私、百珠   作:暁エド

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お久しぶりです。


弓と扇子

「あれ?停雲さん?」

 

仕事が終わって帰宅中、武器を取り扱っているお店を眺めている停雲さんを見つけた。

 

「あら?百珠さん。こんばんは」

 

声をかけると停雲さんはゆっくりと振り返ってきた。

停雲さんは天舶司の接渡使にして天舶司商団「鳴火」の代表で御空様ともよくやり取りをしている方で私も何度かお話ししたことがあります。

 

「はいこんばんは・・・どうされたんですか?ここって・・・」

「ふふ。似つかわしくない、ですか?」

「え?えーっとなんて言いますか。停雲さんと武器屋というのが結びつかないような気がして・・・」

「確かにそうですね。戦闘はできるだけ避けて口を使って説得をする・・・それが私のルールですから。・・・実は贈り物の下見をしていまして」

「贈り物・・・武具ですか?あれ?でも停雲さんならわざわざ店頭まで出向かなくてもいいような・・・」

 

何しろ停雲さんは商人ですしこう言ったものなら商品として目にしてそうなものですが・・・

 

「お察しの通り武器・・・弓をお送りしようかと思っていまして。それと実際にお店に出向いてどう言ったものが売られているのかを弓選びの参考にしようと思いまして」

「弓・・・あ、ひょっとして御空様に?」

「正解です。」

 

停雲さんは微笑みながらそう答えた。

 

「なるほど。御空様は弓の名手というのは聞いたことがあります。・・・まあ私は天舶司に赴任してから見たことはありませんが・・・」

「・・・ええ。御空様はある時期を境に天舶司の事務に取り組むようになられましたから無理もありません。・・・御空様の力になればと思い弓をお送りしようと思ったんです。」

「なるほど・・・あの、よろしければ私も何か協力させていただけませんか?」

「え?」

「お話を聞いていたら私も協力したいと思いまして・・・一応私も弓を扱えるから何か力になれるかなあって・・・あ、もちろん停雲さんがよろしければですけど。」

「よろしいんですか?」

「はい、私も御空様にはお世話になってますから・・・主に壊した星槎のことで・・・

「ふふ、ではお言葉に甘えて力を貸していただきましょう。百珠さん、よろしくお願いしますね。」

「!はい、よろしくお」

 

 

待ちなさい!!!

 

 

「「!」」

 

すると突然大きな声が響き渡った。

声の下方を見ると数人の雲騎軍が何かを抱えた黒い格好をした人を追いかけているところだった。

その人は周囲の人を突き飛ばしながら走っていた。

 

「強盗でしょうか・・・」

 

停雲さんは怪訝な顔をしてその人をそう呼んだ。

すると不意にその人と目が合ってしまった。

 

「!」

 

するとそれがきっかけなのか黒ずくめの人は私たちの方に方向転換してきた。

 

「え!?」

 

突然のことに驚いていると手に何かの重さを感じた。

はっと目を向けると停雲さんが私に弓と矢尻のついていない練習用の矢を渡していた。

 

「・・・仕方がありません。戦闘は避けるのが私のルールですが口で説得ができない存在というのもいます。私たちでどうにかしましょう。」

「ええ!?」

「私が最初相手をしますから弓での援護お願いしますね」

「あ、相手ってどうやって・・・!」

「ふふ、座って話をするのが難しい時は・・・」

停雲さんはすっと懐から扇子を取り出した。

 

「この扇子で引っ叩いてあげましょう!!」

 

 

「うおおおお!!!!」

 

そうこうしていると黒ずくめの人が刃を取り出した私達に振りかぶっていた。

今にもその刃を振り下ろしそうになったその時。

 

「はぁ!!!」

「ぐわっ!!!???」

 

滅多に聞けない停雲さんの掛け声と共に停雲さんが扇子を思いっきり下から顎目掛けて切り上げた。

かなりの威力だったのか黒ずくめの人はそのまま縦に回転しながら吹き飛ばされていた。

 

「百珠さん!」

「!(そうだ、私もやらなきゃ!)」

 

撃退は停雲さんが終わらせた。

なら私がするべきことは・・・

 

「・・・」

パシュッ!

 

「ぐわっ!!!」

 

弓に模擬矢をつがえて放ったのは刃を握りしめている手の甲。

矢は無事に命中して刃は手から離れていった。

 

「クソッ!ちくし「鳳凰いでよ!」グオッ!!??」

 

倒れ伏しながらも黒ずくめの人は再び立ちあがろうとしたら後ろから大きな鳥が現れたかと思うとその人にドシッとのしかかった。

 

「確保ーーー!!!」

 

もはや身動きを取れなくなったところに追いかけていた雲騎軍が追いついて拘束していたあれよこれよという間に事件が解決していた。

 

「あなた達大丈夫だった!?」

 

様子を眺めていると栗色でツインテールをした雲騎軍の女の子が声をかけてきた。

 

「あれ?あなた確か前広場で大道芸してた期待の新人の・・・」

「ちょっと!それは勝手に桂ちゃんが・・・ってあ!あなた確かあの時景品貰ってた人だよね!怪我はない?」

「はい、私は大丈夫ですよ。」

「ええ。私も問題ありません」

「よかった。でも2人とも凄いね!吹っ飛ばした上に無力化するなんてさ!雲騎軍の仕事取られちゃったなー」

「ふふ・・・それで、私達に他に御用があるのではないですか?」

「おっとそうだった!一応事件の関係者として話聞かせてくれる?調書使わないといけなくて。大丈夫!時間はちょっとだし場所もここでいいから!」

「ご協力しましょう。」

「ですね。」

 

その後自分達が見たことや撃退した方法などを事細かに聞かれて終わったのは1システム時間後だった。

 

ーーーーー

 

「はあ・・・事情聴取なんて初めてでしたから疲れましたよ・・・」

「色々と細かく聞かれましたからね。・・・あら?」

 

事情聴取が終わってトボトボと歩いていると停雲さんがピタリと歩みを止めた。

 

「?どうし「だらしないわよ百珠。しっかりなさい」は、はいっ!・・・って御空様!?」

 

視線を上げるとそこには呆れたような顔をした御空様がいた。

 

「ぎ、御空様お疲れ様です・・・ええっとその・・・」

「実は私達先程雲騎軍の方々に事情聴取をうけまして・・・なにぶん不慣れな事でしたので・・・」

「事情聴取?」

 

 

 

「・・・なるほど、それは災難だったわね。2人ともお疲れ様」

「突然のことで驚きましたよー・・・」

 

 

「あの、お母さん・・・?」

 

事件の事を御空様に説明すると何処か遠慮がちにこちらに声をかけてくる人がいた。

 

「?」

「晴霓」

 

声をかけてきたのは私達と同じ狐族で黒髪の女性だった。

 

「え?もしかして御空様のお嬢様ですか?」

「ええ、そうよ。晴霓、この2人は私の部下よ。偶然ここで出会ったから少し話してたの。」

「初めまして、百珠と言います。」

「停雲です。よろしくお願いしますね。」

「え!お2人が百珠さんと停雲さんですか!母からお話は伺ってます!」

「え?」

「せ、晴霓!ん、んん。この後娘と食事の予定があるの。だから・・・」

「あのすみません。よければお2人も一緒に来ませんか?」

「ええ!?私達もですか?」

「お2人のお話をお聞きしたくて、よろしければですけど・・・」

「私は大丈夫ですが・・・」

「私も同席できますよ。後は御空様次第ですね・・・?」

「わかったわ・・・じゃあ4人で食事に行きましょうか。」

「お2人ともありがとうございます!」

「いいんですよ〜私も楽しみになってきました♪」

「賑やかですね。」

「では行こうかしら」

 

そうして私達4人は夕飯を食べに店まで移動した。

 

ーーーーーーーー

 

 

「先日市井で起きた事件です。こちら調書になります。ご確認を」

「・・・市井にて薬王秘伝の末端が引き起こした事件か・・・ん?鎮圧したのは・・・」

「は!現場に居合わせた狐族の女性の2人が賊に狙われたもののその2人が賊の鎮圧と無力化、その後雲騎軍の者が拘束を行ったとの事です!」

「名前は・・・停雲、そして百珠・・・方法は・・・」

「機巧を仕込んだ扇で賊を弾き飛ばしもう1人が販売されていた弓を使い刃を隔離させたとの事です」

「弓・・・」

「将軍?」

「・・・把握した。ご苦労」

「・・・?」

「はっ!」

(・・・彼女の履歴を調べたが不審な点も根拠となる点もない・・・本当にただの偶然でしかないのだろうか・・・)

 

 

「失礼、ちょっと良いかな?」

「む?おお、彦卿殿」

「さっきの調書だけど僕も見て良いかな?」

「む・・・まあ将軍の確認済みであるし彦卿殿であれば・・・ただし他言無用でお願いします。」

「ありがとう・・・これか。」

『弓・・・』

(弓・・・名前は百珠・・・)

「うん、ありがとう。手をかけちゃってごめんね。」

「では失礼します。」

 

「将軍のあの様子・・・調べてみるか・・・」

 

ーーーーーーーー

 

「晴霓は眠ってしまったわね・・・全く・・・」

「想像以上に盛り上がりましたからね・・・」

「ふふ、確かのこの子楽しそうだったわ。2人ともありがとう。・・・そういえば最近奇妙な問い合わせが私宛にきたわね。」ゴクッ

「妙な問い合わせですか?問い合わせ先が不審とかですか?」

「いえ、それはむしろ信頼できるところ・・・神策府からなのよ。内容は天舶司の職員の履歴についてだったわ」

「神策府・・・それはそれで不穏ですね・・・内容に対して動いている組織が大きすぎます。」

「神策府って将軍がいるところですよね?・・・そういえば前に私将軍とお会いしましたよ」

「何ですって!?・・・まさか貴方」

「私は何もしてませんよ!?・・・ただそうですね。強いて言えば私を見た将軍の様子がおかしかったことでしょうか・・・?」

「・・・」

「あの、百珠さん。身の回りには気をつけてくださいね?」

「ち、ちょっと停雲さん!どういう意味ですかそれー!?」




後もう少しで原作の時間にいけるかな・・・
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