように飛んでくる。

 ウルガモスが全て撃ち落としていくが、その隙をついて接近したヘルガーの攻撃を至近距離で食らってしまう。

 

「ヴウゥゥゥヴァァォゥ!!」

 

 ヘルガーの“フレイム・ギフト”!!

 

「ピイィィィィッッッッッップ!!??」

「ウルガモス!?」

「プシッ!?」

 

 炎の弾がウルガモスに直撃する。むしタイプ、そして恐らくリージョンフォームによってこおりタイプになっているウルガモスには炎タイプの攻撃は4倍弱点。一撃で致命傷たり得る威力だ。

 自慢の特防の高さでなんとか持ち堪えるが、突如顔が青くなって苦しみだす。

 

「ピイィプ…!」

「もしかしてこれ…毒か!?」

 

 毒状態。毎ターン最大HPの八分の一を削られる状態。ゲームでは、死ぬ前に殺すことで解決する脳筋が九割以上を占めるが、現実ではそうはいかない。体力が削られれば動きも鈍くなってくるし、そもそもまず毒を食らった状態で通常と同等の動きができるわけがないのだ。故に、毒状態とは、体力を削ることよりも、戦う能力を失わせることが一番の利点であると言っても過言ではない。

 

(嘘だろ!?炎技で毒食らうってどういうことだよ!?)

 

 本来ありえない炎技と毒の組み合わせに困惑するレン。

 当のヘルガーは勝ち誇ったように、ゆっくりと、踞るウルガモスへと歩み寄る。

 しかし、この地獄の番犬は一つ過ちを犯した。

 それは、後ろに回り込んだ人間とイモムシに気付かなかったことだ。

 

「コフキムシ!“いとをはく”!!」

「プシャァッッ!!」

「ヴァァッ!?」

 

 コフキムシの吐いた糸がヘルガーの足に絡みつき、それを思いっきり引っ張ることで転ばせる。

 さらに、四肢に絡ませ、動きを封じる。

 しかしそこは流石の最終進化形。

 コフキムシ程度の糸は簡単に焼き切られ、怒りの形相で俺とコフキムシに向かって口に炎をチャージする。

 それでも、俺は恐怖を感じなかった。

 なぜなら、ヘルガーの背後に、渾身の力で立ち上がったウルガモスが舞い踊っていたからだ。

 

「お前の敗因は…ヘイトを向ける対象をミスったことだ!」

「プシッ!」

 

「ピィィィィィッッッッッップッッ!!!!」

 

 

 ウルガモスの“こおりのまい”!!

 

 

 隙だらけになたヘルガーの背に無数の氷の刃が突き刺さる。

 

「ヴァアッ…アッ……」

 

 ヘルガーは断末魔を上げて倒れた。

 しかし、まだ全てが解決したわけではない。

 

「ピィッップ……」

「そうだ!ウルガモス!!」

 

 慌てて駆けつけたときには、ウルガモスは満身創痍で倒れ伏していた。

 毒を食らってから大体一分程度、そこまで毒が回っていない今の内に解毒をしなければ手遅れになってしまう。だが、どくけしは無い。道中にもモモンのみは無かった。ウルガモスを助けることは叶わない。

 

「クソッ!どくけしさえあれば…!」

「プシ…」

 

 どうしようかと頭を抱えていると、後ろに隠れていたクルマユやコロボーシたちが洞窟の端からピンクのきのみを急いで持ってきた。

 そう、モモンのみである。緊急用にいくつかのきのみを備蓄していたのだ。

 

「マユ!マユ!」

「コロ!」

「プシッ!」

 

 

 ※特別意訳

「これ!これ!」

「持ってきたよ!」

「ナイッスゥ!」

 

 

「モモンのみあったのか!ウルガモス、ほら、食えるか…?」

「ピィップ…」

 

 モシャモシャとモモンのみを食べるウルガモス。毒が弱まってきているのか、次第に顔色が回復していく。

 安心したのも束の間、洞窟に悪魔の唸り声が響き渡る。

 

「ヴゥゥゥゥ!!ヴヴァァァァァンッッッ!!!!」

 

 なんと、倒れたはずのヘルガーが立ち上がっていたのだ。

 しかし、目の焦点は合っておらず、何者かに操られているかのように不安定だ。

 

「ヘルガー!?なんで…」

「ピィッップ…!」

 

 異常事態にいち早く反応したウルガモスが“むしのさざめき”を放つが……

 

「ヴルルゥヴァァァヴォォォォォォォンッッッ!!!!」

 

 ヘルガーの【フィンダレス】!!

 

 ヘルガーの体から発された特殊な波動は、ウルガモスを怯ませる。

 竦み上がって動くことのできないウルガモスに、ヘルガーがトドメを刺す。

 

 ヘルガーの“フレイム・ギフト”!!

 

 避けることのできない攻撃の前に、満身創痍のウルガモスはただヘルガーを睨みつけることしかできない。

 他の虫ポケモンたちもヘルガーの熱気に気圧され、震え上がっている。

 誰もが諦めていた。ただ一匹を除いて。

 

「プシィィィ!!」

 

 コフキムシがウルガモスを庇うようにヘルガーの炎に向かっていく。

 ウルガモスが一撃で致命傷を負う程の威力。もしコフキムシが食らえば、瀕死では済まない。最早死体が残ることすらも許されないような地獄の業火。

 それは本人も理解している。

 しかし、この命一つで森の主であるウルガモスを守ることができるのであれば容易い。

 コフキムシの体は決死の覚悟に呼応するように光りだす。

 

「コフキムシッ!?この光は…!」

 

 光り輝くコフキムシに地獄の業火が直撃する。しかし、炎は内側から弾け飛んだ光に打ち消された。

 その下手人はドッシリと地面を踏みしめ、ヘルガーを睨みつける。

 

「ブシィィィ!!」

 

 コフーライ(???の姿) ???ポケモン   タイプ ???・???

 

 コフキムシがコフーライへと土壇場での進化を遂げ、緑の体毛は進化前よりも黒味を帯びており、鱗粉をまとい硬化していた。

 

(そうか!コフキムシはコフーライへの進化直後に“まもる”を覚える。それでヘルガーの炎からウルガモスを守ったのか!)

 

 “まもる”は基本的に全ての攻撃を防ぐ。守れる攻撃に際限は無く、たとえレベル1のポケモンであっても、レベル100のポケモンの攻撃を防ぐことができる優秀な技だ。

 そして“まもる”を展開したコフーライは、ヘルガーの射線上に横入りすることでウルガモスのことを守ったのだ。

 特殊技は大抵は溜めを必要とし、威力が高い技ほどそれが顕著に現れる傾向にある。

 ヘルガーの放った炎は連射することはできない。よって、数秒の隙が生じる。

 そして、それを見逃すほどウルガモスの反射速度は鈍くない。

 故に、不可避の攻撃が叩き込まれる。

 

「ピィィィィッッッッッッップ!!!!」

 

 ウルガモスの“こおりのまい”!!

 

 最大まで力を込めた氷の刃は、ヘルガーの頭、喉、腹へ深々と突き刺さる。

 ヘルガーは、断末魔を上げ、今度こそ息絶える。

 

「今度こそ…終わったんだよな?」

「ブシィ…」

 

 もう一度、横たわるヘルガーを確認するが、今度こそ確実にヘルガーの息の根は止まっていた。

 

「よし…。ウルガモス!大丈夫か?」

「ブシブシ」

 

 体力尽きて寝そべるウルガモスの方へ駆け寄り……

 

「ヴィヴァぇぉヴィぁヴォヴァヴァあァ!!」

 

「ッッ!ピィッップ!!」

「へ?」

「ブシッ……」

「………え?」

 

 過去最高に嫌な予感を感じながら振り向く。

 そこには、ヘルガーのような黒い霞と、黒焦げのコフーライがいた。

 

「え?…は?え?」

 

 その瞬間、世界が止まったように遅くなった。

 いつまでも情報が完結しない。

 悍ましい顔で襲いかかる霞のヘルガー。慌てた様子で立ち上がるウルガモス。原型を留めぬほどに焼き焦げたコフーライだった灰。

 全身からドス黒い感情が湧き上がる。死んでも尚、悪霊となってまで殺戮を望むバケモノ。

 殺意、憎悪、悲しみ。様々な感情がぐちゃぐちゃに混ざり合う。

 その特大のマイナスエネルギーは、この世への未練を残して死んだ哀れな蛹に、自然の摂理に従うことを許さなかった。

 

「フィィィィィルルルルルァァァァァァァァッッッッッッッッ!!」

 

 ビビヨン(???の姿) ???ポケモン   タイプ ???・???

 

 真っ黒な羽に、禍々しい緑の体。原種の姿とも似ても似つかぬ漆黒の蝶。その全身からは、全身が冷えきるほどの霊気をまとっていた。

 

「ヴヴァぉぁヴェヴヴヴぁヴァヴぁ!!!」

「フィルルァァァァァァァ!!!!」

 

 ビビヨンの“めいふのまい”!!

 

 ビビヨンの体から漏れ出る霊気が霞のヘルガーを包み、そして……

 

 

キュッ

 

 

 霊気が空気中に霧散して消えると、そこに霞のヘルガーの姿は無かった。

 

「ビビヨン…?」

 

 恐る恐る声を掛けると――

 

「フィルルルルァァァァァ!!」

 

 次の瞬間、鮮血が舞った。

 ボトッと洞窟内に何かが落ちた音が響く。

 

「あ…あ、あぁぁ……」

「フィルルァァァ!!」

 

 激しい痛み、焼けるような苦痛を伴って、左腕の肘から先が失われた。

 何が起きたのかわからない。ただ、これだけはハッキリと断言できる。

 

 ビビヨンが恐ろしくて仕方がない。

 

 先程まで共に森の中を逃げ回り、ウルガモスとヘルガーの戦いに神経を擦り減らした友。今日出会ったばかり。特に思い出があるわけではない。

 しかし、一日中行動を共にし、アオガラスから逃げ、ドダイトスからも逃げ、果ては突如現れたウルガモスとヘルガーの戦いに巻き込まれた。たった数時間でここまでの濃密な時間を分かち合った友達。

 それが今、暴走し、俺に二度と治ることのない大きな傷を負わせた。

 今のビビヨンは明らかに正気を失っており、悪意を持って攻撃してきたわけではないのはわかっている。

 だが、頭で理解していても、体は恐怖で竦み上がり、全く動くことができなくなってしまった。

 眼の前には、再び体から霊気を漏れ出させるビビヨン。

 ヘルガーの炎を上回る恐怖に、俺は何もできずただ失くなった左腕を押さえることしかできなかった。




 オリジナルリージョンフォームが今のところ三種登場しましたが、まだ分類やタイプは明記しません。だってまだ何地方かすら出てないんですもん。次話くらいには多分出します。
 こんなリージョンフォーム出してほしい、こんな技があったら良くないでござるか?という意見があれば感想欄で教えてください。ウッキウキで出します。(勿論読者オリジナルであることはデカデカと明記します)



 ついでなんですが、Xのアカウント立てました。
https://x.com/MARUM0929

何タイプが好き?

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