何か本編に協力したいと思ったら事故った。
逆に興味がある方はペガサス 淫夢で調べてください。
「貴方の企画書は読みマシタ。『三幻神』へのカウンター『最後の安全弁』」
M&Wを開発し、世界的なムーブメントを引き起こしたI2社の社長室、そこに人が2人いる。1人はI2社の社長『ペガサス・J・クロフォード』。もう1人はカード開発部のスタッフだ。
「『三幻神』に対して1枚のパワーカード、メタカードで対抗するのではなく、そもそも出す舞台を整えさせないタクティクスプラン。手札・墓地・デッキ全てを使って*1『三幻神』に対抗するというデザイナーズデッキ開発プラン。どちらも素晴らしいデース」
パチパチと、軽い拍手を送りながらスタッフを称賛するペガサス。されど特徴的な長髪に隠されていない右目は、若干剣呑な色を宿している。
「ですがアナタが試作したこのカード群と、実際に組まれたデッキ。試しに回してみた感想は……」
「クレイジーとしか言いようがアリマセーン!」
ダンっと机をたたく音が広い室内に響いた。
「何なのデスかこの『ティアラメンツ』というカードは!? 最初はセルフデッキデスかと思いマシタが、なんでそこから融合するんデスカ? なんで融合すると手札とモンスターが増えるんデスカ? なんで一緒に相手のフィールドがカードが消えるんデスカ? 『サンダーボルト』は最強除去カードデス! なんでモンスターが残るどころか打たれる前より増えるんデスカ?
なにより……」
深く息を吸う。
「なんで後攻0ターン目に融合モンスターが出るんデスカ!?」
意味がワカリマセーン!
絶叫するペガサス。はぁはぁと荒くなった息を整えるために水差しを手に取る。
「確かに神のカードに対抗する手段を私は欲していマシタ。『最後の安全弁』。その考え自体を否定する気は更々アリマセーン」
水を煽るとゆっくり息を吐く。
「しかしこれではセーフティどころかクラッシャー。ゲームに勝つためにゲームそのものを破壊するようなものデース。全く、よくもこんなキチガイカードデザインを……」
あなたの精神状態は一体どうなっているのデスカ?
前髪の隙間から左目の部分にはめ込まれた義眼、ミレニアムアイが怪しく光る。これは千年アイテムと呼ばれる闇のアイテムで、ペガサスのものは対象にした人物の心を読むという凄まじいものだ。I2社がここまで大きくなった要因の一つである。
カード開発スタッフというのはI2社の肝と言える社員だ。ペガサス自身がミレニアムアイを使い、表層とはいえ心を読んでまで選抜した者達である。彼は当初、業務成績こそ普通だったが、会社への忠誠心が高く、素晴らしい熱意を持ち、時折、未来を先読みするようなアイディアを閃く人物だった。今存在するゲームシステムだと、『エクゾディア』と『融合召喚』の概念は彼のアイディアが元になっている。
バランスは難しいが、花のあるデザインを思いつく彼を手放すわけにはいかない。もし精神に問題があるなら療養してもらわなくてはいけないなと、割と本気で心配してペガサスは心を覗こうとした。
「What!? なぜゲイポルノのことを考えているのデスカ!?」
ペガサスのミレニアムアイが写したのはよく分からない男三人が服を脱いで風呂に入る場面だった。
「「見たけりゃ見せてやるよ」じゃアリマセーン!? しかも無修正映像!?」
あまりにも汚い絵面に、ミレニアムアイの使用をやめた。だが脳裏にはステロイドハゲの迫真の演技と、知的障碍者染みた男の棒読みがこびり付いている。
なんで見る必要があるんですか?
あまりに自分の心情にジャストフィットした言葉に、ペガサスはナオキになった。
「ミレニアムアイに頼るのはやめた方が良い? アナタその情報をどこで? オーマイガッ……! 私を幻の
千年アイテムのことを知っていることに驚きつつも、反射的に心を読もうとすると、今度は先ほどの映像に自分が混ぜられていた。ついでに映像には『迫真空手部 千年アイテム攻略の裏技!』というバカデカいテロップまで流れていた。仕事が早すぎる。
「百歩譲って千年アイテムを知っていることは不問とシマショウ。ですがナゼ開発途中のものがすでに印刷されているのデスカ? ……デザインだけメモして寝落ちしたら既に現物が手元にあった? 印刷機が稼働した形跡もない? ソンナコトアリエナーイ! Owh……、的確にゲイポルノを流すのはヤメテクダサーイ……」
今度は自分がステハゲと幸せなキスをしようとしていた。あまりのおぞましさに胃液を絞り出しそうになった。
「ナゼこうもミレニアムアイがことごとく読まれるのデスカ? もしやアナタも千年アイテムを……『うらら』『G』『泡』を切るようなもの? それらはあなたのプランにも、このデッキにも入っていましたね……。確かにそれらのカードデザインは『最後の安全弁』に相応しいものデシタ」
仮に先攻で神を出すようことが可能なら、それを咎めるには手札から相手ターンに発動できるカードが必要だろう。他にも蘇生を防ぐカードや、直接的な破壊カード、サーチの妨害カードも彼はデザイン案として出していた。ペガサスもアイディアとしては流石だと感心している。
そして文字通り『最後の安全弁』だということも瞬時に理解した。
「いずれ必要になるカード達でしょう。デスガそれらが許容される時、いま行われているM&Wというゲームは崩壊していることを示していマス」
こんなカードが飛び交う状態など、凡そ健全とは言い難いゲームだろう。特殊召喚やサーチを後攻で防ぐためと言えば聞こえは良いが、逆を言えばそれが必要なくらい、特殊召喚やサーチが多発する環境ということだ。
カードゲームの特徴である駆け引きや状況判断、何よりドローという運の要素はそぎ落とされ、先攻か後攻かを争うことになる。そんな予感がした。
「カードゲームの開発者としてあまり好ましいものではありまセンネ。もはやM&Wを楽しむ人はいなくなるデショウ。……意外と楽しんでいる人もいる?」
彼はそんなことはないと首を振った。
「「世の中には運を天に任せることが嫌なくせに、その上で運任せの勝敗に喜ぶ者がいる」デスカ。分かるような分からないようなこと言いマスネ。「矛盾の果てに得られる悦楽がある」? 「ぶっちゃけ麻薬みたいなもん」? ……あなたと話していると少し納得してしまう自分がいるのが恐ろしいデース」
ペガサスは椅子に身を預けた。
「とにかく出来てしまったのなら仕方アリマセーン。これらはアナタが責任をもって管理してくだサーイ。意外そうな顔をしていますネ? 現状、その子達を公開するのは時期尚早デース。しかし『三幻神』が驚異なのも事実。アナタが必要と感じたのなら使用されるのも止む無し、『最後の安全弁』というのはカードそのものというより、アナタ自身の良心。きっと遊戯ボーイに渡す気なのでショウ?」
彼は心底驚いた顔をした。
「これくらいはミレニアムアイを使わなくても分かりマスヨ。仮に『三幻神』相手に必要がなくても、千年アイテムを巡る戦いやその先で必要になるかもしれまセーン。ただし遊戯ボーイに渡した後も、アナタが監視してくだサイ。感謝しマス。アナタのおかげで私は『三邪神』を生み出さずに済みそうデス」
話は終わりデース。
退出を促され、「では業務に戻ります」と彼が踵を返すと、ペガサスがミレニアムアイをあらわにする。
「No! 遊戯ボーイを淫夢ボーイにするのはヤメナサーイ!」
トライアングルフェスでティアラメンツにあたってムシャクシャして書きました。
ティアラメンツの代わりに嫌いなテーマやデッキを入れてもらって構いません。
この世界線はどういう物語になるんですかねぇ?
光どころか水の中で終わるかもしれません。
名前で察した方もいるかもしれませんが、匿名で別な遊戯王二次も書いてます。そっちに書けるネタでもないし短いしでなんか書きました。
クスリとでもしてくれたら幸いです。