旅の唄 ~赤毛の少女と共に~   作:シロとクロ

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021 海辺の出会い

 

 海。

 

 燦々と輝く太陽、肌を撫でる心地良い潮風、浜辺に押し寄せる波は透きとおるようなエメラルドグリーン、沖には緩やかな白波と太陽の照り返しが煌く。

 

 そんなことはなかった。

 

 空には無数に輝く星々、淡く円を描く神秘的な月、闇の中に青白く照らされた波間、穏やかなさざ波と合わせて、まるで宝石箱のようなロマンティックな光景。

 

 なんてこともなかった。

 

 

 

「海ってこんな感じなのね」

 

「不気味っていうか、なんていうか」

 

「なんだか不安になってきマス」

 

「コワイ」

 

 灰色の空、暗くうねるように暴れる水面、岩場に激しく打ちつける波と強い風が頬を濡らす、そんな荒れた海。そして、

 

 

「「「 ……………… 」」」

 

 言葉を失う4人。

 いかん、純情な少年少女の夢と感情が音をたてて崩れている。1/3でも真実を伝えねば。

 

「え~と、普段はこんな暗い雰囲気ではないんですよ。もっと天候が良ければ悪くない景色のはずなんですけどね」

 

 自分で言っててなんだが、この海岸の景観が良いかどうかなんて今の状態からではわからない。ただ、さすがにこの荒れた状態が通常の海だと誤認するのもどうかと思う。

 

「ルーデウスは物知りね! ルーデウスだって海は来た事ないって言ってたのに」

 

「ええ、まあ。そこは本を読んだり、僕の魔術の師匠に聞いた話だったり、色々ですよ」

 

 っと、あまり前世の知識でモノを語るのはマズイな。エリスにはとっさに言い訳したが、そういうことを言葉にするのは自重しないと。

 

 元々この南岸海沿いのルートはエリスとクルト達が海を見たことがないという理由で選択したものだ。エリスはアスラ王国でも内陸部にあるフィットア領の生まれだし、クルト達も故郷の村はビエゴヤ地方の結構な田舎で、海とは縁がなかったらしい。

 そういった理由から、ルート検討した時に誰かが言い出した「海を見てみたい」という発言を皮切りに、全員が同意して今回のルートが採用された。結果、先程のように魔物に追いかけまわされるハメになったが、いくつかあったルート候補のどれを選んでも、事前の情報では危険度はさして変わらなかったので結果論だろう。

 

 しかし、海か。ここに来るまで1年……いや、1年と少しかかった。

 魔大陸で目が覚めてルイジェルドに会った。彼に連れられてミグルド族の里を訪れた。そこからリカリスの町で冒険者となって、クルト達と知り合い、仲間となった。彼らと協力して、魔大陸の町から町へと渡り歩いた。道中で魔物や野盗ともたくさん出くわした。戦って返り討ちにしたり、時には全力で逃走もした。ああ、途中で闘技大会をやってた町なんかもあったな。

 

「海はなんか思ってたものとは違ったけど……、でもここまで来れたね」

 

「ええ、ここからならあと4~5日ってとこでしょうか。ウェンポートまで、あとわずかです」

 

 俺は海を見ながら、感慨深そうに言うクルトに言葉を返す。

 

「デモ、天気が優れませんネ。嵐でしょうカ? そうなると足止めされそうデスが……」

 

 たしかに。今こうして見ている海が荒れているのも、この天候のせいだろう。魔物から逃走していた時は気づかなかったが、空はどんよりとした曇り空で風が強くなっている。

 ここまでの旅路でも嵐に遭遇することは何度かあった。基本的には雨がほとんど降らない魔大陸ではあるが、嵐というものは存在する。ただ豪雨を伴うようなものではなく、砂嵐に近い現象だ。その最中では行軍はままならないので、停滞して吹き付ける強風と砂から身を守り、嵐が通り過ぎるのを待つしかない。

 まあ、内陸部と海岸沿いでは勝手は違うかもしれないし、ここはもう大陸南端に近いので気候自体異なる可能性もあるが。

 

「じゃあ、行こうか」

 

 海の間近まで来て見学していた俺たちは、クルトの号令で行動を開始する。分厚そうな雲の影響で太陽の位置は確認できないが、今は正午を過ぎてだいぶ時間が経過している。じきに夜になるだろう。嵐をやり過ごすせよ行軍するにせよ、今日はこのあたりで野営することになるので、適した場所を探さなくてはならない。

 

 俺たちの一行は、大トカゲを引き連れながら海岸沿いを歩く。このあたりは砂浜ではなく、岩礁海岸になっているようだ。崖が切り立っているような地形ではないが、多少の高低差はある。それに地面はゴツゴツとした石と岩になっていて歩きづらい。転びでもしたら血だらけになりそうだ。

 

「波の水飛沫もありますし、あまり海の近くで野営はしないほうがいいかもしれません」

 

 それに潮の満ち引きもある。時間が経てば今の水位がどのように変化するかわからない。

 俺の発言に他のメンバーも同意し、海岸沿いではあるが少し離れた場所を探そうかとなった時、バチロウが警告を発した。

 

 全員が身構える。

 

 エリスとクルトは剣の柄に手をかけている。大トカゲの手綱を引いている俺とガブリンも腰を落として、咄嗟の行動に備える。

 

 少しの間その状態が続くが、しかし何も起こらない。

 

「バチロウ?」

 

「カゼ ツヨイ ワカリヅライ。

 ン コエ ナニカ ヒメイ ヒメイ? アッチカラ」

 

 強風の影響のせいか、いまいち要領を得ないバチロウの言葉。だが何者かが襲われているのは確かなようだ。

 

 俺とクルトが目配せをして、全員で走り出す。なんだかんだと人のいいクルト達とエリスはこういった状況では率先して動きだす。

 ただ状況を見て考慮する必要はあるだろう。救出する対象、襲っている存在、魔物か野盗か、規模に利害関係、場合によっては俺たちが危うくなる。見捨てる選択もないワケじゃない。見極めが重要だ。

 

 

 

 

「ぐ、は、はなせ。(わらわ)を誰だと思うておる! このっ、はなすのじゃ!」

 

 俺は何を見てるんだろうか。

 

「や、やめ、やめろぉおう。まて、まてというとるにっ!

 童にはフィアンセが、いや、ちょっ、いやぁ、そこは、おねがいだからまつのじゃあ」

 

 俺はナニを見せられているんだろうか。

 

 目に映るのは、やたらと布地の少ないエキセントリックな恰好をした幼女、それに絡みつく何本もある赤い軟体。軟体はその表面に湿り気と粘性があるようで、絡みつかれている幼女はまさしくあられもない姿となっている。うん、いわゆる〇手プレイってやつかね、これは。

 

「お、おまえ、おまえら! 見てるんだったらたすけろ! たすけろなのじゃあ!」

 

 幼女がこちらに気づいたのか助けを求める。

 

 さて、緊急性は低いようだし、どうしようか。少々起伏が足りてない体だが、軟体が脇や股を這いずりまわり粘性のある液体でベトベトの様子。なかなか見られる光景じゃないし、このまま見学するのも悪くない。

 

「いやぁ、たすけろ、ほんとたすけろ、ほんとにたずげでぇ」

 

 涙声になってきたな。

 

 ふと同じように助けを求められている仲間を見てみる。ガブリンは紳士的に目を背けている、バチロウは何を考えてるかわからないがあきれた表情をしている、クルトは少々前屈みになって目を逸らしている。クルト君、俺と同じ姿勢とは奇遇だね。

 

「ル~デウスゥ?」

 

 おっと、こちらの赤毛少女はご立腹の様子だ。仕方ない、いい加減助けるか。

 あれ? ふと思ったことを口にする。

 

「エリスは助けに入らないんですか?」

 

「えっ、だって気持ち悪いし……」

 

 エリスも大概だな。

 

 

 

 

「『水滝(ウォーターフォール)』」

 

 救出後、幼女は髪も体もべったりとした粘液まみれだったので、魔術で洗い流す。それからエリスに乾いた布を渡して、その後のことを頼む。さすがに緊急時でもないのに直接体に触れるのは躊躇われるし、何より彼女の視線が怖いので自重する。

 

「ううぅ、童は、童は汚れてもうた、すまぬフィアンセどの。…………ハラへったのう」

 

「このっ、ちょっと大人しくしなさい、拭きにくいでしょ。あとアンタ臭いわよ!」

 

 幼女は臭いのか。気を使って自分たちの視界に入らないように背を向けた男たちの耳に、キャッキャウフフではない女性陣の会話が聞こえてくる。この様子なら大丈夫そうだな。

 

「でも、この魔物の残骸……、魔物なのか? このあたりはこんな生き物がいるんだな」

 

 先程俺が魔術と石剣で切り離した、幼女に絡みついていたモノを見てクルトが言う。

 

「キショクワルイ」

 

 さらにバチロウの実に率直な感想。

 

 ソレは1本1本は細長く、本体から切り離れた後も不定形にうねうねと動いている。表皮は全体的に赤色で、表面にいくつもの丸い形状が規則的に並んでいる。切り離した断面は白というワケではなく、緑色というのが若干気がかりではあるが……。

 うん、あれだな。これはどう見ても俺の知っているタコの足にそっくりだ。本体と思われる部分は切り離した後に逃げ出していったが丸い形状だったし、デカいタコの魔物で間違いないだろう。

 

 俺は魔術で作り出した石の短剣でタコの足をブツ切りにする。切り分けたいくつかを短剣に串刺しにして、今度は火魔術で炙ってみる。

 

「ちょっ、ルーデウス!?」

 

 俺が知ってるタコならば生でもいけるハズだが……、いや、さすがにこの緑色の断面を生食するのはちょっと気が引ける。せめてしっかりと火は通しておこう。

 

「ルーデウス、待って下サイ。何をする気デスカ!?」

 

 しまったな。今さら思い出したが、たしかタコの調理って下処理するんだっけか。足部分のみだから内臓の処理は必要ないけれど、身は塩で揉んで表面のヌメりを取ったほうがいいとかなんとか聞いた覚えがある、前世で。

 

「ルーデウス ショウキ カ?」

 

 先程から実に失礼な言葉を浴びせられてる気がするが、俺も考え無しに行動をしているワケじゃない。

 

「ふぅ、いいですか3人共。僕たちは現在少しばかり問題を抱えています。それはズバリ、手持ちの食料が心許ない状況であるという問題です!」

 

 俺の言葉に、3人は神妙な様子で耳を傾ける。

 

「先程の魔物との遭遇で一部の荷物が損壊しました。結果、手持ちの保存食は少なくない量を失うことになりました」

 

「ウ……」

 

「それはいいんです。荷物を失う程度、仲間が傷つくことに比べれば100倍マシです」

 

「ルーデウス……」

 

「ただ現実問題として、食料の確保は必要になってきます。このタ…、触…、ゴホン。赤い軟体が食料として活用できれば、この量ですから、問題を一気に解決できます」

 

「う~ん、いや、でもこんな気色悪いモノを……」

 

 クルトが反論するが、彼もわかっているのだろう。言葉が弱い。

 

 勢いでまくし立てたが、これはなんとかしなければいけない問題なのは確実だ。ウェンポートまではあと4~5日、この嵐で何日か足止めを喰らうことを想定すると手持ちの食料では足らなくなる。嵐が過ぎれば、ここは海辺なのだから魚や貝類といったものが採れるかもしれないが、それも実際その時になってみないとわからない。このあたりには生息していないのか最近は大王陸亀(まずい肉)も見かけないし、食料は確保できる時にしておいたほうがいい。

 しかし、クルト達はやけにタコに拒否感を抱いているな。まあ見た目が良くないのは確かだし、前世でだって一部の国ではデビルフィッシュとか呼ばれて嫌悪されてたみたいだから、わからない事情ではないのか。

 

 そんなことを考えているうちに、串刺しにしたタコがいい感じに焼けてきた。軽い焦げ目と滴る汁、香ばしい匂い、実に食欲がそそられるな。

 今ではガブリンも解毒魔術を使えるし、最悪のケースは回避できるはず。よしっ。

 

「ガァブ! もぎゅもぎゅもぎゅ、ん~~、うんっまいのう!!」

 

「「「 ……………… 」」」

 

 俺の口には何もない、幼女に横取りされた。

 

「うまいがたらんぞ、もっとくれ!」

 

 幼女が厚かましくもお替わりを要求してくる。まあいいけどさ。自分から人身御供となってくれるのなら文句はない。いざとなれば俺が解毒魔術を施せばいいわけだし。

 

 俺はブツ切りにしてあったタコ足もどきを次々に焼いていく。そして幼女は次々に胃の中に納めていく。

 

「うんまい、うますぎる! してコレは何じゃ?」

 

 今さらか。黙ってブツ切り前のタコ足を指さす。

 

「ブフゥー! おまっ、おまえはなんてモノを食わす気じゃ!?」

 

 幼女が勢いよく吐き出した。おい、人の顔にかけるんじゃない。

 

「あれ? 食べられないんですか、コレ」

 

「いや、そんなことはない、食べられるぞ。グレートテンタクルはあまり広くは知られておらぬが、珍味として知っておる者は知っておる。小さいし成長しきる前の個体じゃろうが、食すのに特に問題はないはずじゃ」

 

 このサイズで小さい個体なのか。成長すればどれほどの大きさになるのか。

 

「しかし、コレはさっきまで童を、童を襲って辱めておったブツじゃぞ?」

 

 この幼女、テンションの乱高下が激しいなあ。段々とメンドクサくなってきた。

 俺はアツアツの串焼きを彼女の眼前に差し出し、迫る。

 

「でも、さっきまでおいしそうに食べてたじゃないですか」

 

「ぐっ…」

 

「今さら取り繕っても無かったことにはできませんよ?」

 

「ぐぬぅ…」

 

「ほらほら、素直になりましょうよ。上のお口は我慢できないようですし、ねぇ?」

 

「いや、しかし、童は…、童を誘惑するな!」

 

「ふふ、あなたは悪くない。ただちょっと魔が差してしまっただけなんです。無理をしてもツラいだけですから、頑張らなくてもいいんですよ。さあ、正直になってラクになっちゃいましょう」

 

「あ、や、ぁ、ああぁぁあ、うわーーーーん」

 

 幼女は一心不乱に焼きタコにかぶりつく。よし、墜ちたな。

 そんなふうに幼女とお約束のエ〇コントをしていると、ふと周りの視線に気づく。

 

 「ルーデウスって、時々ちょっとアレだよね」

 「ハイ、アレな感じになりマスネ」

 「ルーデウス ヘンタイ タイヘン エリス」

 「わ、わたしはどんなルーデウスでも大丈夫よ!」

 

 信頼している仲間からの評価が実に酷い。エリスの健気な姿勢には感動で視界が滲んでくるな。

 

 

 

 

「んふ~、食ったのう。1年ぶりの食事は実にうまかったぞ」

 

 結局、あれから追加で何本かの串焼きを平らげた幼女が満足そうに言う。1年ぶりの食事って、まあ子供は何でもオーバーに表現するものだしな。

 

「助かったぞ。よし、お主、名を名乗れ」

 

「ルーデウス、といいます」

 

「そうか! 童はキシリカ・キシリス! 人呼んで 魔・界・大・帝 だ!」

 

 ばばーんと背景文字が描写されそうな勢いで幼女が名乗る。

 キシリカ・キシリスって、たしか過去の人魔大戦で魔族を率いた人物の名前じゃなかったか。俺は振り返って背後のクルト達を見てみる。誰も反応していない、呆れと憐憫の表情。まあ子供の遊びか。

 

「お主は童の命を救ってくれた。ならば願いを叶えてやろう!」

 

 ふむ。

 

「それにうまいものには一つの礼を、というのが童のマイルールじゃ。何でも1つ願い事を言うがよい」

 

 凝った遊びだな。つまり1つ助ければ1つ願いを叶えてくれるってことか。7つ集めないと願いが叶わない玉よりコスパは良いな。 ん?

 

「あれ? でも、そうなると先程魔物から命を助けたことで1つ、それから食べ物をあげたことでもう1つ、ってことになりますよね」

 

「……そうじゃのう」

 

「魔物から貞操を守ったって意味なら、さらにもう1つ。合わせて3つになるんじゃないかと」

 

「……くっ、人族らしくクチが回るのう!」

 

 はっは、幼女よ。遊びとはいえ俺はこういう重箱の隅をつつくような議論と屁理屈は、魔術並みに得意としてるんだぜ。

 

「ぬぅ、本人が望むのならば、まあよいか。強欲な人の子よ、何でもと言うたが童が与えられるのは魔眼だけじゃ。ひとまずは2つ、責任は持てんぞ。ほれ、ずぶしゅー」

 

 幼女がいきなり俺の両目に指を突っ込んだ、激痛が走る。

 

「ぐギアぁぁぁあああ!!!!」

 

 痛い、痛い、痛い、眼窩の奥がいじられる感覚、気持ち悪い、痛い!

 

「ルーデウスに何してんのよ!」

「引きはなせ!」

「この子供、思ったより力が強いデス」

「ヌウゥゥ」

 

 エリスとクルト達が助けに入る声が聞こえるが、こっちはそれどころじゃない。脳髄にギンギンと走る痛みに身動きがとれない。

 

「やめんか、手元が狂うじゃろうが。心配せず ぐへぇ ともちゃんと がはっ 魔眼を げほぉ 見えるよう いたいわっ! ふぅ、おわりじゃ」

 

 両の眼窩から指が引き抜かれる感触。ああ、くそっ、これは失明したかもしれない。治癒魔術で何とかなるだろうか。

 

 俺の視界は暗闇で……あれ? 見える?

 

「よ、予見眼と千里眼じゃ。予見眼は数舜先が見える。千里眼は遠くを見ることができるぞ」

 

 は? え? どういうこと?

 

「ふむ、いま何が見えておる?」

 

「顔が腫れて青アザのある幼女……」

 

「幼女とは何じゃ! 童は魔界大帝と言ったろう。それと顔のアザはさっきお主の連れに殴られたせいじゃ」

 

 自分で言ったとおり、今、俺には殴られたであろう幼女の姿が見える。でも、なんだこれ? 視界に写るものがブレて見える。それに加えて遠近が狂ったような画像が重なる。これ、右目と左目で見え方が違うのか? 気持ち悪い。

 

「ごほん。まあ、ちゃんと見えておるならばよい。いきなり両目とも魔眼にするのはオススメできんかったが、魔力と魂が異常なお主ならば使いこなせるやもしれん」

 

 そんないきなり言われても、どうしろと。

 

「では、童はそろそろ行くぞ。バーディのやつを探さねばならんからな。

 サラバじゃ、ルーデウスよ! ファーハハハハハ! ファーハハハ! ファーハハアアフアガホゲホ……」

 

 幼女改め、魔界大帝キシリカ・キシリスが走り去っていく。俺の目には残像が残るような、残像が生まれるようなワケのわからない幼女の後ろ姿が小さくなっていく。あ、たぶん転ぶな。

 

「んがぁ! うぅ、転んでもうた、痛いのう。

 そうじゃ、ルーデウス! 残りの一つは貸しじゃ! また会うことがあったらその時に返すとしよう。ではもう一度サラバじゃ、ファーハハハハハ…………」

 

 

 

 走り去った幼女、取り残される俺たち5人。

 嵐の前の、嵐のような出会いとできごと。

 

 こうして、俺は魔眼を手に入れた。

 

 

 





 MAKAI☆TAITEIが絡むと、どうしてもギャグ調になってしまいます。
 次話以降は平常運転に戻る予定です、おそらく。

 次回予告 「小休止と釣り」



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