バードコール。
別名鳥笛。木片に金属ネジを差し込んだシンプルな構造物。金属ネジを回すことでネジ部分と木片が擦れ、「キュピキュピ」「ピィーピィー」といった鳥の鳴き声に似た音が鳴る道具。現代においてはハイキングやキャンプの際にバードウォッチングのために鳥を呼び寄せることを目的として使用するのが主な用途。ただし、このバードコールという道具は今いる世界で俺は目撃したことはないし存在するかどうかも定かではない。
「バチロウ、どうですか?」
「ダメ キコエナイ」
俺の質問にバチロウが首を横に振りながら答える。
現在、俺達は襲撃を受けた石小屋からウェンポートがある方角とは逆方向に進行しながら、はぐれたクルト達を探している。はぐれたといっても意図的な別行動ではあるが、緊急時の措置だったため集合場所も時間も当然決まってはいない。
そして、この世界では一度距離が離れた人間と合流するのは極めて難しい。街中や整備された街道沿いならまだしも、ここは魔大陸。街道というものがそもそも存在しないし、海が近いとはいえ目印になるような場所もない。そして当たり前ではあるが現代日本のように個人が気軽に通話や通信、情報共有ができる手段もない。
ただ『デッドエンド』『トクラブ村愚連隊』合同チームは、こういった場面を想定して事前に決めていた対応策がある。実践するのははじめてだが今は他に充てもない。この手段が最も有効だと俺は考えているし、別行動中のクルト達も同じ認識であると信じて行動するしかない。
なるべく早く合流したい。襲撃者達から逃走してすでに半日が経過している。治癒魔術と途中でとった休憩により俺、エリス、バチロウの状態は悪くはないが、野営道具も食料も何も所持していない。それに別行動組も心配だ。クルト、ガブリンは冒険者としての経験があるが、今は保護対象である獣族の子供達、大トカゲ2匹を守り引率しながら行動しているハズだ。
「あっちにはガブリンがいるので、おそらく"鳴き役"は彼でしょうね」
「ン ソウオモウ」
「……そうね!」
エリスの理解度はひとまず置いといて。
俺達の仲間とはぐれた際の対応策は"バチロウがいない側が鳴き声という信号を発して、バチロウがその信号である音を拾って合流する"というものだ。ここ数日は強風下の影響で若干不安定になっていたが、バチロウの索敵能力は非常に高い。多少の距離があっても問題なく音を拾える。そして通常の呼びかけではなく、鳴き声という手段をとっているのは外敵を警戒してのものだ。周囲の魔物を呼び寄せるのは論外であるし、今は襲撃者に見つかってもマズイ。
あと鳴き声は各個人ができるだけ鳥の鳴き声に似せたもの。魔大陸には小鳥のような野鳥は存在しないが、ハゲワシや鷹に似た猛禽類に属するような鳥類は幾度も見たことがある。なので事前に対応策を検討した時に、外敵に悟られず仲間内にだけわかる信号として鳥の鳴き声が採用された。ちなみに種族柄か鳴き声が巧いのは鳥頭ガブリン。俺とクルトは口笛でそれっぽく音を出す。エリスは口笛も吹けないので、「るぅ~る~」とハトのように鳴くだけ。この魔大陸でハトを見たことないけど。
「クルト達は北側には行ってないと思うんですがね……」
独り言のようにつぶやく。俺の予測では別行動組は北側には向かわない。あっちの方角は俺たちが元からきた旅の経路、大型の魔物に追いかけ回された場所になる。クルトがそんな危険な判断をするとは思えない。逃げるのなら東方向海岸沿い、それも外敵から発見されやすい海の傍ではなく海岸から少し離れた場所だと思う。
周囲は薄暗い。嵐が過ぎて上空にかかる雲はほとんど無くなったが、すでに日没間近だ。完全に日が沈めば行動はしづらくなる。暗闇でも明かりを灯せば行軍と索敵はできなくもないが、周囲から非常に目立ってしまい結果的に外敵に襲われやすくなる。できるなら今日中に合流したいところだが…
そんなことを考えているとバチロウが信号を拾った。おそらくガブリンの鳴き声とのこと。
俺達は喜々として信号を発していると思われる方角に向かう、ただ一応は魔物を警戒しながら慎重に。
「ウォン!」
いきなり目の前に白い影、爪、牙。
魔物!? エリスもバチロウも反応できていない?
白い影に押し倒される。ぐっ、すぐに魔術を… あれ? 視界の端に写るエリスとバチロウのあきれ顔。押し倒され乗り掛かれながらも目の前のモノをよく見ると、コイツ聖獣とか呼ばれてたデカい犬か?
「ウォン」
ベロベロと顔を舐められる。ああん、だめよワンちゃん、あたいには旦那と子供が……、いや子供ができるような行為はまだしてないけれど。
「ルーデウス! エリス! バチロウ!」
聖獣に舐め回されながらも見上げれば、クルトとガブリンの姿。奥には獣族の子供達も見える。
「よかった! よかった! 無事でいてくれて」
目に涙を浮かべながらそんなことを言うクルト。感激屋だな。
「安心しまシタ。本当に、本当に良かったデス」
合同チームの中では比較的冷静なほうであるガブリンもそう咽ぶように言葉を述べる。俺もクルト、ガブリン、別行動組が問題ないようで安堵する。
クルトから手が差し伸べられ、その手をとって立ち上がる。
「ええ、お互い無事に合流できて何よりです」
・
日もすっかり落ちて辺りは暗闇。今は岩と窪みで周囲からは視認しづらい場所で野営をしている。ガブリンが簡単な食事の用意をし、配膳に取り掛かったところだ。
「危ない役割を押し付けることになって3人とも本当にごめん。それに元々は俺が彼らを助けたいって言い出したのが原因なんだろうし」
頭を下げて俺を含めた仲間に向けて謝罪するクルト。
「いえ、あの状況なら仕方ないでしょう。誰かがリスクを背負わなければ切り抜けられなかったでしょうし。それにあの時の獣族の子供達を見れば誰であっても保護すると思いますよ」
俺の発言にエリスとバチロウが頷く。彼女らも別に怒ったり理不尽だと感じている様子はない。
「でも…」
クルトの言葉を遮る。
「いいですかクルト? 今はただお互い無事に再会して、こうして同じ焚火を囲んで食事できることを喜べばいいんですよ。それに重要なのはこれからでしょう?」
「ルーデウス……」
「まあ今の発言は、半分以上バチロウの言葉の受け売りなんですけどね」
仲間内から小さな笑いが起きる。楽観視できる状況ではないがチームの雰囲気は悪くない。獣神語ではなく魔神語で会話したせいか獣族の子供達は内容を理解できないようでキョトンとしているが、説明はしなくていいだろう。
しかし随分前向きな姿勢とセリフだと自分でも思う。バチロウに感化されたか。そうだな、悲観しても状況は好転しないし重要なのはこれからだ。
「そっか、あの集団はそれほどに強い連中なんだね」
「ええ。全員が手練れというワケではありませんが、明らかに暴力事と集団行動に慣れた連中です。そこらの野盗ではない統率された組織なのは間違いないでしょう」
食事しながらのクルトとの情報交換。襲撃された状況と別れた後の状況確認。撤退時の戦闘がどういうものだったのかを説明する。
「それにリーダー格の顔に傷痕のある男。そうですね、言いづらいので呼び名は『
特に重要な相手のエース兼司令塔については強調して話す。呼称は魔術ではなく錬金術から拝借したが、襲撃者や危険人物という意味ではあながち間違ってはいない。
「エリスが勝てないくらいなんだから相当強いんだろうな。俺とガブリンじゃ話にならないだろうね」
「……むぅ」
クルトの発言にエリスが若干むくれ顔をするが仕方ない。情報は正確に伝えたほうがいい。
「さて、問題はこれからどうするかですが」
「うん。なるべく奴らと戦うのは避けるとして。ドコにどう逃げるか、どうやり過ごすかってところだろうね」
合同チームのそれぞれのリーダーである俺とクルトの認識は一致している。あれほどの集団とは戦闘自体極力避けるべきだし、どこに逃げ込めばいいのかは頭を悩ます問題だ。
これまでの状況と獣族の子供達の話を整理すると今は以下の状態だ。岩小屋から見て南側は海。西側は襲撃者の拠点である船が停泊している海岸沿い。その先にウェンポートがある。北側は大型の魔物に襲われた岩の多い丘陵地帯。東側は現在滞在している方角になるが基本的な情報を何も持っていない。
まず北側に逃げるのは論外だろう。あの丘陵地帯は大型で足の速い魔物がいる。俺達だって2匹に襲われただけで相当追い込まれた。今は獣族の子供もいるし再び同じ状況になれば、犠牲者なしで済むとは思えない。最悪は全滅に近い状態になる。
東側は難しい。こちら側はそもそも地理地形も出現するであろう魔物も何の情報もない。手探り状態での行軍は危険度が高いし、襲撃者が追ってきたり周囲の魔物に襲われたら逃げる先がまるで思いつかない。逃げ込んだ先が岬だったり谷になってたりして追いつめられる可能性もある。
動かずこの場でやり過ごすというのはどうか? 襲撃者達が追ってこない、追ってきても発見されないという運任せになる。できればこの選択肢もとりたくはないな。
結局、今考えられるのは東側に進行するか、もしくはこの場に留まり襲撃者達が追ってきた場合のみ東側に逃げるか、といったところか。情報のない東側もこの場に留まることも運の要素がだいぶ絡んでくる。あまり良い策とは言えない。
クルトの意見も聞いてみるが彼も似たような考えだ。北側は無謀、この場か東側の2択になるだろうとのこと。
逃亡先について議論していると獣族の子供、猫耳ミニトーナが俺に話しかけてきた。
「 さっきは助けてくれてありがとうニャ。それとその、ゴメンだニャ。たぶんアイツらが襲ってきたのはあたし達が
ああ、彼女も自分達が泳がされ囮にされたことに気づいているか。それに拙くも謝ろうとする姿勢には悪い感情は持てない。
「 それと、お願いがあるニャ! アイツらの船にあたし達と同じように攫われた同族がまだいっぱいいるニャ! 助けてほしいニャ! 」
いや、それは。彼女の意志も言いたいことも理解はできるけど……。
一応、仲間達に彼女の言葉を魔神語に訳して伝える。全員が難しい顔。そんな中クルトが神妙な面持ちで発言する。
「ルーデウス、彼女に伝えてくれないか? 俺達じゃあ君達を助けるだけで精一杯だ。これ以上無茶をすれば君達も俺達も生き残れないと思う。だから君の願いを聞くことはできない、と」
俺も同意見だ。襲撃者は20人くらいいた。ヤツらの拠点にはさらにどれだけの人数がいるかもわからない。今の状況では彼女の要望は無理難題だし完全にキャパオーバーだ。
クルトの言葉をミニトーナに伝えると、
「 そんニャ! 同族を見殺しにはできないニャ。何とかならないかニャ!? 」
なおも食い下がろうとする彼女。決して我儘だとか傲慢だとは思わない、気持ちはわかるがどうにもできない。
「 トーナ、もうやめようよ。危ないところを助けてくれたルーデウスさん達にこれ以上迷惑はかけられないよ。 」
ミニトーナを犬耳テルセナが止めに入る。ああ、この光景は前にも見たな。襲撃された時か。
テルセナという子は暴走気味なミニトーナのストッパー役といった感じか。少々弱気な態度が目立つが、ある意味現実がしっかりと見えている証拠でもある。
「 それに聖獣様には森に戻ってもらわないと。あたし達が船から逃げる時にそう話したよね? 」
「 う、そうだけどニャ… 」
そして怒らせたら怖いタイプだな。
ミニトーナとテルセナのやり取りというかお説教会は続いているようだが、俺は考える。
聖獣か……。彼女達の会話から推察するに獣族にとって聖獣はどうやら絶対の存在らしい。この白くて大きくて愛嬌のある犬を上位者のように扱う感覚はよくわからないが。ってかコイツはなんで俺の隣で寝てるんだ? 食事もさっさと終えるとすぐに俺の傍に来たが気に入られたんだろうか? モフモフに好かれて悪い気はしないが、まあ今はいい。
それと今なら襲撃者達がミニトーナ達を泳がせた際にコイツも一緒に解放した理由もわかる。獣族にとって聖獣が最も大切な存在なら、コイツを無視して勝手に逃げ出すことはできない。解放した子供達を囮として考えるなら、襲撃者達にとって囮が四方八方にバラバラに散るのは避けたかったハズだ。なるほど、囮の枷であり縛りか。獣族の特性を理解した巧い手だな。
ん? そういえば自分達の状態や周囲の地形といった状況ばかり気にしてたけど、そもそも襲撃者達は何が目的で俺達を襲ってきたんだ? 一度は攫った獣族の子供達を解放して囮にしたこと、囮も俺達も生死を問わない勢いで襲撃してきたこと……金品や物資の略奪か? いや、多少手持ちはあるし
いやいや、もっと元を辿ればヤツらはなんでこんな場所にいるんだ? 海上で嵐に遭遇したんだろうけど船を使ってるんだから普通は港のあるウェンポートに行くだろうに。……ダメだ、考えても埒が明かない。ヤツらに対する情報がまるで足りていない。一応彼女らに尋ねてみるか。
俺はミニトーナ、テルセナ、他の獣族の子供達に襲撃者達について何か知っていることはないか質問をしてみる。襲撃者達が何故このような辺鄙な場所にいるのか、港のあるウェンポートにはどうして向かわないのか、知っていることや気づいたことは何かないのかと。
「 う~ん、そういえば船が壊れてたニャ。聖獣様と逃げ出す時にアイツらの船の上のほうにある布が破れてたのを見かけたニャ。 」
壊れてた? 船の上のほうにある布って、帆のことか!?
「 あっ、でも全部の布じゃないニャ。4枚くらいでっかい布があって3枚はくるくる巻いてあったニャ。でも1枚はビリビリに破れてたニャ。 」
破損したのは全てではなく一部の帆ってワケか。俺も船の構造については詳しくはないが、帆が破れても船自体は沈まない。ただ操船には影響するとは考えられる。破損したのは嵐の影響だろうか。
「 他に気づいたことはありませんか? 」
先程のミニトーナ以外にも何か情報がないか尋ねるとテルセナが声をあげる。
「 あ、あの! あたしあの人達の話を聞きました。 」
んん? 聞いたってどういうこと? 言語自体が違うだろうに。
「 あたしとトーナはもう少ししたらザントポートの学校に通う予定で。だから、その、人族の言葉は少しわかります。 」
「 テルセナは真面目すぎるのニャ。そんな覚えるのなんてもっと後でもいいニャ。 」
「 トーナは不真面目すぎるよ…… 」
ミニトーナとテルセナの漫才のようなやり取り。しかしヤツらの会話というのなら、それは大きな情報源だ。俺はテルセナに何を言っていたのか、どんな会話をしていたのか訊いてみる。
「 全部はうまく聞き取れなかったんですが… 」
テルセナが聞いた内容はこんな感じだ。
船、揺れ、嵐、ナニやってる、対処しろ、ホが破れた、兄貴、止めろ、直せ、直せない、チョウタツしてこい、ウェンポート、急いで、ヒミツリに、ガキドモ…
ふむ。随分と断片的な情報だが、だいぶ話が繋がってきた。そうなると……
「 ひとつ聞きたいのですが、君達は船の中で聖獣…様以外の動物を見ましたか? 馬とか大トカゲみたいな大型の動物です。 」
獣族の子供全員に尋ねてみる。そして全員が首を横に振る。子供達も囚われて逃げ出しただけだから船の中すべてを把握しているというワケじゃない。でもこれで確定だろう。
アイツらの目的は"足"だ。
獣族の子供を大量に攫って船での運搬中に海上で嵐に遭遇。嵐の影響で船が故障。沈没こそしなかったが船は流されウェンポートには辿り着けずこんな場所に辿り着く。船の故障を直したいが部材がない、もしくは船大工の技術を持つ者がいないせいか直せない。船は操船もままならないので修理部材もしくは技術者を陸から調達しに行く。ひょっとしたら嵐の影響が小さくなった昨日深夜か今朝方にはウェンポートに調達の人材をすでに派遣しているかもしれないが、ヤツらには"足"がない。"足"を欲してこの辺りに餌を撒いて獲物がかかるのを待っていた。そして俺達がまんまとその餌に喰いついてしまった。これで辻褄は合うし、予想は大きく外していないと思う。
大トカゲをカードにしてヤツらと交渉できるか? いや、ないな。すでに生き死にの問題に発展している。あの襲撃者達は俺達を殺す気だし、獣族の子供達も生きてれば再び捉えられるだけだ。
"足"のない集団、周囲には逃げるに適した場所がない状況、獣族の子供達、そして迅速な情報伝達手段が存在しない世界、か。
獣族の子供達に再度話を聞く。今度は魔大陸南端ウェンポート、ミリス大陸北東端ザントポート、大森林についてだ。結果はウェンポートに関しては最小限だったが、ザントポートと大森林については詳しい情報が聞けた。
大森林は現在雨季に入っているだろうとのこと。豪雨と地面を覆う洪水。木の上を渡れば行動できないワケではないが非常に危険を伴うこと。まあこれは魔術でどうにかできると思う。
ザントポートも大森林ほどではないが雨季の影響が少なからずある。雨季の最中は公的な船がほとんど出航していない。ただ入港してくる船は多少はある。町の物資が完全に停滞するってことはないし、海上に船をずっと留めるワケにもいかないから入港は制限が緩いのだろう。
……これならいけるか? 西側に抜けることを第2プランとすれば、現在の東側に逃げる方針よりは安全度は高いハズだ。
「どう? ルーデウス」
気づけばエリスが横から俺の顔を覗き込んでいる。
「考えはまとまったかい?」
逆隣からはクルトが尋ねてくる。
「ええ、エリス、クルト。是非検討してみたいプランがあるのですが… 」
「…どうでしょう? 獣族の子供達からの情報と僕達が襲われた状況から、ヤツらは陸の移動手段をかなり高い確率で持っていないと思います。実現不可能なプランではないと思いますし、ウェンポートで読みが外れた場合はそのまま西側に逃走するのもアリだと考えてます」
俺は先程考えたプランを全員に説明する。
各々が成否の可能性に頭を悩まし、ガブリンが個人の負担について言及する。
「これはいける、のか?」
「ルーデウスにかなり負担ヲかけることになりそうデスが…」
それは仕方ない。今は無理をする場面だ。
「魔力については問題ないと思います、ただ体力と目に関しては不安があります。なので途中の大トカゲの操作や運搬などは皆に任せたいと考えているのですが」
前半はまだしも後半は俺の魔術を前提とした逃走経路。第2プランに移行した場合はその限りではないが、なるべくなら体と目は休ませておきたい。
「それは任せてもらって問題ないよ。今の状態のルーデウスの負担はなるべく減らしたいしね」
「そうね!」
「ン」
クルトの返事にエリスとバチロウが同意する。
「それに俺はルーデウスから"頼ってくれて"嬉しいよ」
「そうよっ!」
「ン」
ああ、そうか。こういうのも頼るってことなのか。
「ええ。僕にできることは限られていますし、精々仲間を頼らせてもらいますよ」
エリス、クルト、ガブリン、バチロウの皆が笑みを浮かべる。
なんだろうか。頼ることで自分が信用と信頼をされていると実感が持てる、心地良い不思議な感覚だ。
その後、俺は獣神語で獣族の子供達にプランの説明をする。話を聞いた彼女らは大森林での行動については疑問の声が上がったが、そこは俺の魔術で対策はあると説得した。
襲撃者、獣族の子供と聖獣、ウェンポート、ザントポート、そして大森林。ここからはチームにとって正念場であり、魔術師としても指揮官としても自分にとって踏ん張りどころだと思う。
明朝、日が昇り次第行動開始だ。
次回予告 「脱出魔大陸」