流派スカイランド神拳一番弟子、ソラ・ハレワタール 作:無悪岩
このSSはひろプリ本編3話と4話の間ぐらいのとこから始まります。
スカイランド国王王女との通話を終え、ましろは今日一日を振り返っていた。
スカイジュエルを探しに裏山へ向かい、カバトンの妨害に遭い、ソラがプリキュアへと変身して戦った。
簡単に思い返しただけでも、怒涛のような一日だった。
その中でも、特に印象に残ったことがある。
ソラが妙な舞を見せたと思ったら、正拳突きで大岩を真っ二つにしたのだ。
「ねえ、ソラちゃん。」
「はい? なんでしょう」
「ソラちゃんって、なにか武術を習ったの? それとも独学?」
「いいえ。師匠から教わったのです!」
「お師匠様がいたんだ! それって、ソラちゃんみたいな人?」
少し離れた場所で、ヨヨが聞き耳を立てている。
「いえ、全っ然違います! 目つきは悪いし、部屋は片付けないし、言葉は乱暴だし、すぐ手が出るし……!」
「あ、あはは……」
ソラの口から愚痴が飛び出す。
ましろが少し引き気味になったのを見て、ソラは「でも」と表情を引き締めた。
「でも、誰よりも優しくて、いざという時は誰よりも頼りになります!私にはすでに憧れの人がいますが…師匠は、私が目指すべき背中なんです!」
「へぇ〜。素敵なお師匠様なんだね」
「はいっ!」
誇らしげに胸を張るソラに、聞き耳を立てていたヨヨが、声をかけた。
「ソラさん、ちょっといいかしら?」
「はい?」
「あなたのお師匠さんの名前……それと、あなた達が出会った経緯も、教えてもらっていいかしら?」
「あ、それ私も聞きたいな!」
ましろも身を乗り出す。
ソラは嬉しそうに胸を張り、語り始めた。
「いいですよ!ぜひとも語らせてください!私、ソラ・ハレワタールがいかにしてスカイランド神拳を体得したのか! そして──」
ましろが耳を傾け、エルもテンション高く歓声を上げる。
だが、そんな和やかな雰囲気の中で、ヨヨだけが真剣な表情を浮かべていた。
「──わが師、リア・アーダナスとの出会いを!」
***
ソラ・ハレワタール、5歳。
空を見上げ、拳をぎゅっと握りしめる。
「強くなりたい……ヒーローになりたい!!」
1年前のあの日、行ってはいけない森に迷い込み、窮地に陥ったソラを救ってくれたヒーロー、シャララ。
その姿に憧れて、ソラの心は決まった。
けれど、どうすれば強くなれるのか。幼い彼女には、まだわからなかった。
そんな時、村に流れてきた噂を耳にする。
『とんでもなく強い人が、裏山に住んでるらしいぞ!』
『睨んだだけで猛獣もビビるらしい!』
『素手で大岩を砕いたって聞いたぞ!』
──強い!?
──剣を使わずに大岩を!?
「よーし! 弟子入りして、ヒーローへの一歩を踏み出すのですっ!」
勢いだけで裏山へ向かうソラ。
小さなカバンには、水筒とおにぎり二つを詰め込んで、無謀な冒険へと出発した。
***
裏山の途中。
「はぁ…はぁ……まだ、着かないのかなぁ……」
汗だくになりながら、でこぼこの獣道をよたよたと登っていく。
「…あ、あれ?」
開けた岩場に、ぽつんと一人座る人影。
ごつごつした岩に腰を下ろし、涼しげな顔で空を見上げる銀髪の女性。
銀色の髪は肩にかかるくらいの長さ。
ゴーグルをかけ、目元は隠れている。
ボロボロの外套。
動きやすさを重視した服装。
座り方は超絶ガサツ。
でも、たしかにわかる。
この人は、きっととんでもなく強い!!
ソラの本能が、そう告げていた。
「こ、ここにはとても強いお方がいると聞きました!是非!弟子入りさせてください!!」
声を張り上げて叫ぶ。
銀髪の女性…リア・アーダナスは、めんどくさそうに目を細め、ぼそりと吐き捨てた。
「…帰れ、クソガキ。」