魔法先生ネギま 吸血鬼x吸血鬼   作:謎の旅人

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第15話 結果と家庭

家にはすでにエヴァがいた。茶々丸はいない。あいつもたまにはこっちに来ればいいのな。あいつはエヴァの従者なのにな。エヴァはソファーで横になっていた。まだ制服だ。全く服にシワができたらどうするんだ?

 

エヴァのそのスカートからはパンツが覗く。黒、か。しかも大人ぽいし。こいつはもっと恥じらいを持て。いつ誰が見ているのか分からないんだぞ。恋人の俺としては誰にも見せたくないというのが本音だ。

 

その視線に気付いたのか、エヴァと俺の視線が合う。俺がどこを見ていたのかは気付かなかったようだ。

 

 

「遅かったな。待ちくたびれたぞ」

「悪い。でもその前にその格好をどうにかしろ。パンツが見えているぞ。いや、見て欲しいのか?」

「!! バカっ! もっと言い方があるだろう!! それとこれはたまたまだ。私はそんな女じゃない!!」

 

 

エヴァは体を起こし、スカートを直した。その手はスカートを押さえる。顔は恥ずかしさからか、真っ赤だ。怒りで赤いとは思いたくない。

 

 

「なら、ちゃんとしろ」

「分かっている。だが、ここは私の家だぞ。ちょっとくらいいいじゃないか」

 

 

開き直ったのか、そう言ってきた。エヴァは前かがみで俺のほうに乗り出す。その仕草は可愛いとしか言えない。

 

 

「たしかにそうだな。だが、男の俺のいるんだ。そこを配慮してくれ」

「くくく、興奮するのか? この体だぞ?」

 

 

ソファーに近づいた俺に笑みを溢す。そして、手を俺の頬のほうへと持っていき触れる。

 

 

「おい、それは自虐なのか?」

 

 

その俺の一言で自分の言葉に気付いたエヴァは何も言えなくなった。顔を伏せ、怒りのせいか震える。もしくは恥ずかしさか。

 

 

「私だって……私だって……好きでこんな体でいたいんじゃないんだ!! もっと成長して慎也と隣に立ちたかった! 今のままだったら周りからは妹だぞ!? 恋人になんて見られない……」

 

 

エヴァの悲痛の声を上げる。ああ、やばい。これはやりすぎた。エヴァはもう泣きそうだ。どうやら俺は心の闇を突いてしまったようだ。

 

 

「ああ、エヴァ。本当にごめん。だが、俺はその体のエヴァを愛しているぞ」

「気休めだ……。あまりうれしくない」

 

 

なにも言えない。泣きそうな顔だ。しばらく、沈黙が続く。

 

 

「く、くくく、あははははははっ、冗談だ。私はもうそんなの気にしてない。とっくの昔にあきらめたさ。それに慎也はこの体でも興奮してくれるんだろう?」

「そうだな」

 

 

もう乗り越えたように言っているが、さっきのは嘘には見えない。きっと乗り越えてなんてない。本当は気にしているんだろう。俺がエヴァと初めて会ったときだって幻術を使い、自分の姿を偽っていた。

 

 

「なら別にいい」

「そっか。ならテストを見るか」

 

 

エヴァが立ち上がり、テーブルに置いてあった鞄を手に取る。中から取り出したのは点数が見えないように折りたたまれたテスト。俺もエヴァもその点数が気になってしょうがない。

 

特にエヴァはそうだ。今も早く見たいとうずうずしている俺はさっきまでエヴァが横になっていたソファーに座る。エヴァは俺の膝の上に座ってきた。小さい体は俺の腕の中にすっぽりと納まった。

 

 

「この状態で見るのか?」

「悪いか? 別にいいじゃないか」

 

 

仕方ない。もうこれでいいか。別に誰かに見られているわけではない。

 

 

「ひ、開くぞ」

「お、おう」

 

 

互いに震えた声で言う。エヴァの緊張が俺にも伝わった。エヴァの手によってすべての答案用紙が開かれた。俺の腕の中でそれを見たエヴァが震える。それは結果を見て悲しんだためではない。

 

それはテストの点数を見て分かる。全テストは83点以上だった。最高点は94点。エヴァは喜びのせいで震えていた。これはいい点数だといえる。つまり、俺とのデートには十分だということだ。

 

エヴァが振り返り俺に抱きついてきた。その腕は俺の首に回される。俺もその腰に手を回した。

 

 

「これでデートしてくれるんだよな!!」

「そうだな。これだけいい点数を取ったんだ。今度、デートしよう」

 

 

その顔はさらにパアアッと輝いた。腰に回した右手を頭に置く。

 

 

「ならなら、春休みの始めの日だ! どうだ?」

「無理だ。用事がある」

「そうか……。用事があるならしょうがないな」

 

 

そのちょっとしゅんとなった姿に心が痛くなる。その日は超とのデートだからだ。まさかエヴァもその用事がデートとは思わなかっただろう。ああ、本当に嫌だ。なんで俺が浮気みたいなことをしなければならないんだ?

 

正直に言ってつらい。だが、あいつの知っている情報は俺たちを危険にするかもしれない。なら一時的にエヴァを悲しませ、超を密かに始末するほうがいいだろう。

 

 

「ならその次はどうだ?」

「ああ、その日なら大丈夫だ。その日にしようか。絶対にその日に用事を入れさせないようにするよ」

 

 

入れないようにするよではなく入れさせない。つまりその日になにかあっても無視だ。頼もうとすれば睨んででも近づけさせない。無論暴力を使ってでも断る。それくらいだ。まあ、半分は冗談だ。

 

 

「嘘ついたら分かっているよな?」

 

 

エヴァがにやりとしたまま、目を細めた。

 

 

「分かっている。安心しろ。嘘はつかない。もし俺がその日に用事があるって言ったら、無理やりでも止めていいから」

「忘れるなよ。あるって言ったら私は魔法を使ってでも止めるからな」

「いいさ。そうなって騒ぎにならないためにも、約束は守る」

「私も慎也とのこの生活には気に入っている。私に魔法を使わせないでくれよ」

 

 

エヴァの手が俺の首を撫でる。エヴァは俺の足の上に座り、互いに抱き合う形でいるため、顔は近い。

 

 

「はあ、さっきは気にしないと言ったが、ちょっと不安がある」

「どうしたんだ? 約束は守るぞ」

「違う。そっちじゃない。周りからの視線のことだ。ほら、この体だろう? 周りからは恋人なんて思われない。良くて兄妹。悪くて犯罪者と小さな女の子だ。せめて恋人なんて思われたいんだ」

 

 

エヴァは俺の胸板に頬を寄せ、俺の下で小さく呟くように言う。俺はその頭を撫でた。さらさらとした感触が手に伝わる。手は抵抗なく、最後まで流れた。

 

 

「だから、幻術を使ってもいいだろう?」

「…………なんで聞いたんだ?」

「だって相手は慎也だろう。だからデート相手である慎也はどっちがいいのか聞かないとと思って。やっぱりデートだからな。相手が好きなほうがいい。それでどうだ?」

 

 

下から俺を見つめるエヴァと目を合わせる。

 

 

「幻術は……使うな。もし魔法が使えることが魔法先生に見つかれば、どうなるか分からないからな」

「それは年齢詐称薬でもか? あれなら大丈夫だと思うが」

「あ~、それもダメだ」

 

 

俺はエヴァの目から視線をずらし言う。

 

 

「む、なぜだ! 聞いてきた私が言うのものなんだが、私は幻術を使いたい! さすがにこの姿でデートなんて恥ずかしすぎるんだ! そう本音を言ってもダメなのか?」

「ダメだ」

「だからなぜだ!」

「一応、ちゃんとそういうことを解決する方法を持っているからだ。だから待っていろ」

 

 

エヴァはむーっとした顔でこっちを見る。だが、そんなのを使わせないのだ。

 

 

「……分かった。待っている」

 

 

俺がこう言ってもエヴァは不安だろう。俺はその頭を撫で続けた。

 

 

「はあ、ちょっと血が飲みたい。飲んでもいいか? 私のも飲んでいいから」」

「いいぞ。それにしても久しぶりだな」

「はむっ、んくんく。そうなのか?」

「ああ、そうだ」

 

 

俺の首元にエヴァが顔を埋め、血を吸う。俺もエヴァの首元へ顔を近づけ、その鋭い歯を突きたてた。口の中に血の独特的な味がする。普通の人間なら美味しくないのだが、吸血鬼である俺たちは美味と感じる。

 

吸血鬼に血を吸われた者は快感を得る。つまり、俺もエヴァも快感を得ていた。首から口を離すとちょうどエヴァも首から離していた。その頬は赤い。俺はともかくエヴァの目はポーっとしていた。

 

その口の端からは飲んだ血が垂れていた。俺はそれを舐めてふき取る。あまりいいやり方ではないが、興奮状態である俺たちにはそんなことは関係なかった。

 

 

「ん、もうちょっとだけ……はむっ」

 

 

エヴァが再び血を飲む。こっちはもう十分なのでただ抱きしめるだけだ。俺の体は久しぶりに血を得たため、体の奥から力が湧いてくる。ちょっと力を入れるだけでエヴァのこの小さな体を一瞬で粉々にしてしまいそうだ。

 

だが、すでに加減はできる俺は、そんなことはならない。それに愛する人を間違ってもそんなことにするはずがない。

 

 

「ん……はあ……なかなかの味だな。力がどんどんあふれるような気がする。いや、溢れている。普通の人間ではこうはならないぞ」

「そうか。なら毎日飲むか? 飲みたいならいいが……」

「いや、いい。1週間に1回なら飲みたい」

 

 

エヴァの力が溢れるのは俺の力のせいだろう。もう昔のことすぎてほとんど忘れたが、俺は転生者だ。そのときの特典の影響があるのだろう。まあ、なぜかチートすぎるオリジナル魔法が使えなくなったが。

 

だが、もともとそんなものがなくても、ほかの魔法がある。すべて強力な魔法だ。しかし、ここの魔法が使えないというのは今になって後悔した。使えたらエヴァと同じ魔法が使えたのだがな。

 

 

「なら、1週間に1回だな。飲みたいときに言ってくれ」

「ん、分かった。そのときは私のも飲んでもいいぞ」

「なら遠慮なく飲ませてもらうよ」

「でも、私以外のは飲まないでくれよ。慎也は私の味だけを知っていればいいんだから……ちゅ」

 

 

エヴァは俺に釘を刺すかのように軽くキスをした。

 

 

「嫉妬深いな」

「嫌いになるか?」

「いや、こっちとしてはうれしいよ。それにその気持ちは分からなくもない。俺だってエヴァが他の男といたら嫉妬するからな」

「そ、そうか。あ、ああっ、もうこんな時間だな。夕飯は私が作るから仕事でもしていてくれ」

 

 

頬を赤く染めたエヴァは慌てて俺から離れ、台所へと向かった。俺の体からはエヴァの体温が消えていく。

 

 

「んじゃ、俺も仕事でもするか」

 

 

そう呟き俺も自分の仕事に取り掛かる。今回はすべてパソコンでやるものだ。それで問題を作るのだ。部屋にエヴァの料理をする音とパソコンのキーを押す音だけが響く。

 

 

「ケケケ、2人トモ本当ニ仲ガイイナ。昔ノ御主人ハコンナ乙女ジャナカッタノニ」

「ゼロは昔のほうがよかったのか?」

「ソウダナ。昔ハ暴レルコトガデキタカラナ。デモ今ノ生活ハ嫌イジャナイゼ」

「ゼロも優しくなったんだな」

「ソレハ言ウナ」

 

 

ゼロは俺にナイフを投げてきた。避けて壁や物が傷ついても困るので、ナイフを指と指で挟み、白刃取りする。それを机にそっと置いた。

 

 

「危ないじゃないか。照れ隠しでもナイフは投げるな」

「テ、照レ隠シジャネーヨ!」

「おっと、あぶなっ!」

 

 

俺に向かって大量のナイフが投げられた。それをラウンドシールドで弾く。

 

 

「怪我をしたらどうするんだ。いくら再生するとはいえ、痛みはあるんだぞ」

「ケッ! ソレデイイカラ刺サレロ!」

 

 

また投げられた。ゼロはどこかへ行った。全く人の邪魔をしておいて勝手に行くとは。俺は再び仕事に取り掛かった。そして、俺の仕事が終わるとちょうどエヴァの料理も作り終わった。

 

 

「どうだ? 私もなかなか上達しただろう」

 

 

テーブルにエヴァの作った料理が並べられている。ついこの間まで少々不恰好だったのだが、今は整った格好だった。味はもう知っているので、見た目だけの料理でないことは分かりきっている。

 

 

「そうだな。なかなか上手くなっているな」

「ふふん! そうだろう。私は飲み込みが早いからな!」

「……自分で言うな」

 

 

俺とエヴァは席に着いた。そしてその料理を一口、食べた。

 

 

「美味しいぞ」

「そ、そうか。そ、そろそろ本格的に身を固めるときがきたか」

 

 

エヴァがもじもじとしながら、頬を染め言う。

 

 

「いや、待てよ。何でそうなる」

 

 

確かにそうしたいが、まだこっちの準備ができていない。全く情けない話だ。

 

 

「だ、だって私たちは赤ちゃんができる行為をしただろう。だから赤ちゃんができると思うから、そのための準備をと」

「確かにそうだが、俺たち吸血鬼はできにくいからその心配はしなくてもいいと思うぞ」

「そうは言うが中絶するカップルはそう思っていてできたからという理由で中絶したそうだぞ。これでもか?」

 

 

エヴァは自分のお腹をさすりながら言う。もちろんまだそのお腹に命はない。いや、ただ分からないだけなので、エヴァの言うとおり命が宿っているのかもしれない。まあ、宿っていたらそれはそれでうれしい。

 

誰だって自分の子がいるならうれしいだろう。だが、問題がある。それはエヴァの体だ。その体は10歳のものだ。子どもを産むには無理がある。まあ、そんなことが分かりきっていながら、そういう行為をした俺が言えることではないのだが。

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