メーデー!ワールド崩壊の真相と真実   作:corny01

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No.3

抗議デモ:記録映像より抜粋

 

灰色の空の下、六花の城の前に広がる広場。

そこは本来、氷で囲まれたガラス庭園へと続く静謐な空間だった。

だが今、その門前には異なる属性と種族の精霊たちが、入り乱れ、旗を掲げ、怒号を上げていた。

 

「名前で縛ってゾンビのように働けと!?それが六花の正義かよぉッ!」

  ―― ゾンビ・マスター(アンデッド族ユニオン会議・共同代表)

 

「@六花のせいで先行封殺エンジョイができなくなった!!ティアドロップは辞任しろ!!」

  ―― 神光の宣告者(パーフェクト・デクレアラー)(天使族総決起集会・議長)

 

「冗談じゃねぇ!分け前よこs……“名前”で世界が変わるなんて、やっちゃいけないことだってあるだろうが!」

  ―― デーモンの召喚(悪魔族組・組長)

 

「スタメン落ちた、ティアドロップは辞任しろ!」

  ―― シャークラーケン(水属性協同組合・組合長)

 

 

抗議デモは日に日に大きくなっていった。

《ピラミッド・タートル》が、その甲羅に拡声器を鈴なりに装備してのっしのっし歩き。

《イグナイト・イーグル》がその横でマイク片手にキレ散らかす。

真紅眼の不死竜(レッドアイズ・アンデットドラゴン)》が両翼に何本もの幟を巻き付け、「六花族の暴走を許さない会」「アンデッド族ユニオン会議」「名称ビジネスにNO!」と書かれた布を翻しながら城壁の上空を旋回する。

 

場は、制御不能のカオスになっていた。

 

 

 

 

■ ターミナルデイリーニュース第143号(抜粋)

【見出し】

「六花の名は、救済か、暴力か?――“@六花”を巡る抗議激化」

 

(途中省略)…本紙が確認した「@六花」を名乗る非六花族は累計74体を超え、なお増加傾向にある。

一方、組合団体からは“六花ブランドによる囲い込み”との批判が相次いでいる。

ティアドロップ氏への公開質問状には、「使用料徴収の正当性」、「@六花制度における種族別格差是正」など6項目の回答が求められている。

 

【記者:ゴシップ・シャドー】

 

 

 

 

 

【六花城・会議室(内部資料による再現映像)】

 

氷で囲まれた六花達の居城の中。

抗議行動が激化する中、六花たちはついに緊急会議を開いた。

 

《六花精スノードロップ》は、壁に投影されたデモ映像を見つめながら、静かに呟く。

「……思った以上に、広がりが早いわ。これ以上、無視はできない」

 

「でも、引き返せるの?」

《六花精ボタン》は書類を抱えたまま、力なく椅子に沈み込む。

 

「…無理ね。申請は止まらない。契約済みの“@六花”はすでに何十人も出てきてる……ここで止めれば、“選別”って言われるわ」

 

ティアドロップは黙ったまま、遠くのモニターを見ていた。

そこには、《真紅眼の不死竜(レッドアイズ・アンデットドラゴン)》が幟を振り回し、騒然としたデモの様子が映っていた。

 

「……救おうとしただけだったのに」

ぽつりと落とされた言葉に、部屋の空気が静かに沈黙する。

 

「誰にも見られず、使われず、忘れられていく精霊たち……。

“@六花”って名前だけでも、居場所になればいいって……それだけだったのに」

 

「…いっそ、やめてしまいましょうか?」とボタンが問う。

 

「みんなで遠い所に逃げちゃえばいいのよ。ここで逃げたら、傷口は最小限で済む。“六花”の名を、誰にも貸さないことにすれば、ね?」

 

ティアドロップは小さく首を振った。

「……いいえ。逃げない」

視線はまっすぐスクリーンに向けられていた。

 

「誤解されたとしても、踏みにじられたとしても――。

それでも、助けを求める声があるなら、私は応えたい。

“六花”が少しでも希望になるなら、私は……一人でもやるわ」

 

その瞬間、スノードロップが立ち上がった。

 

「……ティア様が一人で立つなんて、ありえません」

 

彼女はわずかに微笑んだ。

それは、凛とした氷の中に灯った、芯のある暖かさだった。

 

「“六花”が希望になるのかどうか――それは私たちが形にするしかないのよ。最初に名を貸したのはティア様でも、責任を取るのは“私たち”よ」

 

「そうですよ」

ボタンが立ち上がった。

 

「ティア様――あなたはそうやって、いつも一人で全部背負おうとするから……だから、今度は私たちが支える番です。一緒に作りましょう、“皆の希望となる制度”を」

 

その場にいた他の六花精たちも、次々に静かに頷いていく。

 

「ティア様――私たちは、あなたの味方です」

 

ティアドロップは、皆を見渡した。

その目に、一瞬だけ迷いが宿る。けれどすぐに、それは凛とした光へと変わった。

 

 

その会議の記録は、後に“分水嶺(ターニング・ポイント)”と呼ばれるようになる。

 

 

 

 

 

【六花城・臨時記者会見】

フラッシュがたかれ、ティアドロップが登壇。

白い石造りの記者会見室。

背後には六花の紋章が浮かび、ティアドロップが一人、壇上に立ち記者たちに一礼する。

 

フラッシュの嵐。

 

「@六花の完全解放について、お考えは?」

「名称使用料の還元比率が低すぎるとの声もありますが?」

「六花族によるブランド独占と見られている件について、説明を」

「現在の“名義的接続”におけるシステム裁定範囲はどこまでと想定されていますか?」

矢継ぎ早に飛び交う問い。

ティアドロップは一瞬、息を詰まらせるようにして、沈黙した。

 

記者たちの質問に、ティアドロップはしばし沈黙した。

 

そして、唇を噛むようにして、静かに答えた。

 

「……私が始めたことです。責任は、取ります」

 

「制度として、@六花を皆様へ解放いたします。」

 

数秒の静寂。

その後、背景のスクリーンに、組織名が表示される。

 

その日、『六花ホールディングス株式会社』の設立が発表された。

 

運営は六花達を中心とした精鋭チーム。

それは、「契約手続きさえ踏めば、誰でも等しく“@六花”を与える」新制度の発足だった。

 

制度の門戸はすべての精霊に開かれ、

その瞬間から、誰もが《六花》になる権利を持った。

 

制度発表のわずか数分後には、運営窓口に申請希望が殺到した。

そして同時に――投資家たちが、動き出した。

 

──【ドラグニティ産業連盟】より、初期運用資金5億DPの注入を提案

──【ブンボーグ開発局】から、株式の20%取得を含む資本業務提携案

──【グレイドル中立連合】は、友好的M&Aの提示および“シナジー統合計画”の草案提示

 

そして――

“六花”は、もはや六花だけのものではなくなった。

 

 

 

 

【速報】六花ホールディングス(コード:RFK-001)、時価総額が前日比+1230%でターミナル証券取引所の新記録を更新

 

本日、六花ホールディングス株式会社(コード:RFK-001)は、終値で前日比+1230%の大幅上昇を記録し、設立からわずか18日で時価総額ランキング第3位に躍り出た。

背景には、独自の《@六花》ブランドによるカード展開支援制度の普及と、連日のランキング上位独占があると見られている。

 

「"@六花"はもはやプレイスタイルの一形態ではない。これは、新たな構築経済圏の創出だ」

  ── サイバース族系VC企業《リンク・ブレインズ証券》アナリスト談

 

■ 経済番組《デッキ・スキャン》より抜粋

(司会:ジェムナイト・オブシディア)

 

「正直、こんなに早くここまで市場が反応するとは思いませんでした」

「“@六花”制度の最大の革新は、“カードの所属カテゴリを変更せずにサポートを得る”という抜け道を正規化したことです」

「これは、いわば“属さずして属する”という状態。バランスの崩壊とも取れますが、投資家にとっては“多様性の最大化”とも言えるでしょう」

 

「“花は咲かせた者のものではなく、咲いた後に集まった者のものになる”――歴史の常です」

  ── アーカナイト・マジシャン(歴史学者/経済魔導理論 専門)

「彼女は“助けたい”と思った。それは事実です。

 でも、救済という言葉が“パッケージ”になったとき、それはもう別の意味になるのです」

  ── 夢幻崩界(デストロイメア)イヴリース(精霊倫理研究家)

 

 

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