ポケモン廃人は大人げない   作:MALUM

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 前回の投稿から二十日経ちましたね。
 投稿頻度なんとかすると言ったな。あれは嘘だ。



 最初は一人称視点、途中から別視点に移ります。


VSビビヨン②

「ピカチュウ!”かげぶんしん”からの”でんこうせっか”で錯乱しろ!」

「ビッガァ!」

「ヘルガー!”かえんほうしゃ”!!」

「ヴァアアン!!」

「イーブイ、”すなかけ”!」

「ブイッ!」

 

 ピカチュウが分身と共に高速で駆け回り、ビビヨンのヘイトを稼ぐ。

 ヘルガーがビビヨンの死角に周り、炎を吐いて攻撃する。

 イーブイがビビヨンの懐に入っては砂をかけ、直ぐ様電光石火で退避する。

 三匹がそれぞれの役割をまっとうすることで、ビビヨンに対して優勢に立ち回ることができている。

 ビビヨンが上空に上がり、冥府の舞の構えをする。

 

「フィルァァァァ!!」

「イーブイッ!」

 

 ビビヨンの”めいふのまい”!!

 イーブイにはこうかがないようだ⋯

 

 ビビヨンが黒いオーラを放つが、射線上にイーブイが飛び出し、ヘルガーとピカチュウを守る。

 技を放った後に生じるのクールタイムを利用し、総攻撃を仕掛ける。

 

「ピカチュウ!”10まんボルト”!!」

「ヘルガー、”かえんほうしゃ”!!」

「ビィガァ⋯ヂュウゥゥゥゥ!!!!」

「ヴァアアァァァァン!!!!」

 

 高圧の電気の束と、高温の炎がビビヨンに襲いかかる。

 咄嗟に”エアスラッシュ”で撃ち落とそうとするが、殆どが明後日の方向に飛んでいく。その結果、もろに火炎放射と10万ボルトをくらい、苦しげに呻く。

 

「フィラッ⋯!」

「よし!この調子で確実に仕留めるぞ!」

 

 何故エアスラッシュが明後日の方向に飛んでいったのか。答えは簡単、イーブイのすなかけをくらい、命中率が最低までダウンしたからである。

 イーブイの攻撃技は全てノーマルタイプの技である。よって、ビビヨンにダメージを与えることができない。つぶらなひとみも特殊技を使うビビヨンには意味がない。ならば唯一効果があるすなかけをひたすらに打ちまくるのみ。その結果として、ビビヨンの攻撃の命中率は約33%。麻痺も含めれば更に低くなる。

 事実、さっきのような攻撃の苛烈さは無く、ただの絶好の的となってしまっていた。

 勝った。全員がそう確信した。

 先程と同じように火炎放射と10万ボルトを放つ。十字砲火だ。避けることはできない。

 しかし、ビビヨンに直撃する瞬間、ビビヨンの姿が闇に消え、炎と電気は宙に霧散した。

 

「どこ消えやがった!?」

「落ち着くんだ!固まって周囲を警戒する!」

 

 三人の背を合わせ、周囲を警戒する。

 

 パリン

 

 何かが割れるような音がして、次の瞬間。空が割れ、そこから腕を模した真っ黒な瘴気が溢れ出した。

 それに気付いたときにはもう遅く、俺達は何もできないまま瘴気に飲み込まれた。

 

「フィルァ」

 

 

 


 

 

 

 私は、人の気配のない森の中で生まれた。

 そこは私のような無力なポケモン達が多く生息していて、皆助け合って生きていた。

 たまに私達に襲いかかる大きなポケモンもいたけど、ウルガモス様が守ってくれていた。

 ある日、私は洞窟の外に出ていた。特にこれと言った理由があった訳では無いが、なにか引き寄せられるように、気付いたら森の中にいた。

 宛もなく森を彷徨っていると、ポケモンの群れ同士の抗争に出くわした。

 リングマとメブキジカの群れが激しくぶつかり合っている。

 あんなのに巻き込まれたら絶対に死んでしまう。そう思った私はゆっくりとその場を離れた。

 しかし次の瞬間、私は胴体に避けるような痛みを感じた。

 どうやら、メブキジカの放った葉が流れ弾で当たったらしい。

 痛くて痛くてできれば動きたくなかったが、これ以上流れ弾を食らうのも嫌なので体を引きずってその場から離れた。しかし、血が流れている状態で歩き回ったせいで、まぁ状態は悪くなった。今襲われたら120%逃げることはできない。

 私のポケ生もここまでかと思うと辛くなってきた。だってまだ生まれてから一月そこらだぞ。

 それでも一縷の望みにかけて森の中を這いずり回った。

 すると、木の向こうから音が聞こえる。

 敵か味方か。もし敵だったら、食われて死ぬ。味方だったら、もしかしたら助かるかもしれない。分の悪い賭けなのはわかっていた。しかし他にできることがあるわけでもなく、私は木の茂みから飛び出した。

 飛び出した先には、話にしか聞いたことしか無かった人間がいた。体が大きいだけで、特に力もない。私を見ただけで腰を抜かすくらいビビり。そして、私にきのみを差し出すくらい優しかった。

 この時、私はこの不思議な人間についていくと決めた。

 

 

 

 死ぬかと思った。

 ココガラとアオガラスに追われてよく生きて逃げ切れたわ。我ながら”いとをはく”での足止めは本当にナイス判断だと思う。

 木の下で少々に座って休憩する。座り込む人間の隣で安心して眠る。

 ………。すごい揺れる…人間って常に震えてる生き物なの?

 人間が今立ってる場所が地面じゃないって言ってるんだけど、そんな訳無いわよね。オホホホホ。

 

 私何か前世で悪いことしたのかな?群れ同士の抗争に巻き込まれて致命傷を負い、アオガラスとココガラの群れに追われ、ようやく逃げ切ったと思ったらドダイトスに追いかけ回されるなんて。さっきの鳥どもなんかよりも迫力がすごいわ。

 人間が私を抱きかかえてドダイトスに顔を向かせる。

 囮にされるのかと思ったが、瞬時に意図を理解し、”いとをはく”を撃った。糸吐きながらちょっとちびった。

 ドダイトスが糸に絡まっている間に逃げ切ろうと思ったが、あの怒れるミニ玄武は人間とか弱い虫さん相手に”リーフストーム”を撃ってきた。容赦無さすぎでなくって?人間が私を抱きかかえて木の裏に飛び込まなかったら死んでたよ。腹いせに顔面に糸吐いてやったわ。

 避けきれなかった葉が人間の肩に当たって血を流している。そしてお前だけでも逃げろって言ってきた。致命傷じゃないんだからまだ動けるでしょうに。何でありえないくらいフラフラしてるの?

 人間を咥えて逃げようとしたが、重すぎてびくともしない。

 あ、やばいですわ。ドダイトスに見つかった。

 あ、月綺麗。

 

 

 

 なんか生きてた。

 辺りを見渡すと、氷漬けにされたドダイトスと、その上に佇むウルガモス様がいた。

 どうやらウルガモス様が私達を助けてくれたみたいだ。

 ふと隣を見ると、まだ気絶している人間がいた。ちょっとつついてみたけど全く動かない。

 ウルガモス様が私と人間をお家に連れて行ってくれるらしい。

 どうやって運ぶのか気になったが、普通に腕で人間を抱えて、その上に私が乗るスタイルだった。言いたいことを全部飲み込んだ私は偉いと思う。

 

 

 

 お家に着いたが、人間が全く起きない。

 小突いてみても全く動かないから、仕方なく強硬手段に移ろう。

 あ、起きた。流石に”たいあたり”したら起きるよね。

 ウルガモス様が人間を”あの場所”に案内すると言った。

 私はよくわからないが、ウルガモス様の様子を見る限りかなり重要なことらしい。

 ウルガモス様の後ろに付いて歩いていくと、皆がスッと道を開ける。

 なるほど、これがレントラーの威を借るゾロアか。

 ウルガモス様が案内した部屋は、陽の光が少し差し込むだけでかなり殺風景だった。

 その部屋の真ん中にある台座に置かれた石を人間が手にした。その瞬間だった。

 皆が怯えた様子で走ってきて、ウルガモス様が”むしのさざめき”を放った。

 舞う土煙の中から現れたのは、禍々しいドクロの狂犬だった。

 

 

 

 やっちゃったなぁって、なにやってるんだろうなぁって、正直思った。さっきあったばかりの人間と共に圧倒的格上のヘルガーに喧嘩売るなんて自殺行為じゃん。

 足に糸引っ掛けて転ばし、四肢にも糸を絡ませて拘束する。まぁすぐに焼き切られちゃったんだけど。

 でも、私は全く怖くなかった。

 だって、口に炎を貯めてるヘルガーの後ろでウルガモス様が舞っていたから。

 隙だらけのヘルガーの胴体に氷の刃が突き刺さった。

 ヘルガーには勝利したが、まだ全てが解決したわけではない。ウルガモス様が毒状態で死にかけている。これは由々しき事態だ。

 ここで仲間のクルマユやコロボーシが備蓄していたモモンのみを持ってくるファインプレーを見せてくれた。ナイス。

 人間がウルガモス様の口にモモンのみを運んで食べさせてくれた。

 ウルガモス様の表情が和らいでいくのを見て、ホッと安心する。

 しかし、安心したのも束の間、ヘルガーがフラフラと立ち上がって唸り声を上げる。

 糸で操られているかのように不安定で不気味だ。

 ウルガモス様が”むしのさざめき”を放つが、ヘルガーの発した特殊な波動にかき消さられてしまった。

 波動をくらって怯んでしまったウルガモス様に、ヘルガーの炎が迫る。

 あ、やばいと思った瞬間には体が勝手に動いていた。

 眼の前に迫る炎、しかし、怖くない。

 

 ”まもる”

 

 ウルガモス様を炎から守った。そして、ウルガモス様のチャージが終わる。

 ヘルガーの急所に深々と突き刺さった。今度こそ、ヘルガーは絶命した。

 疲れ果てて仰向けに倒れるウルガモス様の元へ駆け寄り……

 

 

 

 

 

 まだ死にたくない。まだ生きたい。もっと世界を知りたい。もっと色々な物を見てみたい。まだ、死ぬわけにはいかない。だって――

 何があったのかはほとんど覚えていない。

 ただ、気付けば私は、有り余る力と感情を制御できずに暴走させてしまい、彼の左腕を奪ってしまった。

 自分でも何をしているのかわからなかった。頭に靄がかかったようだった。

 突如、腹部に痛みを感じた。見ると氷の刃が刺さっていた。

 あまりの痛みに悲鳴をあげてしまう。

 氷の刃を放ったのは紺色の虫ポケモンだった。

 あまりにも弱っていたが、そんなことは関係ない。

 私は、体中から霊気を放ち、そいつに浴びせた。簡単に倒れた。だが、死んではいない。

 何故私は己の最大の障害なり得るこいつに対して手加減したのか。わからない。考えれば考える程に思考にノイズがかかるようだ。

 何か気を紛らわせようと周囲を探ると、人間がいた。何か見覚えがあるような気がしたが、思い出せない。思い出そうとすると、また頭にノイズがかかってしまう。

 さっさとこの人間と虫ポケモンを殺してしまえば解決しそうな気がしたが、心が拒否しているような奇妙な感覚がして、余計頭がおかしくなりそうだった。

 とにかくこの気持ち悪い感覚から逃げ出したくて、私は洞窟を飛び出した。

 

 

 

 私は何をするでもなく、真夜中にただ街の上空を飛び回り、昼は闇の空間の中で眠るという生活を送っていた。

 何かに誘われるかのように真夜中の闇に紛れて羽を羽ばたいて回った。

 闇の空間は、陽の光を避けるための空間が欲しくて少し工夫したらできるようになった。この空間はかなり便利だ。仕留めてきた餌を誰にも見つからずに保管できる。

 ある日、いつものように真夜中に空を飛び回っていると、突如目を疑うような光景を目にした。

 とある大きな建物のそばにあの紺色の虫ポケモンがいた。しかもそいつはあの時の人間に物凄いパワーを感じる石を渡していた。

 直感的に理解した。あの石は私のものだと。

 今すぐにでも奪いに行こうと思ったが、完全に回復した奴と戦って勝つ保証が無いため、今行くのは得策ではない。

 石を奪うのは翌日にしよう。そのほうが確実だ。

 

 

 

 おかしい。

 石を奪おうとあの建物に向かうと、石のパワーを全く感じなかった。

 中を覗いてみると、件の人間は石と共に居なくなっていた。

 どうにか探し回ったが、街が広い上に、他の人間に見つからないように行動するとなると、かなり行動が制限されてしまう。

 しかし、あの石にはそれだけの時間と労力をかけるだけの価値がある。

 絶対に探し出してやる。そう誓った。

 

 

 

 二十日程だろうか。あの人間から石を奪うために、私の邪魔になりそうな人間を減らすため、鱗粉を振り撒いた。

 どうやらただ飛ぶだけでも鱗粉を振り撒いていたようだが、それとは比べ物にならない量を散布してからは日に日に減っていく人間の数が増えていった。

 街の人間が約半分程になってから、私は行動に出ることにした。

 石を持っていた人間が建物から出てきた。隣に知らない人間がいるし、ポケモンも二匹いる。だが、見た所格下もいいところだったから問題ない。

 人間二匹とポケモン二匹が小さな建物に入っていった。

 今が一番だ。

 そう思った私は、闇から姿を現した。

 人間どもから見れば、空に穴が空いてそこから私が現れたように見えるのだろう。そのとおりだ。

 沢山の人間が背を向けて逃げ出す。中にはポケモンを繰り出して私に挑んでくるやつもいたが、羽を一度羽ばたかせれば一匹残らず吹き飛んだ。

 やがて建物から人間が飛び出してきた。

 私を見て怯えている人間の眼前に迫る。冷や汗を滝のように流し、呼吸を荒げているくせに、目だけは反抗の意思を宿している。

 何故か不快だ。

 私は、”サイコキネシス”で人間を連れ去った。

 地上で何か喚いている声が聞こえたが、高揚感と不快感が入り混じった私にはそれに構うほどの心の余裕がなかった。

 

 

 

 人間の住処に付いた私は、人間に石を持ってくるよう指示する。しかし人間は一歩も動く気配がない。

 どうやら石を持ってくるつもりはないようだ。

 しびれを切らした私は、壁を破壊した。

 どこにあるのか探す羽目になるかと思ったが、第六感で石の場所を感じ取ることができた。

 夢にまで見た石は、光を反射して輝いていた。

 二つの石の内、紫の方の石から私と同じ波長を感じ取った。

 紫の石に触れた瞬間、虹色の石からは黒の混じった虹色の光が、紫の石からは暗い紫の光が放たれた。

 体が殻に包まる。

 その瞬間、体中が強大なパワーに押しつぶされるような感覚に陥る。

 痛い、苦しい、でも、何か心地が良い。

 殻が弾け飛ぶまでの数秒が、私には永遠のように感じた。

 やがて殻が弾け飛び、メガシンカを果たした時、私の自我は消えていた。




 多分次話で第一章のビビヨン編終わります。タブンネ。


 
 章が終わったら章のまとめ書きます。これは早めに投稿できると思われ。

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