ゴオォォォォォォォ ゴオォォォォォォォ ゴオォォォォォォォォォ
ザアァァァァァァァ ザアァァァァァァァ ザアァァァァァァァァァ
大陸南端で遭遇した嵐は内陸部とは違い豪雨を伴なっている。外壁に打ち付ける強風と雨音がやたらと耳に響く。ましてや今は両目を閉じている状態だ。視覚情報を遮断しているのだから、聴覚が過敏になるのも仕方がないだろう。
いや、聴覚だけではない。触覚も普段より鋭敏になっているのは間違いない。冷たい石の上に身を投げ出した体勢ではあるが、すぐ近くの炎が身体に熱を与えてくれてることがはっきりとわかる。それに何よりも後頭部にある感触だ。程よく引き締まり弾力と柔らかさを兼ねた触れ心地。そして確かに伝わる人肌の温もりは、俺に安らぎと興奮を覚えさせる。んふ。
「ル~デウスゥ、なんだか元気そうね?」
っと、マイハニーを呆れさせてしまったようだ。
非常に名残り惜しくはあるが俺は身体を起こす。エリスの膝、良かったなあ。
「ごほん。ええ、おかげさまでだいぶ疲れもとれましたよ」
「そう? それならいいけど」
続けてクルトが心配そうに尋ねてくる。
「目の調子はどうだい? 何か協力できることがあれば言ってくれよ」
「ありがとうクルト。完璧とは言えませんが多少はこの目にも慣れてきました」
降って湧いたように手に入れたこの両目の魔眼。クルトに言ったことはウソではない。
こちらを気遣ってくれている仲間達にも俺は礼を言う。
「既に皆には随分と協力してもらってますよ。ここに来てから僕はこの目に慣れることに専念させてもらってます。他の野営作業も夜間の見張りも任せっきりにしてますから」
「それぐらい問題ないよ。どうせこの嵐じゃやれることなんて限られてるしね。全然平気さ」
クルトの発言にバチロウとエリスもうんうんと頷いている。
「食事の用意は是非ワタシに任せてくだサイ」
ガブリンが頼もしいことを言ってくれる。
「ルーデウスが確保してくれたこの食材、実に素晴らしいデス。焼いてヨシ、煮てヨシ、茹でてヨシ。味もさることながら出汁もとれマスし、水分を飛ばせバ保存食にもできマス。今日のメニューはこの食材とギムコの練子を煮込んだ……」
むしろ調理に関しては譲りたくない様子か。
部屋の中をゆっくりと見渡す。部屋自体は六畳程度の広さ。中央にある囲炉裏兼釜土でガブリンが夕食の準備をしている。出入口の近くにはバチロウが座っており、この風雨ではあまり意味はないかもしれないが念のための周囲警戒をしている。隣のエリスは剣を取り出したところを見ると、これから手入れを始めるのだろう。クルトは座りこんで先程からなにやら工作している。何かの実、粉、皮、糸のようなもの……ああ、なるほど。これ仕掛け玉を作ってるのか、器用だな。
全員の様子を問題なく観察できた。よし、魔力のコントロールとその維持はできている。
両の目が問題なく見えていることに安堵しつつ、俺は魔眼を手に入れた3日前から今日までのことを思い出す。
3日前、魔界大帝キシリカ・キシリスから魔眼をもらった直後は、それはもう悲惨な状況だった。目を開けば見えないワケではないが視界は滅茶苦茶という状態。右目は写るモノがブレまくるし、左目は望遠鏡や顕微鏡といったものを覗いてレンズ倍率とかピント調整を無茶苦茶に動かしたような映像が写る。結果、その場から自力で動くこともままならずエリスに手を引かれる形で歩いたが……、あまり失礼なことは言いたくないが
その日の夜はそのまま休んだが、俺自身と仲間たちに漂う悲壮感は……どうしようもなく辛かった。
2日前、嵐がいよいよ本格化してきた。ここまでの旅でも嵐をやり過ごす際に使っていた『
ただ苦労はしたが悪いことばかりでもなかった。この作業、無詠唱魔術での建設中に視界が変化することに気づけたからだ。建設後は岩小屋に籠って色々と試行錯誤し、どうやら目に込める魔力によって見え方が変化するということがわかった。そこから魔眼の能力を使わない通常の視界、いわば
1日前、昨日になってようやく魔眼を閉じた状態の魔力コントロールが判明した。しかし、今度はその維持がなかなかに難しい。
今日は、昨日から続いて魔力コントロール維持を安定させるための訓練をしている。魔力には余裕があるが集中力と体力は有限なため、一定時間訓練した後は両目を閉じて一定時間休むというサイクルを繰り返している。先程エリスに膝枕してもらっていたのは休憩の際のご褒美みたいなものだ。
結局、この3日間で"集中すれば魔眼を閉じた通常の視界を保てる"という状況にまでもってこれた。ここまでの上達速度を鑑みると、あと2~3日もあればこの状態を安定したものにできるとは思う。
そして、そこまで至れてようやく魔眼の能力を使う
そんなことを考えていると、クルトが工作作業の手を休めずに話しかけてきた。
「ルーデウスはさ、少し休んでもいいと思うんだ」
「? 十分休んでいると思いますが?」
「そういうことじゃなくてさ。今はなんだか大変な状態なんだし、もっと自分を大切にするというか……」
クルトはこちらを気遣いながらも言い淀む。なんだか慎重に言葉を選んでいる様子だ。
俺は言いようのない不安が頭をよぎる。悪い予感に胸が締め付けられる。
「う~ん、なんて言えばいいのかな」
待て、ちょっと待ってくれ、クルト。俺はまだ動ける、働ける。
3日前の悲惨な状況は否定しないが良くはなっている。それ以上言葉を続けないでくれ。
「もっと周りを使っていいっていうか。……そう! 頼ってほしいっていうのかな」
うん?
「これまでルーデウスは魔術でも戦闘でも、すごく働いているからさ。休める時には休んでほしいって思うんだ」
どうやらクルトの言いたいことは俺が想像した内容とは違うことに安心する。戦力外通告、というわけではないようだ。
「今はこんな天候だから仕方なくって感じだけど、ウェンポートまで急いでるワケじゃないし、緊急事態ってワケでもない」
クルトが顔を上げて、俺だけでなく全員を見渡して言い続ける。
「皆もどうかな? ルーデウスには万端でいてもらいたいし、これからも頼りにすることになると思う。だからルーデウスの体調が戻るまで、この辺りで少し休んでいかないか? その間は俺たちが野営作業も食料調達もやるって感じで」
「ワタシはイイと思いマス。ウェンポートまではあと少しですガ、不調の中での行軍はルーデウスにとって大変デス。それに我々全体にとっても危険がありマス」
「オデ モ ソウオモウ」
クルトの提案にガブリンとバチロウが同意する。
エリスを見ると、
「わかったわ!」
うん、バチロウ以上に簡潔な受け答え。
それにしてもクルトといい皆といい、気のいい奴らだな。それに頼もしくもある。不調者一人抱えての行動がどれだけリスクがあるのかしっかりと理解している。俺たちは冒険者であって軍隊ではない。緊急性がないのなら無理をする必要はないからな。
「わかりました、皆の言葉に甘えることにします。では嵐が過ぎるまではこのままで、その後も2~3日は休みましょうか」
俺の言葉に全員が頷く。ウェンポートまではあと数日だが、しばらくはこの辺りに留まることがこうして決まった。
今後の日程と方針を決めた後、手持ち無沙汰の俺は両目の魔力コントロールをしながら考える。
"頼ってほしい" か……。別にこれまでの道中において、自分一人で何でもしていたワケでもないし、周りのメンバーには普段から助けられていると思うんだが。
ガブリンは道中で習得した治癒と解毒魔術で力になってもらっている。扱えるのは初級までだが回復魔術の使い手は貴重だ。それと旅をするにあたってサポート全般も得意だ。料理ができて、色んな分野の知識を持っていて、良く気が利くところもあり頭も回る。ザ、万能って感じだ。
バチロウは言わずもがなその索敵能力の高さだ。特殊な状況を除けば彼に勝る索敵能力を持った冒険者なんて、この魔大陸で見たことがない。一応、かつて俺たちを導いてくれたルイジェルドという存在がいるが、ルイジェルドは冒険者ってわけでもない。あとは初級水魔術を旅の途中で扱えるようになったので、そちらも充てにしている。まあバチロウは魔力総量が少ないようで初級魔術数回で魔力が枯渇するので、あくまで緊急時限定ではあるが。
エリスには戦闘面で最も頼りにさせてもらっている。それ以外では魔術を除けばからっきしな彼女ではあるが、剣の腕前、近接戦闘においての成果と負担は一行で間違いなく最も大きい。そして彼女は基本的には俺から離れない。これは別に色恋とかそういう話ではない。俺もエリスも言葉にしたことはないが、おそらく彼女は俺の護衛をしている。旅の道中でも立ち寄った町中でも、クルト達を除いた外敵から守り続けてくれている。……彼女は俺のヒーローのままだ。
先程の発言のクルトには一行を引っ張るトップという役割を担ってもらっていると思っている。『デッドエンド』と『トクラブ村愚連隊』のそれぞれのリーダーは俺とクルトだ。ただ俺は戦闘時こそ指示役、司令塔という役割だが平時は参謀とか副リーダーあたりのポジションに落ち着いている。クルトは時折幼い言動をする時もあるが、自分の意志をしっかりと言葉で伝え、仲間を鼓舞し、他者を気遣えて身体を張って行動もできる。ああいうのがリーダーの資質っていうヤツなんだろうな。
「さア、夕食の用意ができまシタ」
ガブリンのかけ声で全員が作業の手を止めて、囲炉裏を囲むように座る。調理中から良い匂いが漂ってきたが、今日の夕食も期待できそうだ。
「ギムコとクハイサの葉、そしてグレートテンタクルの煮こみデス」
よそわれた石製の椀の中を見てみる。ギムコの実をすり潰して、水と混ぜた練り物。クハイサの葉は元は萎びた葉だが、水で戻せば割とシャッキリとした食感の魔大陸で数少ない葉菜野菜。それから
美味い! すげー美味い。いや、ちょっと自分でも語彙が貧弱になってると思うが、これは余裕でお金をとれるんじゃないかってレベルだ。身体も温まるし文句ナシだ。
「ガブリンの料理は相変わらず見事ですね」
俺の発言に隣のエリスが口いっぱいに頬張らせながら、ウンウンと頷いている。お嬢様、礼儀作法とマナーはどこに置いてきた。
「ありがとうございマス。新しく手に入れタ食材は非常に調理し甲斐がありマス」
「ガブリン サイキン ゴキゲン」
バチロウの言うとおりだ。ここ数日の調理はガブリンに任せっきりだが、グレートテンタクルの調理方法を楽しそうに試行錯誤していた。
「スミマセン、ルーデウスが大変な時に…」
「いえいえ、それこそ気にしないで下さい。こんな美味しいモノが食べられるなら全然かまいませんよ」
俺はガブリンに返答する。本気の本音で。
「そう言ってもらえるト。旅をしてきテ、新しい町、新しい場所ニ行くのも楽しいデスガ。こうして自分の知らない料理や食材ニ出会えることがとても嬉しいデス」
「それならさ、嵐が過ぎたら食料調達もしないといけないだろうし、また新しい発見もあるんじゃないか?」
たしかに。この辺りでの滞在日数が増えるのならクルトの言う通り食料は新たに調達しないといけない。それにガブリンも他の皆も海は初めてってことだから、何が採れても新鮮だろうし楽しめるだろうな。
「では風雨が落ち着いたら外で探索と調達ですかね? 僕もやったことはありませんが、魔術を使えば海の獲物も採れると思います」
「いやいや、目のこともあるしルーデウスは休んでてよ。しばらくは俺たちでやってみるよ。どうしようもない時は頼むかもしれないけどさ」
まあ、そうか。そもそもそのためにこの辺りに留まるのだから、俺が動いたら本末転倒になるか。
しかし魔術を使わないで海での食料調達となると何があるだろうか。網はちょっと用意できそうもないから網罠も投げ網漁も難しそうだ。そうなるとできそうなのは海岸で貝や甲殻類を採取するか、もしくは……。
「わかりました。では先程の話のとおり僕は目に慣れることと休むことを優先させてもらいます。 それと魔術なしで海で獲物を獲るなら釣りをするのもいいかもしれません」
「? ツリっていうのは?」
そこからか。クルト、ガブリン、バチロウは雨がほとんど降らない魔大陸内陸部出身のせいか水辺の知識をほとんど持っていない。エリスはフィットア領は内陸とはいえ川や湖はあるので、多少は知っているようだが。
俺はそのあたりも含めて、水辺、海、生息しているであろう生物、一般的な水中の獲物の獲り方、生活様式、注意点等を説明する。
「外で活動できるようになっても海はしばらく荒れてるでしょうし、まずは探索からでしょうね」
「そうだね。周りの地形と、あとは海を除いてもここら辺りに採れそうな食料や燃料がないか確認してみるよ」
俺とクルトで手早く行動予定を決める。このあたりはこの1年で随分と手慣れてきた。
「フフ、魚、貝、甲殻類、海藻デスか。是非とも触れてみたいデス。これから実ニ楽しくなりそうデス」
ガブリンにとっては当面は天国になるだろうな。俺も前世以来の海鮮物祭りを楽しめそうだ。
・
翌々日、風は相変わらずの強風だったが雨は止んだ。空に架かる雨雲も心なしか薄くなってきているように見えたので、じきに嵐は過ぎ去ると予測できる。
岩小屋から見える海はまだ荒れていたので、当初の予定どおりクルト達『トクラブ村愚連隊』の3人は周辺の探索と偵察に出かけた。手持ちの食料もすぐに底をつくというワケでもないし、本格的な食料調達は海の様子が落ち着いてからでもいいだろう。
「ルーデウス、大丈夫なの?」
「ええ。今のところしっかりと見えてますし、問題ありませんよ」
今はエリスと二人で大トカゲの世話をしている。世話といっても水と餌の用意、寝床が荒れているようなら整える作業くらいで大した労力じゃない。
ちなみに大トカゲの寝床は岩小屋『
大トカゲに水を与えた後、器に餌を入れようとしたところでエリスに持っていた物を掠め取られる。
「っと、エリス?」
「やっぱりルーデウスは休んでて。クルトも休めって言ってたじゃない」
彼女はそう言うが、一応反論してみる。
「こういった作業は今の状態でどれくらい動けるのか確認になりますし、意味はあるんですよ」
「ダメよ。とにかく休んでなさい」
エリスにしては珍しい態度だ。俺に対して有無を言わさない姿勢は今まで見たことがない。まあ、悪感情というワケでもないだろうが。
「心配してくれるんですか?」
「………………」
あれ? 何か気に障っただろうか。
「え~と、エリス?」
「あんな、あんな状態だったんだから、心配するに決まってるじゃないっ!」
エリスの突然の叫びと眼差しに圧倒される。軽い口調で始まった会話だが彼女は真剣だ。
あんな状態、か。彼女が言ってるのは魔眼を手に入れた直後のことだろう。エリスに手を引いてもらわねば歩くことすら困難だった。たしかにあれは自分でも悲惨な状況だったと思う。
でも……いや、違うな。逆だ。逆にして考えてみろ。俺ではなくエリスが魔眼を手に入れたとしたら? 俺とエリスの立場が逆だったら? エリスは俺と違って無詠唱魔術を使えない。おそらく目の魔力コントロールも俺ほどは習熟できないだろう。常に俺の手を引かれて歩くエリスを想像する。得意の剣術も元気に走り回る姿も、そしてあの笑顔も望めない。…………ダメだ。嫌だ。受け入れられない。恐怖で足が竦む。
「ちょっと、ルーデウス!?」
「大丈夫、大丈夫ですよ、エリス」
心配して駆け寄ってきた彼女の肩に手を置いて言う。
「エリスの言う通りです。先程の言葉は失言でした、すみません」
涙を浮かべた赤い瞳を見て、続ける。
「もし僕ではなくエリスが、と考えたらとても怖いです。デリカシーがありませんでしたね、僕が軽率でした」
「デリ…………、わかればいいわっ」
わかってないだろうが、謝罪の気持ち自体は伝わったようだ。
ふぅ。しかし俺は未だに人の機微とか情緒とかは読めていないな。近くにいるエリスにさえこれだ。今世ではそれなりにうまくやれているんじゃないかと自己評価しているが、至らない点はまだまだ多い。
そんなふうに心中で反省していると、ふと気づく。
エリスが近い。すぐ傍にいる。
当然だ、俺は先程から彼女の肩に手を置いているのだから。
エリスが俺を見ている。間近で俺を見つめている。
未だ濡れた彼女の瞳に俺が写ってる。真剣な眼差しに射貫かれる。
ちょっとブルーな気分が甘い感情に塗りつぶされる。
あれ? これってどうなんだ? いやいや、さっきまでそんな空気じゃなかったし。
でも今は久々にエリスと二人きり。クルト達が出かけてから、まだ小一時間だ。
周辺の探索といってもあと1~2時間は戻らないだろう。
そもそもこの状況は実はクルト達が気をつかってくれたんじゃないか?
胸の内の甘い感情が、今度はピンクな感情に書き換えられる。
ダメだ。バカか。何考えている。
ついさっき機微とか感情とか反省したばかりじゃないか。
いや、違う。邪じゃない。それは一端置いといて、ひとまず隅に追いやって。
ただ純粋に。
肩に置いた手を、今度はエリスの頬に添える。
「……ルーデウス?」
彼女はわかっているんだろうか。いや、わかってないのかもしれない。
俺もわかっていない。正解なんて知らない。
「エリ」 「ルーデウスッ!! 手伝ってくれ!」
俺たちのいる岩馬小屋ではなく岩小屋の方からクルトの叫び声が聞こえる。
はあ~~~~~~、クルト君さぁ、ちょっとは空気を…
「ルーデウス! エリス! いないの!? 手を貸してくれ!」
俺もエリスも察する。切迫した叫び、クルト達に何かあったのか?
すぐに岩馬小屋を出て岩小屋へと回る。
急いで岩小屋の前に踊りでて、俺の視界に写るものは、
獣耳、尻尾、半裸、痩せた身体、青黒い痣、憔悴した表情の少年と少女が合わせて5人。
それと白くてデカい犬が一匹。
クルト、ガブリン、バチロウの3人は獣耳の少年少女に手を貸している。
「ルーデウス! 緊急事態だ、手伝ってくれ」
冷えた頭にクルトの叫び声が聞こえる。
・
「まっ、悪くはないか」
徒歩の魔族らしき者達に接触した時はハズレかとも思ったが。奴らが向かった先、おそらく仲間がいて合流したんだろう。遠目にはわかりづらいが建屋の隙間から目当てのモノがあるのが伺える。ウェンポートに向かう商隊あたりを狙ってたが、目的のモノが手に入るのなら別になんだっていい。
「ガルスの兄貴、どうしますか?」
側近の一人が問いかけてくる。
「散開しつつ半包囲しろ、まだ気取られるなよ。それと、売りモンに手をつけたお前の部下に伝えろ。ここで下手こけば俺が直々に処分してやるとな」
「っ! ハイ、直ぐに取り掛かります」
ちっ、イラつくぜ。ここんところ何も上手くいかねえ。上は状況を読めない阿呆共、下は言うことをきかないグズな馬鹿共。おまけに運にまで見放されて、こんなところで足止めされちまってる。側近にはああ言ったが、俺だってもう危ない状態だ。これ以上失態を続ければ最悪組織に見限られる。
いや、まだだ。まだ取り返せる。嵐自体は不可抗力だ。聖獣を使うのはリスクだったが、あれは獣族のガキ共にとっていい枷になる。うまくことを運べば、まだ何とかできる。
まあ、とりあえずは。
オリ食材:ギムコの実をすり潰したもの、劣化小麦粉をイメージ
オリ食材:クハイサの葉、劣化白菜をイメージ
オリ魔術:『
オリ魔術:『
書きたいことを書いてると文字数がどうしても増えてしまいます。
次回予告 「逃げた魚」