FGO × BIOHAZARD RE4 作:ダイアジン粒剤5
西暦2004年。
ユーラシア大陸の西端、ヨーロッパはイベリア半島の海沿いの山間部にて。
突如として空が光り、三人の人間が現れた。
一人は少年の面影を残す東洋人の青年であり、この場にいてもおかしくない風体であったが、残りの二人が異様であった。
一人は如何にもサムライといった風体をし、実際日本刀の大小を腰に佩いたボサボサ頭の青年。
もう一人は土地柄を考えても異質な白髪を伸ばし、異様に膨らんだ赤い外套を羽織った少女。
――彼ら彼女らの名は藤丸立香、岡田以蔵、雑賀孫一。
この時代とは別の時代から時間移動/≪レイシフト≫して来た、人理継続保障機関フィニス・ガルデアの職員たるマスターと、そのマスターに力を貸す過去の英霊たるサーヴァントたちだ。
「……駄目だ、繋がらない」
手にした通信機器を弄っていた藤丸だったが、帰ってくるのは雑音ばかりで一向に本部に繋がらない。
「気にすることはないろう、マスター。通信が繋がらんなんぞ、いつもの事じゃ。安心せい、このわしが護衛に就いちょるんじゃ。大船に乗った気で任せちょったらええ」
「以蔵はちょっと気を抜きすぎ、引き締めるべき」
藤丸の言葉に対し気楽に返す以蔵だったが、雑賀孫一こと蛍が、そんな以蔵の態度を窘める。
「事前にダヴィンチからも指摘されてた、この特異点は他の寄せ付けない力が強いって。どのくらい強いかというとマスターと一緒にレイシフトの出来るサーヴァントは、私と以蔵しかいなかったくらい。勤勉な私は過去のレイシフトの記録を見て予習している。そんな中でカルデアと通信出来ない場合は、特異点の主が強力で妨害していることが多いって。だから気を抜かない。……マスター、怠惰な以蔵と違って勤勉な私を褒めるべき」
「なんじゃとう、こん小娘がぁッ!」
「まあまあ」
怒る以蔵を宥めながら、藤丸は蛍の頭を撫でて褒める。
「でも、確かに気を付けないとね」
目を細めながらナデナデを堪能する蛍の姿に癒されながらも、藤丸はダヴィンチに言われたことを思い出す。
ダヴィンチによれば、この時代この場所で歴史に大きな影響を出すような事例が起きたという事実は、少なくとも表の歴史には記録されていない。
実際現状のところ、この特異点の規模は決して大きくない。
しかし未来を観測する電子演算機装置トリスメギストスによれば、このまま放置すれば人理そのものを破壊しかねないほどの規模に、かつて魔術王が作り出した七つの特異点に匹敵するほどの規模に、膨張するかもしれないということだった。
「とにかく、まずはこの近辺を捜索してみないとね」
ナデナデを切り上げ、藤丸は言う。
この特異点の構造は、カルデアからはまったく観測できなかった。
自分の目と足で、見て回るしかないのだ。
「それなら私に任せて。敵情視察や戦場での物見も、雑賀の十八番。必ず有益な情報を――」
――蛍が言い終わるよりも早く、森の奥から複数の駆動音が鳴り響いた。
即座に臨戦態勢をとる以蔵と蛍だったが、駆動音は近付いて来るでも無く一定の周期で鳴り響き続けている。
「この音は……」
そして現代生まれの藤丸には、幕末や戦国生まれの二人とは違い、その音に聞き覚えがあった。
映画やゲームなどで聞くことが多い音であり、カルデアでもサーヴァントの一人である徐福が夏場の海でよく鳴り響かせていた音。
「チェーンソーだ」
続きは明日投稿予定です