もうすぐで期末試験だ。2-Aはいつも学年最下位のようだ。
まあ、副担任としてはこれはダメだ。今回は最下位から抜けることが目標だな。
いきなり1位は無理だ。俺が全教科教えるなら全員の平均を70点以上にできるが、
それはできないからな。
「先生ーー!!」
「おや、ネギ先生。そんなに慌ててどうかしたんですか?」
「じ、実は僕がこの学校の正式な教師になるには2-Aを最下位から抜け出さないといけないんです!」
「そうですか。ならがんばらないといけませんね」
「で、でも、皆のんびりしてて・・・」
「なるほど。不安だということですか」
「・・・・はい」
確かにクラスのあの状況を見れば不安になるだろう。
うちは他と違いあせっている様子はないからな。そう思う気持ちは分かる。
「じゃあ、俺が皆を教育しますよ」
「え~~~~!!で、できるんですか!?」
「一応全教科教えられるんですよ。それに、自分が言うのもなんですが、教え方は
うまいですから」
「なら、お願いします!僕一人じゃ、手が回りませんから」
「では、行きましょう。そろそろHRが始まります」
「今日のHRは勉強会にする。このクラスは毎回最下位なので、今回の試験で最下位を
抜け出さないと大変なことになる。詳しくは言えない。なので皆、がんばってくれ」
「「「「「はーい!」」」」」
「ネギ先生、ここからは・・・」
「はい!では皆さん勉強を始めてください!分からないときは慎也先生に言って下さ
い。僕は英語しか分からないので」
皆が勉強を始める。ネギ先生の授業のような風にはなっていない。俺がいるせいだろう。
前回の結果を見たが、この中で問題ないという生徒は数人だ。他は全体的にあげないと
ダメだ。
一番危ないのはあの5人衆だな。アスナは俺が指導すればいいだろうが、他はどうだろうな。
「先生~。ここを教えてください」
「ここは―――――」
考えながら生徒に教える。こうなったら明日や明後日の午前中を使うか?
そうするか。そろそろ時間だしな。
「皆、明日と明後日の午前中、授業をするがいいか?」
「え~~!明日はゆっくりしたいのに!」
「でも、最下位抜け出さないと大変なことになるんでしょう。なら先生の言うとおりに
したほうが・・・」
「そうですわよ、皆さん。いつまでもこのままではいけませんわよ」
「委員長も賛成なの?」
「当たり前ですわ!皆さんだってこのままで悔しくないのですか?」
「うう、そう言われると悔しい」
「やっぱり私も賛成」
さすが雪広 あやかだな。すぐにクラスをまとめた。委員長などにふさわしい存在だ。
雪広 あやかおかげで明日と明後日の午前中は授業だ。
放課後になる。
仕事も終わったので家に帰る。いつも通りだ。
「なあ、エヴァ。お前、ちゃんと勉強しろよ」
「なんで私がやらないといけないんだ?」
「今は学園の生徒だろ。俺が1対1で教えてやる」
「つ、つまり二入きりでか?」
「ん?そうだな。そうなる」
「なら・・・・やる」
「じゃあ、今からだ。いいか?」
「いい」
俺はエヴァに1対1で教えた。エヴァはその間、頬を少し染めながら勉強していた。
「さて、そろそろ飯の時間だ。今日はここまでだ」
「もう終わりか。慎也と勉強していたら早く感じる」
「それだけ集中していたんだ」
俺は夕食の準備をする。作るのにかかった時間は1時間。その間、エヴァは勉強をして
いた。俺との勉強のせいだろうか?でも、エヴァが勉強をするようになって、うれしい
限りだ。
夕食を食べたあと、再び勉強を開始した。エヴァが今日1日で勉強した時間は計3時間だった。
これからもこれくらい勉強してもらうとうれしい。
翌日。今日の午前中は勉強会だ。なので、いつも通りに起きた。
「あれ?慎也、どこに行くんだ?今日は休みじゃないのか?」
「昨日言ったの聞いてなかったのか?でも、エヴァは休んでていいぞ」
「本当にいいのか?」
「ああ。今日も昨日と同じように勉強するならだが」
「もちろんする!」
「だからだよ」
これは授業ではないからな。別にいいだろう。俺も甘いな。
「じゃあ、俺はいってくる」
「いってらっしゃい。・・・・・ちゅ」
エヴァにキスされたあと、俺は少しテンション高めで学校に向かった。
周りは土曜だというのに、人が多い。この学園は部活が多い。だから、こんなに多いのだろう。
この学園に休みはあるのか?
そう言ってしまえば、俺の今からする勉強会もそうだ。土曜と日曜にするのだから。
だが、仕方がない。わけありだからな。
「お、おおお、大神先生!!た、大変です!!」
「雪広 あやか、なにがあったんだ?」
「2-Aが最下位脱出しないとネギ先生がクビになるそうですの!!」
「ああ、そのこ―――――」
「お願いします!!どうにかしてください!!」
「ええい!!ちょっとは落ち着け!!」
「す、すみません」
「そのことなら知っている。だから、俺はこの勉強会をすることにしたんだ」
「そうでしたの。ありがとうございます」
雪広 あやかがこんなに慌てるなんて、そうとうなネギ先生LOVEだな。
こんなに生徒に慕われるなんて、ちょっと羨ましいぞ。
そう思いながら、教室に入って行った。
「ん?例の5人は?」
「そ、それがいなくて・・・・」
「まあいい。皆には俺が作ったプリントをやってもらいたい。これは今回のテスト範囲をまとめたものだ。ちゃんと解けば、テストなんて簡単だ。分からないところがあれば言ってくれ。答えと解説は後で配る」
俺は皆に配る。みんな熱心だ。あの5人はどうしてるのかな?午後から探しに行くか。
だが、どこにいるか分からない。見つけるのは無理かもしれない。
だが、もしかしたらネギ先生もいるかも知れないな。だとしたら、問題ない。
なんせあのナギの息子だからな。それにアスナもいる。というか学園内だ。
危険なところはないはずだ。あったとしても理事長が何とかするだろう。
だが、一応は探すさ。アスナのことが気になるからな。そうしているうちに数時間が経っていた。もちろん間に休憩を挟んでいる。
「そろそろ時間だ。答えを配るぞ。解説は一緒に書いている」
俺は皆に配る。配り終わると皆が採点を始めた。その間、椅子に座り終わるのを待つ。解説も見るから結構時間がかかるだろう。しばらくすると、一人の生徒が立ち上がり、俺のもとへ来る。
「超 鈴音、もう終わったのか?」
「もちろん。それより、あとで話があるネ」
ほう、珍しいな。しかし、話か。この子は頭がいいからな。俺が教えることは勉強以外しかないというほどの頭の良さだ。ま、なんでもいい。生徒の力になれるならな。俺も長年教師をしているとそう思う。生徒にとって良き教師になろうとがんばる。
その頑張りが俺が生徒に教える分かりやすい授業につながっている。そう思っている。
しばらくすると、答え合わせと解説を見終わった生徒が増えてきた。そろそろだな。俺は立ち上がり、教卓に両手を付いた。
「大半が終わったみたいだから、今日はここまでだ。何か分からなかったところがあるなら、あとで質問しに来てくれ。よし、号令!」
「起立 気をつけ 礼!」
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
皆の大きな声が教室を響かせる。本当にうちのクラスは元気がいいな。うん、元気があるってことはいいことだ。最近の若い子はあまり大きな声は出さないからな。皆がどんどん帰り支度をしていき、教室から出て行って行く。
俺は超のために教室で誰もいなくなるのを待った。皆結構長くいたので、2人きりになったのは20分後。今は12時くらいだ。俺と超は向かい合う。まるで告白みたいだ。だが、話が告白ではないと分かっている。
「それで話とはなんだ?」
その問いに対して超は微笑みながら近づいてきた。1.4mくらいあった距離はついにわずか20cmくらいになった。俺は動じない。
「春休み、私とデートをしてほしい……ネ」
「は?」
思わずそう答えた。というか、答えたのではなく、そんな声がこぼれた。いやいや、まさか超からそんなデートのお誘いがあるなんて!個人的にはうれしいが、俺にはエヴァがいる。それで素直に受けたら浮気だ。
俺が浮気なんてしたら、絶対にエヴァは自暴自棄になり何をしでかすか分からない。もしかしたら、女子供関係なく殺して回るかもしれない。それはダメだ。俺はエヴァを愛している。そんなことをしているエヴァを見たくはない。
「デートをしてほしいネ。そう言った」
「そうか。分かった。でも、そのデートのお誘いは断るよ」
そう言ったとき、超の顔は悲しみに満ちていた。だが、それを誤魔化すように超はくるっと反対側を向く。そして、後ろの壁に向かって歩く。
「あ~あ、やっぱりダメだったネ」
わざとらしく大きな声で陽気に振舞う。やっぱりその姿は泣きそうなことを誤魔化していた。だが、同時になぜと思ってしまう。俺はまだこの学園に来たばかりで、しかも外見はおっさんだ。そういう趣味なら分かるが、超はそんな趣味ではないような気がする。
しばらく離れた後、超がその場で振り返り、俺と目を合わせた。そこに悲しい目はなくいつも通りの目になっていた。
「なら、ちょっと強引にでもデートに誘うヨ。私は大神 慎也の秘密を知っている。だから、デートをして」
俺の秘密?なんだそれは。俺にも心当たりがない。なんだそれは。
「分からないみたいネ。なら、デートをしたら教えてあげるヨ」
「俺の秘密がなにか分からないが、それ自体が嘘だったらお前だけが得をする。その秘密が本当かどうか教えてもらおうか」
そう言うと超の目が細められる。図星か?いや、違う。俺の挑発に乗ったということだ。つまり、俺の秘密とやらは本当だという可能性があるということだ。
「……大神 慎也は吸血鬼である」
「!!」
思わず体がびくっとなってしまった。だが、なぜそれを!ここしばらく吸血鬼としての力は発揮していない。ばれるはずがない。超はどこで知った?すべての内容しだいでは超をどうにかしないといけない。あまり殺したくはない。
「……分かった。デートだな。その誘いを受けるよ」
「や、約束だよ!絶対だよ!」
超は満面の笑みを浮かべ、一気に俺の傍に近寄ってくる。そんなに俺とデートをするのがうれしいのか?それも脅してまでして。本当に何が目的だ?
それに「だよ」?なんかキャラ、変わってないか?そう思っていると超はそれに気付き、頬を染めた。
「ゴホン、約束ネ。楽しみにしているヨ」
そう言って超は教室から出て行った。その後ろ姿はとても喜んでいるように見えた。それは錯覚ではない。本当にうれしいからだろう。俺はしばらく超のことを考えていた。
結局、何も分からずに家に帰った。
家に帰るとエヴァが抱きついてきた。ぐほっ!勢いがあったせいで腹に直撃した。い、いってーー!!だが、表情には出さず、内心だけで苦しむ。
「お、遅かったな!」
「ああ、ちょっと長引いてな」
ちょっと頬を染めたエヴァは顔を近づける。俺はその意図を察し、俺もまた顔を近づけた。そして、互いの唇が重なる。しばらくそのままでいた。互いの唇が離れると互いの液体が糸を引いた。
「ただいま」
「おかえり」
キスをしたあと、俺たちは昼食を食べた。俺はその間、ずっと超とのことを考えていた。
「どうした?考え事か?」
「まあ、そうだな。考え事だ」
エヴァに言われ、食事に集中する。どうしようか。エヴァに話すか?いや、まだいいだろう。何かあればそのときに言えばいい。俺は心の中でそう考えていた。