魔法先生ネギま 吸血鬼x吸血鬼   作:謎の旅人

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第9話 エヴァの最後の勉強

エヴァが目の前にある俺が作った料理を、勢いよく食べいる。もう涙を流しなら。本当にうれしそうだ。あ~、これは絶対俺が悪かった。だって、エヴァがこんなに涙を流しながら食べたことなんて無かった。

 

 

「こんなに美味しいなんてサイコーだ!!」

 

 

もうキャラが崩壊している。お詫びとして俺はその頭を撫でた。髪は相変わらずさらさらしている。エヴァはこっちを見た。だが、いつもと違って目がキラキラしていた。それはまるで子供のように。

 

 

「えへへ~」

 

 

やばいやばい!キャラ崩壊どころか、精神年齢が下がっているぞ!ここまで壊れるなんて思わなかった……。今度から気をつけ―――――ッ!!

 

ドカッ!

 

俺の腹に衝撃が走った。いきなりのことで思わず、膝をついた。いつもなら膝をつくことはない。だが、エヴァのことで油断していた。くっ、誰だ!そう思って自分の腹を見ると、見たことのある細い腕が見えた。その腕の持ち主は………エヴァだった。

 

まあ、分かっていたよ。だって、俺の目の前にはエヴァしかいない。いくら油断していたとはいえ、他の人間からの攻撃だったらすぐに対応できた。できなかったのはエヴァからの攻撃だったからだ。

 

 

「な……何をするんだ……?」

「ふん!朝ごはんと昼ごはんを食べられなかった怨みだ!」

 

 

食べ物の怨みは恐ろしいというが、今のエヴァがそうだ。食べられなかったということで、怒っている。まさか、さっきのは演技だったのか。というか、マジで腹が痛いんだが。え?これ大丈夫?口の中に鉄の味がするんですけど。絶対に内臓傷つけたよね?

 

あっ、やばい。ちょっと気が遠くなってきた……。俺の体に力が入らなくなるのが分かる。力が抜け、上半身が倒れる。目の前には床だ。どんどん近づいてくる。だが、床にぶつかる前に受け止められた。エヴァだ。

 

 

「お、おい!嘘だよな!?さすがの私もその悪ふざけは、怒るぞ!」

 

 

目に涙を溜めたエヴァが俺の顔を覗いてくる。俺はできるだけ、平気な顔をする。だが、そんな嘘はすぐにばれた。嘘だと見抜いたエヴァは俺を睨みつける。必然的に目が合った。

 

 

「体が再生しないのか?」

「再生が遅れただけだ」

 

 

あれ?エヴァの目が心配するような目から、冷たい目に変わったような気がする。

 

 

「ふん!」

 

 

ドカッ!

 

な、殴られた……。今回は油断していなかったので、ダメージはない。そして、さらに拳が放たれた。今度は受けとめた。結構痛かった。

 

 

「次、私を心配させたら内臓を引き出すからな!」

 

 

殺気のこもった視線が向けられた。こわっ!もう女の子の発言じゃない!どこのヤンデレだ?ちょっと俺の内臓に危機を感じた俺は、内臓を引き出されないためにも、エヴァの前で怪我をしないようにしようと決めた。

 

 

「あと……ごちそうさま。お、美味しかった」

 

 

さっきと違い、照れた顔でそう言ってきた。これは卑怯だ。可愛い過ぎる。

 

 

「ど、どうした?」

「いや、可愛いなって思ってな」

「い、いきなり何を言うんだ!さっきのやり返しか!」

「いや、素直に思ったことを言っただけだ」

 

 

そう言うと顔を真っ赤にした。エヴァはその真っ赤にした顔を伏せた。思わずその頭を撫でた。さっきも思ったが、髪がさらさらだ。

 

 

「な、なに勝手に撫でているんだ!!」

「頭を伏せてたんで、てっきり撫でてほしいのかなと思ってな」

「違う!は、恥ずかしくて伏せてただけだ!!」

「嫌だったか?」

「……嫌ではない」

 

 

伏せていた顔を上げていたエヴァが、顔を逸らす。だが、手は頭にのせたままだ。言葉だけでなく、行動でも撫でられることが嫌ではないということを表していた。俺が止めようとすると、うるうるした目でこっちを見てきた。

 

 

「もうちょっとだけ……撫でて」

「ああ、分かった。これが終わったら勉強するか?」

「うん。明日がテストだからな」

 

 

しばらくその頭を撫で続けた。エヴァは撫でられる感覚を。俺はその髪の感触を堪能した。互いに互いで満足したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

勉強を始めたのは1時間後だった。エヴァには俺が作ったテストをやってもらっている。難易度は高い。でも、これで8割取れれば明日のテストは簡単だ。俺は正面に座って見守る。

 

エヴァはその難しさに唸っている。俺は見守ることしかできない。困っているエヴァを見るのはこっちもつらい。だが、これもエヴァのためだ。仕方がない。一応テストなので制限時間がついている。あと、5分だ。

 

エヴァの回答を見るが、ほとんどうまっている。どうやら勉強の成果が出ているようだ。む、時間だな。俺は立ち上がった。それに気付いたエヴァは答案用紙から離れた。

 

 

「そこまでだ。テスト時間終了だ」

 

 

俺は採点を始める。やっぱりほとんど合っている。結果、100点満点中83点だ。このテストは難易度は高めだ。それに問題数も多い。それで83点だ。結構いいほうだ。

採点し終わった答案用紙をエヴァに返す。

 

 

「!!み、見ろ!どうだ!いい点だぞ!」

「ああ、知ってるよ。結構難易度高めの問題だ。よくやったな」

 

 

俺は喜んでいるエヴァの頭を撫でる。だが、すぐに止めた。

 

 

「なんで止めたんだ?」

「ここからはお預けだ。まだ本番じゃないからな。明日、いい点を取らないと意味がない。だが、俺のテストで8割取ったんだ。きっと大丈夫だ」

「分かった。なら、待っていろ!絶対にいい点を取ってやる!そ、そのときはデートだからな!」

「ああ、約束だ。いい点を取ったらデートだ」

 

 

まあ、いい点を取らなくも俺がデートしたいから、関係ないけどな。俺は心の中でそんなずるいことを考えていた。エヴァはノートを取り出し、さらに勉強を続けた。まあ、これだけがんばっているんだ。いい点は絶対にとるだろう。

 

つまり、俺のずるい考えは無意味だろう。だから、俺はエヴァを信じて結果を待つだけだ。それから数時間、俺はエヴァが分からないところを教え、他はただ見るだけだった。

 

 

 

 

外は暗く、時間はすでに9時になっていた。それまでの休憩は途中で夕食をはさんだ一回だけだった。

 

 

「そろそろ終わりだ。もう寝ろ」

「なにを言っているんだ?まだ9時だぞ。あと3時間ある。いや、今日は徹夜だ」

 

 

俺はエヴァの頭に拳を落とす。相手は女の子だし恋人だ。軽くやっただけだ。効果音で言うとポカッだ。むしろ撫でられたと勘違いしてしまうくらいのものだ。

 

 

「それは撫でているのか?それとも殴ったのか?」

「どっちもだ。だが、主に殴った、だ。いいか?どんな力も使う者が万全じゃないとその力は発揮できない。というわけで、寝ろ」

「もう少しだけ!」

「ダメだ。今すぐ寝ろ。脳が寝ぼけていて、テストに集中できませんでした、にはなりたくはないだろう?」

「うう、確かにそうだな。分かった……。もう寝る」

 

 

俺の言った例えが効果的だったようだ。正直に従いエヴァは服を着替える。俺も寝る準備をした。今日の俺の仕事はない。だから、俺もエヴァと寝る。だが、あったとしても一緒に寝る。

 

部屋の電気を消す。窓からの月明かりが差し込む。おかげで、ベッドまでの道筋が見えた。もっとも、吸血鬼である俺たちにはほとんど意味はない。吸血鬼は夜の生き物。むしろ、夜が活動時間である。

 

だから、暗闇の中でもはっきりと見えた。だが、生活リズムは昼間だ。そっちに合わせている。エヴァは昼間でも眠いみたいだがな。布団の中に入り込むと、まず最初にエヴァの顔が目に入る。

 

 

「おやすみ」

「うん。おやすみ」

 

 

互いにそう言い、軽くキスをした。それからしばらくしてエヴァの寝息が聞こえた。それを確認し、俺も眠りについた。

 

 

 

 

 

 

朝起きて上半身を起こしエヴァをみると、エヴァが俺の腕に抱きついていた。困ったな。非常に困った。引き剥がそうにも、引き剥がせない。本気で剥がそうとすれば剥がせるが、俺にはできない。こんな気持ち良さそうに寝ているエヴァの邪魔をできない。

 

 

「困ッテイルヨウダナ」

「ああ、困っている。どうすればいい、ゼロ」

 

 

俺の腹あたりに座っているゼロに聞く。相変わらずの神出鬼没だ。こいつが暗殺しに来たら、絶対に暗殺されるな。だって、俺に気付かれずにいたんだからな。

 

 

「普通ニ起コセバイインジャナイカ?早クシナイト遅レルゾ」

「ああ、そうだな。起こすか」

 

 

時間にはまだ余裕があるが、いつまでもこうしてその寝顔を見ていたら、絶対に遅れる。俺はエヴァの体を揺らす。

 

 

「起きろ。朝だ」

「すう……すう……すう……すう……」

 

 

全く無意味だったようだ。相手は手強い!俺は額に手をやる。

 

 

「ゼロ、ダメだった……。エヴァの眠りには勝てなかった」

「オイ、チョット待テ。マダ一回目ダゾ」

「無理だ」

「早ク……起コセ!」

 

 

ゼロが俺に向かってナイフを振り下ろしてくる。俺の体は無意識にそのナイフを指2本で受け止める。む、仕方ない。あまりやりたくはないが、やるしかないようだ。じゃないと体にナイフが刺さりそうだ。

 

 

「エヴァ!起きろ!テストをがんばるんじゃないのか?」

「はっ!!」

 

ガバッ!

 

勢いよく起き上がった。まだ目は完全に開ききってはいない。俺はエヴァを抱き上げる。それにエヴァはビクッとなった。

 

 

「な、なにをするんだ!」

「いや、このままリビングまで運ぼうと思ってな」

「必要ない!だから降ろしてくれ!」

「いやなのか?」

「嫌ではない!でも、まだ寝起きなんだ。ちょっと恥ずかしい……」

 

 

こんなに恥ずかしがるなんて珍しい。だが、そんなエヴァの姿も可愛い。俺はエヴァをさらにギュッと抱き寄せる。つまり、密着度が高くなる。エヴァの体温と肌をよく感じる。互いにパジャマとジャージだからだ。ちなみに俺がジャージだ。

 

 

「うう~、そ、そろそろ朝食にしろ!」

「はい、お姫様」

「だ、誰がお姫様だ!」

 

 

抱きかかえられたエヴァがポカポカと俺の胸を叩く。全く痛くはない。さてさて、悪ふざけはここまでだ。俺はエヴァを抱えたままリビングまで連れて行った。朝食は用意されている。ゼロが用意したものだ。

 

ゼロは家事を一通りすることができる。あの城では人形とともに家事をしていた。まあ、料理の腕は俺のほうが高いがな。俺が和食でゼロが洋食を得意とする。

 

 

「久しぶりにチャチャゼロの料理を見たな」

 

 

エヴァがそう言う。ゼロが動けるようになったのは最近。だが、俺が毎日料理をしていたせいで、ゼロが料理するときがなかった。俺がゼロが料理ができるということを忘れていなかったら、朝はゼロにやらせていた。今度からは朝食はゼロに任せるか。

 

毎日朝早くから起きるのは苦手なんでね。俺だって吸血鬼だ。朝は人間では夜だ。だから、朝に起きるのは苦手なんだ。まあ、エヴァほどではない。

 

 

「オイ、御主人ニ慎也。イツマデ抱キ合ッタママナンダ?」

「!!」

「おっと、そうだったな」

 

 

ゼロに指摘され、顔を赤くしたエヴァを俺はそっと下ろした。エヴァは顔を伏せたまま椅子に座った。俺もつられて椅子に座る。ゼロはテーブルにちょこんと座っていた。

 

 

「「いただきます」」

 

 

互いに手を合わせ食事のあいさつをする。そして、食べ始めた。

 

 

「慎也のもおいしかったが、チャチャゼロのもおいしいな」

「ああ、そうだな。ゼロ、明日から朝食を頼むな」

 

 

ゼロにそう伝える。ゼロは少し考えたあと、首を縦に振った。よし!明日から少し楽になる!表情は変わらなかったが、俺は心の中で喜んでいた。エヴァはそれに気付いたのか、こっちを鋭い目で見てくる。もちろん、表情は崩さない。

 

そうしている間に俺とエヴァは朝食を食べ終わった。満足だ。他人の料理なんて久しぶりだ。明日からの朝食が楽しみだ。

 

 

「「ごちそうさま」」

 

 

俺たちはそれぞれの準備に取り掛かる。俺はスーツ、エヴァは制服だ。俺は鞄に仕事に必要な書類を入れる。入れ終わり、最終確認。……。問題ない。忘れ物はしていない。準備が終わり、玄関のところまで行くとエヴァが待っていた。ゼロも隣に浮かんでいた。

 

 

「そういえば、今日は先生の用事はないのか?この時間だと間に合わないぞ」

「ああ、ない。だから、あの時間に起きたんだ」

「ふ~ん、そうなのか。では、行くぞ」

「ああ」

 

 

俺たちは自然と手を繋ぎ、家を出た。

 

 

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